アマゾン(AMZN)の業績

AI(人工知能),ダウ30銘柄,業績,消費財





【2026年版】Amazon(AMZN)徹底分析:Eコマース、AWS、広告、AIで成長する巨人―FY2018-FY2025財務データと2026年Q2最新決算

【2026年版】Amazon(AMZN)徹底分析:Eコマース、AWS、広告、AIで成長する巨人―FY2018-FY2025財務データと2026年Q2最新決算

はじめに
Amazon(アマゾン)は、オンライン書店から始まり、現在ではEコマース、AWS、広告、Prime、デジタルコンテンツ、物流、AI、デバイスまでを抱える世界最大級のテクノロジー企業です。2025年通期は、総純売上高が7,169億ドル、営業利益が800億ドル、純利益が777億ドルとなり、AWSと広告の成長に加えて、北米・国際リテールの収益性改善が業績を押し上げました。[1]
さらに2026年Q2は、総純売上高が2,006億ドル、営業利益が275億ドルとなり、AWS売上は前年同期比37%増の422億ドルへ拡大しました。AWSの成長率は18四半期ぶりの高水準です。[2]
本稿では、FY2018~FY2025の通期財務データを中心に、2026年Q2までのAWS、広告、AI投資、キャッシュフロー、財務、規制リスクを投資家視点で整理します。

【免責事項および出典について】

  • 時系列データはAmazon.com, Inc.の公式IR、Form 10-K、Form 10-Q、決算リリース、年次報告書を優先して確認しています。FY2025は2026年2月提出の2025年Form 10-K、直近情報は2026年7月30日発表の2026年Q2決算リリースまでを反映しています。[1][2]
  • 一部の成長率、利益率、FCF、ROA、ROE、CAGRは、会社公表値をもとに筆者が概算しています。
  • FCFは、Amazonが開示で用いる「営業CF-固定資産購入+固定資産売却・インセンティブ等の受領」を基本にしています。
  • 本記事は公開情報に基づく分析であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身で行ってください。

会計年度について: Amazonの会計年度は毎年12月31日終了です。たとえば「FY2025」は2025年1月1日~2025年12月31日を指します。2026年Q2は2026年4月1日~6月30日です。

1. Amazonの長期的な業績:AWSと広告が牽引する持続成長と収益性の改善

Amazonの成長は、Eコマースの規模拡大だけでは説明できません。近年の重要な変化は、AWS、広告、サードパーティ販売者サービス、サブスクリプションが利益率を押し上げ、リテール事業の効率化と組み合わさっている点です。2025年通期の総純売上高は前年比12%増の7,169億ドル、営業利益は前年比17%増の800億ドルでした。[1]

1.1. 売上、セグメント別業績、利益、キャッシュフローの推移

FY2025は、北米、国際、AWSの全セグメントが増収となりました。AWS売上は1,287億ドル、広告サービス売上は686億ドルまで拡大し、Amazonの収益構造は「小売中心」から「小売+クラウド+広告+サブスクリプション」の複合モデルへ一段と移行しています。[3]

スマートフォンでご覧の場合、表は横にスクロールしてご確認ください。

会計年度 総純売上高
(十億ドル)
売上成長率
(前年比)
北米部門売上
(十億ドル)
国際部門売上
(十億ドル)
AWS売上
(十億ドル)
営業利益
(十億ドル)
純利益
(十億ドル)
FCF
(十億ドル)
FY2018 232.9 30.9% 141.4 65.9 25.7 12.4 10.1 8.4
FY2019 280.5 20.5% 170.8 74.7 35.0 14.5 11.6 21.7
FY2020 386.1 37.6% 236.3 104.4 45.4 22.9 21.3 26.0
FY2021 469.8 21.7% 279.8 127.8 62.2 24.9 33.4 (14.7)
FY2022 514.0 9.4% 315.9 118.0 80.1 12.2 (2.7) (16.9)
FY2023 574.8 11.8% 352.8 131.2 90.8 36.9 30.4 36.8
FY2024 638.0 11.0% 387.5 142.9 107.6 68.6 59.2 38.2
FY2025 716.9 12.4% 426.3 161.9 128.7 80.0 77.7 11.2
CAGR(年平均成長率)FY2018-FY2025
総純売上高 約17.4% FY2018の2,329億ドルからFY2025の7,169億ドルへ約3.1倍に拡大。
AWS売上高 約25.9% FY2018の257億ドルからFY2025の1,287億ドルへ約5.0倍に拡大。

FY2025のFCFは、営業CF1,395億ドル-固定資産購入額1,318億ドル+固定資産売却・インセンティブ等35億ドル=約112億ドルで概算。[4]

  • 総純売上高: FY2025は7,169億ドル。FY2018から約3.1倍に拡大しました。
  • AWS: FY2025売上は1,287億ドル、前年比20%増。2026年Q2は前年同期比37%増の422億ドルとなり、年換算売上規模は約1,690億ドルに達しました。[2]
  • 広告: FY2025の広告サービス売上は686億ドルでした。2026年Q2の広告売上は前年同期比26%増となり、AWSと並ぶ高成長・高付加価値事業として存在感が強まっています。[5]
  • 利益: FY2025の営業利益は800億ドル、純利益は777億ドルでした。ただし、純利益にはAnthropic関連投資などの非営業損益も影響しています。
  • FCF: FY2025のFCFは112億ドルへ低下しました。2026年Q2時点の直近12カ月では76億ドルの流出へ転じており、AI・クラウド設備への投資拡大が営業CFの増加を上回っています。[2]

1.2. セグメント別営業利益と収益性:AWSの高収益が全社を牽引

2025年通期のAWS営業利益は456億ドル、AWS営業利益率は約35.4%でした。2024年の37.0%からはやや低下したものの、依然として全社利益の中核です。一方、北米部門は296億ドル、国際部門は48億ドルの営業利益となり、リテール側の収益性改善も継続しました。[6]

会計年度 北米部門
営業利益(損失)
(十億ドル)
国際部門
営業利益(損失)
(十億ドル)
AWS部門
営業利益
(十億ドル)
全社
営業利益率
AWS部門
営業利益率
FY2019 7.0 (1.7) 9.2 5.2% 26.3%
FY2020 8.7 0.7 13.5 5.9% 29.8%
FY2021 7.3 (0.9) 18.5 5.3% 29.8%
FY2022 (2.8) (7.7) 22.8 2.4% 28.5%
FY2023 14.9 (2.7) 24.6 6.4% 27.1%
FY2024 25.0 3.8 39.8 10.8% 37.0%
FY2025 29.6 4.8 45.6 11.2% 35.4%
2026年Q2 9.1 1.7 16.6 13.7% 39.3%
  • AWS: 2026年Q2のAWS営業利益は166億ドルで、前年同期の102億ドルから約63%増加しました。AWS営業利益率は約39.3%です。[2]
  • 北米: 2026年Q2の営業利益は91億ドルでした。前年同期の75億ドルから増加しています。
  • 国際: 2026年Q2の営業利益は17億ドルで、前年同期の15億ドルから増加しました。国際部門は黒字基調を維持しています。

1.3. コスト構造と広告事業の伸長

Amazonの費用構造を見る際は、単純な小売業として見るより、物流企業、クラウド企業、広告企業、AIインフラ企業が一体化したものとして捉える必要があります。2025年はTechnology and infrastructure費用が1,085億ドルまで増えました。これはAWS、AI、データセンター、Amazon Leoなどを含む将来投資の色彩が強い費用です。[7]

会計年度 売上総利益率 フルフィルメント費率
対総売上
技術・インフラ費率
対総売上
販売・マーケ費率
対総売上
広告売上高
(十億ドル)
FY2021 42.0% 15.8% 12.4% 6.9% 31.2
FY2022 43.8% 16.7% 14.2% 8.2% 37.7
FY2023 47.0% 15.8% 14.9% 7.7% 46.9
FY2024 48.9% 15.4% 13.9% 6.9% 56.2
FY2025 50.3% 15.2% 15.1% 6.6% 68.6

売上総利益率は「総純売上高-Cost of sales」を総純売上高で割って概算。広告売上は「Advertising services」。[3][7]

  • 売上総利益率: FY2025は約50.3%。AWS、広告、サードパーティ販売者サービス、サブスクリプションの比率上昇が押し上げ要因です。
  • フルフィルメント費率: FY2025は15.2%。売上規模が拡大する中で、物流効率化の効果が見られます。
  • 技術・インフラ費率: FY2025は15.1%。2026年上半期のTechnology and infrastructure費用は627億ドルとなり、前年同期の502億ドルから約25%増加しました。[8]
  • 広告売上: FY2025は686億ドル。2026年Q2も前年同期比26%増となり、リテールメディア、動画広告、AIを活用した広告運用が成長を支えています。[5]

2. ビジネスモデル:Eコマース、クラウド、広告、AIが回す「フライホイール」

Amazonのビジネスモデルは、低価格、品ぞろえ、配送速度、Prime、第三者販売者、AWS、広告が相互に補完し合う「フライホイール」に特徴があります。2026年時点では、生成AIとAIエージェントがこのフライホイールのほぼ全体に組み込まれつつあります。

  • Eコマース: Amazon直販、サードパーティ販売者、FBA、Prime配送を組み合わせ、消費者と販売者の双方を囲い込みます。
  • AWS: コンピューティング、ストレージ、データベース、分析、AI、機械学習などを提供するクラウド事業です。2026年Q2のAWS売上は422億ドル、前年同期比37%増でした。[2]
  • 広告: Sponsored Ads、ディスプレイ広告、動画広告、Prime Video広告などが中心です。購買に近いデータを持つことが差別化要因です。
  • サブスクリプション: Prime、デジタル動画、音楽、オーディオブック、電子書籍などを含み、2025年通期のSubscription services売上は496億ドルでした。[3]
  • AI: AWS、広告、検索、物流、需要予測、レコメンド、Alexa、開発者向けサービスに広く組み込まれています。

3. 財務の健全性:投資拡大と負債調達をどう見るか

3.1. 資産・負債・資本の推移

FY2025末時点で、Amazonの総資産は8,180億ドル、総負債は4,070億ドル、株主資本は4,111億ドルでした。現金および市場性有価証券は1,230億ドルで、AI・AWS・物流への大規模投資を行いながらも、一定の財務余力を維持していました。[9]

会計年度末 総資産
(十億ドル)
総負債
(十億ドル)
株主資本
(十億ドル)
自己資本比率 現金及び
有価証券
(十億ドル)
FY2019 225.3 163.2 62.1 27.6% 55.0
FY2020 321.2 227.7 93.4 29.1% 84.4
FY2021 420.5 282.3 138.2 32.9% 96.0
FY2022 462.7 307.9 154.8 33.5% 70.0
FY2023 527.9 326.0 201.9 38.2% 86.8
FY2024 624.9 338.9 286.0 45.8% 101.2
FY2025 818.0 407.0 411.1 50.3% 123.0
  • 自己資本比率: FY2025末は約50.3%。2022年以降、利益蓄積により改善しています。
  • 現金及び有価証券: FY2025末は約1,230億ドル。内訳は現金・現金同等物868億ドル、市場性有価証券362億ドルです。[9]
  • 固定資産: Property and equipment, netはFY2025末に3,570億ドルへ増加しました。サーバー、ネットワーク機器、データセンター、物流設備への投資が反映されています。[10]
  • 負債調達: 2026年上半期には長期債の発行による調達額が約670億ドルとなりました。AI・データセンター投資の拡大に伴い、手元資金だけでなく外部調達も活用している点に注意が必要です。[11]

3.2. キャッシュフロー:営業CFは増加、FCFは流出へ

FCF(Amazon定義)=営業CF-固定資産購入+固定資産売却・インセンティブ等の受領

FY2025の営業CFは1,395億ドルと過去最高水準でした。一方、固定資産購入が1,318億ドルに急増したため、FCFは112億ドルへ低下しました。2026年Q2時点の直近12カ月では、営業CFは1,614億ドルまで増加したものの、固定資産購入が1,730億ドルに達したため、固定資産売却・インセンティブ等を加味したFCFは76億ドルの流出となりました。会社は、この悪化の主因をAI関連投資の増加と説明しています。[2]

期間 営業CF
(十億ドル)
固定資産購入
控除後
(十億ドル)
FCF
(十億ドル)
FCFマージン
対売上高
FY2019 38.5 16.8 21.7 7.7%
FY2020 66.1 40.1 26.0 6.7%
FY2021 46.3 61.0 (14.7) -3.1%
FY2022 46.8 63.7 (16.9) -3.3%
FY2023 84.9 48.1 36.8 6.4%
FY2024 115.9 77.7 38.2 6.0%
FY2025 139.5 128.3 11.2 1.6%
2026年Q2時点TTM 161.4 169.0 (7.6) マイナス

AmazonのFCFを見る際は、短期的な低下だけで判断するのではなく、投資がAWS、AI、物流効率、広告、サブスクリプションの成長に結びつくかを確認する必要があります。2026年上半期だけで固定資産購入は984億ドルとなり、前年同期の572億ドルから約72%増加しました。営業利益は伸びていますが、投資規模の拡大速度はさらに速く、FCFの回復時期は不透明です。[11]

4. 資本効率性と収益性:本業の改善と投資評価益を分けて見る

Amazonは2022年にRivian株式評価損や投資負担の影響で赤字となりましたが、2023年以降は大きく回復しました。FY2025のROAは約9.5%、ROEは約18.9%です。これは期末残高ベースの概算であり、Anthropic関連の非営業利益も純利益に影響している点には注意が必要です。[1][9]

会計年度 ROA
期末総資産ベース
ROE
期末自己資本ベース
営業利益率 コメント
FY2019 5.1% 18.6% 5.2% 成長投資を続けながら黒字拡大。
FY2020 6.6% 22.8% 5.9% パンデミック期の需要増が寄与。
FY2021 7.9% 24.2% 5.3% Rivian関連利益で純利益が大きく増加。
FY2022 -0.6% -1.7% 2.4% 投資負担と株式評価損で純損失。
FY2023 5.8% 15.1% 6.4% 利益回復局面。
FY2024 9.5% 20.7% 10.8% AWSと広告、北米収益性改善が寄与。
FY2025 9.5% 18.9% 11.2% 営業利益は増加。AI投資拡大でFCFは低下。

2026年Q2の純利益は626億ドルでしたが、この中には主としてAnthropic投資に関連する税引前の非営業利益534億ドルが含まれています。したがって、純利益だけを見ると本業の収益力を過大評価する可能性があります。2026年Q2の本業の改善度を確認する際は、営業利益275億ドル、AWS営業利益166億ドル、FCF76億ドルの流出をあわせて見る必要があります。[2]

5. AmazonのAI戦略:Bedrock、Quick、Trainium、Gravitonと全社実装

AmazonのAI戦略は、単に生成AIチャットボットを提供することではありません。AWSのクラウド基盤、独自AIチップ、Amazon Bedrock、業務用AIエージェント、Alexa、広告、物流最適化をつなげ、全社の事業効率と新規収益を高めることが狙いです。

  • AWSのAIスタック: Amazon Bedrockは、複数の基盤モデルを企業が利用・カスタマイズするためのサービスです。2026年Q2時点では数十万社が利用し、直近6カ月の新規顧客数はサービス開始後最初の2年間を上回ったと会社は説明しています。[12]
  • 独自チップ: Graviton、Trainium、Inferentia、Nitroなどの自社シリコンが、コスト効率と性能面で差別化要因になります。2026年Q2時点でAI事業とチップ事業は、それぞれ年換算売上250億ドル超に達し、いずれも前年比で3桁成長と説明されています。[12]
  • Graviton5: 2026年Q2までに一般提供を開始しました。Amazonによると、Graviton5はGraviton4より最大25%高い計算性能を提供し、上位1,000社のEC2顧客の98%がGravitonを利用しています。[12]
  • Amazon Quick: メール、カレンダー、ファイル、業務アプリを横断して検索・整理・自動化する企業向けAIワークコンパニオンです。従来の記事で記載していたAmazon Qの業務支援領域は、最新開示ではQuickを中心に説明されています。
  • Bedrock AgentCore: AIエージェントを安全かつ大規模に運用するための基盤です。2026年Q2には決済、Web検索、インフラ構築支援などの機能が追加されました。
  • コマース×AI: RufusとAlexa+を統合したAlexa for Shoppingを展開し、商品比較、価格履歴、価格通知、自動購入などの機能を提供しています。
  • 広告×AI: Ads Agentを複数国へ展開し、広告キャンペーンの設計、配信、管理を自動化しています。

2026年Q2のAWS売上は前年同期比37%増の422億ドルとなり、成長率は18四半期ぶりの高水準でした。AWSの年換算売上規模は約1,690億ドルに達しています。AI需要がAWSの成長再加速に寄与している一方、データセンター、電力、ネットワーク、AIチップへの投資負担も急速に増えています。[2]

6. 市場での強みとライバル:巨大エコシステムと規模の経済

Amazonの競争相手は一社ではありません。EコマースではWalmart、Costco、Target、Alibaba、Shein、Temuなど、クラウドではMicrosoft Azure、Google Cloud、Oracleなど、広告ではGoogle、Meta、TikTok、Apple、Netflixなど、生成AIではMicrosoft、Google、OpenAI、Anthropic、Metaなどと競合します。

Amazonの強み

  • Primeを核にした巨大な顧客基盤: 配送、動画、音楽、読書などを組み合わせ、顧客の利用頻度を高めています。
  • 物流網: 巨大なフルフィルメント網と配送網が、利便性と参入障壁を生みます。2026年上半期には、Prime会員向け即日・翌日配送の商品数が前年同期比で40%以上増加したと会社は説明しています。[12]
  • AWS: 世界最大級のクラウド事業であり、AI時代の計算需要を取り込めます。
  • 広告: 購買に近いデータを使えるリテールメディアとして、広告主にとって価値があります。
  • AIの実装範囲: AWSだけでなく、広告、物流、検索、サブスクリプション、デバイス、コンテンツにAIを横展開できます。
  • 事業間の相互補完: AI投資をAWSの外部顧客向けサービスに使うだけでなく、自社の小売、物流、広告、Alexa、開発業務にも利用できます。

注意すべきリスク

  • AI投資の回収: 2026年Q2時点の直近12カ月FCFは76億ドルの流出です。設備投資がAWS売上、広告効率、物流効率、新規AIサービス収益に結びつくかが最大の焦点です。
  • 電力・半導体・設備の制約: AIデータセンターの拡大には、電力、冷却設備、ネットワーク、メモリー、先端半導体の確保が必要です。
  • クラウド競争: Microsoft Azure、Google Cloud、Oracleなどとの競争が続きます。
  • 広告競争: Google、Meta、TikTok、CTV広告事業者との競争があります。
  • 規制リスク: 反トラスト、労働、データ、マーケットプレイス運営、広告表示、AI利用に関する規制が収益性に影響する可能性があります。
  • 投資評価益による純利益の変動: Anthropicなどの非上場投資の評価変動により、純利益が本業の変化以上に大きく動く可能性があります。
  • 負債と金利負担: 大規模な設備投資に伴い外部調達が増える場合、金利負担と財務レバレッジの変化を確認する必要があります。

7. FY2026年の見通し:AWS急加速とFCF悪化が同時進行

2026年Q2のAmazonは、総純売上高2,006億ドル、営業利益275億ドル、純利益626億ドルでした。純利益には主としてAnthropic投資に関連する税引前の非営業利益534億ドルが含まれているため、事業の実力を見る際には営業利益、AWSの成長率、キャッシュフローを優先して確認する必要があります。[2]

2026年Q2の主要トピック

  • 総純売上高: 2026年Q2は2,006億ドル、前年同期比20%増。
  • 北米: 売上は1,162億ドル、前年同期比16%増。営業利益は91億ドル。
  • 国際: 売上は422億ドル、前年同期比15%増。営業利益は17億ドル。
  • AWS: 売上は422億ドル、前年同期比37%増。営業利益は166億ドル。
  • 広告: 2026年Q2の広告売上は前年同期比26%増。
  • 純利益: 626億ドル。ただし、Anthropic関連を中心とする税引前の非営業利益534億ドルを含みます。
  • 営業CF: 2026年Q2時点の直近12カ月で1,614億ドル、前年同期比33%増。
  • FCF: 2026年Q2時点の直近12カ月で76億ドルの流出。前年同期は182億ドルの流入でした。
  • AI・チップ事業: それぞれ年換算売上250億ドルを超え、前年同期比で3桁成長。

2026年Q3会社予想

Amazonは2026年Q3について、総純売上高を1,970億~2,020億ドル、前年同期比9~12%増と予想しています。Prime Dayの実施時期が前年と異なる影響を除くと、成長率は会社予想より約4ポイント高くなると説明しています。営業利益予想は225億~265億ドルで、前年同期の174億ドルを上回る見通しです。[13]

投資家が注目すべきポイント

  • AWSの成長率: 2026年Q2の37%成長を、電力・半導体・データセンター供給の制約下でも維持できるか。
  • AWS利益率: AIインフラ投資を進めながら、約39%の高い営業利益率を維持できるか。
  • AI事業の収益化: 年換算売上250億ドル超のAI事業が、設備投資と減価償却費の増加を上回る利益を生み出せるか。
  • 広告売上: リテールメディア、Prime Video広告、Ads Agentがどこまで伸びるか。
  • FCF: 設備投資の増加で流出に転じたFCFが、中期的に回復するか。
  • 北米・国際リテール: 物流効率化と配送高速化を両立しながら、利益率改善が続くか。
  • 純利益の質: Anthropicなどの投資評価益を除いた本業利益の推移。
  • 財務負担: 大規模投資に伴う負債、支払利息、減価償却費の増加。
  • 規制・労務コスト: 反トラスト、労働環境、配送網、マーケットプレイス運営に関する規制の影響。

8. まとめ:AWSの急成長を巨額投資の回収につなげられるか

Amazonは、Eコマースの巨大企業であると同時に、AWS、広告、Prime、物流、AIインフラを持つ複合プラットフォーム企業です。FY2025は売上7,169億ドル、営業利益800億ドル、純利益777億ドルという実績を残しました。2026年Q2には売上2,006億ドル、営業利益275億ドルへ拡大し、AWSは前年同期比37%増と大きく加速しました。[1][2]

一方、2026年Q2時点の直近12カ月FCFは76億ドルの流出へ転じています。これは営業CFが弱いからではなく、固定資産購入が1,730億ドルに達し、AI・クラウドインフラ投資の増加が営業CFの伸びを上回ったためです。

総合的に見ると、AmazonはAI時代の有力企業の一角です。強みは、AWSというクラウド基盤、広告という高成長事業、Primeと物流による消費者接点、独自AIチップ、そしてAIを全社に実装できる事業範囲の広さにあります。

ただし、今後の評価は売上成長だけでは決まりません。AWSとAI事業の成長が巨額の設備投資、減価償却費、金利負担を上回り、FCFの回復につながるかが重要です。また、Anthropic関連の評価益によって純利益が大きく押し上げられているため、営業利益、AWS営業利益、営業CF、FCFを中心に本業の実力を確認する必要があります。

ミニ解説: 2026年Q2のAmazonは、AWSが37%成長し、営業利益も大きく増加しました。一方で、AI設備投資の急増により、直近12カ月FCFは76億ドルの流出です。今後の最大の論点は、AWSとAI事業の急成長を、投資回収とFCF回復につなげられるかです。

【注】(出典リンク)

  1. FY2025通期業績・10-K → Amazon.com, Inc. 2025 Form 10-K(SEC)Amazon Annual Reports(確認日:2026-08-06)
  2. 2026年Q2売上・利益・AWS・営業CF・FCF → Amazon.com Announces Second Quarter Results(2026年7月30日)Amazon Q2 2026 Earnings Conference Call(確認日:2026-08-06)
  3. FY2025セグメント別売上・広告・サブスクリプション → Amazon 2025 Form 10-K, Segment Information(確認日:2026-08-06)
  4. FY2025営業CF・固定資産購入・FCF → Amazon 2025 Form 10-K, Consolidated Statements of Cash Flows(確認日:2026-08-06)
  5. 2026年Q2広告成長率 → Amazon Q2 2026 Earnings Release(確認日:2026-08-06)
  6. FY2025セグメント別営業利益 → Amazon 2025 Form 10-K, Reportable Segments(確認日:2026-08-06)
  7. FY2025費用構造・Technology and infrastructure → Amazon 2025 Form 10-K, Consolidated Statements of Operations(確認日:2026-08-06)
  8. 2026年上半期費用構造 → Amazon Q2 2026 Consolidated Statements of Operations(確認日:2026-08-06)
  9. FY2025貸借対照表・現金及び有価証券 → Amazon 2025 Form 10-K, Consolidated Balance Sheets(確認日:2026-08-06)
  10. FY2025固定資産 → Amazon 2025 Form 10-K, Note 3―Property and Equipment(確認日:2026-08-06)
  11. 2026年上半期固定資産購入・長期債調達 → Amazon Q2 2026 Consolidated Statements of Cash FlowsAmazon SEC Filings(確認日:2026-08-06)
  12. 2026年Q2 AI・チップ・Bedrock・Graviton・物流・広告の事業更新 → Amazon Q2 2026 Earnings Release, Business Highlights(確認日:2026-08-06)
  13. 2026年Q3会社予想 → Amazon Q2 2026 Earnings Release, Financial Guidance(確認日:2026-08-06)

変更箇所(今回)

  • 直近情報「2026年Q1」→「2026年Q2」/2026年7月30日発表の最新決算を反映。
  • 2026年Q1売上1,815億ドル→2026年Q2売上2,006億ドル/最新四半期へ更新。
  • 2026年Q1営業利益239億ドル→2026年Q2営業利益275億ドル/最新決算を反映。
  • 2026年Q1純利益303億ドル→2026年Q2純利益626億ドル/最新数値へ更新。
  • Anthropic関連税引前利益168億ドル→主としてAnthropic関連の非営業利益534億ドル/2026年Q2の開示に修正。
  • AWS売上376億ドル・前年比28%増→422億ドル・前年比37%増/AWSの成長加速を反映。
  • AWS成長率「15四半期ぶり」→「18四半期ぶり」/2026年Q2会社説明に修正。
  • AWS営業利益142億ドル→166億ドル/2026年Q2へ更新。
  • AWS営業利益率を約39.3%として追加/AWS売上と営業利益から概算。
  • 広告のTTM売上700億ドル超→2026年Q2広告売上前年比26%増/最新の会社開示へ更新。
  • AIチップ事業の年換算売上200億ドル超→AI事業・チップ事業がそれぞれ250億ドル超/2026年Q2開示へ更新。
  • TTM営業CF1,485億ドル→1,614億ドル/2026年6月末時点へ更新。
  • TTM FCF12億ドル→76億ドルの流出/固定資産購入の急増を反映。
  • TTM固定資産購入を1,730億ドルとして追加/FCF悪化の規模を明確化。
  • 2026年上半期の固定資産購入984億ドルを追加/投資拡大速度を明示。
  • 2026年上半期の長期債調達約670億ドルを追加/設備投資と資金調達の関係を補足。
  • 「Amazon Q」を中心とする説明→Amazon Quick、Bedrock AgentCore、Kiro、Graviton5を含む最新AI戦略へ更新。
  • Graviton5、Alexa for Shopping、Ads Agentなどを追加/2026年Q2の事業アップデートを反映。
  • Project Kuiper表記→Amazon Leo/最新の会社表記に修正。
  • 2026年Q1見通し中心の章→2026年Q2実績と2026年Q3会社予想中心へ再構成。
  • 2026年Q3売上予想1,970億~2,020億ドル、営業利益予想225億~265億ドルを追加/最新の会社ガイダンスを反映。
  • 財務健全性の評価「厚い手元流動性と投資余力」→「投資拡大と負債調達をどう見るか」/FCF流出と外部調達増加を踏まえて見出しを修正。
  • まとめの論点を「AI時代の成長フロンティア」→「AWSの急成長を巨額投資の回収につなげられるか」へ変更/最新決算では成長とFCF悪化が同時進行しているため。
  • 脚注の確認日2026-05-02→2026-08-06/今回の確認日に統一。


Posted by 南 一矢