DHRとTMOを比較:ダナハーとサーモフィッシャーサイエンティフィックの違いとは

銘柄比較

DHRとTMOを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)

ダナハー(Danaher Corporation)とサーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific, Inc.)は医療機器製造メーカーです。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(VHT:Vanguard Health Care Index Fund ETFを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

株価推移や成長率比較については以下の関連記事を参照

DHR:ダナハー 今後の見通し

TMO:サーモフィッシャーサイエンティフィックの株価·配当·決算

決算(予想:結果)

決算の予想:結果については以下の関連記事を参照

ダナハー(DHR)決算:予想と結果 売上&EPS

サーモフィッシャーサイエンティフィック(TMO)決算:予想と結果 売上&EPS

【ライフサイエンスの巨人対決】ダナハー(DHR) vs サーモフィッシャー(TMO)!業績重視の徹底比較

長期投資家から絶大な人気を誇る、ライフサイエンス・ヘルスケア業界の2大トップ企業、ダナハー(DHR)サーモフィッシャー・サイエンティフィック(TMO)。両社はM&A(企業の買収)を繰り返して成長する「連続的買収企業」として知られていますが、その経営哲学と事業内容は大きく異なります。

本記事では、ご要望に基づき**業績を重視**して、この2社のビジネスモデル、収益性、そして将来性を徹底的に比較・分析します。

最重要ポイント:強さの源泉である「経営哲学」の違い

両社の本質的な違いは、その経営スタイルにあります。

  • ダナハー (DHR) →「DBS」という最強の経営システム
    ダナハーの強さの源泉は「ダナハー・ビジネス・システム(DBS)」と呼ばれる独自の経営改善手法です。買収した企業の無駄を徹底的に省き、収益性を極限まで高めるこの経営システムこそが、同社の競争優位性そのものです。そのため、ライフサイエンスに限らず、様々な科学技術分野の企業を買収・改善・売却(スピンオフ)して成長してきました。
  • サーモフィッシャー (TMO) → 科学界の「ワンストップショップ」
    サーモフィッシャーの戦略は、研究室で使われる試薬から最先端の分析機器、ソフトウェア、サービスまで、科学研究に必要なあらゆる製品を提供する「科学のワンストップショップ(百貨店)」となることです。研究者や製薬企業が「何か必要なら、まずサーモフィッシャー」と考えるほどの圧倒的な製品群と顧客関係が強みです。

比較サマリー:経営のDHR、製品のTMO

項目 ダナハー (DHR) サーモフィッシャー (TMO)
強みの源泉 経営改善システム「DBS」 科学研究分野での圧倒的な製品ラインナップ
主力事業 バイオテクノロジー、ライフサイエンス、診断 分析機器、試薬・消耗品、ラボサービス
成長戦略 M&AとDBSによる収益性改善 M&Aによる製品・サービスの拡充
配当利回り(直近) 約0.4% 約0.2%

業績と収益性の詳細分析

両社ともコロナ禍(検査薬やワクチン開発支援)で大きく業績を伸ばし、その後は成長が鈍化する調整局面にありますが、長期的な成長トレンドは揺らいでいません。売上規模ではサーモフィッシャーが上回りますが、営業利益率ではダナハーの経営効率の高さが光ります。

DHR 売上高 (営業利益率) TMO 売上高 (営業利益率)
2024 $23.89 B (19.8%) $42.86 B (16.2%)
2023 $26.65 B (22.1%) $42.92 B (17.5%)
2022 $31.47 B (25.1%) $44.92 B (21.9%)
2021 $29.45 B (26.3%) $39.21 B (25.1%)
2020 $22.28 B $32.22 B

※B=10億ドル。会計年度や基準により数値は多少変動します。

結論:あなたに合うのはどちら?

両社はともに長期投資における「黄金銘柄」と見なされることも多い超優良企業です。どちらを選ぶかは、どのような「強さ」に投資したいかによります。

「卓越した経営システム」そのものに投資するなら → ダナハー (DHR)

DHRへの投資は、特定の製品や市場というよりも、「DBS」というどんな企業でも高収益企業に変えてしまう魔法のような経営手法に投資することと似ています。時代の変化に応じて事業ポートフォリオを柔軟に入れ替えながら、今後も価値を創造し続けるでしょう。経営の「質」を最重要視する投資家にとって、最高の選択肢の一つです。

「科学と研究の未来」全体に投資するなら → サーモフィッシャー (TMO)

TMOへの投資は、ライフサイエンスや創薬研究の未来そのものに賭けることです。今後、人類が病気を克服し、新しい技術を生み出し続ける限り、それを支える「道具」を提供するTMOの需要は決してなくなりません。科学界の「Amazon」として、その圧倒的なプラットフォーム力に魅力を感じる投資家に向いています。


※本ページの分析は2025年6月10日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。

Posted by 南 一矢