NVDA (エヌビディア)の業績・財務情報

AI(人工知能),ダウ30銘柄,半導体,情報技術,業績

【2026年5月版】NVIDIA (NVDA) 徹底分析:AI革命の中核企業、BlackwellとVera Rubinでどこまで成長するか

はじめに
NVIDIA(エヌビディア)は、アクセラレイテッド・コンピューティングの中心企業であり、生成AI、推論AI、エージェントAI、AIデータセンター、ロボティクス、自動運転、プロフェッショナルビジュアライゼーションを支える半導体・システム・ソフトウェア企業です。かつてはゲーミングGPUの会社という印象が強かった同社ですが、現在の業績の主役は、AIデータセンター向けのGPU、CPU、ネットワーキング、ラックスケールシステム、CUDAを含むソフトウェアスタックです。

本記事では、NVIDIAのFY2009からFY2026までの長期財務データを確認しながら、なぜ同社がAI革命の中核企業となったのかを整理します。年次データはFY2026(2026年1月25日終了年度)まで、最新四半期はFY2027 Q1(2026年4月26日終了四半期)まで反映しています。FY2027 Q1決算では、売上高816.15億ドル、GAAP純利益583.21億ドル、GAAP希薄化後EPS2.39ドルを記録しました。[1][2][3]

最重要ポイント:NVIDIAは「GPU企業」から「AIファクトリーの基盤企業」へ

NVIDIAの強みは、単にGPUを売っていることではありません。GPU、CPU、NVLink、InfiniBand、Ethernet、DPU、ラックスケールシステム、CUDA、AI Enterprise、Omniverse、各種AIモデルとライブラリを組み合わせ、AIデータセンター全体を設計できる点にあります。

  • Blackwell:FY2025に発表され、FY2026からFY2027にかけて本格拡大しているAIデータセンター向けアーキテクチャです。
  • Blackwell Ultra:FY2026に立ち上がった強化版で、推論、エージェントAI、物理AI向けの性能・効率改善が焦点です。
  • Vera Rubin:FY2027 Q1時点で発表済みの次世代プラットフォームで、エージェントAI向けのVera CPU、次世代GPU、BlueField-4 STXなどを含むロードマップ上の重要製品です。
  • CUDAエコシステム:GPUを使う開発者、研究者、企業にとっての標準的な開発基盤であり、NVIDIAの堀になっています。

AI需要は、学習だけでなく推論、エージェントAI、企業AI、ロボティクス、科学計算、デジタルツインへ広がっています。NVIDIAの投資判断では、単年度のGPU販売だけでなく、このフルスタック・プラットフォームがどこまで持続的な需要を生むかを見る必要があります。[1][3]

【免責事項および出典について】

  • 本記事の財務データは、主にNVIDIA CorporationのForm 10-K、四半期決算発表、公式IR資料、SEC提出資料に基づいて作成しています。[1][2][3]
  • NVIDIAの会計年度は、通常、1月最終日曜日に終了します。FY2026は2025年1月27日から2026年1月25日までの期間です。FY2027は53週年度で、第4四半期が14週間になります。[1]
  • 記事内のCAGR、利益率、自己資本比率、D/Eレシオ、FCFなどは、公式数値をもとに筆者が算出した概算を含みます。
  • 2024年6月に10対1株式分割が実施されたため、1株当たり指標は分割調整後ベースで表記しています。長期比較では、過年度EPSの扱いに注意が必要です。
  • 本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

【2026年5月更新】
FY2026 Form 10-K、FY2026 Q4決算、FY2027 Q1決算を反映しました。FY2026通期は、売上高2,159.38億ドル、GAAP営業利益1,303.87億ドル、GAAP純利益1,200.67億ドル、GAAP希薄化後EPS4.90ドルでした。FY2027 Q1は、売上高816.15億ドル、GAAP営業利益535.36億ドル、GAAP純利益583.21億ドル、GAAP EPS2.39ドルでした。会社はFY2027 Q2について、売上高910億ドル±2%、GAAP粗利益率74.9%±0.5ptを見込んでいます。[2][3]

1. NVIDIAの長期的な業績:AIブームによる爆発的成長

NVIDIAの業績は、FY2024以降、データセンター向けAIプラットフォームの需要拡大によって大きく変化しました。FY2023までは、ゲーミング、データセンター、プロフェッショナル向けGPU、自動車向けがバランスよく存在していましたが、現在はデータセンターが圧倒的な主役です。

FY2026通期の売上高は2,159.38億ドルで、FY2025の1,304.97億ドルから+65%でした。GAAP純利益は1,200.67億ドル、GAAP希薄化後EPSは4.90ドルです。さらにFY2027 Q1には売上高816.15億ドルまで伸びており、AIデータセンター投資が同社の損益構造を根本的に押し上げていることがわかります。[2][3]

1.1. 売上、利益、キャッシュフローの推移

会計年度 売上高
百万$
営業CF
百万$
営業利益
百万$
純利益
百万$
EPS
希薄化後$
FY2009 3,425 351 -77 -30 -0.05
FY2010 3,312 316 60 -68 -0.12
FY2011 3,543 676 348 253 0.43
FY2012 3,998 909 682 581 0.94
FY2013 4,280 824 779 563 0.90
FY2014 4,130 835 624 440 0.74
FY2015 4,682 906 878 631 1.06
FY2016 5,010 1,175 758 614 1.08
FY2017 6,910 1,672 1,947 1,666 2.57
FY2018 9,714 3,502 3,036 3,047 4.82
FY2019 11,716 3,743 3,804 4,141 6.63
FY2020 10,918 4,761 2,846 2,796 4.52
FY2021 16,675 5,821 4,719 4,332 6.90
FY2022 26,914 8,984 10,041 9,752 3.85
FY2023 26,974 5,602 4,224 4,368 1.74
FY2024 60,922 28,090 32,972 29,760 1.19
FY2025 130,497 64,089 81,453 72,880 2.94
FY2026 215,938 102,718 130,387 120,067 4.90
CAGR(年平均成長率)
過去17年
FY2009→FY2026
約27.6% 約40.4%
過去5年
FY2021→FY2026
約67.0% 約77.6% 約94.0% 約94.0% 分割影響あり

注)FY2024以降のEPSは2024年6月の10対1株式分割後ベース。営業CFの過年度値は年次報告に基づく整理。CAGRは筆者算出。[1][5]

  • FY2026は過去最高:FY2026通期の売上高は2,159.38億ドル、GAAP純利益は1,200.67億ドルでした。売上総利益率は71.1%で、H20関連費用を含みながらも高水準です。[2]
  • 営業CFも急拡大:FY2026の営業CFは1,027.18億ドルでした。FY2025の640.89億ドルから大きく増加し、AI需要が会計上の利益だけでなく現金創出にも結びついています。[1]
  • FY2027 Q1も高成長が継続:FY2027 Q1の売上高は816.15億ドルで、前四半期比+20%、前年同期比+85%でした。GAAP純利益は583.21億ドル、GAAP希薄化後EPSは2.39ドルです。[3]
  • EPS比較には注意:FY2024以降のEPSは分割調整後であり、長期表のEPSを単純に横比較すると誤解が生じやすくなります。成長の実態を見るには、売上高、営業利益、純利益、営業CFを合わせて確認するほうが実務的です。

1.2. FY2026〜FY2027 Q1 四半期業績推移

FY2026は、Q1にH20輸出規制関連の費用が発生した一方、Q2以降はBlackwellの立ち上がりが進み、Q4では売上高681.27億ドルまで拡大しました。FY2027 Q1にはさらに816.15億ドルまで伸び、会社はFY2027 Q2について売上高910億ドル±2%を見込んでいます。

四半期 売上高
百万$
前年同期比 粗利益率
GAAP
営業利益
百万$
純利益
百万$
EPS
希薄化後$
Q1 FY2026 44,062 +69% 60.5% 21,638 18,775 0.76
Q2 FY2026 46,743 +56% 72.4% 28,440 26,422 1.08
Q3 FY2026 57,006 +62% 73.4% 36,010 31,910 1.30
Q4 FY2026 68,127 +73% 75.0% 44,299 42,960 1.76
Q1 FY2027 81,615 +85% 74.9% 53,536 58,321 2.39
Q2 FY2027
会社見通し
91,000±2% 74.9%±0.5pt

注)Q1 FY2026の粗利益率はH20関連費用の影響を受けています。Q2 FY2027見通しは2026年5月20日発表時点。[3]

  • Q1 FY2027は過去最高:Q1 FY2027の売上高は816.15億ドルで、前四半期比+20%、前年同期比+85%でした。[3]
  • Data Centerが成長を主導:Q1 FY2027のData Center売上は752億ドルで、前四半期比+21%、前年同期比+92%でした。[3]
  • Q2 FY2027も高成長を示唆:会社はQ2 FY2027の売上高を910億ドル±2%と見込んでいます。ただし、この見通しには中国向けData Center compute売上を想定していないと説明されています。[3]
  • H20規制の影響:2025年4月に米国政府がH20の中国向け輸出にライセンス要件を課し、NVIDIAはFY2026 Q1にH20関連の45億ドル費用を計上しました。2025年8月には一部出荷を可能にするライセンスが付与されたと開示されています。[1]

1.3. 収益性:高マージンを維持しつつ、製品ミックスと規制影響に注意

会計年度・期間 売上総利益率 営業利益率 純利益率 営業CFマージン
FY2020 62.1% 26.1% 25.6% 43.6%
FY2021 62.3% 28.3% 26.0% 34.9%
FY2022 64.9% 37.3% 36.2% 33.4%
FY2023 56.9% 15.7% 16.2% 20.8%
FY2024 72.7% 54.1% 48.9% 46.1%
FY2025 75.0% 62.4% 55.8% 49.1%
FY2026 71.1% 60.4% 55.6% 47.6%
Q4 FY2026
参考
75.0% 65.0% 63.1% 53.1%
Q1 FY2027
参考
74.9% 65.6% 71.5% 61.7%

注)営業利益率、純利益率、営業CFマージンは筆者算出。Q1 FY2027は四半期ベース。Q1 FY2027の純利益率は、株式投資の評価益を含むGAAPその他収益の影響を受けています。[3][4]

  • FY2026の粗利益率は低下:FY2026のGAAP粗利益率は71.1%で、FY2025の75.0%から低下しました。NVIDIAは、Hopper HGXからBlackwellフルスケール・データセンターソリューションへの移行と、H20関連費用が影響したと説明しています。[1]
  • Q1 FY2027は75%近辺を維持:Q1 FY2027のGAAP粗利益率は74.9%、Non-GAAP粗利益率は75.0%でした。Blackwellが売上の大部分を占めるなかでも、高い粗利益率を維持しています。[3][4]
  • Q1 FY2027の純利益は特殊要因を含む:Q1 FY2027のGAAP純利益は583.21億ドルでしたが、株式投資の評価益を含むその他収益が大きく寄与しています。Non-GAAP純利益は455.48億ドルです。[3]
  • 利益率は極めて高い:FY2026のGAAP営業利益率は約60.4%、Q1 FY2027のGAAP営業利益率は約65.6%でした。半導体企業としては非常に高い収益性です。

2. 事業セグメントとプラットフォーム戦略:Data CenterとEdge Computingへ

NVIDIAは会計上、主にCompute & NetworkingとGraphicsの2セグメントで開示しています。一方、投資家向けにはData Center、Gaming、Professional Visualization、Automotiveなどの市場別売上も重視されてきました。FY2027 Q1からは、成長ドライバーをより反映するため、Data CenterとEdge Computingを軸にした新しい報告フレームワークへの移行を示しています。[1][3]

2.1. 主要市場別売上高

会計年度・四半期 Data Center
百万$
Gaming
百万$
Professional
Visualization
百万$
Automotive
百万$
合計売上高
百万$
FY2023 15,005 9,067 1,544 903 26,974
FY2024 47,525 10,449 1,554 1,091 60,922
FY2025 115,252 11,425 1,973 1,694 130,497
FY2026 193,737 16,042 3,354 2,349 215,938
Q4 FY2026 62,314 3,738 1,324 604 68,127

注)市場別売上の合計はOEM等を含む全社売上と完全には一致しない場合があります。FY2027 Q1以降は新しい報告フレームワークへの移行が示されています。[2][3][5]

2.2. FY2027 Q1の新しい報告フレームワーク

区分 Q1 FY2027
売上高
前四半期比 前年同期比 内容
Data Center 752億ドル +21% +92% AIファクトリー、クラウド、企業・産業AI、ソブリンAI、ネットワーキングなど
Data Center Compute
旧分類
604億ドル +18% +77% GPU、CPU、ラックスケールAIシステムなど
Data Center Networking
旧分類
148億ドル +35% +199% InfiniBand、Spectrum-X Ethernet、NVLink関連など
Edge Computing 64億ドル +10% +29% PC、ゲーム機、ワークステーション、AI-RAN、ロボティクス、自動車など

注)Q1 FY2027決算発表およびCFO Commentaryに基づく整理。[3][4]

  • Data Center:FY2026通期のData Center売上は1,937.37億ドル、前年比+68%でした。Q1 FY2027単独では752億ドルとなり、全社売上の大部分を占めています。[2][3]
  • Networkingの重要性:Q1 FY2027のData Center networking売上は148億ドルで、前年同期比+199%でした。AIデータセンターでは、GPUだけでなくネットワーク性能が全体の効率を左右する段階に入っています。[3]
  • Gaming:FY2026通期のGaming売上は160.42億ドル、前年比+41%でした。Blackwell世代のGeForce需要が追い風になりましたが、会社はFY2027において供給制約やPC需要の変動に注意を促しています。[1][4]
  • Professional Visualization:FY2026通期の売上は33.54億ドル、前年比+70%でした。Blackwell需要とDGX Sparkの立ち上がりが寄与しました。[2]
  • Automotive:FY2026通期の売上は23.49億ドル、前年比+39%でした。自動運転プラットフォームの採用拡大が背景です。[1]

3. AIとアクセラレイテッド・コンピューティング戦略:BlackwellからVera Rubinへ

NVIDIAのAI戦略は、単一チップの性能競争ではなく、AIデータセンター全体を最適化する方向に進んでいます。GPUだけでなく、Grace CPU、Vera CPU、NVLink、BlueField、InfiniBand、Spectrum-X、ラックスケールシステム、CUDA、AI Enterprise、各種ライブラリを組み合わせることで、AIファクトリー全体の性能とコストを改善しようとしています。

  • Blackwell:FY2026に本格拡大しました。NVIDIAは、BlackwellがAIおよびアクセラレイテッド・コンピューティングのワークロードで高性能・高効率を発揮すると説明しています。[1]
  • Blackwell Ultra:FY2026に開始され、エージェントAI、推論、物理AI向けに最適化されています。Q1 FY2027時点でもBlackwellアーキテクチャが売上の大部分を占めると説明されています。[3][4]
  • Vera Rubin:FY2027 Q1に、NVIDIAはVera Rubinプラットフォームを発表しました。Vera CPU、BlueField-4 STXなどを含み、エージェントAIファクトリー向けの次世代基盤として位置づけられています。[3]
  • ネットワーキング:AIデータセンターでは、GPUだけでなくノード間通信が性能を左右します。NVIDIAはInfiniBand、Ethernet、NVLink、BlueFieldを組み合わせ、データセンター規模の計算基盤を提供しています。[1][3]
  • CUDAとソフトウェア:CUDA、CUDA-X、AI Enterprise、Omniverse、ドメイン別AIライブラリが、NVIDIAのハードウェアを単なる部品ではなくプラットフォームにしています。[1]

3.1. 主要パートナーシップ・発表

  • Meta:FY2026 Q4発表で、オンプレミス、クラウド、AIインフラにわたる複数年・複数世代の戦略的パートナーシップが示されました。[2]
  • Google Cloud:FY2027 Q1発表では、Vera Rubin搭載A5Xインスタンスや、Google Distributed Cloud上でのGeminiモデル展開に関する協業拡大が示されました。[3]
  • AWS:FY2026 Q4発表では、クラウドインフラ、相互接続、オープンモデル、物理AIに関する協業拡大が示されました。[2]
  • Marvell:FY2027 Q1には、NVIDIA NVLink Fusionを通じたMarvellとの戦略的パートナーシップが示されました。[3]
  • Anthropic:NVIDIAは、Anthropicとの投資・技術パートナーシップを発表しました。[2]
  • CoreWeave:FY2026 Q4発表では、2030年までに5ギガワット超のAIファクトリー構築を加速する協業が示されました。[2]
  • Groq:FY2026にはGroqとの非独占ライセンス契約があり、Form 10-K上でも関連投資が確認できます。[1]

4. 財務の健全性と株主還元

NVIDIAはAI需要の拡大により、売上・利益だけでなく、バランスシートとキャッシュフローも大きく強化されました。FY2026末時点で、現金・現金同等物・市場性証券は625.56億ドル、株主資本は1,572.93億ドルです。FY2027 Q1末時点では、現金・現金同等物・市場性のある債券は503億ドルでした。[1][4]

4.1. 資産・負債・資本の推移

会計年度末 総資産
百万$
総負債
百万$
株主資本
百万$
自己資本比率 D/Eレシオ
FY2021 28,791 11,898 16,893 58.7% 0.70
FY2022 44,187 17,575 26,612 60.2% 0.66
FY2023 41,182 19,081 22,101 53.7% 0.86
FY2024 65,728 22,750 42,978 65.4% 0.53
FY2025 111,601 32,274 79,327 71.1% 0.41
FY2026 206,803 49,510 157,293 76.1% 0.31

注)自己資本比率は株主資本÷総資産。D/Eレシオは総負債÷株主資本で筆者算出。[1][5]

  • 財務は非常に強い:FY2026末の自己資本比率は約76.1%です。負債より株主資本が大きく、成長投資や株主還元を行う余力があります。
  • 流動性:FY2026末の現金・現金同等物・市場性証券は625.56億ドルでした。FY2027 Q1末時点の現金・現金同等物・市場性のある債券は503億ドルです。[1][4]
  • 債務:FY2026末の短期債務は9.99億ドル、長期債務は74.69億ドルでした。総資産や営業CFに比べると、債務負担は重くありません。[1]

4.2. キャッシュフローと研究開発投資

会計年度 営業CF
百万$
設備投資等
百万$
FCF
百万$
R&D
百万$
配当支払額
百万$
自社株買い
百万$
FY2022 8,984 1,139 7,845 5,268 399 0
FY2023 5,602 1,675 3,927 7,339 398 10,039
FY2024 28,090 1,069 27,021 8,675 395 9,533
FY2025 64,089 3,236 60,853 12,914 834 33,706
FY2026 102,718 6,143 96,575 18,497 974 40,086
Q1 FY2027
参考
50,344 1,790 48,554 6,321 含む 約20,000
配当含む

注)FCFは営業CF-「Purchases related to property and equipment and intangible assets」-「Principal payments on property and equipment and intangible assets」で筆者算出。Q1 FY2027の株主還元は、自社株買いと配当を合わせた概算額。[1][3]

  • FCFは約966億ドル:FY2026のFCFは概算で965.75億ドルでした。これは配当支払額9.74億ドルを大きく上回ります。
  • Q1 FY2027のFCFも急拡大:Q1 FY2027の営業CFは503.44億ドル、FCFは485.54億ドルでした。[3]
  • 研究開発も急増:FY2026のR&Dは184.97億ドルで、FY2025の129.14億ドルから大きく増えました。Q1 FY2027のR&Dは63.21億ドルです。AIロードマップとソフトウェア・エコシステム維持のため、研究開発投資は重要です。[1][3]
  • 株主還元:FY2026にNVIDIAは自社株買いと配当で411億ドルを株主へ還元しました。FY2027 Q1には自社株買いと配当で約200億ドルを還元し、2026年5月18日に追加800億ドルの自社株買い枠と、四半期配当の1株0.25ドルへの引き上げを発表しました。[2][3]

5. 市場での強みと競争環境:AI覇権を巡る攻防

NVIDIAはAIアクセラレータ市場で圧倒的な存在感を持ちますが、競争リスクは小さくありません。AMD、Intel、クラウド事業者の内製AIチップ、ASICスタートアップ、ネットワーキング専業企業、各国の輸出規制が、今後の投資判断に影響します。

NVIDIAの強み

  • 性能とエコシステム:GPU単体の性能だけでなく、CUDA、ライブラリ、開発者基盤、ネットワーキング、システム統合まで含めた総合力があります。
  • 年次製品ケイデンス:Blackwell、Blackwell Ultra、Vera Rubinと、製品更新を高速化しています。Form 10-Kでも、データセンター向けソリューションの年次更新ケイデンスに言及されています。[1]
  • AIデータセンター全体の設計力:GPU、CPU、NVLink、DPU、NIC、InfiniBand、Ethernet、ラックシステムを統合し、データセンター規模で性能を最適化できます。
  • 顧客基盤:主要クラウド事業者、AIモデル開発企業、大企業、政府機関、スタートアップまで幅広い顧客を持ちます。[1]

注意すべきリスク要因

  1. 顧客集中:FY2026には、直接顧客2社がそれぞれ売上高の22%、14%を占めました。Compute & Networkingに関連する集中であり、顧客の投資タイミングが業績に影響します。[1]
  2. 対中輸出規制:H20の中国向け輸出規制は、FY2026 Q1に45億ドルの費用計上を招きました。FY2027 Q2見通しにも中国向けData Center compute売上は含まれておらず、中国市場へのアクセスは重要な不確実性です。[1][3]
  3. 製品移行リスク:HopperからBlackwell、Blackwell Ultra、Vera Rubinへ移行する過程で、供給、需要、在庫、顧客認定、ラック導入のタイミングがずれる可能性があります。
  4. 競争と内製化:AMD、Intel、クラウド事業者の内製AIチップ、ASIC開発企業は、性能、TCO、供給量、ソフトウェア互換性でNVIDIAに挑戦しています。
  5. AI投資の持続性:AIデータセンター投資が実際の収益化に結びつくか、顧客側の資本支出が続くかは、今後も重要な確認ポイントです。
  6. 高い株価期待:NVIDIAは高成長・高収益企業として大きな期待を織り込まれやすく、わずかな需要鈍化やガイダンス未達でも株価変動が大きくなる可能性があります。
  7. 戦略投資の拡大:AIエコシステムへの投資や長期コミットメントは競争力を高める一方、投資先の評価変動や資本配分の妥当性も確認が必要です。[4]

6. FY2027 Q2の見通しと今後のポイント

FY2027 Q2ガイダンス(2026年5月20日発表時点)

NVIDIAはFY2027 Q2について、売上高910億ドル±2%、GAAP粗利益率74.9%±0.5pt、Non-GAAP粗利益率75.0%±0.5ptを見込んでいます。この見通しには、中国向けData Center compute売上は含まれていません。[3]

  • Blackwellの供給:需要に対して供給能力がどこまで追いつくかが焦点です。
  • Vera Rubinへの移行:FY2027に発表されたVera Rubin関連製品が、次の成長テーマになります。
  • 中国売上の不確実性:会社はFY2027 Q2見通しに中国向けData Center compute売上を含めていないと説明しています。
  • 粗利益率:FY2027 Q2見通しでもGAAP粗利益率74.9%±0.5ptが示されており、Blackwell量産と製品ミックスの影響が重要です。
  • Data Center networking:Q1 FY2027に前年同期比+199%となったネットワーキング売上が、AIファクトリー拡大の重要な確認ポイントです。
  • 顧客の投資回収:クラウド事業者やAI企業が、AIインフラ投資をどこまで収益化できるかを確認する必要があります。

7. まとめ:AI時代の中核企業だが、期待値も極めて高い

NVIDIAは、AI時代のインフラを支える中核企業です。FY2026通期の売上高は2,159.38億ドル、GAAP純利益は1,200.67億ドル、営業CFは1,027.18億ドルに達しました。FY2027 Q1単独でも売上高816.15億ドル、GAAP純利益583.21億ドルを記録し、FY2027 Q2には売上高910億ドル±2%が見込まれています。[1][2][3]

投資家目線では、NVIDIAは「AIデータセンターの基盤企業」「CUDAによるエコシステム企業」「高収益・高FCF企業」という三つの顔を持ちます。Blackwell、Blackwell Ultra、Vera Rubinが順調に立ち上がれば、成長はなお続く可能性があります。

一方で、顧客集中、対中輸出規制、製品移行、供給制約、競争、AI投資の持続性、高い株価期待は無視できません。投資判断では、売上成長率だけでなく、Data Center売上、Data Center networking売上、粗利益率、FCF、R&D、顧客集中、輸出規制、Blackwell/Vera Rubinの量産進捗をセットで確認することが重要です。

ミニ解説:NVIDIAは依然として成長株としての性格が強い企業です。ただし、FY2027 Q1発表では、追加800億ドルの自社株買い枠と、四半期配当の1株0.25ドルへの引き上げが示されました。配当利回りよりも、AIデータセンター成長、高いFCF創出力、自社株買いを含む資本配分の変化を確認するほうが実務的です。[3]

【注】(出典リンク)

  1. NVIDIA FY2026 Form 10-K・通期データ → SEC EDGAR NVIDIA Form 10-K(FY2026)NVIDIA Financial Reports(確認日:2026-05-23)
  2. NVIDIA Q4 FY2026決算・FY2026通期決算 → NVIDIA Q4 and Fiscal 2026 ResultsSEC EDGAR Q4 FY2026 Press Release(確認日:2026-05-23)
  3. NVIDIA Q1 FY2027決算・FY2027 Q2見通し → NVIDIA Q1 FY2027 ResultsSEC EDGAR Q1 FY2027 Press Release(確認日:2026-05-23)
  4. NVIDIA Q1 FY2027 CFO Commentary → SEC EDGAR Q1 FY2027 CFO CommentaryNVIDIA Quarterly Results(確認日:2026-05-23)
  5. NVIDIA過年度データ → NVIDIA Annual Reports and ProxiesSEC EDGAR NVIDIA filings(確認日:2026-05-23)

本記事は公開情報に基づく筆者分析であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。正確性・完全性には注意していますが、内容を保証するものではありません。

最終更新日時:2026年5月23日(FY2026 Form 10-K/FY2026 Q4決算/FY2027 Q1決算反映)

Posted by 南 一矢