GISとKHCを比較:ゼネラルミルズとクラフトハインツの違いとは
GISとKHCを違いを踏まえて比較します。(2026年5月更新)
ゼネラル・ミルズ(General Mills, Inc.)とクラフト・ハインツ(The Kraft Heinz Company)は、どちらも米国を代表する大手食品メーカーです。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(VDC:Vanguard Consumer Staples ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などは2026年5月時点のデータで更新。株価やバリュエーションは日々変動するため、投資判断では最新値を再確認してください。
株価や決算などについては以下の関連記事を参照
決算(予想:結果)
★ゼネラルミルズ(GIS)今後の見通し
★クラフトハインツ(KHC)今後の見通し
【食品大手対決】ゼネラル・ミルズ(GIS) vs クラフト・ハインツ(KHC)!安定のGISか、再建中のKHCか?
生活必需品セクターの代表格として、多くの配当投資家のポートフォリオに組み入れられてきた食品大手のゼネラル・ミルズ(GIS)とクラフト・ハインツ(KHC)。しかし、この2社の株主還元に対する姿勢と経営の安定性は、近年大きく異なっています。
本記事では、1世紀以上にわたり配当を支払い続ける「安定経営」のGISと、大規模な合併後の経営改革のなかで「減配」とブランド再建を経験したKHCの、業績、配当、そして将来性を比較・分析します。
最重要ポイント:KHCは「減配後の再建」に加え、分割計画が一時停止中
2015年に誕生したクラフト・ハインツは、過度なコスト削減でブランド投資が遅れ、業績悪化に伴い2019年に配当を約36%カットしました。[1] その後はブランド再投資・構造改革を進め、2025年9月には2026年後半に2社へ分割する計画を発表しました。[2] ただし、2026年Q1決算資料では「分割関連作業の一時停止」に言及しており、現時点では「分割予定を前提にした再評価」よりも、まず本業の成長回復を確認する局面に変わっています。[3]
比較サマリー:安定性のGIS、再建色が強いKHC
| 項目 | ゼネラル・ミルズ (GIS) |
クラフト・ハインツ (KHC) |
|---|---|---|
| 主力ブランド | チェリオス、ベティクロッカー、ネイチャーバレー、ハーゲンダッツ、ペットフード「ブルーバッファロー」ほか。[4] | ハインツ、クラフト、フィラデルフィア、オスカー・マイヤー、マックスウェルハウス、ランチャブルズ等。 |
| 近年の戦略 | ペットフード、冷凍食品、スナックなどの重点分野に投資。2026年度は短期利益をある程度犠牲にして、消費者の「値ごろ感」重視に対応。 | ブランド再投資、マーケティング・研究開発強化、米国事業の立て直し。分割計画は発表済みだが、2026年Q1時点では関連作業を一時停止。 |
| 配当の歴史 | 127年連続で無中断[5] | 2019年に大幅減配[1] |
| 直近の四半期配当 | 0.61ドル/株 2026年5月1日支払い分[6] |
0.40ドル/株 2026年6月26日支払い予定分[7] |
| 配当利回り(目安) | 約7.0% 2026年5月8日終値34.68ドル、年率2.44ドル換算[8] |
約6.7% 2026年5月8日終値23.96ドル、年率1.60ドル換算[9] |
| PER(目安) | 実績PERは約8.5倍 2026年5月8日時点[8] |
GAAP実績PERは赤字影響で参考にしにくい。2026年会社見通しの調整EPS1.98〜2.10ドルを使うと、フォワードPERは約11〜12倍。 |
業績と成長性の詳細分析
ゼネラル・ミルズはFY2025(2025年5月期)に売上190億ドルとなり、FY2024の201億ドルから減少しました。さらにFY2026第3四半期(2026年2月22日終了)も売上44億ドル、前年比8%減と苦戦が続いています。[10][11]
クラフト・ハインツはFY2025(2025年12月期)に売上249億ドル、前年比3.5%減となりました。2026年Q1は売上60.47億ドルで前年比0.8%増といったん改善しましたが、オーガニック売上は0.4%減で、まだ本格回復とまでは言い切れません。[12][3]
| 年・期 | GIS 売上高 (前年比) |
KHC 売上高 (前年比) |
|---|---|---|
| 直近四半期 | FY2026 Q3:44.37億ドル -8%[11] |
2026年Q1:60.47億ドル +0.8%[3] |
| 2025 | 190億ドル -5%台[10] |
249億ドル -3.5%[12] |
| 2024 | 201.0億ドル -0.9%[13] |
258.5億ドル -3.0%[14] |
| 2023 | 202.8億ドル +5.8%[13] |
266.4億ドル +0.6%[14] |
| 2022 | 191.7億ドル +5.2% |
260.3億ドル +2.4% |
| 2021 | 182.2億ドル +3.0% |
260.3億ドル +4.8% |
| 2020 | 176.9億ドル | 248.4億ドル |
※B=10億ドル。GISは5月期、KHCは12月期。2026年行は直近四半期データで、通期ではありません。
GISの現況:127年無中断配当は強みだが、業績は下向き
ゼネラル・ミルズの最大の魅力は、長期にわたる配当支払い実績です。同社とその前身企業は127年にわたって配当を途切れさせていません。[5] ただし、足元の業績は強いとは言えません。
- FY2026 Q3:売上は44.37億ドルで前年比8%減、オーガニック売上は3%減でした。調整後希薄化EPSは0.64ドルで、恒常為替ベースで37%減でした。[11]
- 9カ月累計:FY2026の9カ月累計売上は138億ドルで前年比7%減、調整後希薄化EPSは2.60ドルで恒常為替ベース25%減でした。[11]
- 事業ポートフォリオ:2026年度の比較には、米国ヨーグルト事業売却、カナダヨーグルト事業売却、Whitebridge Pet Brands買収などの影響が入っています。[11]
- 投資家目線:配当実績は安心材料ですが、売上減と利益率低下が続けば、株価の戻りには時間がかかる可能性があります。
KHCの現況:Q1は持ち直しの兆し。ただし分割計画の不透明感が残る
クラフト・ハインツは、2019年の減配後、配当を四半期0.40ドルで維持してきました。2026年Q1決算では、売上が前年比0.8%増となり、表面的には改善が見られました。一方で、オーガニック売上は0.4%減、調整後営業利益は11.8%減であり、まだ再成長が定着したとは言えません。[3]
- 2026年Q1:売上は60.47億ドルで前年比0.8%増、オーガニック売上は0.4%減でした。[3]
- 収益性:営業利益は11.45億ドルで前年比4.3%減、調整後営業利益は10.58億ドルで前年比11.8%減でした。[3]
- キャッシュフロー:2026年Q1の営業キャッシュフローは10億ドルで前年比39.7%増、フリーキャッシュフローは8億ドルで前年比58.9%増でした。[3]
- 分割計画:2025年9月発表時点では、2026年後半のスピンオフ完了を見込んでいました。[2] ただし2026年Q1資料では「分割関連作業の一時停止」に言及しており、再編シナリオは流動的です。[3]
配当の詳細比較:実績のGIS、据え置き高利回りのKHC
以下の配当履歴は、両社の株主還元に対する姿勢の違いを示します。GISは配当支払い実績が非常に長く、KHCは2019年の減配後、四半期0.40ドルを維持してきました。
| 年 | GIS 年間配当 (増配率) |
KHC 年間配当 (増配率) |
|---|---|---|
| 2026 年率換算 |
2.44ドル 四半期0.61ドル継続ベース |
1.60ドル 四半期0.40ドル継続ベース |
| 2025 | 2.40ドル前後 0.60ドル→0.61ドルへ増配 |
1.60ドル 横ばい |
| 2024 | 2.36ドル +4%台 |
1.60ドル 横ばい |
| 2023 | 2.26ドル +4%台 |
1.60ドル 横ばい |
| 2022 | 2.17ドル +2%台 |
1.60ドル 横ばい |
| 2021 | 2.11ドル +4%台 |
1.60ドル 横ばい |
| 2020 | 2.02ドル +4%台 |
1.60ドル 2019年減配後の水準を継続 |
配当の詳細はこちら:
★ゼネラルミルズ(GIS)の配当推移
★クラフトハインツ(KHC)の配当推移
2026年の見通し:焦点は「高配当の持続性」
2026年5月時点では、GISもKHCも株価が弱含み、高配当利回りになっています。これはインカム投資家には魅力的に見えますが、同時に市場が業績悪化や成長鈍化を織り込んでいることも意味します。
- GIS:配当実績は非常に強い一方、FY2026 Q3の売上・利益は悪化。短期的には、値ごろ感重視の消費者対応、ペットフード事業、ポートフォリオ再編の効果が焦点です。
- KHC:2026年Q1は売上が小幅増に転じましたが、オーガニック売上と調整後営業利益はまだ弱い状態です。分割計画の一時停止により、投資テーマは「分割による価値顕在化」から「本業再建の成否」へやや移っています。
結論:あなたに合うのはどちら?
両社の比較は、インカム投資家として「高い配当利回り」と「減配リスク」をどう考えるか、という点に尽きます。
「配当の実績と事業の分散」を重視するなら → ゼネラル・ミルズ(GIS)
1世紀以上にわたる無中断の配当実績は、同社のキャッシュ創出力と経営の規律を物語ります。ペットフードやスナックなど成長分野への投資も続けており、食品株としての守りの強さはあります。[4][5] ただし、FY2026 Q3の売上・利益は明確に弱く、現在の高配当利回りは「株価下落の結果」でもあります。安定配当を評価しつつも、今後数四半期で売上減と利益率低下が止まるかを確認したい銘柄です。
「高めの利回り」と「本業再建」に賭けるなら → クラフト・ハインツ(KHC)
KHCは2019年の減配によって、配当株としての信頼を一度大きく損ないました。その分、バリュエーションは抑えられ、2026年5月時点の配当利回りは約6%台後半と高水準です。2026年Q1には売上が小幅増となり、フリーキャッシュフローも改善しました。[3] ただし、オーガニック売上はまだ減少しており、分割計画も一時停止中です。KHCを選ぶなら、「配当が維持されるか」だけでなく、「ブランド再投資が数量回復につながるか」を重視して見たいところです。
※本ページの分析は2026年5月9日(日本時間)時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。
【注】(出典リンク)
- KHCの2019年減配 → 一次情報:KHC「2018年Q4・通期決算リリース」/二次情報:Reuters「Kraft Heinz shares fall after writedown, dividend cut」(確認日:2026-05-09) ↩
- KHCの2社分割計画 → 一次情報:KHC「The Kraft Heinz Company Announces Plan to Separate into Two Scaled, Focused Companies」/SEC提出資料「Exhibit 99.1」(確認日:2026-05-09) ↩
- KHC 2026年Q1決算・分割関連作業の一時停止 → 一次情報:KHC「Kraft Heinz Reports First Quarter 2026 Results; Maintains 2026 Full Year Outlook」/二次情報:Reuters「Kraft Heinz turnaround efforts show early promise」(確認日:2026-05-09) ↩
- GISの代表ブランド → 一次情報:General Mills「Brands」(確認日:2026-05-09) ↩
- GISの127年無中断配当 → 一次情報:General Mills「Dividends and Stock Splits」(確認日:2026-05-09) ↩
- GISの直近配当 → 一次情報:General Mills「Dividends and Stock Splits」(確認日:2026-05-09) ↩
- KHCの直近配当 → 一次情報:Business Wire / KHC「The Kraft Heinz Company Declares Regular Quarterly Dividend of $0.40 Per Share」(確認日:2026-05-09) ↩
- GIS株価・PER・配当利回り計算 → 一次情報:General Mills「Dividends and Stock Splits」/補助情報:Yahoo Finance「GIS株価」(確認日:2026-05-09) ↩
- KHC株価・配当利回り計算 → 一次情報:Business Wire / KHC「Dividend Release」/補助情報:Yahoo Finance「KHC株価」(確認日:2026-05-09) ↩
- GIS FY2025通期決算 → 一次情報:General Mills「General Mills Reports Fiscal 2025 Fourth-quarter and Full-year Results」(確認日:2026-05-09) ↩
- GIS FY2026 Q3決算 → 一次情報:General Mills「General Mills Reports Fiscal 2026 Third-quarter Results and Reaffirms Full-year Outlook」(確認日:2026-05-09) ↩
- KHC FY2025通期決算 → 一次情報:KHC「Kraft Heinz Reports Fourth Quarter and Full Year 2025 Results」(確認日:2026-05-09) ↩
- GIS FY2024通期決算 → 一次情報:General Mills「General Mills Reports Fiscal 2024 Fourth-quarter and Full-year Results」(確認日:2026-05-09) ↩
- KHC FY2024通期決算 → 一次情報:KHC「Kraft Heinz Reports Fourth Quarter and Full Year 2024 Results」(確認日:2026-05-09) ↩


ミニ解説:両社とも「食品株だから安定」と単純には言いにくい
食品メーカーは生活必需品セクターに分類されますが、2024〜2026年にかけては値上げ疲れ、プライベートブランドとの競争、外食・内食の消費変化、原材料費・物流費の上昇が重なっています。GISもKHCも高配当化していますが、それは株価下落による面も大きいため、「利回りが高い=安全」とは見ないほうがよいでしょう。