IFRA・IGFを比較:米国インフラETFの株価・配当
インフラ銘柄に投資するETFのデータを比較し、情報を整理してみます。
このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を紹介してみましょう
【徹底比較】インフラETF「IFRA」と「IGF」は何が違う?
安定した配当や長期的な成長が期待されるインフラ分野への投資は、ポートフォリオの安定化に貢献します。その代表的なETFとして、ブラックロック社が提供するiシェアーズシリーズの「IFRA」と「IGF」があります。この2つは、単に投資地域が違うだけでなく、投資する事業の性質が大きく異なります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の投資戦略に合ったETFを選びましょう。
【IFRA】iシェアーズ USインフラETF 〜インフラを「作る」企業へ投資〜
IFRAは、米国内でインフラの設計、建設、資材供給、メンテナンスなどを行う企業に投資するETFです。景気対策としてのインフラ投資拡大の恩恵を受けやすいのが特徴で、インフラを「作る側」の企業群とイメージすると分かりやすいでしょう。
- 正式名称: iShares U.S. Infrastructure ETF
- 連動指数: NYSE FactSet U.S. Infrastructure Index
- 投資対象: 米国のインフラ関連企業(資本財、素材、エネルギー、運輸など)約150社に分散投資します。
基本情報 (2025年6月時点の参考値)
経費率 | 0.30% |
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分配金利回り(直近) | 約1.1% |
純資産総額 | 約36.9億ドル |
上位10構成銘柄 | Vistra Corp, Quanta Services, Eaton Corp, Vertiv Holdings, Trane Technologies, CSX Corp, Williams Companies, Parker-Hannifin, Norfolk Southern, Motorola Solutionsなど |
セクター別比率 | 資本財、公益事業、エネルギー、素材などが中心 |
【IGF】iシェアーズ グローバル・インフラ ETF 〜インフラを「所有・運営する」企業へ投資〜
IGFは、世界中のインフラ資産を所有または運営することで、安定した収益を得る企業に投資します。電力会社、ガスパイプライン、空港、有料道路などがこれにあたり、インフラを「使う側から利用料を得る」企業群とイメージできます。公益事業の比率が高く、ディフェンシブな特性を持ちます。
- 正式名称: iShares Global Infrastructure ETF
- 連動指数: S&P Global Infrastructure Index
- 投資対象: 世界のインフラ関連企業(公益、エネルギー、資本財)約75社に投資します。
基本情報 (2025年6月時点の参考値)
経費率 | 0.40% |
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分配金利回り(直近) | 約2.9% |
純資産総額 | 約27.4億ドル |
上位10構成銘柄 | NextEra Energy, Aena SME, Enbridge, Southern Co, Transurban Group, PG&E Corp, Dominion Energy, Sempra, National Grid, American Electric Powerなど |
国/地域別比率 | 米国が約6割を占めるものの、カナダ、オーストラリア、スペイン、日本などにも分散されています。 |
IFRAとIGFの比較まとめ
投資アプローチの違いが、ポートフォリオの特性に明確に表れています。
項目 | IFRA (作る側) | IGF (所有・運営側) |
---|---|---|
投資アプローチ | インフラの建設、開発、資材供給 | インフラの所有、運営(公益事業など) |
投資地域 | 米国特化 | グローバル (ただし米国が6割) |
主要セクター | 資本財、素材、エネルギー | 公益事業、エネルギー、資本財(運輸) |
景気感応度 | 比較的高い(景気対策に期待) | 比較的低い(ディフェンシブ) |
分配金利回り | 比較的低い | 比較的高い |
経費率 | 0.30% | 0.40% |
投資の際の注意点
- 金利変動リスク: 特にIGFのような公益事業の比率が高いETFは、金利が上昇すると、より安全な債券に投資家の資金が流れるため、株価が下落する傾向があります。
- 規制リスク: 公益事業や運輸事業は政府の規制下にあり、政策の変更が収益に影響を与える可能性があります。
- 景気変動リスク: 特にIFRAは資本財セクターの比率が高いため、景気後退局面では企業の設備投資が減少し、株価が下落する可能性があります。
まとめ
米国のインフラ投資拡大というテーマに乗り、景気敏感株としての成長を期待するならIFRA、世界中の安定した公益事業などに分散投資し、高い分配金とディフェンシブな値動きを期待するならIGFが、それぞれ適していると言えるでしょう。両者の違いを理解した上で、ご自身の投資戦略に組み込むことをお勧めします。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当(分配金)と利回り
年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算するので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高くなることがあります)
IFRAの利回り
年 | 配当 | 株価 | |||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
2024 | 3.89% | 0.81 | 1.3% | 20.8 | 4.5% |
2023 | 4.02% | 0.8 | -10.1% | 19.9 | -7.9% |
2022 | 4.12% | 0.89 | 34.8% | 21.6 | 4.3% |
2021 | 3.19% | 0.66 | 11.9% | 20.7 | 5.6% |
2020 | 3.01% | 0.59 | 25.5% | 19.6 | -7.1% |
2019 | 2.23% | 0.47 | -52% | 21.1 | 11.1% |
2018 | 5.16% | 0.98 | – | 19 | -1% |
IGFの利回り
年 | 配当 | 株価 | |||
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
2024 | 3.37% | 1.68 | 6.3% | 49.9 | 7.5% |
2023 | 3.41% | 1.58 | -6% | 46.4 | -2.1% |
2022 | 3.54% | 1.68 | -1.8% | 47.4 | 3% |
2021 | 3.72% | 1.71 | 71% | 46 | 13% |
2020 | 2.46% | 1 | -35.9% | 40.7 | -10.2% |
2019 | 3.44% | 1.56 | 13% | 45.3 | 5.8% |
2018 | 3.22% | 1.38 | 4.5% | 42.8 | -2.3% |
2017 | 3.01% | 1.32 | 13.8% | 43.8 | 12% |
2016 | 2.97% | 1.16 | 0.9% | 39.1 | -3.7% |
2015 | 2.83% | 1.15 | -8.7% | 40.6 | -3.6% |
2014 | 2.99% | 1.26 | -6% | 42.1 | 12.9% |
2013 | 3.59% | 1.34 | -8.2% | 37.3 | 7.8% |
2012 | 4.22% | 1.46 | 1.4% | 34.6 | -1.7% |
2011 | 4.09% | 1.44 | 11.6% | 35.2 | 5.4% |
2010 | 3.86% | 1.29 | 13.2% | 33.4 | 12.8% |
2009 | 3.85% | 1.14 | 107.3% | 29.6 | -26.7% |
2008 | 1.36% | 0.55 | – | 40.4 | – |
ポートフォリオ
次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、セクター別比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。