VとAXPを比較:ビザとアメックスの戦略の違いとは
VとAXPを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)
ビザ(Visa.inc)とアメリカンエキスプレス(American Express Inc.)はペイメント(決済)銘柄の代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(IYW:iShares US Technology ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
決算(予想:結果)と配当
配当に関しては、利回りと配当性向(一株配当÷EPS)を掲載しています。
決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照
★アメリカンエキスプレス(AXP)決算:予想と結果 売上&EPS
【決済ブランド対決】ビザ(V) vs アメックス(AXP)!ビジネスモデルを徹底解剖
世界中のキャッシュレス決済を支える巨大企業、ビザ(V)とアメリカン・エキスプレス(AXP)。両社は「クレジットカードのブランド」として一括りにされがちですが、そのビジネスモデルは根本的に異なります。この違いを理解することが、両社を正しく評価する鍵となります。
本記事では、「決済ネットワーク」に徹するビザと、「決済も融資も手掛ける」アメックスの業績、配当、そして将来性を、そのビジネスモデルの違いから徹底的に比較・分析します。
最重要ポイント:ビジネスモデルの決定的な違い
- ビザ (V) – オープンループ・ネットワーク
ビザ自身はカード発行や利用者への融資を行いません。世界中の銀行(発行会社)とお店(加盟店)を繋ぐ「決済ネットワーク(通信網)」を提供し、すべての取引から手数料を得る「通行料ビジネス」に徹しています。そのため、利用者が返済を滞らせる「貸し倒れリスク」を負いません。 - アメリカン・エキスプレス (AXP) – クローズドループ・ネットワーク
アメックスは自社でカードを発行し、自社のネットワークで決済を処理し、利用者への融資(リボ払いやキャッシング)も行います。つまり「銀行」に近いビジネスです。そのため、高い加盟店手数料と金利収入を得られる一方、「貸し倒れリスク」を自社で負います。
比較サマリー:ネットワークのV、銀行のアメックス
項目 | ビザ (V) | アメリカン・エキスプレス (AXP) |
---|---|---|
ビジネスモデル | 決済ネットワーク(テクノロジー企業) | 決済ネットワーク + カード発行・融資(金融企業) |
貸し倒れリスク | なし | あり |
顧客層 | 幅広い一般大衆 | 富裕層・高所得者層に強み |
連続増配年数 | 16年 | 12年 |
配当利回り(直近) | 約0.7% | 約1.2% |
業績と成長性の詳細分析
売上高では、貸付事業も手掛けるアメックスがビザを上回ります。しかし、営業利益率では、貸し倒れリスクや融資事業のコストがないビザが60%以上という驚異的な数値を叩き出しており、ビジネスモデルの効率性の違いが明確に表れています。
年 | ビザ 売上高 (前年比) | アメックス 売上高 (前年比) |
---|---|---|
2024 | $35.80 B (+9.9%) | $65.40 B (+9.1%) |
2023 | $32.57 B (+11.4%) | $60.01 B (+14.5%) |
2022 | $29.23 B (+21.6%) | $52.42 B (+24.9%) |
2021 | $24.04 B (+10.3%) | $41.97 B (+17.0%) |
2020 | $21.78 B | $35.87 B |
※B=10億ドル。両社は決算月が異なるため、各社会計年度に基づき比較しています。
配当の詳細比較:低利回り、高成長は共通
両社とも配当利回りは低いですが、これは株価の成長が著しいためです。本当の魅力は、毎年二桁近い力強い「増配率」にあります。アメックスの方が配当利回りは高いものの、近年の増配の勢いではビザが優っています。
年 | V 年間配当 (増配率) | AXP 年間配当 (増配率) |
---|---|---|
2024 | $2.08 (+15.6%) | $2.80 (+16.7%) |
2023 | $1.80 (+20.0%) | $2.40 (+15.4%) |
2022 | $1.50 (+17.2%) | $2.08 (+11.8%) |
2021 | $1.28 (+6.7%) | $1.86 (+4.5%) |
2020 | $1.20 (+20.0%) | $1.78 (+8.5%) |
配当については以下の関連記事を参照
結論:あなたに合うのはどちら?
両社の比較は、どのようなビジネスモデルを好むか、そしてどのようなリスクを許容できるかによって決まります。
「究極の通行料ビジネス」の安定性を買うなら → ビザ (V)
貸し倒れリスクを一切負わず、世界中の消費活動から利益を得るビジネスモデルは、他に類を見ないほど強力です。驚異的な利益率と安定した成長は、ポートフォリオの中核を成すのにふさわしい銘柄と言えます。テクノロジー企業としての側面に魅力を感じる投資家に向いています。
「富裕層向け金融サービス」のブランド力を買うなら → アメリカン・エキスプレス (AXP)
富裕層という優良な顧客基盤と、高いブランド力が強みです。景気後退期には貸し倒れリスクが顕在化しますが、それを管理し乗り越えてきた長い歴史があります。ウォーレン・バフェットが長年保有し続ける銘柄としても有名で、金融セクターへの投資として魅力を感じる投資家にとって、面白い選択肢となるでしょう。
※本ページの分析は2025年6月9日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。