EDV・TLT:超長期債券ETFを比較(株価・配当利回り・構成銘柄)
金利低下局面で大きなリターンが期待できる一方、金利上昇局面では大きな損失リスクを伴う「米国の超長期債券ETF」。この記事では、分配金(配当)の特徴にも触れつつ、その代表格であるEDVとTLTを比較します。
この2つのETFは、どちらも残存期間20年以上の米国債に投資しますが、投資対象のわずかな違いが、金利感応度(デュレーション)とリスク・リターンに決定的な差を生み出します。その本質的な違いを理解し、ご自身の投資戦略に合った選択ができるよう解説します。
※ご注意:以下に記載するデュレーションや30日SEC利回り、純資産などの指標は変動します。
投資を検討される際は、必ず公式資料で最新の情報をご確認ください。
米国の超長期債ETF【EDV vs TLT】徹底比較!最大の違いはデュレーション
主要ETF比較サマリー
まずはEDVとTLTの最も重要な違いを一覧で見てみましょう。「投資対象」と、それによって生じる「デュレーション」の差に注目してください。
| 項目 | 【EDV】 | 【TLT】 |
|---|---|---|
| 投資対象 | ストリップス債(ゼロクーポン債)[1][2] | 通常の利付国債(残存20年超)[3] |
| デュレーション | 24.0年(平均デュレーション、2025-12-31時点)[2] | 15.43年(実効デュレーション、2026-01-29時点)[3] |
| 経費率 | 0.05%(2025-12-31時点の資料)[2] | 0.15%(2026-01-30時点のページ表示)[3] |
| 純資産総額 | 約39.44億ドル(ETF総資産、2025-12-31時点)[2] | 約452.14億ドル(2026-01-30時点)[3] |
| 利回り(30日SEC) | 5.05%(2026-01-27時点)[4] | 4.80%(2026-01-29時点)[3] |
| 分配頻度 | 四半期(2025-12-31時点の資料)[2] | 毎月(2026-01-30時点のページ表示)[3] |
(注:表の数値は各「時点」の参考値です。利回りは30日SEC利回り)
各ETFの詳細
【EDV】バンガード・超長期米国債ETF(Vanguard Extended Duration Treasury ETF)
- 連動指数:Bloomberg U.S. Treasury STRIPS 20–30 Year Equal Par Bond Index[2]
- 投資対象の解説: このETFは、通常の利付国債ではなく「ストリップス債(STRIPS)」に投資します。STRIPSは、米国債(ノート/ボンド/TIPSなど)の「利息部分」と「元本部分」を分離して、それぞれを別個の証券として売買できる仕組みで、一般にゼロクーポン(期中利払いなし)の性質を持ちます。[1]
期中キャッシュフローが薄い(または実質的にない)分、将来の受取(満期時の受取)を現在価値に割り引いて価格が決まりやすく、同じ満期帯の利付国債よりも金利変動への感応度(デュレーション)が長くなりやすいのが特徴です。 - ポイント: 平均デュレーションは24.0年(2025-12-31時点)と極めて長く、金利低下局面の上昇弾性を狙える一方、上昇局面では下落が大きくなり得ます。[2]
経費率は0.05%(2025-12-31時点の資料)と低水準で、分配は四半期ごとです。[2]
30日SEC利回りは5.05%(2026-01-27時点)で、金利水準や価格変動により見かけの水準は変動します。[4] - 公式情報:EDVのファクトシート(ベンチマーク、経費率、分配頻度、純資産、平均デュレーション等)[2]/30日SEC利回り(2026-01-27時点)[4]
【TLT】iシェアーズ 米国債20年超 ETF(iShares 20+ Year Treasury Bond ETF)
- 連動指数:ICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Index[3]
- 投資対象の解説: こちらは一般的な「利付国債」に投資します。残存期間が20年を超える米国財務省証券で構成されており、超長期ゾーンへのスタンダードなエクスポージャーを提供します。[3]
- ポイント: 直近の実効デュレーションは15.43年(2026-01-29時点)で、EDVより短く、価格変動は相対的にマイルドです。[3]
月次分配で純資産規模も大きく、流動性に優れます(純資産:約452.14億ドル、2026-01-30時点)。[3]
30日SEC利回りは4.80%(2026-01-29時点)です。[3] - 公式情報:TLTの主要指標(実効デュレーション、30日SEC利回り、純資産、経費率、分配頻度等)[3]
投資のポイントと注意点
1.デュレーション=価格変動の大きさを理解する
デュレーションは、金利が動いたときに債券価格がどれくらい動きやすいかの目安です。
EDVは平均デュレーション24.0年(2025-12-31時点)で、金利が1%上昇すると理論上は約24%程度の下落を想定しうる水準です(あくまで近似)。[2]
TLTも実効デュレーション15.43年(2026-01-29時点)と十分に大きく、超長期ゾーンは価格変動が極めて大きい点に留意が必要です。[3]
2.ポートフォリオにおける「ヘッジ」機能
これほどリスクの高い債券に投資する理由の一つに、株式との逆相関を期待した「ヘッジ(保険)」機能があります。
一般的に、株式市場が急落する「リスクオフ」の局面では、安全資産の代表である米国債が買われ、価格が上昇する傾向があります。
この特性を利用し、ポートフォリオ全体のリスクを管理する目的で組み入れる投資家もいます。
3.結局どちらを選ぶべきか?
- 積極的に金利低下の恩恵を狙い、最大級の金利感応度を許容できる → 【EDV】
- 流動性と月次分配を重視し、スタンダードな超長期債投資を行いたい → 【TLT】
どちらのETFも金利動向に非常に敏感です。投資前に、金利シナリオ(インフレ見通し・米国の金融政策)と、ポートフォリオ全体のボラティリティ許容度を必ず確認しましょう。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
一方で、超長期債ETFの損益を最も左右するのは、日々の分配よりも金利変動による価格変動(=デュレーション)です。利回りだけでなく、「自分が耐えられる価格変動幅か」を先に確認するのが実務的です。
【注】(出典リンク)
- STRIPSの定義(利息と元本の分離・個別売買):TreasuryDirect STRIPS / Glossary(STRIPS)(確認日:2026-01-31) ↩
- EDVファクトシート(ベンチマーク、経費率、分配頻度、純資産、平均デュレーション等。資料時点:2025-12-31):Fact sheet(PDF)(確認日:2026-01-31) ↩
- TLT公式(純資産、実効デュレーション、30日SEC利回り、経費率、分配頻度、ベンチマーク等。各指標はページ内に時点表示):BlackRock / iShares TLT product page(確認日:2026-01-31) ↩
- EDVの30日SEC利回り(時点:2026-01-27。ページ内に時点表示):Vanguard EDVプロフィール(確認日:2026-01-31) ↩
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当(分配金)と利回り
年間配当を1年の平均株価で割り、平均の利回りを計算してみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通期配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)
EDVの利回り
| 年 | 配当 | 株価 | |||
| 平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
| 2024 | 4.21% | 3.15 | 10.5% | 74.8 | -8.2% |
| 2023 | 3.5% | 2.85 | 5.6% | 81.5 | -21.1% |
| 2022 | 2.61% | 2.7 | -0.7% | 103.3 | -24.3% |
| 2021 | 1.99% | 2.72 | -67.7% | 136.5 | -15.1% |
| 2020 | 5.24% | 8.42 | 85.9% | 160.8 | 26.9% |
| 2019 | 3.58% | 4.53 | 38.1% | 126.7 | 14.% |
| 2018 | 2.95% | 3.28 | -6.8% | 111.1 | -4.2% |
| 2017 | 3.03% | 3.52 | -39.3% | 116 | -9.4% |
| 2016 | 4.53% | 5.8 | 21.6% | 128 | 6.5% |
| 2015 | 3.97% | 4.77 | 24.2% | 120.2 | 13.5% |
| 2014 | 3.63% | 3.84 | -13.5% | 105.9 | 3.4% |
| 2013 | 4.34% | 4.44 | -49.1% | 102.4 | -16.1% |
| 2012 | 7.14% | 8.72 | 40.2% | 122.1 | 28.5% |
| 2011 | 6.55% | 6.22 | 62% | 95 | 10.1% |
| 2010 | 4.45% | 3.84 | -74.7% | 86.3 | -17.2% |
| 2009 | 14.54% | 15.15 | 298.7% | 104.2 | 2% |
| 2008 | 3.72% | 3.8 | – | 102.2 | – |
TLTの利回り
| 年 | 配当 | 株価 | |||
| 平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
| 2024 | 4.02% | 3.76 | 31.9% | 93.5 | -5.3% |
| 2023 | 2.89% | 2.85 | 9.6% | 98.7 | -15.8% |
| 2022 | 2.22% | 2.6 | 20.9% | 117.2 | -19.2% |
| 2021 | 1.48% | 2.15 | -6.9% | 145.1 | -9.1% |
| 2020 | 1.45% | 2.31 | -23.5% | 159.6 | 21.1% |
| 2019 | 2.29% | 3.02 | -4.1% | 131.8 | 10.8% |
| 2018 | 2.65% | 3.15 | 4% | 119 | -3.8% |
| 2017 | 2.45% | 3.03 | -0.3% | 123.7 | -5.6% |
| 2016 | 2.32% | 3.04 | -1.3% | 131 | 5.6% |
| 2015 | 2.48% | 3.08 | -6.9% | 124 | 9.1% |
| 2014 | 2.91% | 3.31 | 1.2% | 113.7 | 2.2% |
| 2013 | 2.94% | 3.27 | 2.8% | 111.3 | -8.5% |
| 2012 | 2.61% | 3.18 | -19.1% | 121.7 | 18.6% |
| 2011 | 3.83% | 3.93 | 1.8% | 102.6 | 6.5% |
| 2010 | 4.01% | 3.86 | 8.1% | 96.3 | -1.5% |
| 2009 | 3.65% | 3.57 | -13.3% | 97.8 | 2.2% |
| 2008 | 4.31% | 4.12 | – | 95.7 | – |
ポートフォリオの比較
次に、このETFの構成比率を見てみます。
ETFを構成する債権の比率
(出所はfidelity.com)
| TLT | EDV | |
| 国債 | 100% | 100% |
| 社債 | 0% | 0% |
| モーゲージ債 | 0% | 0% |
| 地方債 | 0% | 0% |
組み入れ債権の格付け比率
さらに、ETFを構成する債券の格付け比率を見てみます。
(出所は英語版yahoo finance)
| 格付 | TLT | EDV |
| AAA | 100% | 100% |
| AA | 0% | 0% |
| A | 0% | 0% |
| BBB | 0% | 0% |
| BB | 0% | 0% |
| B | 0% | 0% |
| BelowB | 0% | 0% |

