DOW:ダウ・インクの配当推移

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【2026年10月版】ダウ・インク(DOW)の配当利回りと業績分析|Q3決算と減配後の安全性

【2026年10月版】ダウ・インク(DOW)の配当利回りと業績分析|Q3決算と減配後の安全性

【2026年10月23日更新】

10月22日公表の2026年Q3決算、10月15日に宣言された12月配当、2026年1~9月のFCF・配当支払額・債務残高、Q3のセグメント別実績、10月21日終値基準の利回り、Transform to Outperformの進捗を追加しました。[1][2]

Q3は売上高112.67億ドル(前年同期比13%増)、営業EPS0.71ドル、営業EBIT8.87億ドル、FCF11.33億ドル。Q2より利益は減少しましたが、FCFは増加しました。販売数量は前年同期比1%減で、価格上昇とコスト削減が回復の中心です。[1]

ダウ・インク(Dow Inc.、ティッカー:DOW)の配当利回り、配当削減後の安全性、株価、キャッシュフロー、負債、化学市況の回復度を確認します。

Dowは2025年7月に四半期配当を0.70ドルから0.35ドルへ50%削減しました。2026年10月15日には四半期0.35ドルを再度宣言し、12月11日の支払いを予定しています。現行年率配当は1.40ドルで、2026年の宣言済み配当合計も1.40ドルです(12月分は未支払い)。[2]

配当利回りと株価の推移:3か月チャート

最新配当と権利落ち日

宣言日 1株配当 基準日 権利落ち日
通常ルール
支払日 連続支払回数
2026年10月15日 0.35ドル 2026年11月30日 2026年11月30日(通常ルール) 2026年12月11日(予定) 461回目(予定)
2026年8月12日 0.35ドル 2026年8月31日 2026年8月31日 2026年9月11日 460回目
2026年4月9日 0.35ドル 2026年5月29日 2026年5月29日 2026年6月12日 459回目
2026年2月12日 0.35ドル 2026年2月27日 2026年2月27日 2026年3月13日 458回目
2025年10月9日 0.35ドル 2025年11月28日 2025年11月28日 2025年12月12日 457回目
2025年7月24日 0.35ドル 2025年8月29日 2025年8月29日 2025年9月12日 456回目
2025年4月10日 0.70ドル 2025年5月30日 2025年5月30日 2025年6月13日 455回目

※米国株の通常の現金配当では、T+1決済移行後、基準日が営業日であれば原則として基準日と権利落ち日が同日になります。証券会社の表示を取引前に確認してください。[3]

2026年12月配当は宣言済み、支払い前です。

2026年10月15日に1株0.35ドルを宣言。基準日は11月30日、支払予定日は12月11日です。11月30日が取引営業日であることを前提に、通常ルール上の権利落ち日も同日となる見込みです。証券会社・取引所の確定表示を優先してください。[2][3]

年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS

年間配当とEPSの推移を確認します。Dowは2019年にDowDuPontから分離して現在の上場企業となったため、比較対象は原則として2019年以降とします。

年・期間 配当 平均株価/
基準日株価
GAAP EPS 営業EPS
参考利回り 成長率 配当性向 年計
2026年1~9月 約4.61%
10/21終値基準
0%
四半期単価
約52%
営業EPS比・1~9月
1.05
支払済み
1.40
宣言済み年間合計・現行年率
30.38
2026/10/21終値
0.88
1~9月
2.01
Q1~Q3合算
2026年上半期 約4.69%
7月24日現在
0%
四半期単価
約54%
営業EPS比
0.70
上半期

1.40
現行年率
29.84
7月24日
0.25 1.30
2025 約7.78% -25%
年間合計
N/A
赤字
2.10 26.98 -3.70 -0.94
2024 約5.29% 0% 約178%
GAAP EPS比
2.80 52.9 1.57 1.71
2023 約5.23% 0% 約341% 2.80 53.5 0.82 ―
2022 約5.01% 0% 約45% 2.80 55.9 6.28 ―
2021 約4.59% 0% 約33% 2.80 61.0 8.38 ―
2020 約6.36% +33% 約171% 2.80 44.0 1.64 ―
2019 約4.17% 分離後初年度 N/A 2.10 50.4 -1.84 ―

※2025年の年間支払額は0.70ドル×2回+0.35ドル×2回=2.10ドルです。2026年1~9月の支払済み配当は1.05ドル、10月15日宣言の12月分0.35ドルを加えた2026年宣言ベースの年計は1.40ドルです。現行年率1.40ドルは過去12か月の実際の支払額ではありません。2026年10月21日終値30.38ドルに対する参考利回りは約4.61%です。[2][4]

2025年の配当削減と新しい配当政策

Dowは2025年7月24日、四半期配当を0.70ドルから0.35ドルへ50%削減しました。会社は、化学業界の低迷が長期化し、利益とキャッシュフローが従来想定より低い状態が続いていることを理由に挙げています。

配当削減によって、年間の1株配当負担は2.80ドルから1.40ドルへ低下しました。2026年Q2の加重平均株式数約7.24億株を基準にすると、年間の現金支出削減効果は概算で約10億ドルです。

2025年は年間2.10ドルを支払いましたが、2026年以降に四半期0.35ドルを維持した場合、年間支払額は1.40ドルへ低下します。

「配当削減率」と「年間配当の減少率」は異なります。

  • 四半期配当単価:0.70ドルから0.35ドルへ50%減。
  • 2025年年間配当:2.80ドルから2.10ドルへ25%減。
  • 2026年の現行年率:1.40ドル。2024年比では50%減。

配当成長率の変遷

  • 2019年:分離後の上場会社として配当を開始。年間2.10ドル。
  • 2020年:年間2.80ドルへ引き上げ。
  • 2021~2024年:年間2.80ドルで据え置き。
  • 2025年:Q3から四半期0.35ドルへ減額。年間合計は2.10ドル。
  • 2026年:上半期も四半期0.35ドルを維持。現行年率1.40ドル。

2023年と2024年は、GAAP利益に対する配当性向がそれぞれ約341%、約178%に達しました。利益水準が配当を支えられない状態でも年間2.80ドルを維持したため、配当削減の可能性は徐々に高まっていました。

2025年には営業EPSがマイナス0.94ドル、FCFがマイナス14.17億ドルとなり、配当支払額約15億ドルを事業キャッシュフローで賄えませんでした。減配は財務悪化に対応するための配当政策のリセットだったと評価できます。[5]

2026年1~9月の配当性向

2026年1~9月のGAAP希薄化後EPSは0.88ドルで、同期間の支払済み配当1.05ドルを下回ります。一方、営業EPSはQ1-0.14ドル、Q2 1.44ドル、Q3 0.71ドルの合計2.01ドルで、営業EPSに対する配当性向は約52%です。GAAPと調整後利益の差に加え、景気循環の影響も考慮する必要があります。[1]

GAAP EPSには、Transform to Outperform関連費用、Sadara保証債務の調整、税務項目などが含まれています。そのため、本業の配当負担を見るには営業EPSとFCFを併用する必要があります。

【Q3は配当をFCFで4.48倍カバー】

2026年Q3のFCF11.33億ドル、配当支払額2.53億ドルで約4.48倍、2026年1~9月はFCF24.46億ドル、配当支払額7.58億ドルで約3.23倍です。ただしQ1のNOVA Chemicals関連の一時入金約10億ドルを単純控除した場合、9か月間の参考カバー率は約1.91倍です。[1][6]

上半期FCFには一時的な入金が含まれます。

2026年Q1の営業CFには、NOVA Chemicalsとの訴訟に関連して受け取った税引き後約10億ドルの現金が含まれます。この一時入金を考慮すると、上半期FCFの見た目ほど基礎的な配当余力が強いとは限りません。Q2単独ではFCFが配当を約2.7倍カバーしており、今後は下半期にも同様のキャッシュ創出を継続できるかが重要です。[6]

財務パフォーマンスと成長見通し

主要財務指標の推移

年度・期間 売上高
(Mドル)
営業CF
(Mドル)
営業CF
マージン
Dow普通株主
帰属損益
営業EPS FCF
(Mドル)
2026年Q3 11,267 1,839 16.3% 458 0.71 1,133
2026年1~9月 33,153 4,287 12.9% 646 2.01 2,446
2026年Q2 12,092 1,324 11.0% 721 1.44 692
2026年上半期 21,886 2,448 11.2% 188 1.30 1,313
2026年Q1 9,794 1,124 11.5% -533 -0.14 621
2025 39,968 1,062 2.7% -2,623 -0.94 -1,417
2024 42,964 2,903 6.8% 1,116 1.71 -37
2023 44,622 5,196 11.6% 589 ― ―
2022 56,902 7,475 13.1% 4,582 ― ―
2021 54,968 7,009 12.8% 6,311 ― ―
2020 38,542 6,226 16.2% 1,225 ― ―
2019 42,951 5,930 13.8% -1,359 ― ―

※単位は百万ドル(EPSはドル)。営業CFとFCFは継続事業ベース。Dow普通株主帰属損益は非支配持分控除後のGAAP損益で、Q3の連結純利益525百万ドルとは異なります。2026年1~9月の営業EPS2.01ドルは四半期値合計(-0.14+1.44+0.71)の概算です。FY2019以降の長期系列は元記事を維持しています。[1]

2025年通期:赤字とマイナスFCF

2025年通期の売上高は399.68億ドルで、2024年の429.64億ドルから約7%減少しました。GAAP純損失は24.44億ドル、Dow普通株主に帰属する純損失は26.23億ドルでした。

2025年の営業EPSはマイナス0.94ドル、営業EBITは4.22億ドル、営業EBITDAは32.56億ドルでした。2024年の営業EBIT25.88億ドル、営業EBITDA54.82億ドルから大幅に悪化しています。[5]

営業CFは10.62億ドルまで低下し、設備投資24.79億ドルを差し引いたFCFはマイナス14.17億ドルとなりました。配当支払額は約15億ドルであり、配当と設備投資を内部キャッシュだけでは賄えない状態でした。

2026年Q1:本業は赤字、一時入金でFCFを確保

2026年Q1の売上高は97.94億ドル、GAAP純損失は4.45億ドル、営業EPSはマイナス0.14ドルでした。

一方、営業CFは11.24億ドル、FCFは6.21億ドルとなりました。ただし、営業CFにはNOVA Chemicals関連の税引き後約10億ドルの入金が含まれています。

本業はまだ赤字でしたが、コスト削減と供給制約による価格環境の改善が3月から現れ始め、Q2の収益回復につながりました。

2026年Q2:黒字へ急回復

  • 売上高:120.92億ドル、前年同期比20%増。
  • 現地通貨価格・製品構成:前年同期比20%上昇。
  • 為替:1%のプラス。
  • 販売数量:1%減。
  • GAAP純利益:8.02億ドル。
  • Dow普通株主帰属利益:7.21億ドル。
  • GAAP EPS:0.99ドル。
  • 営業EPS:1.44ドル。
  • 営業EBIT:16.48億ドル。
  • 営業EBITDA:23.12億ドル。
  • 営業CF:13.24億ドル。
  • FCF:6.92億ドル。

Q2の回復は大幅でしたが、売上増加の中心は数量ではなく価格です。中東情勢による供給制約、ポリエチレン価格の上昇、設備停止、会社の価格改定が利益率を押し上げました。

2026年Q2の実績・セグメント数値・上半期値は7月23日発表のQ2公式資料とForm 10-Qに基づきます。[7]

数量が1%減少しているため、世界的な最終需要が全面的に回復したと判断するのは早い段階です。供給制約が解消して製品価格が下落した場合、Q2の高い利益率が維持できない可能性があります。

2026年Q2の事業別業績

事業セグメント 売上高
(Mドル)
前年比 価格・構成 数量 営業EBIT
(Mドル)
Packaging &
Specialty Plastics
6,385 +27% +30% -4% 1,278
Industrial Intermediates
& Infrastructure
3,166 +14% +15% -2% 246
Performance Materials
& Coatings
2,361 +11% +4% +6% 133

Packaging & Specialty Plastics

売上高は63.85億ドルで、前年同期比27%増加しました。ポリエチレン価格上昇により価格・製品構成は30%のプラスとなりましたが、計画修繕などにより数量は4%減少しました。

営業EBITは前年同期の0.71億ドルから12.78億ドルへ急増しました。DowのQ2利益回復の大部分をこの部門が担っています。

Industrial Intermediates & Infrastructure

売上高は31.66億ドル、営業EBITは2.46億ドルでした。前年同期の営業赤字1.85億ドルから黒字へ回復しています。

価格上昇、コスト削減、計画修繕費の低下、Sadaraの持分損失認識停止が改善に寄与しました。一方、中東情勢の影響でポリウレタン関連の数量は弱含みました。

Performance Materials & Coatings

売上高は23.61億ドルで、前年同期比11%増加しました。数量は6%増え、シリコーン、電子材料、ホームケア、コーティング分野が成長しました。

営業EBITは1.33億ドルで、前年同期の1.52億ドルを下回りました。増収でも固定費、修繕費、英国Barry工場の上流シロキサン設備停止費用が利益を圧迫しています。

2026年Q3:価格上昇が続く一方、Q2から利益は鈍化

2026年10月22日公表のQ3決算では、売上高112.67億ドル(前年同期比13%増)、連結GAAP純利益5.25億ドル、Dow普通株主帰属利益4.58億ドル、GAAP EPS0.62ドル、営業EPS0.71ドルでした。営業EBIT8.87億ドルは前年同期の1.80億ドルから改善しましたが、2026年Q2の16.48億ドルを下回りました。[1]

価格・製品構成は前年同期比14%上昇、為替影響はほぼゼロ、販売数量は1%減。利益回復の主因が数量拡大ではない点はQ2と共通しています。Q3のFCFは11.33億ドルとQ2の6.92億ドルを上回り、運転資本回収が寄与しました。Q3数値は10月22日公表の未監査決算資料に基づき、2026年Q3 Form 10-Qは確認できていません。[1]

2026年Q3の事業別業績

事業セグメント 売上高
(Mドル)
前年比 価格・構成 数量 営業EBIT
(Mドル)
Packaging & Specialty Plastics 5,778 +18% +17% +1% 585
Industrial Intermediates & Infrastructure 3,058 +8% +16% -7% 176
Performance Materials & Coatings 2,250 +8% +5% +3% 154

出典:2026年Q3公式決算資料。売上高の前年比・価格・数量は四捨五入、セグメント合計と全社売上の差はCorporate項目によります。[1]

Packaging & Specialty Plastics:ポリエチレン価格の上昇などで営業EBIT5.85億ドルとなりましたが、2026年Q2の12.78億ドルからは減少しました。Industrial Intermediates & Infrastructure:営業EBIT1.76億ドルへ改善した一方、数量は7%減少。Performance Materials & Coatings:営業EBIT1.54億ドルとなり、シリコーン川下事業とコーティングの数量回復が寄与しました。[1]

キャッシュフローと配当カバー率

年度・期間 営業CF 設備投資 FCF 配当支払 FCF配当
カバー率
2026年Q3 1,839 706 1,133 253 約4.48倍
2026年1~9月 4,287 1,841 2,446 758 約3.23倍
2026年Q2 1,324 632 692 253 約2.7倍
2026年上半期 2,448 1,135 1,313 505 約2.6倍
2025 1,062 2,479 -1,417 約1,500 N/A
2024 2,903 2,940 -37 約2,000 N/A

2026年Q3のFCF配当カバー率は1,133÷253=約4.48倍です。2026年1~9月では2,446÷758=約3.23倍ですが、Q1のNOVA Chemicals関連一時入金(税引き後約10億ドル)を単純に除けば参考FCFは約14.46億ドル、配当カバー率は約1.91倍となります。Q3の運転資本改善はキャッシュ創出を押し上げていますが、利益の持続性と区別して評価します。[1][6]

※単位は百万ドルです。2024年の配当支払額は年間2.80ドルと株式数からの概算、2025年は会社発表の約15億ドルを使用しています。

2024年と2025年は、設備投資後のFCFが配当をカバーしていませんでした。配当の一部は手元資金、資産売却、借入などに依存する状態でした。

2026年Q2には、FCFが6.92億ドルまで回復し、配当支払額2.53億ドルを十分に上回りました。Q2と同程度の利益・キャッシュ創出が続けば、年率1.40ドルの配当は維持可能です。

ただし、化学企業のFCFは運転資本の増減、定期修繕、原材料価格、製品価格によって大きく変わります。単一四半期の改善だけで配当の長期安全性が確立したとは言えません。

Transform to Outperformとコスト削減

Dowは2026年1月、「Transform to Outperform」と呼ばれる全社改革を発表しました。業務の簡素化、AI・自動化の活用、組織・業務プロセスの再設計によって、短期的に少なくとも20億ドルの営業EBITDA改善を目指します。[8]

2026年Q3決算では、Transform to Outperformによる2026年の成長・生産性改善効果について約7億ドルを目指すと説明しました。2027年末までには合計約20億ドルの改善を見込んでいます。さらに、欧州の高コスト上流設備3件の閉鎖を進め、Q3には第1弾の閉鎖効果を計上しました。これらは会社計画であり、実現済みの年間利益ではありません。[1]

  • 目標:短期的に営業EBITDAを少なくとも20億ドル改善。
  • 内訳:約3分の2を生産性改善、約3分の1を成長施策から得る計画。
  • 人員:約4,500職の削減を計画。
  • 一時費用:11億~15億ドルを想定。
  • 2026年Q3時点:2026年のTransform to Outperformによる改善効果を約7億ドル、2027年末までの累計改善を約20億ドルと計画。

Q2にはTransform to Outperform関連で税引前5.26億ドル、税引き後4.18億ドルの費用を計上しました。上半期の税引前費用は6.06億ドルです。

改革効果はQ2の利益改善に寄与しましたが、実行には多額の一時費用を伴います。また、人員削減や工場停止が顧客対応、製品開発、操業安定性へ悪影響を与えないかを確認する必要があります。

バランスシートと財務リスク

年度・期末 総資産 総負債 総資本 自己資本率 有利子負債 ネット有利子負債 負債/資本
2026年Q3末 60,953 43,321 17,632 28.9% 17,539 13,397 約246%
2026年Q2 61,585 44,218 17,367 28.2% 17,995 14,022 約255%
2025 58,538 41,016 17,522 29.9% 18,161 14,345 約234%
2024 57,312 39,461 17,851 31.1% ― ― 約221%
2023 57,967 38,859 19,108 33.0% ― ― 約203%
2022 60,603 39,356 21,247 35.1% ― ― 約185%
2021 62,990 44,251 18,739 29.7% ― ― 約236%
2020 61,470 48,465 13,005 21.2% ― ― 約373%
2019 60,524 46,430 14,094 23.3% ― ― 約329%

※単位は百万ドル。総資本は非支配持分を含む連結純資産で、自己資本率の参考値=総資本÷総資産、負債/資本=総負債÷総資本としています(会社の有利子負債倍率とは異なります)。2026年Q3の有利子負債は短期借入16百万ドル+1年内長期債務745百万ドル+長期債務16,778百万ドル=17,539百万ドル。ネット有利子負債はそこから現金4,142百万ドルを引いた概算です。2019・2020年の総資本欄は旧表に資産・負債と不一致があったため、資産-負債に合わせて訂正しました。[1]

負債は小幅に減少したが、格付けは低下

2026年9月末の有利子負債は約175.39億ドル、現金・現金同等物は41.42億ドル、概算ネット有利子負債は約133.97億ドルでした。2025年末の概算ネット有利子負債143.45億ドルと比べて約9.48億ドル減少しました。会社は2026年Q3決算で、2026年初から約6億ドルの債務削減を説明しています。[1]

一方、2026年9月末の総負債は433.21億ドルで、2025年末の410.16億ドルを上回っています。自己資本率は2026年Q3末時点で約28.9%。有利子負債の返済と総負債全体の推移を分けて評価する必要があります。

信用格付けは投資適格級の下限に近づいています。

  • Moody’s:Baa3、見通しネガティブ。
  • S&P:BBB-、見通しネガティブ。
  • Fitch:BBB、見通し安定的。

Moody’sとS&Pの格付けは、投資適格級の最下位です。もう1段階格下げされると投機的格付けになります。2026年3月31日時点の会社開示では、収益・キャッシュフロー低迷を理由に、Moody’sとS&Pが2026年2月に格下げを行ったと説明されています。[9]

格下げが続くと、借り換え金利の上昇、資金調達手段の制約、年金・取引契約への影響などが生じる可能性があります。減配とコスト削減は、投資適格格付けを維持するためにも重要です。

2026年7月の経営トップ交代

Karen S. Carter氏は2026年7月1日付でDowのCEOに就任しました。前CEOのJim Fitterling氏はエグゼクティブ・チェアへ移行しています。[10]

Carter氏は、事業運営、営業、マーケティング、人事などを経験し、CEO就任前はCOOとして3事業部門とサプライチェーン、調達、情報システム、営業組織を統括していました。

新体制の最初の決算となった2026年Q2は大幅な黒字回復となりました。今後は、価格上昇という外部要因だけでなく、Transform to Outperformによる恒久的なコスト削減と成長投資を実現できるかが問われます。

2026年Q2・Q3の回復をどう評価するか

改善を示す材料

  • 2026年Q2売上高は前年同期比20%増、Q3は13%増。
  • 営業EBITは前年同期の赤字から16.48億ドルへ改善。
  • 営業EPSはマイナス0.42ドルから1.44ドルへ改善。
  • Q2 FCFはマイナス11.32億ドルからプラス6.92億ドルへ改善。
  • 2026年Q3も全3事業で前年比増収。
  • 年間10億ドル規模の配当負担削減。
  • ネット有利子負債が2025年末から小幅に減少。

回復の持続性に関する注意点

  • 2026年Q2・Q3とも全社販売数量は前年同期比1%減。
  • 2026年Q2は価格・製品構成20%増、Q3は14%増に鈍化。
  • 価格上昇の一部は中東情勢や供給制約によるもの。
  • 上半期FCFにはNOVA Chemicals関連の一時入金が含まれる。
  • Transform to Outperformには11億~15億ドルの一時費用が必要。
  • Moody’sとS&Pの格付けは投資適格級の最下位。
  • Performance Materials & Coatingsは増収でも営業減益。

2026年Q2の大幅改善に続きQ3も前年同期比では回復しましたが、Q2から営業EBIT・営業EPSは低下しています。数量が伸びていないため、化学市況の全面回復というより価格・事業再編・効率化の寄与が大きいと考えられます。

まとめ:減配後のDOWの投資価値

Dowは2025年7月に四半期配当を0.70ドルから0.35ドルへ半減しました。2025年の実際の年間支払額は2.10ドル(2024年比25%減)、2026年は10月15日の宣言で四半期0.35ドル×4回=計1.40ドルが宣言済みです。ただし12月支払いは予定で、10月23日時点では未払いです。

2025年の営業CFは10.62億ドル、FCFはマイナス14.17億ドルでした。2026年Q3には営業CF18.39億ドル、FCF11.33億ドルを確保し、1~9月のFCFは24.46億ドルに回復しました。もっとも、その中にはQ1の約10億ドルの訴訟関連一時入金も含まれます。[1][5][6]

2026年Q3の売上高112.67億ドル、営業EPS0.71ドルは、Q2の120.92億ドル、1.44ドルを下回ります。Q3のFCF配当カバー率は約4.48倍と厚いものの、配当が長期的に安定するには数量成長、価格の持続性、恒久的なコスト削減、借入負担の低下が必要です。[1]

現在の強み

  • 2026年Q2の大幅な利益・FCF回復。
  • 2026年10月21日終値30.38ドル基準の現行配当利回りは約4.61%。
  • 2026年Q3のFCF配当カバー率は約4.48倍、1~9月は約3.23倍。
  • 配当削減による年間約10億ドルの支出削減。
  • 世界的な生産拠点と原料・製品の統合体制。
  • Packaging & Specialty Plasticsの高い収益回復力。
  • Transform to Outperformによる20億ドル以上のEBITDA改善目標。

注意すべきリスク

  • 販売数量が伸びておらず、回復が価格上昇に依存。
  • 中国などの能力増強に伴う世界的な供給過剰。
  • 建設、自動車、耐久消費財など景気敏感需要の変動。
  • エネルギー・原材料価格と中東情勢。
  • 投資適格級の下限に近い信用格付け。
  • Transform to Outperformの多額の実行費用。
  • 一時的な供給制約が解消した後の製品価格低下。
  • 追加減配の可能性を完全には排除できないこと。

投資家へのポイント:DOWは、安定的に増配するディフェンシブ銘柄ではなく、化学市況の回復によって利益と株価が大きく変動するサイクル株です。

2026年10月21日終値30.38ドルに対する現行年率配当1.40ドルの参考利回りは約4.61%です。配当利回りだけでなく、ポリエチレン価格、販売数量、FCF、格付け、ネット有利子負債の変化を確認する必要があります。[4][2]

Q2・Q3は前年比では回復していますが、Q3はQ2から利益率が低下しました。供給制約の追い風が薄れた後も、2026年Q4以降にプラスFCFと配当カバーを維持できるかが焦点です。

よくある質問

DOWの現在の配当はいくらですか?

2026年10月15日に宣言された四半期配当は1株0.35ドルで、基準日11月30日、支払予定日12月11日です。現行年率は1.40ドルです。[2]

2025年の年間配当は1.40ドルですか?

いいえ。2025年の実際の年間配当は2.10ドルです。0.70ドルを2回、減配後の0.35ドルを2回支払いました。

1.40ドルは、減配後の0.35ドルを4倍した現行年率です。2025年の実際の年間支払額ではありません。

DOWの配当は安全ですか?

2026年Q3のFCF11.33億ドルに対して配当支払額2.53億ドルで、約4.48倍カバーしました。1~9月累計も約3.23倍ですが、NOVA Chemicals関連の一時入金を約10億ドル控除した参考比率は約1.91倍です。中長期的には製品価格と数量・設備投資が変動します。[1][6]

さらに減配する可能性はありますか?

2026年10月15日に0.35ドルの12月配当を宣言したため、少なくとも同四半期の減配は現時点の公式発表にありません。ただし、2027年以降の利益・FCFや格付け悪化によって追加の配当見直しが必要になる可能性は残ります。

業界回復時に以前の2.80ドル配当へ戻りますか?

短期的に2.80ドルへ戻す可能性は高くないと考えられます。信用格付けが低下しており、会社はコスト構造改革、設備投資、負債管理を優先する必要があります。

営業EPSとFCFが複数年にわたり安定し、格付け見通しが改善した場合には、段階的な増配が検討される可能性があります。

2026年Q2の回復は本物ですか?

2026年Q3も前年同期比では増収・増益で、FCFはQ2から増えました。ただしQ3の営業EPSは0.71ドルでQ2の1.44ドルを下回り、数量は前年同期比1%減です。価格上昇・コスト削減と、需要拡大を区別して判断する必要があります。[1]

現在の株価は割安ですか?

2026年10月21日終値30.38ドルと現行年率配当1.40ドルを使った参考利回りは約4.61%です。ただし、2025年通期は赤字であり、2026年も一時要因と化学市況の振幅が大きいため、配当利回りや単純PERだけで割安度を判断することはできません。[4][5]

※免責事項

本記事は公開情報を整理したものであり、特定銘柄の売買を推奨または勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

数値は四捨五入や筆者計算により、会社開示値と若干異なる場合があります。

最終更新日:2026年10月23日(Q3決算・12月配当の宣言を反映)

ミニ解説:DOWの配当は利回りだけでなく、FCF、配当支払額、数量と価格、格付けをセットで確認します。2026年Q3は配当を十分にカバーしましたが、営業EPSはQ2から下がっており、需要拡大の確認は引き続き必要です。

【注】(出典リンク)

  1. 2026年Q3決算・1~9月キャッシュフロー・財務諸表・セグメント・見通し → Dow 2026年Q3公式決算PDF → Dow 2026年Q3決算イベント(確認日:2026-10-23) ↩
  2. 2026年8月・10月配当宣言と配当履歴 → 2026年10月15日の配当宣言 → 2026年8月12日の配当宣言 → Dow公式配当履歴(確認日:2026-10-23) ↩
  3. 米国株の権利落ち日と決済規則 → FINRA Rule 11140 → SEC Investor.gov(確認日:2026-10-23) ↩
  4. 2026年10月21日DOW株価の履歴と参考配当利回り → DOW過去株価 ChartExchange → Dow公式株価情報(確認日:2026-10-23) ↩
  5. 2025年通期業績・減配・長期財務 → Dow 2025年通期決算 → Dow FY2025 Form 10-K(確認日:2026-10-23) ↩
  6. 2026年Q1決算とNOVA Chemicals関連の一時入金 → Dow 2026年Q1決算 → Dow 2026年Q1 Form 10-Q(確認日:2026-10-23) ↩
  7. 2026年Q2決算・Q2以前の財務表 → Dow 2026年Q2公式決算 → Dow 2026年Q2 Form 10-Q(確認日:2026-10-23) ↩
  8. Transform to Outperform計画 → Dow公式改革発表 → Dow 2026年Q3公式決算(確認日:2026-10-23) ↩
  9. Dowの格付けと財務リスク → Dow 2026年Q1 Form 10-Q → Dow SEC一覧(確認日:2026-10-23) ↩
  10. Karen Carterの2026年CEO就任 → Dow CEO交代発表 → Dow Leadership(確認日:2026-10-23) ↩


Posted by 南 一矢