レイ・ダリオのポートフォリオ(保有銘柄を一覧)
レイ・ダリオ(Ray Dalio)は米国の投資家であり、世界最大級のヘッジファンドで知られるブリッジウォーター・アソシエイツ(Bridgewater Associates)の創業者です。この記事では、ダリオ氏の歩みと投資哲学、そして同社の最新動向と公開株式ポジション(13F)を概観します。
レイ・ダリオの歩み

1949年8月8日にニューヨークで生まれ、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得後、いくつかの金融会社で経験を積みました。その後、1975年に自宅アパートの一室からブリッジウォーター・アソシエイツを設立します。
ブリッジウォーターは、長短の債務サイクルを含むマクロ経済の因果関係を体系化し、複数の資産クラスを横断して投資する「グローバルマクロ」戦略で知られます。社内文化では、ダリオ氏の著書『PRINCIPLES(プリンシプルズ)』でも知られる「徹底的な真実」と「徹底的な透明性(radical truth / radical transparency)」が長く重視されてきました。[1]
同社は「ピュア・アルファ」や「オール・ウェザー」などの戦略で、市場全体と低相関のリターンを目指して拡大しました。ダリオ氏は2017年に著書『PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則』を出版し、経営と投資の原則を広く共有しました。
経営移行:同社は段階的に創業者主導から次世代体制へ移行し、2022年10月4日に「移行完了」を公表しました。創業者個人に依存する体制から、次世代の経営陣・投資チームが運営する組織への転換を明確にした出来事です。[2]
【最新】2025年7月、ブリッジウォーターがダリオ氏関連の残存持分を買い戻し、ダリオ氏が取締役会からも退くことが報じられました。創業から約50年を経て、ダリオ氏はブリッジウォーターの資本関係・経営上の関与を実質的に終了したことになります。[3]
現在の体制(2026年5月時点):CEOはニア・バー・ディア(Nir Bar Dea)。投資面では、ボブ・プリンス(Bob Prince)、グレッグ・ジェンセン(Greg Jensen)、カレン・カルニオル=タンブール(Karen Karniol-Tambour)が共同CIO(Co-Chief Investment Officer)として掲載されています。[4] 取締役会には、ボブ・プリンス、グレッグ・ジェンセン、ニア・バー・ディアのほか、外部取締役・パートナー取締役が名を連ねています。[5]
資産運用について
レイ・ダリオは、リスクパリティの概念を基にした「オール・ウェザー(全天候型)」戦略の提唱者として知られています。これは、経済がどのような状況、たとえば好景気・不景気・インフレ・デフレのどれに傾いても、特定のシナリオに過度に依存しないことを目指す分散投資の考え方です。
トニー・ロビンズの著書などで紹介され、個人投資家向けの簡略化モデルとしてよく引用される配分例は以下の通りです。[6]
- 株式(S&P 500など):30%
- 長期米国債(20〜25年):40%
- 中期米国債(7〜10年):15%
- 金(ゴールド):7.5%
- コモディティ(商品):7.5%
この配分の特徴は、株式より価格変動が小さい傾向のある債券を厚めに組み入れ、ポートフォリオ全体のリスクをならそうとする点にあります。ただし、これはあくまで個人投資家向けに紹介された簡略版です。実際のブリッジウォーターの「All Weather」は、機関投資家向けの設計・運用手法を含むため、この単純な配分と完全に同じではありません。
補足:公募商品としては、ステート・ストリート(State Street Global Advisors)とブリッジウォーターが共同で設計したETF「SPDR Bridgewater All Weather ETF(ALLW)」が2025年3月に設定されました。ALLWは、ブリッジウォーターのオール・ウェザー型の考え方を、ETFという形で一般投資家にも利用しやすくした商品です。[7]
SSGA公式ページによれば、ALLWの設定日は2025年3月5日、上場日は2025年3月6日、グロス経費率は0.85%です。2026年5月7日時点の資産配分は、グローバル名目債券、グローバル株式、インフレ連動債、コモディティなどに分散されています。[8]
保有株式ポートフォリオ(13F・参考)
【重要】以下は米SECに提出されたForm 13Fに基づく、2025年12月31日時点(提出日:2026年2月13日)の「米国上場株式等のロング」ポジションです。通貨、債券、コモディティ、デリバティブ、ショートポジションなどは含まれず、同社全体の投資戦略を表すものではありません。[9][10]
同提出の13Fポートフォリオ価値は約274.2億ドル、保有銘柄数は1,040件です。[10] なお、13F上では現在も「Ray Dalio」の名前で集計サイトに表示されることがありますが、これは歴史的なラベルや著名投資家名としての表示であり、ダリオ氏本人が現在もブリッジウォーターを運営しているという意味ではありません。
| 順位 | 銘柄名 (ティッカー) |
ポートフォリオ比率 (13F内・概数) |
|---|---|---|
| 1 | SPDR S&P 500 ETF Trust(SPY) | 約 11.1% |
| 2 | iShares Core S&P 500 ETF(IVV) | 約 10.5% |
| 3 | NVIDIA(NVDA) | 約 2.6% |
| 4 | Lam Research(LRCX) | 約 1.9% |
| 5 | Salesforce(CRM) | 約 1.9% |
| 6 | Alphabet(GOOGL) | 約 1.8% |
| 7 | Microsoft(MSFT) | 約 1.7% |
| 8 | Amazon.com(AMZN) | 約 1.6% |
| 9 | Adobe(ADBE) | 約 1.6% |
| 10 | GE Vernova(GEV) | 約 1.6% |
※比率は13F提出情報を外部集計した表示に基づく概数です。13Fは米国上場株式等のロングポジションを中心とした制度開示であり、ブリッジウォーターのマクロ戦略全体を示すものではありません。[11]
最近の動向
運用成績(直近):報道ベースでは、ブリッジウォーターの旗艦戦略「Pure Alpha」は2025年通年で約33〜34%の大幅高となり、同社の50年の歴史でも非常に好調な年だったとされています。All Weatherや地域別戦略も好調だったと報じられていますが、これらは非公開ファンドの関係者情報に基づく報道であり、上場投信のように日々公式に確認できる数字ではありません。[12]
組織・ガバナンス:2025年7月にはダリオ氏関連持分の買い戻しと取締役会退任が報じられ、同社の創業者移行は最終段階を終えました。その後、同社は社員持分の拡大を進めているとも報じられています。創業者主導の会社から、経営陣・投資チーム・社員パートナーによる運営体制へ移ったことが、現在の大きな特徴です。[3][13]
AI関連の動き:ブリッジウォーターは投資プロセスへのAI活用にも注力しています。2026年3月には、同社のChief ScientistでAI関連研究を担ってきたJasjeet Sekhon氏がGoogle DeepMindに移る一方、ブリッジウォーターの取締役会には残ると報じられました。[14]
【注】(出典リンク)
- 文化・原則 → Bridgewater: Culture(一次情報)/ Principles: Radical Truth and Radical Transparency(関連情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- 経営移行完了 → Bridgewater: Bridgewater’s Completed Transition(一次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- ダリオ氏の残存持分売却・取締役退任 → Reuters(2025-07-31)(二次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- 現行の経営陣・共同CIO → Bridgewater: People(一次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- 取締役会 → Bridgewater: Our Board of Directors(一次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- オール・ウェザー配分の簡略版 → Forbes(2016)(二次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- ALLWの設定・商品概要 → State Street: Press Release(2025-03-06)(一次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- ALLWの最新ファンド情報 → SSGA: State Street Bridgewater All Weather ETF(ALLW)(一次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- Form 13F制度の概要 → SEC: Frequently Asked Questions About Form 13F(一次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- Bridgewaterの最新13F提出 → SEC: Form 13F-HR, Period of Report 2025-12-31(一次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- Q4 2025 13F上位保有銘柄・比率 → 13F.info: Bridgewater Associates Q4 2025 / InsideArbitrage: Bridgewater Associates Holdings(二次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- 2025年の運用成績報道 → Reuters(2025-12-31) / Reuters(2026-01-02)(二次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- 社員持分拡大の報道 → Reuters(2025-12-19)(二次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩
- AI関連人材・DeepMind移籍報道 → Reuters(2026-03-18)(二次情報)。確認日:2026-05-09。 ↩

