CRWD/ZSの比較:クラウドストライクとズィースケーラーの違いとは
CRWDとZSの違いを比較します。(最終更新:2026年10月8日)
クラウドストライク(CrowdStrike Holdings, Inc./NASDAQ:CRWD)とゼットスケーラー(Zscaler, Inc./NASDAQ:ZS)は、クラウドを基盤とするサイバーセキュリティ企業です。株価、決算、売上高、継続課金収入、キャッシュフロー、事業戦略を比較し、今後の成長余地とリスクを整理します。
最新確定決算は、CRWDが2027年度Q2(2026年7月31日終了、8月26日発表)、ZSが2026年度Q4・通期(2026年7月31日終了、9月3日発表)です。会計年度の終了月はCRWDが1月、ZSが7月であり、年度表記が異なります。[1][2]
【2026年10月8日更新】両社の最新決算、通期見通し、2026年10月7日終値、CRWDの株式分割、2026年9月の両社提携拡大を反映。ZSは10月6日のInvestor Dayで2027年度見通しを維持しました。[3]
比較の要点:CRWDは端末・アイデンティティ・クラウドから攻撃を検知し、セキュリティ運用(SOC)を統合する企業です。ZSはゼロトラスト接続、通信検査、データ保護を強みとします。両社は競合領域も拡大していますが、共同ソリューションを提供する戦略的パートナーでもあります。
- 1. 株価:過去~現在
- 2. 決算(予想:結果)
- 3. クラウドストライク(CRWD)とゼットスケーラー(ZS)を比較|事業・業績・将来性
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(XLK:Technology Select Sector SPDR Fundを含めて比較)
※チャート右目盛り:米国10年国債利回り
決算(予想:結果)
市場におけるEPSと売上高予想の変化、実績、会社ガイダンスを比較します。以下の関連記事では各社の決算推移を個別に整理しています。
★クラウドストライク(CRWD)の決算:予想と結果、売上高・EPS
★ゼットスケーラー(ZS)の決算:予想と結果、売上高・EPS
クラウドストライク(CRWD)とゼットスケーラー(ZS)を比較|事業・業績・将来性
両社はエンドポイント保護とゼロトラスト通信という異なる起点から市場を拡大してきました。AIエージェントの普及に伴い守る対象が広がっており、「矛と盾」の単純な対比だけでは理解できなくなっています。
株式分割に注意:CRWDは2026年7月1日の取引終了後に1株を4株とする株式分割を実施し、7月2日から分割調整後の株価で取引されました。古い記事の株価と新しい株価、EPSをそのまま比較してはいけません。以下のCRWD株価・EPSは株式分割後の基準に統一しています。[4]
比較サマリー:エンドポイントのCRWD、ゼロトラスト接続のZS
| 項目 | クラウドストライク(CRWD) | ゼットスケーラー(ZS) |
|---|---|---|
| 中心領域 | エンドポイント/XDR、アイデンティティ、クラウド、Next-Gen SIEM、AI・SOC | SSE/SASE、ゼロトラスト接続、データセキュリティ、AI・SOC |
| 主要基盤 | Falcon Platform/Falcon Flex | Zero Trust Exchange/Z-Flex |
| 最新四半期 | FY2027 Q2:売上14.7億ドル(+26%)、期末ARR58.4億ドル(+25%) | FY2026 Q4:売上8.982億ドル(+25%)、期末ARR37.71億ドル(+25%) |
| 非GAAP EPS(最新四半期) | 0.31ドル(分割調整後) | 1.19ドル |
| 直近四半期FCF | 3.774億ドル/売上比約26% | 0.608億ドル/売上比約7% |
| 通期見通し(FY2027) | 売上59.911~60.111億ドル、期末ARR66.030~66.119億ドル | 売上39.08~39.38億ドル、期末ARR43.96~44.26億ドル |
| 配当 | 普通配当なし | 普通配当なし |
| 2026年10月7日終値 | 265.44ドル(分割調整後)[5] | 213.55ドル |
| 主なリスク | 高い株価評価、買収統合、顧客の統合発注、2024年障害関連費用・評判 | 成長率の鈍化、買収を除く有機成長、投資に伴うFCF変動、営業体制の移行 |
※「最新四半期」は両社とも2026年7月31日終了の期間ですが、会計年度表記は異なります。株価は米国市場の2026年10月7日終値です。ARRは年次経常収益の指標であり、当該年度に認識した売上高と同義ではありません。
両社は競合するのか、補完するのか
CRWDはエンドポイントと攻撃検知・対応から、アイデンティティ、クラウド、SIEMなどへ事業を広げています。ZSは企業の通信をクラウドで検査するZero Trust Exchangeを基盤に、ユーザー・ワークロード・アプリ・データへの安全なアクセスを提供します。[6][7]
補完関係は実際の提携で裏付けられています。2026年9月2日、両社は端末と通信の脅威情報連携、リアルタイムのアクセス制御、SOC運用の統合を進める提携拡大を発表しました。もっとも、データ保護、AIセキュリティ、SOCなどでは製品が重なるため「競争しない企業」と断定するのも不適切です。[8]
業績と成長性の詳細分析
CRWDはFY2027 Q2に売上高14.7億ドル(前年同期比26%増)を計上。期末ARRは58.4億ドル(25%増)に達し、純増ARRは3.328億ドルで前年同期比51%増でした。Falcon Flex採用アカウントから生じるARRは22.9億ドル超(前年同期比101%増)です。[1]
ZSはFY2026 Q4に売上高8.982億ドル(前年同期比25%増)、期末ARR37.71億ドル(25%増)を計上しました。ただし、買収したRed CanaryによるARR1.41億ドルを除くARRは36.30億ドルで、前年比成長率は20%です。買収を含む成長率と既存事業の成長は区別する必要があります。[2]
| 年度(各社の会計年度) | CRWD 売上高(前年比) | ZS 売上高(前年比) |
|---|---|---|
| FY2027 会社予想 | 59.911~60.111億ドル(FY2027) | 39.08~39.38億ドル(FY2027) |
| FY2027 途中実績 | Q2:14.7億ドル(+26%) | 未発表(Q1は2026年10月31日終了予定) |
| FY2026 通期 | 48.1億ドル(約+22%)[9] | 33.53億ドル(+25%) |
| FY2025 通期 | 39.5億ドル(約+29%) | 26.73億ドル(約+23%)[10] |
| FY2024 通期 | 30.6億ドル(約+37%) | 21.7億ドル(約+34%) |
| FY2023 通期 | 22.4億ドル(約+54%) | 16.2億ドル(約+48%) |
| FY2022 通期 | 14.5億ドル(約+66%) | 10.9億ドル(約+62%) |
| FY2021 通期 | 8.7億ドル | 6.7億ドル |
※B=10億ドル、M=100万ドル。過年度売上は見やすさを優先して丸めています。2027年度の会社予想は確定値ではありません。2026年度のCRWDとZSは異なる会計期間です。
直近の四半期決算:利益の質とキャッシュフロー
| 項目 | CRWD:FY2027 Q2 | ZS:FY2026 Q4 |
|---|---|---|
| GAAP営業損益 | 3,320万ドルの赤字 | 1,550万ドルの赤字 |
| GAAP純損益 | 530万ドルの黒字(親会社株主帰属) | 340万ドルの赤字 |
| 非GAAP営業利益 | 3.716億ドル(利益率25%) | 2.184億ドル(利益率24%) |
| 営業キャッシュフロー | 5.303億ドル | 2.793億ドル |
| フリーキャッシュフロー | 3.774億ドル(約26%) | 6,080万ドル(約7%) |
| 通期FCF参考 | FY2026:約12.4億ドル(約26%) | FY2026:7.791億ドル(約23%) |
ZSのFY2026 Q4のFCFマージンが7%へ低下したのは、設備投資と社内利用ソフトウェア開発への支出が前年同期の約7,870万ドルから約2.185億ドルに増えたためです。通期では23%を確保しており、単一四半期だけで恒常的な収益悪化と判断するのは早計です。[2]
CRWDはFY2027 Q2にGAAP最終黒字を計上しましたが、営業損益は赤字です。「両社とも常にGAAP赤字」という表現は正確ではありません。両社の非GAAP利益は株式報酬や買収関連費用などを調整するため、GAAP営業利益、FCF、発行株式の希薄化を合わせて確認します。[1]
次四半期と通期の会社見通し
| 項目 | CRWD | ZS |
|---|---|---|
| 次四半期 | FY2027 Q3(2026年10月31日終了) | FY2027 Q1(2026年10月31日終了) |
| 次四半期売上高 | 15.232~15.292億ドル | 9.35~9.39億ドル |
| 次四半期非GAAP EPS | 0.31ドル | 1.15~1.16ドル |
| FY2027通期売上高 | 59.911~60.111億ドル | 39.08~39.38億ドル |
| FY2027期末ARR | 66.030~66.119億ドル | 43.96~44.26億ドル |
| FY2027通期非GAAP EPS | 1.25~1.26ドル(株式分割後) | 4.86~4.90ドル |
| FY2027の参考FCFマージン | 会社見通しの数値は本表では掲載しない | 23.0~23.5% |
CRWDは8月26日のQ2発表時にFY2027通期見通しを引き上げました。ZSは10月6日のInvestor Dayで9月3日に示したFY2027 Q1・通期見通しを据え置きました。[1][3]
株価評価:非GAAP利益だけで割安・割高は決められない
2026年10月7日終値をFY2027会社予想の非GAAP EPSで割ると、参考倍率はCRWDが約211~212倍、ZSが約43.6~43.9倍となります。CRWDのEPSは2026年7月の4対1株式分割を反映した数値です。[4][5]
両社は投資・買収・株式報酬が大きい成長企業であり、非GAAP EPSはGAAP利益と一致しません。売上高成長率、ARRの純増額、FCFマージン、株式報酬による希薄化、企業価値に対する売上倍率(EV/Sales)なども確認する必要があります。上記の参考倍率は売買判断を示すものではありません。
AI時代の成長テーマ:SOC統合とAIエージェントの安全性
CRWDはFalcon Platformを、端末の脅威検知からアイデンティティ、クラウド、データ、SIEMを横断する統合セキュリティ基盤へ広げています。2026年9月のFal.Conでは、複数領域を同時に調査するAgentic SOCなどを発表しました。製品の発表は将来の需要獲得を目指すものであり、売上への貢献額がすべて確定したわけではありません。[11]
ZSはZero Trust Exchangeを基盤に、通信・データ・ワークロード・AIエージェントまで対象を拡大しています。2026年9月にはZscaler Agentic SOCを発表し、従来のSSE/SASEを超えるセキュリティ運用市場への展開を進めています。2026年10月6日のInvestor Dayでは、AIによる新しい需要を成長機会として説明しました。[12][3]
技術的な違い:CRWDは「端末やIDに起きた異常を見つけて対応する」ことから発展し、ZSは「ユーザーやAIエージェントが必要なアプリにだけ安全に接続できる状態を保つ」ことから発展しました。今後は両社ともSOCやAI保護に進出するため、提携と競争が同時に進むと考える方が実態に近いでしょう。
リスク:成長率・買収・営業体制・システム障害
- CRWD:市場の成長期待が株価に強く織り込まれています。クラウドサービス障害や品質管理、2024年7月19日のFalcon関連インシデントに由来する訴訟・費用、買収統合リスクに注意が必要です。
- ZS:FY2026の25%増収にはRed Canary買収の影響が含まれ、買収効果を除いた売上成長率は20%です。買収統合、セキュリティ運用への事業拡大、設備投資によるFCFの変動を確認する必要があります。
- ZSの営業体制:2026年9月24日、Ross Tackettを最高収益責任者(CRO)に任命し、10月1日付で就任しました。大口顧客の獲得・営業生産性への影響は継続監視が必要です。[13]
- 共通:競争の激化、IT予算の先送り、顧客によるベンダー統合、AI関連需要の収益化の遅れ、株式報酬による株主の希薄化。
結論:CRWDとZSのどちらを選ぶべきか
端末・ID・クラウドと統合SOCを重視するならCRWD
CRWDはFY2027 Q2の期末ARRが58.4億ドル、純増ARRが3.328億ドルまで拡大しました。端末を起点とする幅広いセキュリティ機能とFalcon Flexの拡張余地が魅力です。一方、2026年10月7日の株価をFY2027非GAAP EPS会社予想で割った参考倍率は200倍を超えており、成長率が鈍化した場合の株価下落リスクには注意が必要です。
ゼロトラスト・SSE/SASEとデータ保護を重視するならZS
ZSはFY2026通期の売上高33.53億ドル、期末ARR37.71億ドルまで成長しました。Zero Trust Exchange、Z-Flex、AI・データセキュリティが中核テーマです。ただし、Red Canary買収の寄与を除いた成長率、設備投資とFCF、営業体制の変化を見極める必要があります。
総合すると、CRWDはエンドポイントと統合セキュリティ運用、ZSはゼロトラスト接続とデータ保護に強みがあります。2026年9月の提携拡大が示すように、両社は補完しながら一部領域では競います。両方を保有してもサイバーセキュリティ・ソフトウェアへのセクター集中は残るため、リスク分散と同義ではありません。
CRWDとZSに関するよくある質問
CRWDとZSは競合企業ですか
エンドポイント検知とゼロトラスト接続という中心領域は異なり、2026年9月には提携を拡大しました。ただし、SOC、クラウド保護、AIセキュリティなどでは競争領域もあります。
CRWDの株価が以前より大きく下がったのはなぜですか
2026年7月の4対1株式分割により、同じ企業価値でも1株当たりの表示株価がおおむね4分の1になりました。分割自体は企業価値や株主の持分総額を直接変えるものではありません。市場での値動きとは区別してください。
CRWDとZSの最新決算はいつですか
2026年10月8日時点で、CRWDはFY2027 Q2(8月26日発表)、ZSはFY2026 Q4(9月3日発表)が最新です。両社とも最新確定四半期は2026年7月31日終了です。
CRWDとZSは配当を支払っていますか
2026年10月8日時点で、両社とも普通株の現金配当を実施していません。成長投資、研究開発、買収などを重視する企業です。
どちらのFCFマージンが高いですか
直近2026年7月終了四半期はCRWDが約26%、ZSが約7%です。ただし、ZSの2026年度通期は23%で、最新四半期は設備投資の増加が影響しています。複数四半期を通じて比較する必要があります。
※本記事は2026年10月8日時点の公表資料を基に作成しています。株価、会社予想、ARR、評価倍率は変動します。調整後(非GAAP)利益はGAAP利益を代替するものではありません。特定銘柄の売買を推奨する記事ではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。
【注】(出典リンク)
- CRWD 2027年度Q2決算・ARR・非GAAP EPS・CF・2027年度見通し → CrowdStrike Q2 FY2027 Results(確認日:2026-10-08) ↩
- ZS 2026年度Q4・通期決算・Red Canary影響・CF → Zscaler Q4 and FY2026 Results(確認日:2026-10-08) ↩
- ZS 2026年10月6日Investor Day・2027年度ガイダンス維持 → Zscaler Investor Day, October 6, 2026(確認日:2026-10-08) ↩
- CRWD 2026年7月の4対1株式分割 → CrowdStrike FY2027 Q1 Results / Stock Split(確認日:2026-10-08) ↩
- CRWD・ZSの2026年10月7日終値 → CRWD Historical Prices → ZS Historical Prices(確認日:2026-10-08) ↩
- Falcon Platformの提供領域 → CrowdStrike Falcon Platform(確認日:2026-10-08) ↩
- Zero Trust Exchangeの事業領域 → Zscaler Zero Trust Exchange(確認日:2026-10-08) ↩
- CRWDとZSの2026年9月2日戦略的提携拡大 → Zscaler and CrowdStrike Expand Strategic Partnership(確認日:2026-10-08) ↩
- CRWD 2026年度通期業績・過年度売上 → CrowdStrike FY2026 Full Year Results → CrowdStrike Annual Reports(確認日:2026-10-08) ↩
- ZSの2025年度以前の売上高 → Zscaler FY2025 Full Year Results(確認日:2026-10-08) ↩
- CRWD 2026年9月のAgentic SOC発表 → CrowdStrike Agentic SOC, September 2, 2026(確認日:2026-10-08) ↩
- ZS 2026年9月のAgentic SOC発表 → Zscaler Agentic SOC, September 9, 2026(確認日:2026-10-08) ↩
- ZS 2026年10月の最高収益責任者交代 → Zscaler Appoints Ross Tackett as CRO(確認日:2026-10-08) ↩

