LRCX(ラムリサーチ)配当・業績:3D半導体を支えるエッチングの巨人

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【2026年最新版】LRCX(ラムリサーチ)配当・業績:3D半導体を支えるエッチングの巨人


【2026年最新版】Lam Research (LRCX) 徹底分析:3D半導体を支えるエッチングの巨人、その成長性と配当力

はじめに
Lam Research(ラムリサーチ)は、半導体製造装置業界の巨人であり、特に「エッチング」と「成膜」という工程で世界トップクラスのシェアを誇ります。これらの技術は、半導体チップ上に微細な回路を形成するための「彫刻」と「コーティング」に相当し、チップの性能を決定づける極めて重要な役割を担っています。
本記事では、Lam Researchが半導体の3D化という大きな技術トレンドの波に乗り、いかにして「高成長」を遂げ、同時に「加速する配当」で株主に報いてきたのかを分析します。半導体セクターの中でも、特にメモリ市場と密接な関係を持つ同社の投資価値とリスクを、財務データから解き明かします。

最重要ポイント:なぜLam Researchは半導体の3D化とAIに不可欠なのか?

Lam Researchの強さを理解する鍵は、3D NANDフラッシュメモリ最先端ロジック半導体(特にAIチップ)の進化にあります。半導体は、より多くのデータを記憶し、より速く処理するために、回路を平面的に広げるだけでなく、高層ビルのように縦方向に積み上げる「3D化」が進んでいます。

  • エッチング:回路の溝を深く、垂直に、そして正確に「彫る」技術。
  • 成膜(デポジション):彫った溝に絶縁膜や金属膜を均一に「盛る」技術。

チップの積層数が増え、AIチップのように構造が複雑になるほど、この「彫る」「盛る」という工程の難易度と回数が爆発的に増加するため、Lam Researchの高度な装置への需要が構造的に拡大しているのです。

【免責事項および出典について】

  • 本記事の財務データは、主にLam Research Corp.がSEC(米国証券取引委員会)に提出した公式報告書(Form 10-K)、四半期決算発表、信頼性の高い金融データ提供サイト等の情報を基に作成されています。詳細な出典は記事末尾に記載しています。
  • 会計年度は6月締めです(例:FY2025は2024年7月~2025年6月)。各種指標は筆者が算出したものです。
  • 本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。投資の最終決定は、ご自身の判断と責任においてお願いします。

1. 業績分析:半導体サイクルを乗りこなす成長力

Lam Researchの業績は、特にメモリ市場の設備投資サイクルに強く影響されますが、長期的な技術革新を背景に力強い成長を遂げてきました。FY2025は過去最高の売上高を記録し、AI需要の拡大を背景に堅調な成長軌道にあります。[2]

1.1. 売上・利益・キャッシュフローの推移

会計年度 売上高(百万$) 営業CF(百万$) 純利益(百万$) EPS ($)(分割調整後)
2016 5,886 1,350 914 0.52
2017 8,014 2,029 1,698 0.96
2018 11,077 2,656 2,381 1.33
2019 9,654 3,176 2,191 1.26
2020 10,045 2,126 2,252 1.46
2021 14,626 3,588 3,908 2.54
2022 17,227 3,100 4,605 3.20
2023 17,429 5,179 4,511 3.22
2024 14,905 4,571 3,828 2.89
2025 18,436 6,170 5,358 4.15
CAGR (年平均成長率)
過去10年(FY16-25) 12.1% 16.4% 19.4% 23.1%
過去5年(FY21-25) 5.9% 14.5% 8.2% 13.1%

出典: Lam Research SEC 10-K Filings等より筆者作成。EPSは分割調整後。CAGRは筆者算出。

  • FY2025は過去最高業績:売上高184億ドル(前年比24%増)、純利益54億ドル(同40%増)を達成。[2] AI向け半導体需要の拡大とメモリ市場の回復が追い風となりました。
  • 力強い長期成長:過去10年間で売上高は年率12.1%で成長。特にEPSは自社株買いの効果も大きく、年率23.1%という驚異的な成長率を達成しています。
  • 営業キャッシュフローの急拡大:FY2025の営業CFは62億ドルに達し、過去最高水準。高い収益性が潤沢な現金創出につながっています。

1.2. 直近の四半期業績(FY2026進捗)

FY2026も好調なスタートを切っています。2025年12月四半期(Q2)は売上高53.4億ドルで過去最高を記録し、10四半期連続の増収を達成しました。[3]

四半期 売上高(百万$) 粗利益率 EPS ($)(希薄化後)
FY26 Q1 (2025年9月) 5,324 50.4% 1.24
FY26 Q2 (2025年12月) 5,345 49.3% 1.27

出典: Lam Research四半期決算発表より。[3][4]

2. 株主還元:成長と共に加速する配当

Lam Researchは2014年に配当を開始して以来、株主還元を着実に強化してきました。

2.1. 配当実績

連続増配年数
11年
5年平均配当成長率
約15%
配当性向 (FY2025)
約21%
年間配当 (現在)
$1.04
  • 11年連続の増配:配当開始以来、一度も減配することなく増配を続けています。[5]
  • 高い配当成長率:直近5年間の平均増配率は約15%と非常に高く、株主のインカムを力強く成長させています。
  • 健全な配当性向:配当性向は約21%と低く抑えられており、将来の増配余力と事業の安定性を示唆しています。
  • 積極的な株主還元方針:FY2025では配当11.5億ドル、自社株買い34億ドル、合計約46億ドルを株主に還元しました。[2]

2.2. フリーキャッシュフローで見る配当の安全性

会計年度 フリーCF(百万$) 年間配当支払額(百万$) FCF配当カバー率
2021 2,954 813 3.6倍
2022 2,110 938 2.3倍
2023 4,679 1,010 4.6倍
2024 4,256 1,038 4.1倍
2025 5,414 1,150 4.7倍

出典: Lam Research SEC Filings等。カバー率は筆者算出。[2]

  • 非常に高いカバー率:フリーキャッシュフローは常に配当支払額の2倍以上、近年では4倍を超える高い水準にあり、配当の安全性は極めて高いレベルです。
  • FY2025のFCF:54億ドルと過去最高水準を達成。配当と自社株買いを合わせた還元額(約46億ドル)を十分にカバーしています。

3. 財務分析:積極的な株主還元と財務レバレッジ

Lam Researchは、株主価値の最大化を目指し、財務レバレッジを積極的に活用する資本政策を採っています。

会計年度 総資産(百万$) 株主資本(百万$) 自己資本比率 ROE (%)(自己資本利益率)
2021 15,892 6,027 37.9% 64.8%
2022 17,196 6,278 36.5% 73.3%
2023 18,782 8,210 43.7% 54.9%
2024 19,161 8,619 45.0% 44.4%
2025 21,502 9,860 45.9% 54.4%

出典: Lam Research SEC Filings等。比率・ROEは筆者算出。[2]

  • 改善する自己資本比率:自己資本比率は45%台に上昇し、財務の安定性が向上しています。FY2025末の現金残高は64億ドルで、実質的にはネットキャッシュ(純現金)のポジションにあります。
  • 高い資本効率 (ROE):ROEは54%と非常に高い水準を記録。これは、高い利益率と効率的な資本配分の結果であり、株主資本を効率的に利益に転換している証です。
  • 粗利益率の改善:FY2025の粗利益率は48.7%(FY2024: 47.3%)に改善。工場効率の向上と好ましい製品ミックスが寄与しています。[2]

4. 投資判断のヒント:Lam Researchの強みとリスク

Lam Researchへの投資を検討する上で、その強力な競争優位性と、業界特有のリスクの両面を理解することが不可欠です。

Lam Researchの強み (事業の優位性)

  • エッチング市場でのリーダーシップ:半導体製造の最重要工程の一つであるエッチングで世界トップクラスのシェアを誇ります。
  • 構造的な追い風:3D NANDメモリや次世代ロジック半導体、AIチップの製造に不可欠な技術を提供しており、半導体技術の進化がそのまま需要増につながります。
  • 市場シェアの拡大:SAM(対応可能市場)シェアは30%台半ばに拡大し、中期目標の30%台後半に向けて前進中です。[4]
  • 高い収益性とキャッシュ創出力:技術的優位性を背景に高い利益率を確保し、潤沢なフリーキャッシュフローを生み出しています。
  • 強力な顧客サポート事業:CSBG(顧客サポート事業)収益はFY2025に72億ドルの過去最高を記録。10万チャンバーを超える設置ベースが安定した収益源となっています。[4]

注意すべきリスク要因

  1. メモリ市場への高い依存度:売上の中でも特にメモリ(特にNAND)市場への依存度が高く、同市場の市況(シリコンサイクル)から極めて大きな影響を受けます。
  2. 景気循環性:半導体業界全体の設備投資の波に業績が大きく左右されるため、株価の変動性(ボラティリティ)が高くなる傾向があります。
  3. 地政学リスク:FY2025の売上高の34%を中国が占めており、[2] 米国の対中輸出規制は同社の中国向けビジネスに直接的な影響を与えます。今後の規制強化は大きなリスク要因です。
  4. 激しい技術競争:Applied Materialsや東京エレクトロンといった競合との間で、常に熾烈な技術開発競争に晒されています。
  5. クリーンルーム容量の制約:短期的にはファブの製造能力制約がWFE(ウェハ製造装置)需要の上限となる可能性があります。[4]

5. まとめ

本記事では、Lam Researchの財務データを多角的に分析しました。最後に、投資判断のためのポイントを整理します。

Lam Researchは、半導体の3D化とAI化という不可逆的なトレンドを捉え、FY2025に過去最高業績を達成した半導体装置セクターの中核企業です。売上高は184億ドル(前年比24%増)、純利益は54億ドル(同40%増)を記録し、その技術的リーダーシップは強固な収益基盤を形成しています。

11年連続増配と、FCFの75~100%を株主還元に充てる積極的な資本政策は、長期投資家にとって魅力的です。配当性向は21%と低く、増配余力は十分にあります。

投資家は、この力強い成長ポテンシャルと、特にメモリ市場のサイクルに連動する業績の変動性、および中国向け売上への地政学的リスクを天秤にかける必要があります。

最終的な投資判断は、Lam Researchの技術的優位性と、半導体業界特有のボラティリティをご自身の投資戦略と照らし合わせて評価することが重要です。

【注】(出典リンク)

  1. 株式分割発表 → Lam Research Newsroom(2024年5月21日)(確認日:2026-02-05)
  2. FY2025 10-K年次報告書 → Lam Research Investor Relations – Annual Reports(確認日:2026-02-05)
  3. FY2026 Q1決算 → Lam Research Newsroom(2025年10月22日)(確認日:2026-02-05)
  4. FY2026 Q2決算・アーニングスコール → TipRanks – Lam Research Earnings CallLam Research IR – Quarterly Results(確認日:2026-02-05)
  5. 配当履歴 → Koyfin – LRCX Dividends(確認日:2026-02-05)


Posted by 南 一矢