ZS:ズィースケーラーの業績
【2026年5月版】Zscaler (ZS) 徹底分析:ゼロトラストセキュリティの先駆者 – FY2019-FY2025財務データとFY2026 Q3最新動向
はじめに
Zscaler(ズィースケーラー)は、クラウドネイティブな「Zero Trust Exchange」プラットフォームを通じて、企業のネットワークとセキュリティの在り方を変えてきた代表企業です。従来の境界型セキュリティではなく、「誰も最初から信頼しない」ゼロトラストの考え方を、SaaSとして大規模に実装してきた点が最大の特徴です。[1]
2026年5月29日時点の最新情報では、直近通期はFY2025(2025年7月期)、最新四半期はFY2026 Q3(2026年4月30日終了)です。FY2025通期売上高は26.73億ドル、営業キャッシュフローは9.72億ドル、フリーキャッシュフローは7.27億ドルでした。さらにFY2026 Q3では、売上高8.50億ドル、ARR35.25億ドル、RPOは約65億ドルまで拡大しています。ゼロトラストに加えて、AIセキュリティ、エージェンティックSOC、ブラウザセキュリティ、AIエージェント通信の制御へと領域を広げている点が、現在のZscalerを見るうえで重要です。[2][3][4][5]
【免責事項および出典について】
- 本記事の財務情報は、主にZscaler, Inc.の年次報告書(Form 10-K)、四半期決算発表資料、株主向けレター、SEC提出書類などの一次情報を優先して整理しています。[1][2][6]
- 直近通期はFY2025(2025年7月31日終了)、最新四半期はFY2026 Q3(2026年4月30日終了)です。元記事のFY2026 Q2ベース情報は、FY2026 Q3決算発表により更新が必要になっています。[2]
- 文中の成長率(CAGR)、自己資本比率、Rule of 40などは、公式開示値に基づく筆者計算です。
- 本文に生URLや不要な参照文字列は出さず、出典リンクは末尾の【注】に集約しています。
- 本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
会計年度について:Zscalerの会計年度は前年8月1日から当年7月31日までです。たとえば「FY2025」は2024年8月1日〜2025年7月31日を指します。したがって、2026年5月29日時点の最新通期実績はFY2025、最新四半期はFY2026 Q3です。[1][2]
- 1. 1. Zscalerの長期的な業績:高成長は続くが、見方は「売上」だけでは足りない
- 2. 2. ビジネスモデル:「Zero Trust Exchange」でネットワークとセキュリティを再設計する
- 3. 3. 財務の健全性:M&A後も厚い現金と投資余力
- 4. 4. 資本効率性と収益性:Rule of 40で見た方が実態に近い
- 5. 5. AI戦略と技術的優位性:Zero TrustをAI時代に拡張する
- 6. 6. 市場での強みとライバル:SSE/SASEの先行者だが、競争は激しい
- 7. 7. FY2026年の見通しと今後のポイント
- 8. 8. まとめ:Zscalerはクラウド時代のセキュリティを定義し続けるか
1. Zscalerの長期的な業績:高成長は続くが、見方は「売上」だけでは足りない
ZscalerはFY2019からFY2025まで、売上高を3.03億ドルから26.73億ドルへ伸ばしました。Calculated billingsも3.90億ドルから32.46億ドルへ拡大しており、長期の成長力は依然として強いです。ただし直近は、売上だけでなく ARR、RPO、大口顧客数、FCF、そして買収寄与を除いたオーガニック成長も同時に見る方が実態に近くなっています。[6][7][8][9]
1.1. 売上、ビリングス、利益、キャッシュフローの推移
| 会計年度 | 総売上高 (百万$) |
売上成長率 | Calculated Billings (百万$) |
Billings成長率 | 営業CF (百万$) |
純損失 (GAAP、百万$) |
Non-GAAP純利益 (百万$) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| FY2019 | 302.8 | +59.0% | 390.0 | +55.0% | 58.0 | (28.7) | 30.3 |
| FY2020 | 431.3 | +42.4% | 549.8 | +41.0% | 79.3 | (115.1) | 32.5 |
| FY2021 | 673.1 | +56.1% | 933.9 | +69.9% | 202.0 | (262.0) | 75.7 |
| FY2022 | 1,090.9 | +62.1% | 1,481.5 | +58.6% | 321.9 | (390.3) | 101.3 |
| FY2023 | 1,617.0 | +48.2% | 2,035.5 | +37.4% | 462.3 | (202.3) | 277.0 |
| FY2024 | 2,167.8 | +34.1% | 2,623.1 | +28.9% | 779.8 | (57.7) | 508.1 |
| FY2025 | 2,673.1 | +23.3% | 3,246.2 | +23.8% | 972.5 | (41.5) | 534.8 |
| CAGR(年平均成長率)FY2019–FY2025 | |||||||
| 長期成長率 | 43.8% | – | 42.4% | – | 60.0% | – | – |
出典:FY2025〜FY2019の各通期決算発表・10-K。CAGRは筆者算出。[6][7][8][9]
- FY2025:売上高は26.73億ドル、Calculated billingsは32.46億ドル、営業CFは9.72億ドルでした。[6]
- 見え方の変化:売上成長率はFY2022の62.1%からFY2025の23.3%まで低下しましたが、ARR・RPO・FCFは拡大が続いています。[2][6]
- GAAPとNon-GAAPの差:GAAPではFY2025も赤字ですが、Non-GAAPでは5.35億ドルの黒字です。株式報酬費用や買収関連費用の扱いによって見え方が変わるため、GAAP、Non-GAAP、FCFを並べて見る必要があります。[6]
1.2. 最新四半期(FY2026 Q1〜Q3)
| 期間 | 売上高 (百万$) |
ARR (百万$) |
RPO (百万$) |
GAAP純損失 (百万$) |
営業CF (百万$) |
FCF (百万$) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FY2026 Q1 (2025年10月期) |
788.1 | 3,204 | 約5,900 | (11.6) | 448.3 | 413.3 |
| FY2026 Q2 (2026年1月期) |
815.8 | 3,359 | 6,051 | (34.3) | 204.1 | 169.1 |
| FY2026 Q3 (2026年4月期) |
850.5 | 3,525 | 約6,500 | (13.9) | 198.0 | 136.0 |
出典:FY2026 Q1・Q2・Q3決算発表、Q3 shareholder letter。[2][3][10]
- FY2026 Q3売上:8.50億ドルで前年同期比25%増でした。[2]
- ARR:Q3 ARRは35.25億ドル、うちnet new ARRは1.66億ドルでした。Red Canary寄与を除くARRは33.98億ドルで前年同期比21%増です。[2]
- RPO:Q3 RPOは約65億ドルで、前年同期比約30%増でした。FY2026 Q2末の60.51億ドルからさらに拡大しています。[2][3]
- 大口顧客:Q3時点でARR 100万ドル超顧客は748社、10万ドル超顧客は4,003社でした。FY2026 Q2時点の728社、3,886社から引き続き増えています。[3]
1.3. 収益性:高成長SaaSから高収益SaaSへ移行中
| 期間 | GAAP粗利率 | Non-GAAP粗利率 | GAAP営業利益率 | Non-GAAP営業利益率 | 営業CF率 | FCF率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FY2021 | 約78% | 約80% | -30.9% | 11.6% | 30.0% | 21.4% |
| FY2022 | 約78% | 約81% | -30.0% | 10.2% | 29.5% | 21.2% |
| FY2023 | 78% | 81% | -14.5% | 14.9% | 28.6% | 20.6% |
| FY2024 | 78% | 81% | -5.6% | 20.4% | 36.0% | 27.0% |
| FY2025 | 77% | 80% | -4.8% | 21.7% | 36.4% | 27.2% |
| FY2026 Q3 | 77% | 81% | -3% | 23% | 23% | 16% |
| FY2026 9カ月累計 | 77% | 80% | -5% | 22% | 35% | 29% |
出典:FY2021〜FY2025通期決算、FY2026 Q1〜Q3決算発表。FY2026 9カ月累計はQ1〜Q3合計ベース。[2][6][7][8]
- Non-GAAP営業利益率:FY2026 Q3は23%となり、会社側は過去最高水準の営業利益率と説明しています。[2]
- FCF率:FY2026 Q3単独では16%、FY2026 9カ月累計では29%でした。Q3単独では設備投資や内部利用ソフトウェア投資の影響で、Q1・Q2より低く見えます。[2]
- 見方:GAAP赤字は残る一方、Non-GAAPとFCFでは高水準です。ただしSBCとM&A関連費用をどう評価するかで、株価の見え方は変わります。
1.4. 主要KPI:ARR・RPO・大口顧客の積み上がり
| 時点 | ARR (百万$) |
RPO (百万$) |
顧客数 ARR $1M超 |
顧客数 ARR $100k超 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025期末 | 3,015 | 5,780 | 664 | 3,494 |
| FY2026 Q1末 | 3,204 | 約5,900 | 698 | 3,754 |
| FY2026 Q2末 | 3,359 | 6,051 | 728 | 3,886 |
| FY2026 Q3末 | 3,525 | 約6,500 | 748 | 4,003 |
出典:FY2025 Q4 earnings call materials、FY2026 Q1〜Q3開示資料。[2][3][10]
Zscalerは、単に顧客数を増やす会社というより、既存顧客を大きく育てる会社です。FY2026 Q3時点でARR 100万ドル超顧客が748社まで増えたことは、ZIAやZPAを入口にしながら、データ保護、デジタル体験、Zero Trust Branch、Zero Trust Cloud、AIセキュリティ、SOC領域へとクロスセルが進んでいることを示しています。[3]
2. ビジネスモデル:「Zero Trust Exchange」でネットワークとセキュリティを再設計する
Zscalerの中核は、ユーザーや拠点をデータセンターに引き戻すのではなく、クラウド上のセキュリティ基盤が通信の中間に入り込み、インターネット、SaaS、社内アプリ、クラウドワークロード、AIアプリ、AIエージェントへのアクセスをポリシーで制御することにあります。[1][3]
- Zscaler Internet Access (ZIA): インターネット・SaaS向けのセキュアアクセス基盤。
- Zscaler Private Access (ZPA): VPNの代替となるゼロトラスト型の社内アプリ接続。
- Zscaler Digital Experience (ZDX): エンドユーザーの接続品質やアプリ体験の可視化。
- Zero Trust Branch / Zero Trust Cloud: 拠点、IoT/OT、クラウドワークロードまでゼロトラストの適用範囲を広げる領域。
- データ保護・AIセキュリティ: AI Guardrails、AI Protect、AI Asset Management、AI Access Security、AI Red Teamingなどへ拡張。[3][4]
- エージェンティックSOC: 2025年8月のRed Canary買収とSPLX買収により、AI駆動型のSecOps領域を強化しています。[10]
- ブラウザセキュリティ: 2026年2月のSquareX買収で、BYODや管理外端末を含むブラウザ層のゼロトラスト防御を強化しました。[5]
- AIエージェント通信の統制: 2026年5月にSymmetry Systems買収の意向を発表し、アクセスグラフ技術を用いて人間・非人間ID、アプリ、データの関係を可視化し、AIエージェント間通信の統制を狙っています。[4]
ミニ解説
以前のZscalerは「SASE / SSEの代表銘柄」として見るだけでも理解しやすかったのですが、2026年時点ではAI security、agentic SOC、agent-to-agent通信制御の比重が上がっています。今のZscalerは、ネットワーク境界の代替だけでなく、AI時代のアクセス制御・データ保護・SOC自動化・非人間ID統制まで狙う会社として見た方が実態に近いです。[2][3][4]
3. 財務の健全性:M&A後も厚い現金と投資余力
3.1. 資産・負債・資本の推移
| 会計年度末 / 四半期末 | 総資産 (百万$) |
総負債 (百万$) |
株主資本 (百万$) |
自己資本比率 | 現金・短期投資等 (百万$) |
|---|---|---|---|---|---|
| FY2020 | 1,833.5 | 1,348.6 | 484.8 | 26.4% | 1,370.6 |
| FY2021 | 2,257.6 | 1,728.7 | 528.9 | 23.4% | 1,502.6 |
| FY2022 | 2,832.7 | 2,259.4 | 573.3 | 20.2% | 1,731.3 |
| FY2023 | 3,608.3 | 2,883.2 | 725.1 | 20.1% | 2,100.2 |
| FY2024 | 4,705.0 | 3,430.9 | 1,274.1 | 27.1% | 2,409.7 |
| FY2025 | 6,419.9 | 4,620.6 | 1,799.3 | 28.0% | 3,572.4 |
| FY2026 Q3末 | 7,098.1 | 4,731.5 | 2,366.6 | 33.3% | 3,539.1 |
出典:FY2025 10-K、FY2024〜FY2020年次開示、FY2026 Q3決算発表。自己資本比率と現金・短期投資等は筆者算出。[2][6][7][8]
- FY2026 Q3末の現金・短期投資等:35.39億ドルで、Red Canary、SPLX、SquareXなどの買収後もかなり厚い水準です。[2][5][10]
- 株主資本:FY2025末の17.99億ドルからFY2026 Q3末は23.67億ドルへ増えています。[2][6]
- 負債の見方:2028年満期の転換社債があるため帳簿上の負債は大きいですが、現金・短期投資等も厚く、短期的な流動性懸念は小さいです。[2][6]
3.2. キャッシュフロー:FCFが評価の中核
| 期間 | 営業CF (百万$) |
FCF (百万$) |
営業CF率 | FCF率 |
|---|---|---|---|---|
| FY2021 | 202.0 | 143.7 | 30.0% | 21.4% |
| FY2022 | 321.9 | 231.3 | 29.5% | 21.2% |
| FY2023 | 462.3 | 333.6 | 28.6% | 20.6% |
| FY2024 | 779.8 | 585.0 | 36.0% | 27.0% |
| FY2025 | 972.5 | 726.7 | 36.4% | 27.2% |
| FY2026 9カ月累計 | 850.4 | 718.4 | 34.6% | 29.3% |
出典:FY2025〜FY2021の通期決算、FY2026 Q3決算発表。FY2026 9カ月累計はQ1〜Q3合算。[2][6][7]
Zscalerの評価で最も重要なのは、今も営業キャッシュフローとFCFだと思います。FY2025のFCFは7.27億ドル、FY2026 9カ月累計では7.18億ドルあり、成長投資とM&Aをこなしながらもキャッシュを残しています。一方でFY2026通期のFCF率ガイダンスは、設備投資増により従来見通しから引き下げられています。この点は、短期的な株価評価では注意が必要です。[2][6]
4. 資本効率性と収益性:Rule of 40で見た方が実態に近い
元記事ではROAやROEも扱っていましたが、Zscalerのような高SBC・高成長SaaSでは、GAAPベースのROEよりも 売上成長率+FCF率 で見る方が、投資判断には役立ちやすいです。
| 期間 | 売上成長率 | FCF率 | Rule of 40 |
|---|---|---|---|
| FY2022 | 62.1% | 21.2% | 83.3% |
| FY2023 | 48.2% | 20.6% | 68.8% |
| FY2024 | 34.1% | 27.0% | 61.1% |
| FY2025 | 23.3% | 27.2% | 50.5% |
| FY2026 9カ月累計 | 25.6% | 29.3% | 54.9% |
| FY2026 Q3単独 | 25.4% | 16.0% | 41.4% |
Rule of 40は売上成長率+FCF率として算出。FY2026 9カ月累計はQ1〜Q3合算ベース。[2][6]
FY2026 9カ月累計ではRule of 40が50%超を維持しています。ただしQ3単独ではFCF率が低下し、Rule of 40は41%台です。これは事業の悪化というより、投資タイミングや設備投資の影響を含みますが、Zscalerを見る際には「通期・累計」と「単四半期」を分けて確認した方がよいです。[2]
5. AI戦略と技術的優位性:Zero TrustをAI時代に拡張する
ZscalerのAI戦略は、単に社内業務へ生成AIを使う話ではありません。顧客企業がAIを導入する際に必要になる「アクセス制御」「データ保護」「ガバナンス」「SOC自動化」「AIエージェント通信の統制」を、自社のZero Trust Exchangeに載せていく戦略です。[3][4]
- AI Security Suite / AI Protect: AI Asset Management、AI Access Security、AI Red Teamingなどで、企業のshadow AIやagentic AIの利用実態を可視化し、制御する方向へ進んでいます。FY2026 Q3 shareholder letterでは、AI Protectの過去12カ月Bookingsが1億ドルを超えたと説明されています。[3]
- Data Security:データセキュリティARRはFY2026 Q3時点で5億ドルを超え、前年同期比30%超で成長したとされています。AI導入でデータの所在と権限管理が複雑になるほど、Zscalerのデータ保護機能の重要性は増しやすいです。[3]
- Red Canary:2025年8月の買収で、エージェンティック技術をData Fabricへ結びつけ、AI駆動のSOC機能を強化しています。FY2026 Q3時点でRed CanaryのARR寄与は1.27億ドルでした。[2][10]
- SPLX:エンタープライズAIライフサイクル全体を守るAI security機能の補強として位置づけられています。[10]
- SquareX:2026年2月の買収で、標準ブラウザに軽量拡張を埋め込み、BYODや管理外端末のゼロトラスト保護を狙っています。[5]
- Symmetry Systems:2026年5月に買収意向を発表しました。アクセスログをもとに、人間・非人間ID、アプリ、データの関係をアクセスグラフとして整理し、AIエージェントが「何にアクセスしているか」「なぜアクセスしているか」を把握する構想です。[4]
6. 市場での強みとライバル:SSE/SASEの先行者だが、競争は激しい
ZscalerはSSE / SASEの中心銘柄ですが、競争が弱いわけではありません。Palo Alto Networks、Netskope、Cisco、Fortinet、Cloudflare、CrowdStrike、Microsoftなど、ゼロトラスト・クラウドセキュリティ・AI securityをめぐる競争相手は多いです。
- 強み:Zero Trust Exchangeという一貫した設計思想、巨大なトラフィック基盤、ARR 100万ドル超顧客の積み上がり、そして高いFCF。[2][3]
- 差別化:「ネットワーク境界の代替」にとどまらず、AI security、agentic SOC、browser security、AI agent control planeに近い領域まで同じ流れで拡張している点。[3][4][5]
- 注意点:高成長は続いても、競争がある以上、ARRやRPOが鈍化した時のバリュエーション調整は起きやすいです。またFY2026 Q3決算では実績は強かった一方、FY2026 Q4の売上ガイダンスやFCF率見通しを市場が慎重に受け止めた点にも注意が必要です。[2][11]
7. FY2026年の見通しと今後のポイント
FY2026 Q3決算時点の会社ガイダンスは、売上高・ARR・Non-GAAP営業利益・Non-GAAP EPSについては前回から引き上げられました。一方で、FCF率は設備投資の増加を反映して従来見通しから引き下げられています。[2]
FY2026 Q4 / 通期ガイダンス(2026年5月26日時点)
- Q4売上高:8.75億〜8.78億ドル(約22%成長)
- Q4 Non-GAAP粗利率:約80%
- Q4 Non-GAAP営業利益:2.06億〜2.08億ドル
- Q4 Non-GAAP EPS:1.08〜1.09ドル
- FY2026通期 ARR:37.40億〜37.49億ドル(約24%成長)
- FY2026通期売上高:33.295億〜33.325億ドル(24.6〜24.7%成長)
- FY2026通期 Non-GAAP営業利益:7.55億〜7.57億ドル
- FY2026通期 Non-GAAP EPS:4.10〜4.11ドル
- FY2026通期 FCF率:約22.8〜23.3%
投資家が見るべきポイント
Zscalerは依然として高品質な成長を続けていますが、今後は単に「売上が何%伸びたか」だけではなく、ARR成長率、Red Canary寄与を除いたオーガニックARR、RPOの伸び、大口顧客数、AI securityの収益化、M&A統合、FCF率の持続性をセットで見る必要があります。特にFY2026はRed Canary、SPLX、SquareX、Symmetry SystemsなどAI・SOC・ブラウザ・非人間ID統制に関わる買収が相次いでいるため、買収で広げた機能をどこまで自然なクロスセルにつなげられるかが重要です。[2][3][4][5]
8. まとめ:Zscalerはクラウド時代のセキュリティを定義し続けるか
Zscalerは、ゼロトラストをSaaSで大規模実装した先行者として、なお強い立ち位置にあります。FY2025通期売上は26.73億ドル、FY2026 Q3 ARRは35.25億ドル、RPOは約65億ドルで、数字だけ見れば依然かなり強いです。[2][6]
- 強み:Zero Trust Exchange、厚い大口顧客基盤、高いFCF、AI securityへの自然な拡張。
- 今後の鍵:AI Protect、agentic SOC、browser security、AIエージェント通信制御をどこまで大きな売上柱に育てられるか。
- 見方:「高成長SaaS」から「高収益・高FCF・AI securityへ拡張するSaaS」へ移る局面として見ると、今のZscalerは理解しやすいです。
デジタルトランスフォーメーション、クラウドシフト、生成AI導入、AIエージェント利用が続く限り、ゼロトラスト需要そのものは続きやすいです。問題は、その需要の中でZscalerがどこまで広い領域を自社プラットフォームに取り込めるかです。そこが今後の株価評価を左右する核心だと思います。[3][4]
ミニ解説
元記事ではFY2026 Q2時点の見通しが中心でしたが、2026年5月29日時点では最新はFY2026 Q3です。現在の評価では、単なる売上成長よりも、ARR・RPO・FCF・AI security拡張・M&A後の統合力の方が重要です。Zscalerを見るときは、売上だけでなく「どれだけ高品質に成長しているか」と「買収で広げた製品群を既存顧客に浸透させられるか」を合わせて見た方がよいです。[2][3]
【注】(出典リンク)
- 事業概要・Zero Trust Exchangeの説明 → 一次情報:FY2025 Form 10-K(確認日:2026-05-29) ↩
- FY2026 Q3実績・Q4/FY2026ガイダンス・Q3最新KPI → 一次情報:FY2026 Q3決算発表 → 一次情報:FY2026 Q3 Shareholder Letter(確認日:2026-05-29) ↩
- FY2026 Q3 shareholder letterのKPI・AI Protect・Data Security・大口顧客 → 一次情報:FY2026 Q3 Shareholder Letter(確認日:2026-05-29) ↩
- Symmetry Systems買収意向・AIエージェント通信制御 → 一次情報:ZscalerによるSymmetry Systems買収意向発表(確認日:2026-05-29) ↩
- SquareX買収・ブラウザセキュリティ → 一次情報:SquareX買収発表 → 一次情報:FY2026 Q3 Shareholder Letter(確認日:2026-05-29) ↩
- FY2025通期実績・FY2025 10-K → 一次情報:FY2025通期決算発表 → 一次情報:FY2025 Form 10-K(確認日:2026-05-29) ↩
- FY2024通期実績 → 一次情報:FY2024通期決算発表 → 一次情報:FY2024 Form 10-K(確認日:2026-05-29) ↩
- FY2023通期実績 → 一次情報:FY2023通期決算発表 → 一次情報:FY2023 Form 10-K(確認日:2026-05-29) ↩
- FY2022〜FY2019の長期系列 → 一次情報:FY2022通期決算発表 → 一次情報:FY2021通期決算発表 → 一次情報:FY2020通期決算発表 → 一次情報:FY2019通期決算発表(確認日:2026-05-29) ↩
- FY2026 Q1実績・Red Canary / SPLX買収 → 一次情報:FY2026 Q1決算発表 → 一次情報:Zscaler IR Quarterly Results(確認日:2026-05-29) ↩
- FY2026 Q3決算後の市場反応・ガイダンスへの懸念 → 二次情報:Investor’s Business Daily → 二次情報:Barron’s(確認日:2026-05-29) ↩

