HD/LOWを比較:ホームデポとロウズカンパニーの違いとは
HDとLOWの違いを、2026年度第2四半期決算と10月7日の株価を基に比較します。(最終更新:2026年10月8日)
ホームデポ(The Home Depot, Inc.、NYSE:HD)とロウズ(Lowe’s Companies, Inc.、NYSE:LOW)は、米国ホームセンター業界の代表的企業です。株価、決算、配当金、利回り、業績の推移を比較し、それぞれの強みと今後の見通しを検討します。
関連記事:自サイト掲載の「ホームデポ(HD)の株価・決算」と「ロウズ(LOW)の株価・決算」も、各銘柄の個別分析として参照できます。
- 1. 株価:過去~現在
- 2. 決算(予想:結果)
- 3. 【ホームセンター対決】ホームデポ(HD)vs ロウズ(LOW)!業界最大手HDか、配当王LOWか?
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(VCR:Vanguard Consumer Discretionary ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
決算(予想:結果)
【ホームセンター対決】ホームデポ(HD)vs ロウズ(LOW)!業界最大手HDか、配当王LOWか?
最重要ポイント:得意な顧客層の違い
両社の事業モデルの違いは、Pro(建設・施工などの専門業者)とDIY(一般消費者)の比重です。
両社は米国の住宅補修・DIY・大型リフォーム需要を取り込み、株主還元を続けてきました。2026年度第2四半期では、HDが既存店売上の伸びで上回り、LOWは買収効果を含めた総売上高の伸びが上回りました。ただし、LOWは通期見通しを下方修正しており、両社の収益基調には違いがあります。[3][4]
比較サマリー:収益性のHD、連続増配のLOW
| 項目 | ホームデポ(HD) | ロウズ(LOW) |
|---|---|---|
| 市場地位 | 米国ホームセンター業界最大手 | 米国ホームセンター業界第2位 |
| 主な顧客と戦略 | Pro向け専門流通をSRS・GMS買収で拡大 | DIY基盤を維持し、ADG・FBM買収でPro強化 |
| 2026年度Q2売上高 | 478.61億ドル(前年比+5.7%)[3] | 259.56億ドル(前年比+8.3%)[4] |
| 2026年度Q2既存店売上 | +1.7%(米国内+1.3%)[3] | +0.2%(オンライン+15.7%)[4] |
| 2026年度Q2調整後EPS | 4.92ドル[3] | 4.40ドル(関税還付による+0.11ドルを含む)[4] |
| 配当実績 | 158四半期連続で現金配当(2026年9月支払分まで)[5] | 54年連続増配の配当王。2026年5月に増配を発表[6] |
| 四半期配当・年率換算 | 2.33ドル/9.32ドル[5] | 1.25ドル/5.00ドル[6] |
| 10月7日終値 | 285.77ドル[7] | 181.54ドル[7] |
| 年率換算配当利回り | 約3.26% | 約2.75% |
| FY2026予想調整後PER | 約18.7~19.5倍(会社EPS見通しベース) | 約14.8倍(会社EPS見通しベース) |
| 2026年度会社見通し | 売上+2.5~+4.5%、既存店横ばい~+2.0%、調整後営業利益率12.8~13.0%。Q2後も据え置き。[3] | 売上920億ドル、既存店横ばい、調整後営業利益率11.6%。Q2後に下方修正。[4] |
株価は米国市場2026年10月7日終値。予想配当利回りは「直近四半期配当×4÷株価」、予想PERは各社のFY2026調整後EPS会社見通しによる参考計算です。異なる会社のNon-GAAP調整には定義の差があるため、厳密に同一基準ではありません。[7]
業績と成長性の詳細分析
コロナ禍のDIY・リフォーム需要の拡大後、住宅ローン金利や住宅売買の停滞、大型改修の先送りが両社の成長を抑えてきました。2026年度第2四半期にはHDの既存店売上が1.7%増、LOWが0.2%増でした。HDの改善も、既存店客数が1.0%減った一方で平均客単価が2.8%増えた結果であり、数量面まで力強く回復したとはいえません。[3][4]
| 年・期 | HD 売上高(前年比) | LOW 売上高(前年比) |
|---|---|---|
| 2026年度Q2 HD:8月2日終了/LOW:7月31日終了 |
478.61億ドル +5.7% 既存店+1.7%、調整後EPS4.92ドル[3] |
259.56億ドル +8.3% 既存店+0.2%、調整後EPS4.40ドル[4] |
| 2026年度Q1 | 417.65億ドル +4.8%、既存店+0.6%[3] |
230.78億ドル +10.3%、既存店+0.6%[4] |
| 2025年度 | 約1,647億ドル +3.2% |
約862.86億ドル +3.1% |
| 2024年度 | 約1,595億ドル +4.5% |
約836.74億ドル -3.1% |
| 2023年度 | 約1,527億ドル -3.0% |
約863.77億ドル -11.0% |
| 2022年度 | 約1,574億ドル +4.1% |
約970.59億ドル 53週決算の影響あり |
| 2026年度見通し | 売上成長率+2.5~+4.5% 調整後営業利益率12.8~13.0% |
売上920億ドル 調整後営業利益率11.6% |
売上高は各社の会計年度ベース。FY2026 Q1・Q2は四半期、FY2022~FY2025は通期です。過年度は元記事の概数系列を維持し、最新の決算発表と年次資料で補っています。両社の決算締切日・会計週数が一致しない点に注意してください。[8]
HDの現況:Pro向け専門流通を取り込み、規模の優位を拡大
HDのFY2026 Q2(2026年8月2日終了)売上高は478.61億ドル、前年同期比5.7%増。GAAP純利益47.66億ドル、希薄化後EPS4.79ドル、調整後EPS4.92ドルでした。既存店売上は1.7%増、米国既存店は1.3%増です。[3]
- 既存店需要:平均客単価の上昇に支えられ、客数そのものは引き続き減少しています。
- Pro戦略:SRS・GMS買収で専門商材の販売経路が広がり、店舗以外の流通網が収益に貢献します。[1]
- 通期見通し:売上高成長率+2.5~+4.5%、既存店売上横ばい~+2.0%、調整後営業利益率12.8~13.0%を据え置きました。調整後EPSはFY2025の14.69ドル比で横ばい~4%増を見込んでいます。[3]
- リスク:大型改修需要の鈍さ、統合に伴う無形資産償却、調達・物流費と借入負担が利益率に及ぼす影響です。
LOWの現況:配当王の実績は強いが、通期見通しを下方修正
LOWのFY2026 Q2(2026年7月31日終了)売上高は259.56億ドル、前年同期比8.3%増。GAAP純利益23.99億ドル、希薄化後EPS4.27ドル、買収関連費用を調整したEPSは4.40ドルでした。既存店売上は0.2%増、オンライン売上は15.7%増です。[4]
- 買収効果と既存事業:ADG・FBMは売上を押し上げていますが、一般消費者の裁量的なDIY支出には弱さがあります。[2][4]
- 会社見通し引き下げ:FY2026売上予想を従来の920~940億ドルから920億ドル、既存店売上予想を横ばい~2%増から横ばいへ修正しました。調整後営業利益率は11.6%、調整後EPSは12.25ドルを見込みます。[4]
- 一時要因:Q2のGAAP・調整後EPSにはいずれもIEEPA関税還付による0.11ドルの押上げが含まれます。持続的な営業利益の改善と区別する必要があります。[4]
- 中長期の焦点:Pro向け流通とホームサービスの拡充が既存店成長、収益性、FCFにどこまで結び付くかです。
配当の詳細比較:配当王LOWの歴史 × HDの高いキャッシュ創出力
HDは2026年8月20日に四半期2.33ドルを宣言し、9月17日支払分で158四半期連続の現金配当となりました。LOWは2026年5月29日に四半期配当を1.20ドルから1.25ドルに増額し、54年連続増配とされる長期実績を更新しました。[5][6]
| 年・区分 | HD 年間配当(1株・ドル) | LOW 年間配当(1株・ドル) |
|---|---|---|
| 2026(見通し・年率換算) | 9.32ドル 四半期2.33ドル×4 |
5.00ドル 四半期1.25ドル×4 |
| 2026(10月8日時点の支払実績) | 6.99ドル 3・6・9月に各2.33ドル |
3.65ドル 2・5月各1.20ドル、8月1.25ドル ※11月1.25ドルは宣言済み・未払い |
| 2025(暦年支払額) | 9.20ドル | 4.70ドル |
| 2024(暦年支払額) | 9.00ドル | 4.50ドル |
| 2023(暦年支払額) | 8.36ドル | 4.30ドル |
| 2022(暦年支払額) | 7.60ドル | 3.70ドル |
| 2021(暦年支払額) | 6.60ドル | 2.80ドル |
| 2020(暦年支払額) | 6.00ドル | 2.25ドル |
「暦年支払額」はその年に実際に支払われた四半期配当の合計。「年率換算」は直近四半期配当×4であり、2026年に支払いが確定した年間配当額ではありません。2026年11月4日支払予定のLOW配当1.25ドルは2026年8月28日に宣言済みです。[5][6]
HD:直近の権利落ち日・基準日は2026年9月3日、支払日は9月17日(1株2.33ドル)。10月8日時点で次の四半期配当は未宣言です。
LOW:次回の権利落ち日・基準日は2026年10月21日、支払予定日は11月4日(1株1.25ドル)。[5][6]
2026年度上半期のキャッシュフローと配当余力
利益率や調整後EPSだけでなく、実際に生み出した現金で配当を賄えているか確認します。次の表は両社のFY2026上半期(2四半期累計)の財務諸表によるものです。[3][4]
| 指標(2026年度上半期) | HD | LOW |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー(Mドル) | 11,422 | 7,009 |
| 設備投資額(Mドル) | 1,724 | 1,063 |
| 簡易FCF=営業CF-設備投資(Mドル) | 9,698 | 5,946 |
| 現金配当支払額(Mドル) | 4,643 | 1,346 |
| 簡易FCF/配当カバー | 約2.09倍 | 約4.42倍 |
単位は百万ドル(Mドル)。簡易FCFは営業CFから設備投資額を差し引いた筆者計算値で、会社独自の調整後FCFとは異なる場合があります。小売業では季節性や運転資本の増減が大きく、上半期だけで通期の配当余力を判断しないでください。
HDの上半期営業CFは前年同期89.68億ドルから114.22億ドルに増加しました。一方、LOWの上半期営業CFは前年同期76.10億ドルから70.09億ドルへ減少しています。FCFカバー倍率は両社とも1倍以上ですが、LOWの高い倍率には配当総額と運転資本変動の違いも反映されており、単純に「LOWの財務がHDより格段に強い」とは結論づけられません。[3][4]
2026年の見通し:住宅市場が弱い中で、Pro戦略の差が出る
2026年10月時点でも、住宅売買の停滞と借入コストが大型リフォーム需要の回復を制約しています。HDはQ2後も会社計画を維持した一方、LOWは需要見通しを慎重化しました。この違いを踏まえると、短期的な業績の底堅さはHDに分があります。ただし両社とも大型リフォーム・DIYの広範な需要回復を前提とした業績予想ではありません。[3][4]
- HD:Pro向け専門流通の統合、既存店売上と客数の回復、調整後営業利益率12.8~13.0%の実現。
- LOW:Pro売上・オンライン・ホームサービスの強さを維持しながら、DIY需要と営業利益率を回復できるか。
- 共通:金利、住宅中古売買、住宅価格、建設労働費、関税・輸入コスト、資材価格、買収統合の費用を確認する必要があります。
結論:投資目的に応じた比較
両社の違いは、規模・Pro流通・相対的な収益性を重視するHDと、長期増配実績・Pro部門の追い上げを重視するLOWに整理できます。ただし、どちらも住宅需要や金利の影響を受け、配当の歴史だけで業績見通しが保証されるわけではありません。
「事業規模・収益性・Pro市場の競争力」を重視する場合:ホームデポ(HD)
HDは規模の優位、専門流通の買収、強い営業CFが特徴です。2026年度Q2は既存店売上が1.7%増とLOWを上回り、通期見通しを維持しました。10月7日終値ベースの予想配当利回りは約3.26%で、今回の比較ではLOWより高い水準です。ただし、買収後の利益率と負債負担を監視する必要があります。[3][7]
「配当継続の歴史とPro強化」を重視する場合:ロウズ(LOW)
LOWは54年連続増配という実績を持ち、2026年も四半期配当を1.25ドルに引き上げました。ただし、2026年度Q2後は会社見通しを引き下げています。10月7日終値ベースの予想配当利回りは約2.75%。利回りはHDより低く、今後の増配継続には販売数量と利益率の回復が重要です。[4][6][7]
ミニ解説:2026年10月時点の見方
10月7日終値からFY2026調整後EPS予想で試算した参考PERはHDが約18.7~19.5倍、LOWが約14.8倍です。LOWのPERは相対的に低いものの、通期会社見通しの下方修正や買収関連費用を踏まえる必要があります。割安性はPERや利回りだけでなく、既存店売上、利益率、FCF、買収の収益貢献とあわせて考えるのが適切です。[3][4][7]
※本ページは2026年10月8日(日本時間)までの公開情報に基づきます。業績見通しは将来の成果を保証しません。本記事は投資判断の参考情報であり、購入・売却を勧誘するものではありません。
【注】(出典リンク)
- HDによる専門流通事業買収 → Home Depot:SRS買収完了 → Home Depot:GMS買収完了(確認日:2026-10-08)。 ↩
- LOWのPro戦略・買収 → Lowe’s:ADG買収完了 → Lowe’s:FBM買収完了(確認日:2026-10-08)。 ↩
- HD FY2026第2四半期決算・財務・会社見通し → Home Depot IR:Q2 FY2026決算 → SEC提出決算資料(Exhibit 99.1)(確認日:2026-10-08)。 ↩
- LOW FY2026第2四半期決算・財務・会社見通し → Lowe’s:Q2 FY2026決算 → SEC提出決算資料(Exhibit 99.1)(確認日:2026-10-08)。 ↩
- HD配当履歴・2026年9月支払分 → Home Depot IR:Dividend History → Home Depot:2026年8月20日配当宣言(確認日:2026-10-08)。 ↩
- LOW配当増額・2026年11月支払予定 → Lowe’s:2026年5月29日増配発表 → Lowe’s:2026年8月28日配当宣言 → Lowe’s:配当履歴(日程照合)(確認日:2026-10-08)。 ↩
- 2026年10月7日終値 → HD:株価履歴 → LOW:株価履歴(確認日:2026-10-08)。 ↩
- 過年度決算・売上推移の出典 → Home Depot IR:Annual Reports → Lowe’s:Annual Reports → Lowe’s:FY2025 Form 10-K(確認日:2026-10-08)。 ↩


ミニ解説:既存店成長と買収成長を分ける
2026年度Q2の総売上高はHDが前年比5.7%増、LOWが8.3%増でした。しかし既存店売上はそれぞれ1.7%増と0.2%増です。LOWの二桁近くの総売上成長を「既存顧客の需要が急回復した」と解釈するのは適切ではありません。ADG・FBMの取り込み効果、買収関連費用、利益率を切り分けて評価する必要があります。[3][4]