VNM:ベトナムETFの株価と配当
VNM(ヴァンエック・ベトナムETF)の情報を整理します。
このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETFの概要(連動インデックス等)やチャート、配当利回り、ポートフォリオの要点をコンパクトに確認します。数値は変動するため、最終判断前に必ず公式サイトをご確認ください。
【ベトナム株ETF】VNMとは?アジア最後のフロンティアへの投資の魅力とリスク
「アジア最後のフロンティア」とも呼ばれ、高成長で注目されるベトナム。その成長をポートフォリオに取り込む代表的ETFが、ヴァンエック社のVNM(VanEck Vietnam ETF)です。ここでは、ベトナム投資の魅力と特有のリスク、そしてVNMの最新の中身と重要な注意点を解説します。
最新トピック(2025年)
- 米越の関税合意:2025年7月、米国はベトナムからの多くの輸入品に20%関税、第三国からの迂回輸出品に40%関税を適用と発表。詳細設計を巡る協議は継続中です。
- 市場区分の前進:2025年10月、FTSE Russellがベトナムをフロンティア→新興国(セカンダリー)へ格上げ決定(2026年9月実施予定、2026年3月の中間レビュー条件付き)。受け入れ環境整備が進み、受動・能動双方の資金流入が期待されます。
ベトナム投資の魅力とリスク
魅力(抜粋)
- 成長ストーリー:製造業シフト(チャイナ・プラスワン)、人口動態の追い風。
- 制度面の改善:取引・決済インフラや外国人アクセス改善が進展。
注意すべきリスク
- 関税・通商:米国向け関税の水準・適用範囲次第で短期の収益圧迫。
- 為替:ベトナム・ドン安はドル建て投資家に逆風。
- 市場の未成熟:規制変更や流動性面のボラティリティに留意。
【VNM】ヴァンエック・ベトナムETFの概要(最新)
VNMはMarketVector Vietnam Local Index(MVVNMLTR)に連動します。現在の指数は「ベトナムに現地法人として上場・設立された企業」に限定されます(2023年3月に旧指数から切替)。
基本情報(目安)
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | VanEck Vietnam ETF(ティッカー:VNM) |
連動指数 | MarketVector Vietnam Local Index(MVVNMLTR) |
経費率 | 0.68% |
純資産総額 | 約5.90億ドル(2025/10/10時点) |
YTD騰落率 | +62.68%(2025/10/10、NAVベース) |
※上記は公表値の抜粋。実際の数値は日々更新されます。
上位構成銘柄とセクター(抜粋)
- 上位銘柄例:Vingroup、Vinhomes、Masan Group、Hoa Phat Group など
- セクター配分(2025/9末):金融 約29%、不動産 約29%、生活必需品 約16%、資本財 約12%、素材 約9% など
重要な注意点(指数の仕様が変わりました)
かつての「MVIS Vietnam Index」は、ベトナムで売上比率の高い非ベトナム籍企業も採用するルールでした。現在のMarketVector Vietnam Local Indexでは現地組入(ベトナム籍)に限定されており、「VNMはベトナム100%」という理解で差し支えありません。
まとめ:ポートフォリオでの位置づけ
- 長期の成長ストーリーに賭ける一方、関税・為替・制度変更などのリスクが相応にあるため、コアではなくサテライトとしての活用が現実的。
- 関税運用の詳細、ベトナム市場区分(FTSE/将来のMSCI)動向を定期点検し、エクスポージャーを調整。
出典・一次情報
- VNM 公式(AUM、YTD、経費率、指数切替の注記・現行指数の定義等)
- VNM ファクトシート(費用0.68% ほか)
- MarketVector(旧MVIS)Vietnam Index のルール概要
- 米越関税合意(20%・迂回40%)報道(2025/7/2)
- 小売・アパレル業界の影響(2025/7/3)
- 最終化へ向けた追加協議(2025/8/7)
- FTSE Russell:ベトナムを新興国へ格上げ決定(2025/10/7)
- MSCI:市場区分の枠組み(MSCIでの位置づけ確認用)
免責事項:本記事は情報提供を目的としたもので、特定商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当金(分配金)と利回り
年間配当を1年の平均株価で割り、平均の利回りを計算してみます。
年 | 配当 | 平均株価 | ||
---|---|---|---|---|
平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | ||
2023 | 5.28% | 0.66 | 500% | 12.5 |
2022 | 0.84% | 0.11 | 10% | 13.1 |
2021 | 0.64% | 0.1 | 42.9% | 15.7 |
2020 | 0.36% | 0.07 | -66.7% | 19.3 |
2019 | 1.47% | 0.21 | 75% | 14.3 |
2018 | 0.74% | 0.12 | -29.4% | 16.2 |
2017 | 0.99% | 0.17 | -45.2% | 17.1 |
2016 | 2.11% | 0.31 | -41.5% | 14.7 |
2015 | 3.71% | 0.53 | 3.9% | 14.3 |
2014 | 2.93% | 0.51 | -13.6% | 17.4 |
2013 | 2.8% | 0.59 | 63.9% | 21.1 |
2012 | 1.84% | 0.36 | 125% | 19.6 |
2011 | 0.9% | 0.16 | -52.9% | 17.7 |
2010 | 1.63% | 0.34 | 1033.3% | 20.9 |
2009 | 0.12% | 0.03 | – | 25.2 |
ポートフォリオ
次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、組入れ上位10銘柄ははチャールズシュワブのサイト内のページを参照。
ベトナム経済の現状
最後に、ベトナムの経済力を見ていきましょう。
ベトナムは社会主義国でしたが、冷戦の終わり頃から中国と同じく経済面での開放政策(ドイモイ)を進めました。
1986年の第6回党大会で市場経済システムの導入と対外開放からなるドイモイ(刷新)路線を継続。90年代には経済が好転し、1995~96年には9%台の経済成長率を記録しています。
その後、アジア経済危機でダメージを受けたものの、2000年~2010年の平均経済成長率は7%台となり、高成長を続けました。
2020年は感染症対策がうまくいったので、今後の経済回復が期待されています。
ここで、世界銀行のデータバンクから主要統計を閲覧してみます。
ベトナム経済の現状と将来予測
ベトナムは社会主義国でしたが、1986年のドイモイ(刷新)政策以降、市場経済システムの導入と対外開放を進め、目覚ましい経済成長を遂げてきました。特に2000年代以降は安定して高い成長率を維持しています。
2020年のコロナ禍においても、効果的な感染症対策によりプラス成長を確保し、その後の経済回復への期待が高まっています。ここでは、世界銀行のデータなどに基づき、ベトナム経済の現状と今後の見通しを見ていきます。
名目GDP・成長率・予測(世界銀行データ)
(※名目GDPの単位は10億ドル、成長率は%)
年 | 名目GDP (10億ドル) |
実質成長率 (%) |
備考 |
---|---|---|---|
2020 | 346.6 | 2.9 | COVID-19影響 |
2021 | 366.5 | 2.6 | 感染症対策成功 |
2022 | 410.3 | 8.0 | 急速な回復 |
2023 | 408.8 | 5.0 | 減速も堅調 |
2024 | 476.4 | 7.1 | 力強い回復 |
2025予測 | — | 5.8 | 世界銀行予測 |
2026予測 | — | 6.1 | 世界銀行予測 |
一人当たりGDP・人口・雇用統計(最新データ)
(※一人当たりGDPの単位はドル、人口は百万人、失業率・労働力は%)
年 | 一人当たりGDP (ドル) |
人口 (百万人) |
失業率 (%) |
労働力参加率 (%) |
---|---|---|---|---|
2020 | 3,540 | 97.3 | 2.1 | — |
2021 | 3,756 | 98.2 | 2.4 | — |
2022 | 4,110 | 99.5 | 1.5 | 67.8 |
2023 | 4,110 | 100.3 | 1.7 | 68.2 |
2024 | 4,717 | 101.3 | 2.2 | 68.6 |
📊 2024年労働市場のハイライト
- 労働力人口:5,300万人(15歳以上、前年比57.5万人増)
- 失業者数:106万人(前年比9,000人減)
- 平均月収:770万ドン(約304ドル、前年比8.6%増)
- 都市部失業率:2.5%、農村部失業率:2.1%
- 不完全雇用率:1.8%(前年比0.18ポイント改善)
主要経済指標の長期的推移(2005-2020年)
(※実質GDPは2015年米ドル基準。実質GDP/名目GDPの単位は億ドル、一人当たりGDPの単位はドル、人口は万人、失業率はILO方式)
年 | 実質GDP | 名目GDP | 実質成長率 (%) | 1人当りGDP (実質) | 人口 | 失業率 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|
2005 | 854 | 576 | 7.5 | 1018 | 8383 | .. |
2006 | 913 | 664 | 7.0 | 1079 | 8462 | .. |
2007 | 978 | 774 | 7.1 | 1145 | 8542 | 2.0 |
2008 | 1034 | 991 | 5.7 | 1198 | 8624 | .. |
2009 | 1089 | 1060 | 5.4 | 1251 | 8709 | 1.7 |
2010 | 1159 | 1159 | 6.4 | 1318 | 8797 | 1.1 |
2011 | 1232 | 1355 | 6.2 | 1386 | 8887 | 1.0 |
2012 | 1296 | 1558 | 5.2 | 1443 | 8980 | 1.0 |
2013 | 1367 | 1712 | 5.4 | 1506 | 9075 | 1.3 |
2014 | 1448 | 1862 | 6.0 | 1579 | 9171 | 1.3 |
2015 | 1545 | 1932 | 6.7 | 1667 | 9268 | 1.8 |
2016 | 1641 | 2053 | 6.2 | 1753 | 9364 | 1.8 |
2017 | 1753 | 2238 | 6.8 | 1853 | 9460 | 1.9 |
2018 | 1877 | 2452 | 7.1 | 1964 | 9554 | 1.2 |
2019 | 2009 | 2619 | 7.0 | 2082 | 9646 | 2.0 |
2020 | 2067 | 2722 | 2.9 | 2122 | 9741 | 3.3 |
🌟 ベトナム経済の注目ポイント
- 過去40年の奇跡的成長:1986年ドイモイ開始時の一人当たりGDP約700ドルから2024年には4,717ドルへ
- 貧困撲滅の成功:極貧率(1日3.65ドル未満)が2010年の14%から2023年には4%未満へ
- 人口ボーナス継続:1億人を超える人口の58%が労働年齢、平均年齢32歳
- 世界経済での存在感:GDP規模で世界35位前後、ASEANでは4番目の経済大国