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米国雇用統計 非農業部門雇用者数と失業率の推移

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FXのファンダメンタル分析で雇用統計は特に注目される経済指標です。

株式やETFなどを通じて米国市場に投資を行う際にも、その可能性を図る上で、雇用統計の動向は目を離すわけにはいきません。

この記事では、雇用統計の意義を整理し、近年の数字の変動を通して、米国市場の今後について考えてみます。

雇用統計:なぜ最も注目される?

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雇用統計が注目されるのは、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の成果を測る指標になっているからです。

FRBは不況期には金利を下げ、大量のドルを刷り(金融緩和)、緩やかなインフレを生み出すことで、企業の借金負担を減らし、雇用を生みやすい状態をつくります。

インフレ路線となり、1ドル100円から110円になれば(ドル安=米国から見たインフレ)になれば、同じ1万ドルの給料でも実質額が目減りします。

しかし、全ての労働者は必ずしも給料を実質額でカウントしているわけではないので、企業と労働者の間に錯覚が生じ、たいていの企業は必ずしも、給料を1割増しにはしていません。

その結果、インフレになると借金負担だけでなく、人件費負担も軽減されることが多いため、雇用が増やしやすくなるわけです。

FRBは物価を安定させながら、最大の雇用を生むことを使命としているため、金融政策を用いて不況期には雇用の増加を図ります。

そして、昨今のように、「もう景気は良くなった」と判断したら、金利を上げ、金融緩和の規模を減らしていくわけです。

その際には「非農業部門雇用者数」と「失業率」が特に注目されています。

この二つの数字が特に良ければ、FRBはインフレが行き過ぎたと見て利上げを進めるため、ドル高を予測し、外国為替市場からは投資資金が米ドルに流れていきます。

つまり、「非農業部門雇用者数」が多く、「失業率」が低い時は、ドル高傾向になるわけです。

(非農業部門雇用者数は月あたり20万人以上、増加すると米国経済が成長傾向にあるとみられることが多いようです)

雇用統計の発表日と測定法

2018年の雇用統計は以下の日時に発表されます(日本時間表記)。

  • 4月6日(金)21時30分
  • 5月4日(金)21時30分
  • 6月1日(金)21時30分
  • 7月6日(金)21時30分
  • 8月3日(金)21時30分
  • 9月7日(金)21時30分
  • 10月5日(金)21時30分
  • 11月2日(金)21時30分
  • 12月7日(金)21時30分

政府は、雇用、労働時間、賃金に関して、非農業部門の民間企業からデータを毎月集めています。

その際には、労働統計局によって準備された全米調査表が使われます。

調査対象となる雇用は非農業部門の約4割程度とも言われますが、その情報が「 雇用統計 (CES)」の調査データになります。

このデータが非農業部門雇用失業率、週当たり平均労働時間、時間当たり平均賃金を推定する時に活用されるわけです。

FXでは、雇用統計で為替が激しく変動するので、アラートが流れます。

サプライズがあれば一層、急騰・急落の局面になるので、不慣れな方は取引を控えたほうがよくなります。

一般的に、米国の雇用が改善されれば、ドルを買う人が増え、ドル高(日本にとっては円安)圧力がかかります。

非農業部門雇用者数の推移

特に前月比での増減が注目されているのが労働統計局(BLS)から発表される非農業部門雇用者数です。

農業を除いた産業での雇用者数ですが、その数は事業所の給与支払い帳簿をもとに数えられています。

これはFRBの利上げ等の判断材料にもなっている重要指標です。

2018年の数値は以下の通りでした。

  • 18年1月:20万人(予想:18万人)※2/2:22:30発表
  • 18年2月:31.3万人(予想:20.5万人)※3/9:22:30発表
  • 18年3月:10.3万人(予想:18.5万人)※4/6:21:30発表
2017 2016 2015
1月 22.7 15.1 25.7
2月 23.5 24.2 29.5
3月 9.8 21.5 12.6
4月 21.1 16 22.3
5月 3.8 3.8 28
6月 22.2 28.7 22.3
7月 20.9 25.5 21.5
8月 15.6 15.1 17.3
9月 -3.3 15.6 14.2
10月 26.1 16.1 27.1
11月 22.8 17.8 21.1
12月 14.8 15.6 29.2

 

2014 2013 2012
1月 11.3 15.7 24.3
2月 17.5 23.6 22.7
3月 19.2 8.8 12
4月 28.8 16.5 11.5
5月 21.7 17.5 6.9
6月 28.8 19.5 8
7月 20.9 16.2 16.3
8月 14.2 16.9 9.6
9月 24.8 14.8 11.4
10月 21.4 20.4 17.1
11月 32.1 20.3 14.6
12月 25.2 7.4 15.5

失業率の推移

失業者数を確定させ、その数を生産年齢人口で割った値です。

雇用は景気後退期が終わってからでないと回復しないため、景気回復の遅行指標となります。

【例】(今はもっとよい数字です)

  • 失業者数: 1200万人
  • 失業率:8%
  • 生産年齢人口: 1億5000万人

生産年齢人口というのは、どのような施設にも収監されず、軍務(労働力人口の2%以下)にも就いていない16歳以上の全人口のことです。

2018年は以下の数値となりました。

  • 18年1月:4.1%(予想:4.1%)※2/2:22:30発表
  • 18年2月:4.1%(予想:4%)※3/9:22:30発表
  • 18年3月:4.1%(予想:4%)※4/6:21:30発表

4.1%がどれぐらい低いのかということは、過去の推移を見ればわかります。

失業率

17年から06年までの推移を見てみると、18年の失業率はサブプライムショックの頃よりも低いことが分かります。

2017 2016 2015 2014
1月 4.8 4.9 5.7 6.6
2月 4.7 4.9 5.5 6.7
3月 4.5 5 5.5 6.7
4月 4.4 5 5.4 6.3
5月 4.3 4.7 5.5 6.3
6月 4.3 4.9 5.3 6.1
7月 4.3 4.9 5.2 6.2
8月 4.4 4.9 5.1 6.2
9月 4.2 5 5 5.9
10月 4.1 4.9 5 5.7
11月 4.1 4.6 5 5.8
12月 4.1 4.7 5 5.6

 

2013 2012 2011 2010
1月 8 8.3 9.1 9.8
2月 7.7 8.3 9 9.8
3月 7.5 8.2 9 9.9
4月 7.6 8.2 9.1 9.9
5月 7.5 8.2 9 9.6
6月 7.5 8.2 9.1 9.4
7月 7.3 8.2 9 9.4
8月 7.2 8.1 9 9.5
9月 7.2 7.8 9 9.5
10月 7.2 7.8 8.8 9.4
11月 6.9 7.7 8.6 9.8
12月 6.7 7.9 8.5 9.3

 

2009 2008 2007 2006
1月 7.8 5 4.6 4.7
2月 8.3 4.9 4.5 4.8
3月 8.7 5.1 4.4 4.7
4月 9 5 4.5 4.7
5月 9.4 5.4 4.4 4.6
6月 9.5 5.6 4.6 4.6
7月 9.5 5.8 4.7 4.7
8月 9.6 6.1 4.6 4.7
9月 9.8 6.1 4.7 4.5
10月 10 6.5 4.7 4.4
11月 9.9 6.8 4.7 4.5
12月 9.9 7.3 5 4.4

失業率調査のためには、以下のような質問票が用いられます。

【質問票】

  • 1:あなたの家計では自営業または農業を営んでいますか。
  • 2:先週の仕事:何か仕事をして利益もしくは給与を得ましたか。
  • 質問1の答えが「はい」。質問2の答えが「いいえ」の場合、質問3に進む。
  • 3:先週の仕事:報酬を受け取らずに自営業もしくは農業の仕事をしましたか。質問の2 と3 の答えがいすれも「いいえ」の場合、質問4 に進む。
  • 4:先週の仕事:(副業について)フルタイムもしくはパートタイムの仕事を何か持っていますか。一時休業の仕事も含めて答えてください。
  • 質閤4 の答えが「いいえ」の場合、質問5に進む
  • 5:先週の仕事:一時解雇(もしくは一時帰休、自宅待機)をされましたか
  • 質問5の答えが「はい」場の合は質問6へ。「いいえ」ならば質問8へ進む。
  • 6:あなたの雇用主は職場への復帰日時を示しましたか。
  • 質問6の答えが「いいえ」ならば質問7へ進む。
  • 7:この先、半年以内に職場復帰が通知されると連絡されましたか。
  • 質問7の答えが「いいえ」ならば質問8へ進む。
  • 8:この4週間に仕事を見つけるための活動を何か行いましたか。
  • 質問8の答えが「はい」ならば質問9へ進む。
  • 9:この4週間に、あなたが仕事を見つけるためにしたのは何ですか。
  • 質問2と3に「はい」と答えた人(該当する週に15時間以上働いたか、あるいは、自営業からの利益を得た人)は被雇用者に分類される。
  • 質問4に「はい」と答えた人も、被雇用者とされる。
  • 就業可能者で質閻5に「はい」と答え、質問6と質問7のどちらかに「はい」と答えた人、または質問8に「はい」と答えて質問9の雇用主に接触可能な職探しの方法を答えた人は失業者に分類される

これを見ると、働く能力を持っていても、雇用把握の対象から外れる人たちがいることが分かります。

働く意欲を持ち、求人に応じられても1年間に職探しを中断した人や、適当な仕事はないと見て職探しを放棄した人は「求職意思喪失者」や「就業意欲喪失者」とされます。

調査週に自営業、独立した専門職、家族経営の会社などで何らかの仕事をしていれば支払いを受けている被雇用者に分類されます(この調査ては、パートとフルタイムの正規従業員との区別はない)

17年頃から「米国は完全雇用にある」とも言われながらも、トランプ政権発足後、雇用増が続きました。

この雇用調査の仕方を見る限りでは、もともと、統計からカウントされていない方々がいたことが示唆されます。

※調査の流れは以下の通り。

  • 調査開始から3週後の金曜日に調査票の回収率が約6割の段階で第1次推計値を発表
  • その1カ月後、回収率が8割の段階で第2次推計値を発表
  • そして、3カ月内に回収率が9割になった時に最終推計の結果を発表

雇用統計をもっと理解するために

最後に、雇用統計に関連する用語を整理してみます。

不完全雇用ってどういうこと

雇用を見る際には、フルタイムの求人が足りず、 パートタイムで働いている状態を示す「不完全雇用」も大事です。

米国企業がリストラする時には、フルタイム労働者からパートタイム労働者への切替が行われ、パートタイム労働者の数が増えます。

いきなり従業員のクビを切りたくはないし、景気回復時にゼロから雇用すると再教育のコストがかかるからです。

08~09年では、まず、不完全雇用が増え、その後、失業率が上がりました。

米国の場合は、 短時間労働者が増えた後に解雇が始まり、 失業率が増えるので、不完全雇用は景気悪化を予測する先行指標となります。

ただ、米国企業は、必ずしも、景気回復時に、まずパートタイム労働者を雇用してからフルタイム労働者を雇うという順序を経ないので、景気の回復については、この指標はあまり役に立ちません。

米国企業は、一気にフルタイムの求人を出すことが多いので、不完全雇用よりも残業時間の増加などが景気回復時の先行指標になります。

単位労働コスト

これは企業が一定量のものをつくるのに必要な労働コストです(ユニットレイバーコスト)。

ある製品を一単位つくるのに人件費がいくらかかったかを計ります。

つまり、生産性を反映する指標です。

ただ、生産性の変化は四半期のような短期間で判断するのは困難なので、数年単位で見て判断します。

これは景気の先行指標なので、不景気の時に単位労働コストが上昇することは、賃金がよくなってきたことを意味し、それは商品やサービ スの需要増を意味します。

また、不景気のときに単位労働コストが下がると、デフレやさらなる景気悪化の前兆であると考えられます 。

失業保険新規給付申請

米国労働省の雇用訓練局 (ETA)が出す経済指標で、季節調整後と調整前のデータが毎週公表されています。

週次の数値は大きく変動するので、4週間移動平均でデータの波をならしているのです。

週次の新規失業保険給付申請は「新規失業申請」や「新規失業保険給付申請」と呼ばれます。

このデータは各州の新規失業者の労働力人口に占める比率を表しています。

企業は労務費を変動費と見なすので、生産水準に応じて従業員の数も変わります。

そのため、失業保険新規給付申請には、経済の拡大期に減少し、不況が現実化する数力月前に増加傾向になります。

この統計は経済活動の頂点や景気の谷の終わり(景気回復)を予測する際に用いられています。

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