MSFT(マイクロソフト)業績・配当推移:クラウドとAIが支える20年連続増配

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【2025年12月最新版】Microsoft (MSFT) 徹底分析:クラウドとAIが拓く成長・配当戦略

【2025年12月最新版】Microsoft (MSFT) 徹底分析:クラウドとAIが拓く成長・配当戦略

はじめに
Microsoft(マイクロソフト)は、かつての「Windowsの会社」から、クラウドサービス「Azure」と生成AIへの戦略的投資を核とする、テクノロジー業界の絶対的リーダーへと変貌を遂げました。
直近のFY2026 Q1(2025年7-9月期)では、売上高$77.7B・希薄化後EPS$3.72と堅調に推移し、クラウド/AI需要の強さが続いています。[1]
しかし、Microsoftの魅力は成長性だけではありません。同社は長期にわたり増配を継続する配当成長株でもあります。本記事では、年次はFY2025通期(2024年7月〜2025年6月)まで、四半期はFY2026 Q1(2025年7-9月期)までの最新データを基に、Microsoftが「成長」と「配当」をいかにして両立させているのか、そのビジネスモデルと財務戦略を整理します。

【免責事項および出典について】

  • 本記事の財務データは、主にMicrosoftが公表する公式資料(年次報告・決算資料、Form 10-K/10-Q相当の内容)に基づき作成しています。詳細な出典は記事末尾に記載。[3]
  • 記事内の成長率(CAGR)やマージン等の比率は、公式数値をもとに筆者が算出したものです。
  • 本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

1. 業績分析:クラウドとAIが牽引する成長

サティア・ナデラCEO就任以降、「クラウドファースト、モバイルファースト」戦略への転換が成功。直近ではAIへの積極投資が新たな成長エンジンとなり、Microsoftの業績は力強い拡大を続けています。

最新決算(FY2026 Q1:2025年7-9月期)ハイライト

  • 売上高: $77.7B(前年同期比 +18%)。
  • 営業利益: $38.0B(営業利益率 約48.9%)。
  • 純利益・EPS: 純利益 $27.7B、希薄化後EPS $3.72。

※いずれも3ヶ月累計(四半期)ベースです。[1]

1.1. 売上・利益・キャッシュフローの推移

会計年度 売上高(百万$) 営業CF(百万$) 純利益(百万$) EPS ($)(1株当たり利益)
2015 93,580 29,080 12,193 1.48
2016 91,154 33,325 16,798 2.10
2017 96,571 39,507 21,204 2.71
2018 110,360 43,884 16,571 2.13
2019 125,843 52,185 39,240 5.06
2020 143,015 60,675 44,281 5.76
2021 168,088 76,740 61,271 8.05
2022 198,270 89,035 72,738 9.65
2023 211,915 87,582 72,361 9.72
2024 245,122 118,548 88,136 11.56
2025 281,724 136,162 101,832 13.64
CAGR (年平均成長率)
過去10年(FY15→FY25) 11.3% 17.1% 24.1% 26.2%
過去5年(FY20→FY25) 14.9% 17.7% 18.2% 19.4%

出典:Microsoft公表資料(FY2015〜FY2025、監査済)。CAGRは筆者算出。[3]

  • 成長の再加速: クラウド/AIの牽引で、FY20→FY25の売上CAGRは14.9%と高水準。利益やEPSはそれ以上の伸びで、収益性の高い成長を継続。
  • 直近四半期も堅調: FY2026 Q1(2025年7-9月期)の売上は前年同期比+18%で推移。[1]
  • キャッシュ創出の拡大: FY25の営業CFは$136.2Bまで増加(FY20比で年率+17.7%)。[3]

1.2. 収益性:高水準の利益率を維持

Microsoftの強みは、法人向けSaaSとクラウドプラットフォームという高付加価値ビジネスにあります。

会計年度 売上総利益率 営業利益率 純利益率 営業CFマージン
2020 67.9% 37.0% 31.0% 42.4%
2021 68.9% 41.6% 36.5% 45.7%
2022 68.4% 42.1% 36.7% 44.9%
2023 69.0% 41.8% 34.1% 41.3%
2024 69.8% 44.7% 36.0% 48.4%
2025 68.8% 45.6% 36.1% 48.3%
FY2026 Q1(参考) 69.0% 48.9% 35.7% 58.0%

出典:FY2020〜FY2025は年次、FY2026 Q1は四半期(3ヶ月)ベース。いずれも公表値から筆者算出。[1][3]

  • 営業利益率45%台: FY25は営業利益率45.6%。さらにFY2026 Q1(四半期)は約48.9%と高水準。[1][3]
  • 強力なキャッシュ創出: FY25の営業CFマージンは約48%。巨額投資と株主還元を同時に可能にする原動力。[3]

2. 株主還元:連続増配(最新は

2. 株主還元:連続増配(最新は$0.91/四半期)

.91/四半期)

Microsoftは、成長企業でありながら株主還元にも非常に積極的です。

2.1. 配当成長の実績

増配の継続
20年以上

5年平均配当成長率
約10%

配当性向(年換算/FY2025 EPS基準)
約27%

年間配当(現行・年換算)
$3.64

  • 直近の増配: 2025年9月発表で四半期配当は$0.91へ増配(年換算$3.64)。[2]
  • 健全な配当性向: FY2025のGAAP EPS$13.64に対し、現行の年換算配当$3.64約27%(筆者算出)。今後も増配余地は十分と考えられます。[2][3]

2.2. 強固なキャッシュフローが生む配当余力

フリーキャッシュフローによる配当カバー

配当の安全性を見る上では、利益よりもフリーキャッシュフロー(FCF)が重要です。MicrosoftのFCF(営業CF−設備投資)は配当支払額を大きく上回り、FY2025のFCF配当カバー率は約3.0倍です。[3]
さらにFY2026 Q1(2025年7-9月期)は、FCF(四半期)約$25.7Bに対し現金配当(四半期)約$6.2Bで、四半期ベースのカバー率は約4.2倍(筆者算出)となっています。[1]

会計年度 フリーCF(百万$) 年間配当支払額(百万$) FCF配当カバー率
2020 45,234 15,394 2.9倍
2021 56,118 16,522 3.4倍
2022 65,149 18,135 3.6倍
2023 59,475 19,800 3.0倍
2024 74,071 21,771 3.4倍
2025 71,611 24,082 3.0倍

出典:年次の営業CF・投資額・配当支払より筆者算出(FY2020〜FY2025)。[3]

3. 財務健全性:規律ある資本政策

超大型買収やAIへの巨額投資を行いながらも、Microsoftは強固なバランスシートを維持しています。

会計年度 総資産(百万$) 株主資本(百万$) 自己資本比率 ROE (%)(自己資本利益率)
2021 333,779 141,988 42.5% 43.2%
2022 364,840 166,542 45.6% 43.7%
2023 411,976 206,223 50.1% 35.1%
2024 484,297 253,152 52.3% 34.1%
2025 619,003 343,479 55.5% 約33〜35%
2025年9月末(FY2026 Q1) 636,351 363,076 約57.1%

出典:FY2021〜FY2025は年次、2025年9月末は四半期末(未監査)。ROEは概算(平均自己資本を用いた筆者算出)。[1][3]

  • 自己資本比率は高水準: FY2025末で約55%、FY2026 Q1(2025年9月末)でも約57%と堅固な財務基盤。[1][3]
  • 高い資本効率: ROEは概ね30%台半ばを維持(年次ベース)。

4. 投資判断のヒント:Microsoftの強みとリスク

投資を検討する上で、強固な事業基盤と内在リスクの両面を把握しておきましょう。

Microsoftの強み (事業の優位性)

  • 多様な収益源: Azure(クラウド)、Microsoft 365/Copilot(AI・生産性)、Windows、LinkedIn、Xboxなどの多角ポートフォリオ。
  • AIの製品実装が早い: 生成AIを既存製品群に組み込み、法人利用の“実装フェーズ”を取り込みやすい。
  • クラウド(Azure)の成長性: AIワークロード需要を背景に、クラウドの重要性は継続。
  • 強固な法人顧客基盤: 長年のエンタープライズ営業基盤と信頼は高い参入障壁。

注意すべきリスク要因

  1. クラウド競争の激化: AWS/Google Cloudとの競争による価格・投資圧力。
  2. 規制強化: 反トラストやデータプライバシー規制の強化。
  3. 技術トレンドの変化: AI・プラットフォーム競争のスピードに継続対応が必要。
  4. 大型投資の負担: AIインフラ(データセンター等)への設備投資が増える局面では、短期的にFCFが振れやすい。

5. まとめ

Microsoftは、クラウドとAIを動力源とする高成長と、増配に象徴される株主還元を両立させる稀有な企業です。FY2025は年次で売上・利益・キャッシュ創出が拡大し、FY2026 Q1(2025年7-9月期)も堅調さを維持しています。[1][3]
競争・規制・設備投資負担といったリスクも織り込みつつ、ご自身の目標・許容度と整合する形で判断しましょう。

【注】(出典リンク)

  1. FY2026 Q1(2025年7-9月期)決算(売上・利益・CF・BS): Microsoft IR(Income Statements) / Microsoft IR(Cash Flows) / Microsoft IR(Balance Sheets) / Microsoft IR(Press Release & Webcast)(確認日:2025-12-28)
  2. 四半期配当$0.91(2025-09-15発表、増配): Microsoft Source(配当発表)(確認日:2025-12-28)
  3. 年次業績・財務(FY2015〜FY2025、監査済): Microsoft IR(Annual Reports) / Microsoft Annual Report 2025(AR25) / Microsoft IR(FY2025 Q4 Financial Statements)(確認日:2025-12-28)

変更箇所(今回)

  • タイトル表記:【2025年最新版】→【2025年12月最新版】(更新時点を明確化)。
  • 最新決算の反映:FY2025通期まで → FY2026 Q1(2025年7-9月期)まで(売上$77.7B、純利益$27.7B、希薄化後EPS$3.72等を追記)。
  • 株主還元の更新:最新配当 $0.83/四半期 → $0.91/四半期年間配当 $3.32 → $3.64(年換算)(2025-09-15の増配発表を反映)。
  • 配当性向の更新:約24% → 約27%(年換算/FY2025 EPS基準)(配当の現行水準を反映し再計算)。
  • 収益性表:FY2026 Q1(参考)の行を追加(最新四半期の粗利率・営業利益率・営業CFマージンを反映)。
  • 財務健全性:2025年9月末(FY2026 Q1)の行を追加(総資産・株主資本・自己資本比率の最新スナップショットを反映)。
  • 出典表記:本文末リンク集(生リンク)→ 脚注(【注】)に一本化(指定ルールに統一)。

Posted by 南 一矢