PFE(ファイザー)今後の見通し

バイオ製薬&ゲノム,ヘルスケア,医療機器,株価•決算

ファイザー(Pfizer Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(JNJとPFEを比較:ジョンソンエンドジョンソンとファイザー)を参照

直近決算

PFE(ファイザー)は5月5日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想0.72$→結果0.75$
・売上高:予想138.4億$→結果145億$(前年同期比+6%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想2.96$→結果2.8~3$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。

企業概要

ファイザー(Pfizer Inc.:PFE)は、医療用医薬品とワクチンを中心に研究開発(R&D)・製造・販売をグローバルに展開する世界大手の製薬企業です。最新の年次報告(2025通期)および2026年Q1時点の開示では、オンコロジー、内科系疾患、炎症・免疫、ワクチン、病院向け医薬品・バイオシミラーなどを主要領域としています。2026年Q1からは商業組織の一部を再編し、オフパテントのブランド薬、無菌注射剤、バイオシミラーの一部を新設のGlobal Hospital and Biosimilars Divisionへ移管しています。[1]

企業理念「Breakthroughs that change patients’ lives」に基づき、研究開発を継続しています。2026年通期ガイダンスでは、調整後R&D費用を105億〜115億ドルと見込んでおり、オンコロジー、肥満症、免疫・炎症、ワクチンなどの重点領域に投資を振り向ける方針です。2026年には、Metsera由来の超長時間作用型肥満症候補薬や、3SBioから導入したPD-1×VEGF二重特異性抗体を含め、重要なピボタル試験を複数開始する計画が示されています。[2]

配当については、2026年も四半期配当0.43ドル/株を継続しています。2026年4月に発表された第2四半期配当は、2026年6月12日に支払予定で、ファイザーにとって350回連続の四半期配当となります。[3]

主な事業領域と製品は以下の通りです(“いつ時点”を併記)。

医薬品事業(オンコロジー、心血管・代謝、免疫、疼痛ほか)

イブランス(Ibrance):乳がん治療薬。特許・競争環境の影響を受ける成熟大型製品ですが、2026年Q1も主要製品の一つとして売上に貢献しています。[4]

エリキュース(Eliquis):ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)と共同の経口抗凝固薬。2026年Q1には、引き続き売上を支える主力製品でした。ただし、長期的には薬価交渉や特許満了後の競争が重要なリスクになります。[4]

ビンダケル/ビンダマックス(Vyndaqel/Vyndamax):トランスサイレチン型心アミロイドーシス治療薬。2025年通期および2026年Q1も、COVID関連製品の落ち込みを補う成長製品の一つとして位置づけられます。[4]

パドセブ(Padcev)/アドセトリス(Adcetris)/チブダック(Tivdak)/トゥキサ(Tukysa):2023年12月のSeagen買収で組み入れた抗体薬物複合体(ADC)を中心とするオンコロジー製品群です。2026年Q1には、PadcevなどのSeagen由来製品が成長に寄与しました。[5][4]

ヌルテックODT/ヴィドゥラ(Nurtec ODT/Vydura)ローブレナ(Lorbrena)ブラスボイ(Braftovi)+メクトビ(Mektovi)なども成長ドライバーとして位置づけられています。COVID関連製品の売上が正常化するなか、ファイザーは「新規上市・買収製品」の伸びを重視しています。2026年Q1には、これらの上市済み・買収製品の売上がオペレーショナルベースで22%増となりました。[4]

・(レガシー)リピトール(Lipitor)リリカ(Lyrica)エンブレル(Enbrel):主要特許切れ・地域別権利の違いを踏まえた成熟ブランドです。エンブレルは米国・カナダを除く地域でPfizerが権利を持ちます。[1]

ワクチン事業

コミナティ(Comirnaty):BioNTechと共同開発したCOVID-19ワクチンです。2025–2026シーズン向けには、LP.8.1系統に対応する製剤が米国で承認されました。ただし、2026年Q1のComirnaty売上は前年同期比で大きく減少しており、パンデミック期のような売上規模は前提にしにくくなっています。[6][4]

アブリスボ(Abrysvo):RSVワクチン。米国では高齢者向け、妊婦向け、新生児保護などで承認・推奨が進んできました。2025年4月には、ACIPが重症化リスクの高い50〜59歳成人にも推奨を拡大することを支持しました。2026年時点のCDC臨床ガイダンスでは、75歳以上のすべての成人、および重症化リスクのある50〜74歳成人に対してRSVワクチン接種が推奨されています。[7]

プレベナー20(Prevnar 20):肺炎球菌ワクチンとして各国で展開されています。成熟製品や競合品の影響を受けつつも、ファイザーのワクチン事業における主要ブランドの一つです。[1]

COVID-19治療薬

パクスロビド(Paxlovid):2023年5月に成人の高リスク患者向けCOVID-19経口治療薬としてFDAの通常承認を受けました。2026年Q1時点でも製品は継続していますが、COVID関連需要の正常化により、Comirnatyと同様に売上は大きく減少しています。2026年通期ガイダンスでは、ComirnatyとPaxlovidを合わせたCOVID関連製品売上を約50億ドルと見込んでいます。[8][2]

バイオテクノロジー/次世代治療

・遺伝子治療、免疫療法、ADC、二重特異性抗体、肥満症領域などに重点を置いています。Seagenの統合(2023年12月完了)によりオンコロジー研究・商業組織を強化し、2024年1月には新たなPfizer Oncology Divisionを稼働させました。[5]

・2025年7月には、3SBioとのグローバル(中国除く)ライセンス契約を完了し、PD-1×VEGF二重特異性抗体SSGJ-707(PF-08634404)の開発・製造・商業化権を取得しました。2026年の研究開発計画でも、同候補薬は重要なピボタル試験候補として位置づけられています。[9][2]

・2025年11月には、肥満症・心血管代謝領域のパイプラインを持つMetseraの買収を完了しました。Metsera由来の超長時間作用型肥満症候補薬は、2026年以降のピボタル試験や、2028〜2029年以降の成長候補として注目されます。ただし、会社側はこの買収について、追加投資のため2030年まで希薄化要因になる見込みも示しています。[10]

社史:1849年に創業。20世紀を通じて抗生物質・ワクチンなどで拡大し、2003年にPharmacia、2009年にWyethを買収するなど、大型M&Aで事業基盤を強化してきました。近年では、2023年12月のSeagen買収(総額約430億ドル)でオンコロジーを再加速させ、2025年11月のMetsera買収で肥満症領域にも再参入しました。[11][5][10]

足元業績(“いつ時点”):2025年通期は売上625.79億ドル、報告ベース希薄化後EPS1.36ドル、調整後希薄化後EPS3.22ドルでした。COVID関連製品を除く売上はオペレーショナルベースで6%増となり、COVID後の基礎事業の回復が確認されました。2026年Q1は売上144.51億ドル(前年同期比+5%)、報告ベース希薄化後EPS0.47ドル、調整後希薄化後EPS0.75ドルでした。2026年通期ガイダンスは、売上595億〜625億ドル、調整後希薄化後EPS2.80〜3.00ドルが据え置かれています。[2][4]

ひとことで:ファイザーはCOVID関連製品の特需後、オンコロジー(Seagen統合、Padcev、Adcetris、Tivdak、Tukysa)、心血管(Eliquis、Vyndaqel/Vyndamax)、ワクチン(Prevnar、Abrysvo、Comirnaty改良版)、肥満症・代謝(Metsera)で再成長を狙っています。2026年は売上成長がまだ力強い局面ではなく、薬価・特許切れ・COVID需要減・買収後投資の重さが課題です。一方で、調整後R&D費用105億〜115億ドルを維持し、コスト最適化とパイプラインの質で2028年以降の成長を作れるかが焦点です。[2][4]

【注】(出典リンク)

  1. 事業構成・主要製品・商業組織再編 → Pfizer 2025 Form 10-KPfizer Annual Reports(確認日:2026-05-10)
  2. 2026年Q1決算・2026年ガイダンス・R&D費用・COVID関連製品見通し → Pfizer Q1 2026 Earnings ReleasePfizer Quarterly Results(確認日:2026-05-10)
  3. 2026年四半期配当・350回連続四半期配当 → Pfizer Declares Second-Quarter 2026 Dividend(確認日:2026-05-10)
  4. 2026年Q1製品動向・上市済み/買収製品の成長 → Pfizer Q1 2026 Earnings ReleaseReuters Q1 2026 Results(確認日:2026-05-10)
  5. Seagen買収完了・オンコロジー組織強化 → Pfizer Completes Acquisition of SeagenSEC掲載プレスリリース(確認日:2026-05-10)
  6. Comirnaty 2025–2026シーズン承認更新 → FDA ComirnatyPfizer/BioNTech Comirnaty FDA Approval(確認日:2026-05-10)
  7. Abrysvo推奨拡大・RSVワクチンガイダンス → ACIP Votes to Expand Recommendation for Pfizer’s RSV Vaccine ABRYSVOCDC RSV Vaccine Guidance for Adults(確認日:2026-05-10)
  8. PaxlovidのFDA通常承認 → FDA Approves First Oral Antiviral for Treatment of COVID-19 in AdultsPfizer Paxlovid FDA Approval(確認日:2026-05-10)
  9. 3SBioライセンス契約・SSGJ-707/PF-08634404 → Pfizer Completes Licensing Agreement with 3SBioPfizer Enters Exclusive Licensing Agreement with 3SBio(確認日:2026-05-10)
  10. Metsera買収完了・肥満症パイプライン → Pfizer Completes Acquisition of MetseraPfizer to Acquire Metsera(確認日:2026-05-10)
  11. 社史・主要M&A → Pfizer HistoryPfizer 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-10)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢