CRWD/ZSの比較:クラウドストライクとズィースケーラーの違いとは
CRWDとZSの違いを踏まえて比較します。(2026年5月更新)
クラウドストライク(CrowdStrike Holdings, Inc.)とジースケイラー(Zscaler, Inc.)は、新しいクラウドベースのサイバーセキュリティ事業の代表的な銘柄です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(XLK:Technology Select Sector SPDR Fundを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
決算(予想:結果)
マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。
株価や決算などについては以下の関連記事を参照。
★クラウドストライク(CRWD)決算:予想と結果 売上&EPS
【クラウドセキュリティ対決】クラウドストライク(CRWD) vs ゼットスケーラー(ZS)!最強の矛か、最強の盾か?
サイバー攻撃が高度化・巧妙化する現代において、企業を守る「サイバーセキュリティ」は最も重要なIT投資の一つです。その中でも、従来のセキュリティの常識を覆したクラウドネイティブのリーダー企業が、クラウドストライク(CRWD)とゼットスケーラー(ZS)です。
本記事では、成長を続けるこの2社のビジネスモデル、業績、キャッシュフロー、株価指標、そして将来性を比較・分析します。なお、2026年5月29日時点では、CRWDの最新決算はFY2026 Q4・通期決算(2026年1月31日終了)、ZSの最新決算はFY2026 Q3(2026年4月30日終了)です。両社の会計年度のズレに注意して比較する必要があります。[1][2]
彼らは競合しない?「ゼロトラスト」における役割の違い
両社は「ゼロトラスト・セキュリティ(何も信頼しない)」という共通の概念を掲げていますが、守る対象が異なります。
- クラウドストライク (CRWD) →「エンドポイント」を守る
PC、サーバー、スマートフォンなど端末(エンドポイント)と、アイデンティティ、クラウド、データ、SIEM、AIワークロードを統合的に守るXDRのリーダーです。単一エージェントのFalcon PlatformでAIを活用し、端末やユーザーのふるまいを継続監視して侵入前後の攻撃を止めます。例えるなら「屈強なボディガード」です。[3] - ゼットスケーラー (ZS) →「通信(ネットワーク)」を守る
クラウド経由のZero Trust Exchangeが、ユーザー・デバイス・アプリケーション・データ間のトラフィックを検査・制御します。SSE(Security Service Edge)/SASE領域で、ユーザーとアプリ間の通信経路そのものを安全化します。例えるなら「鉄壁の検問所」です。[4]
このように守る領域が違うため、多くの企業では両社のサービスを組み合わせて導入する余地があります。CRWDはエンドポイント/XDR/クラウド/アイデンティティ/SIEM、ZSはSSE/SASE/ゼロトラスト接続/AIセキュリティに強く、実務上は競合というより補完関係が強いと整理できます。
比較サマリー:端末のCRWD、通信のZS
| 項目 | クラウドストライク (CRWD) | ゼットスケーラー (ZS) |
|---|---|---|
| セキュリティ領域 | エンドポイント/XDR、アイデンティティ、クラウド、データ保護、SIEM、AI Securityなど。 | SSE/SASE、SWG、CASB、ZTNA、データ保護、AIセキュリティ、AIエージェント通信制御など。 |
| プラットフォーム | Falcon Platform | Zero Trust Exchange |
| 直近決算 | FY2026 Q4:売上$1.31B、ARR$5.25B、Non-GAAP EPS$1.12。FY2026通期売上は$4.81B。[1] | FY2026 Q3:売上$850.5M、ARR$3.525B、Non-GAAP EPS$1.08。FY2026 9カ月累計売上は$2.454B。[2] |
| 配当方針 | 配当なし。どちらも成長投資、自社株買い、M&Aなどを優先するタイプです。[5] | |
| フリーキャッシュフロー マージン(直近) |
約26% FY2026通期:FCF $1.24B ÷ 売上 $4.81B[1] |
約29% FY2026 9カ月累計:FCF $718.4M ÷ 売上 $2.454B ※Q3単独は約16%[2] |
| 株価・時価総額 (2026年5月29日00:15 UTC時点) |
株価$671.00 時価総額 約$168.6B[6] |
株価$130.04 時価総額 約$20.9B[6] |
| PERの見方 | GAAP EPSが赤字のため、通常PERは参考にしにくい。 | GAAP EPSが赤字のため、通常PERは参考にしにくい。 |
※FCFマージンは各社の開示値から概算。CRWDはFY2026通期、ZSはFY2026 9カ月累計を中心に比較しています。株価は取得時点により変動します。
業績と成長性の詳細分析
両社ともSaaSとして高い継続課金(ARR)と拡張余地を持ちます。直近では、CRWDはFY2026通期売上$4.81B(前年比+22%)、期末ARR$5.25B(前年比+24%)に到達しました。FY2027通期ガイダンスでは、売上$5.868B〜$5.928B、期末ARR$6.466B〜$6.516Bを見込んでいます。[1]
ZSはFY2026 Q3で売上$850.5M(前年比+25%)、ARR$3.525B(前年比+25%)を達成しました。Red Canary買収の寄与を除くARRは$3.398B(前年比+21%)です。FY2026通期ガイダンスは、売上$3.3295B〜$3.3325B、ARR$3.740B〜$3.749Bへ引き上げられています。[2]
| 年・期間 | CRWD 売上高 (前年比) | ZS 売上高 (前年比) |
|---|---|---|
| 2027 会社見通し |
$5.868B〜$5.928B(FY2027見通し、前年比+22%〜+23%)[1] | — |
| 2026 会社見通し |
— | $3.3295B〜$3.3325B(FY2026見通し、前年比+24.6%〜+24.7%)[2] |
| 2026 実績・途中 |
$4.81B (+22%)(FY2026通期)[1] | $850.5M (+25%)(FY2026 Q3単四半期) $2.454B(FY2026 9カ月累計)[2] |
| 2025 | $3.95B (+29%)[7] | $2.673B (+23%)[8] |
| 2024 | $3.06B (+36.6%)[7] | $2.17B (+34%)[8] |
| 2023 | $2.24B (+54.2%)[7] | $1.62B (+48%)[8] |
| 2022 | $1.45B (+65.9%)[7] | $1.09B (+62%)[8] |
| 2021 | $0.87B (+81.6%)[7] | $0.67B (+56%)[8] |
※B=10億ドル。各社の会計年度に基づく。CRWDは1月期、ZSは7月期。ZSはFY2026が進行中のため、FY2026はQ3実績・9カ月累計・通期見通しを分けて表示しています。
- CRWDの近況:FY2026通期で売上$4.81B、期末ARR$5.25B、FCF$1.24Bを達成。Falcon Flex採用アカウントのARRは$1.69Bまで増え、6つ以上のモジュールを採用する顧客比率は50%になりました。なお、FY2027 Q1決算は2026年6月3日に発表予定です。[1][9]
- ZSの近況:FY2026 Q3で売上$850.5M、ARR$3.525B、FCF$136.0Mを達成。Non-GAAP営業利益率は過去最高の23%でした。一方で、FY2026 Q4売上ガイダンスが市場予想をやや下回ったことや営業幹部の退任、設備投資増への懸念から、決算後に株価は大きく下落しました。[2][10]
収益性とキャッシュフローの比較
| 項目 | CRWD | ZS |
|---|---|---|
| GAAP営業損益 | FY2026通期:営業損失$293.3M[1] | FY2026 Q3:営業損失$29.6M FY2026 9カ月累計:営業損失$117.8M[2] |
| Non-GAAP営業利益 | FY2026通期:$1.05B、売上比22%[1] | FY2026 Q3:$195.8M、売上比23%[2] |
| フリーキャッシュフロー | FY2026通期:$1.24B[1] | FY2026 Q3:$136.0M FY2026 9カ月累計:$718.4M[2] |
| FCFマージン | 約26%(FY2026通期) | 約16%(FY2026 Q3単独) 約29%(FY2026 9カ月累計) |
どちらもGAAPでは赤字が残りますが、Non-GAAP利益とフリーキャッシュフローでは高い水準を示しています。サイバーセキュリティSaaSでは、株式報酬や買収関連費用を含むGAAP利益と、事業のキャッシュ創出力を示すFCFを分けて見ることが重要です。
AI時代の成長テーマ:CRWDは「AIネイティブSOC」、ZSは「AI時代のゼロトラスト通信」
2026年時点では、両社とも単なるクラウドセキュリティ企業ではなく、AI時代のセキュリティ基盤へと進化しています。
- CRWD:Falcon Platformを中心に、エンドポイント、クラウド、アイデンティティ、SIEM、次世代SOCを統合する方向です。AIを使って脅威検知・調査・対応を効率化し、顧客のセキュリティ運用を単一プラットフォームへ集約させる戦略です。[1][3]
- ZS:Zero Trust ExchangeをAI時代に拡張し、AI Security、Data Security、AIエージェント通信の統制へ領域を広げています。2026年5月にはSymmetry Systems買収意向を発表し、人間・非人間ID、アプリ、データの関係をアクセスグラフで把握する構想を示しました。[2]
ミニ解説:AI時代には、守る対象が「端末」「人間ユーザー」だけでなく、「AIエージェント」「非人間ID」「クラウド上のデータ」「AIが使う通信経路」へ広がります。CRWDは攻撃検知・防御・SOC統合に強く、ZSは通信経路・データアクセス・ゼロトラスト接続に強い。したがって、AI時代でも両社の役割は重なりすぎず、むしろ補完関係が続きやすいと見られます。
結論:あなたに合うのはどちら?
両社への投資は、どちらのセキュリティ領域がより重要性を増すと考えるかに依存しますが、実務面では両方が必要になる場面が多いのが現実です。
「全てのデバイス」と「統合SOC」を守る重要性に賭けるなら → クラウドストライク (CRWD)
リモートワーク、クラウド、AIエージェント、IoTの普及で、守る端末とアイデンティティは増え続けています。端末・アイデンティティ・クラウド・データを横断して攻撃を止めるCRWDの統合XDRは、今後も需要拡大が見込みやすい領域です。FY2026通期のFCFは$1.24B、期末ARRは$5.25Bで、FY2027にはARR$6.466B〜$6.516Bを見込んでいます。[1]
一方で、2026年5月29日時点のCRWDは時価総額が約$168.6Bと非常に大きく、FY2027売上見通しに対するPSRも高くなりやすい銘柄です。成長継続への期待がすでに株価にかなり織り込まれている点には注意が必要です。[6]
「クラウド化」と「通信経路の保護」に賭けるなら → ゼットスケーラー (ZS)
アプリもユーザーもクラウドに分散する時代、通信経路をクラウドで守るSSE/SASEは中核インフラです。いったん導入するとスイッチングコストが高く、ARRが積み上がりやすい構造です。FY2026 Q3のARRは$3.525B、FY2026通期のARR見通しは$3.740B〜$3.749Bまで引き上げられています。[2]
一方で、ZSはFY2026 Q3決算後、Q4売上ガイダンスがやや弱く見えたことや、営業幹部の退任、設備投資増への懸念から株価が大きく下落しました。これは長期需要そのものの否定というより、短期的な実行力と市場期待の高さが問われた局面と見るのが自然です。[10]
最終的な結論として、この2社は競合というより補完関係にあります。「どちらか一方」ではなく、シナリオ別に両社を組み合わせることで、クラウド時代・AI時代のセキュリティ成長テーマ全体に広く投資する戦略が合理的です。ただし、CRWDは規模と評価倍率が大きく、成長継続への期待も高い銘柄です。ZSは相対的に時価総額が小さい一方、買収統合、営業体制、競争激化、FCF率の維持が重要になります。
※本ページの分析は2026年5月29日時点の公開情報に基づいています。投資の最終判断は必ずご自身の責任で行ってください。
ミニ解説:CRWDとZSはどちらも「ゼロトラスト銘柄」ですが、CRWDは端末・アイデンティティ・クラウドを守る検知・防御のプラットフォーム、ZSは通信経路を安全にするクラウド型の検問所に近い存在です。投資判断では、売上成長率だけでなく、ARR、FCFマージン、GAAP赤字の縮小、買収統合、AIセキュリティへの展開、そして株価に織り込まれた期待値をセットで確認すると整理しやすくなります。
【注】(出典リンク)
- CRWD FY2026 Q4・通期決算/FY2027見通し(FY2026売上$4.81B、ARR$5.25B、FCF$1.24B、FY2027売上$5.8676B〜$5.9276B、ARR$6.4658B〜$6.5164B等) → 一次情報:CrowdStrike FY2026 Q4・通期決算リリース(確認日:2026-05-29) ↩
- ZS FY2026 Q3決算/FY2026見通し(売上$850.5M、ARR$3.525B、FCF$136.0M、FY2026売上$3.3295B〜$3.3325B、ARR$3.740B〜$3.749B等) → 一次情報:Zscaler FY2026 Q3決算リリース → 一次情報:FY2026 Q3 Shareholder Letter(確認日:2026-05-29) ↩
- CrowdStrikeのFalcon Platform・Zero Trust関連の説明 → 一次情報:CrowdStrike Falcon Platform → 一次情報:CrowdStrike Zero Trust解説(確認日:2026-05-29) ↩
- ZscalerのZero Trust Exchange・SSE/SASE関連の説明 → 一次情報:Zscaler Zero Trust Exchange → 一次情報:Zscaler SASE(確認日:2026-05-29) ↩
- CRWD・ZSの配当方針・配当実績なし → 一次情報:CrowdStrike Investor Relations → 一次情報:Zscaler IR FAQ → 二次情報:Stock Analysis CRWD Dividend → 二次情報:Stock Analysis ZS Dividend(確認日:2026-05-29) ↩
- 株価・時価総額の前提(CRWD $671.00、ZS $130.04、2026年5月29日00:15 UTC時点) → 二次情報:Yahoo Finance CRWD → 二次情報:Yahoo Finance ZS(確認日:2026-05-29) ↩
- CRWD過年度売上(FY2021〜FY2025) → 一次情報:CrowdStrike Annual Reports → 一次情報:CrowdStrike FY2025通期決算(確認日:2026-05-29) ↩
- ZS過年度売上(FY2021〜FY2025) → 一次情報:Zscaler FY2025通期決算 → 一次情報:Zscaler SEC Filings(確認日:2026-05-29) ↩
- CRWD FY2027 Q1決算発表予定 → 一次情報:CrowdStrike FY2027 Q1決算発表予定リリース(確認日:2026-05-29) ↩
- ZS FY2026 Q3決算後の市場反応・Q4ガイダンスへの懸念 → 二次情報:Barron’s → 二次情報:MarketWatch(確認日:2026-05-29) ↩

