【決済ブランド対決】ビザ(V) vs アメックス(AXP)!ビジネスモデルを徹底解剖

世界中のキャッシュレス決済を支える巨大企業、ビザ(V)アメリカン・エキスプレス(AXP)。両社は「クレジットカードのブランド」として一括りにされがちですが、そのビジネスモデルは根本的に異なります。この違いを理解することが、両社を正しく評価する鍵となります。

本記事では、「決済ネットワーク」に徹するビザと、「決済も融資も手掛ける」アメックスの業績、配当、そして将来性を、そのビジネスモデルの違いから徹底的に比較・分析します。

最重要ポイント:ビジネスモデルの決定的な違い

  • ビザ (V) – オープンループ・ネットワーク
    ビザ自身はカード発行や利用者への融資を行いません。世界中の銀行(発行会社)とお店(加盟店)を繋ぐ「決済ネットワーク(通信網)」を提供し、取引に応じた手数料を得る通行料ビジネスに徹しています。よって利用者の未払いに伴う貸し倒れリスクは原則負いません(清算・オペレーション上のリスクは別)。
  • アメリカン・エキスプレス (AXP) – クローズドループ・ネットワーク
    自社でカードを発行し、自社ネットワークで決済を処理、さらに利用者への融資(リボ/分割/キャッシング等)も行います。つまり決済ネットワークに銀行機能が重なるモデル。高い加盟店手数料と金利収入を得られる一方、景気局面では貸し倒れリスクを自社で負担します。

比較サマリー:ネットワークのV、銀行のアメックス

項目 ビザ (V) アメリカン・エキスプレス (AXP)
ビジネスモデル 決済ネットワーク(テクノロジー企業) 決済ネットワーク + カード発行・融資(金融企業)
貸し倒れリスク なし あり
顧客層 幅広い一般大衆 富裕層・高所得者層に強み
連続増配年数 17年 4年
配当利回り(直近株価ベース) 0.7%
年率$2.36($0.59×4)
1.0%
年率$3.28($0.82×4)

業績と成長性の詳細分析

売上高では、融資収益も取り込むアメックスが上回ります。一方で、ビザは営業利益率60%超という卓越した効率性を維持しており、ネットワーク特有の高収益体質が際立ちます。

ビザ 売上高(前年比) アメックス 売上高(前年比)
2024 $35.93 B (+10.0%) $65.90 B (+9.0%)
2023 $32.65 B (+11.4%) $60.50 B (+14.4%)
2022 $29.31 B (+21.6%) $52.90 B (+24.9%)
2021 $24.04 B (+10.3%) $42.38 B (+17.0%)
2020 $21.78 B $36.09 B

※B=10億ドル。ビザは会計年度(9月期)、アメックスは暦年で表記。

配当の詳細比較:低利回りだが高い増配力

両社とも利回りは低めですが、背景には高い利益成長と増配余地があります。アメックスは2025年に配当を$0.82へ引き上げ、4年連続増配。ビザは2024年に四半期配当を$0.59へ増額し、以後据え置きで推移しています。

V 年間配当(増配率) AXP 年間配当(増配率)
2024 $2.08 (+15.6%) $2.70 (+16.4%)
2023 $1.80 (+20.0%) $2.32 (+16.6%)
2022 $1.50 (+17.2%) $1.99 (+15.7%)
2021 $1.28 (+6.7%) $1.72 (0.0%)
2020 $1.20 (+20.0%) $1.72 (+7.8%)

関連記事:
ビザ(V)の配当推移
アメリカンエキスプレス(AXP)の配当推移

結論:あなたに合うのはどちら?

「究極の通行料ビジネス」の安定性を買うなら → ビザ (V)

貸し倒れリスクを負わず、世界の消費活動から通行料を徴収するモデル。営業利益率60%超の高い効率性が長期の株主価値を下支えします。テック寄りの高収益モデルを核にしたい投資家向け。

「富裕層向け金融サービス」のブランド力を買うなら → アメリカン・エキスプレス (AXP)

富裕層・高所得者中心の顧客基盤、年会費収入、割賦・リボ等の利息収入で成長。景気悪化局面では信用コスト上昇のリスクがある一方、近年は連続増配力強い増収を実現。金融セクターへの王道エクスポージャーを求める投資家に好適です。


※本ページの分析は2025年8月29日(日本時間)時点の公開情報に基づきます。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

  1. ビザ FY2024通期:Annual Report 2024(財務ハイライト) / PDF本文(売上$35.926B、EPS$9.73)公式AR
  2. アメックス 2024通期:IRリリース($65.9B、+9%) / 2024年年次報告書
  3. アメックス 2023通期:IRリリース($60.5B、+14%)
  4. アメックス 2022通期:$52.9B、+25%
  5. アメックス 2021/2020:StockAnalysis(年次 売上系列)
  6. ビザ 営業利益率の水準(参考):Macrotrends(直近約57%) / CompaniesMarketCap(2024年66.6%)
  7. ビザ 連続増配年数・配当ページ:Visa IR Dividends / 連続増配年数の参考 Dividend.com(17年)
  8. ビザ 配当$0.59への増額(2024年10月発表)および継続(2025年):2025年Q2報告書($0.59記載) / 2025年Q3リリース($0.59再掲)
  9. アメックス 配当引き上げ($0.70→$0.82, 2025/3/3):IRリリース