スペースX(SPCX)株は割高か|ロックアップ解除開始後【2026年10月】

業績,資本財

スペースX(SPCX)株は割高か|株価・ロックアップ・Starship・AI投資を検証【2026年10月最新】

はじめに
スペースX(Space Exploration Technologies Corp./ティッカー:SPCX)は2026年6月12日、NASDAQへ上場しました。IPO価格は135ドル。オーバーアロットメント行使後の発行株数は6億3,888万8,888株で、純調達額は約857億ドルでした。[1]
8月4日に上場後初のQ2決算を発表し、8月から段階的なロックアップ解除が始まりました。8月14日にはAIコーディング企業Cursorの買収を完了。[2][3]
9月28日にはStarship第14回飛行試験で初の軌道投入とStarlink V3衛星26機の展開を達成しました。[4]
さらに10月8日にはStarlink Mobile向けの米国内800MHz帯周波数取得契約を公表しています。[5]

【この記事の見方について】
当サイトの銘柄分析は通常「過去5年の財務」を軸にしますが、SPCXには上場企業としての長期実績がありません。そこで本記事では、開示済み財務、ロックアップによる需給、AI投資と契約、Starlink・Starshipの事業進捗を組み合わせて確認します。 2026年10月9日(日本時間)時点で、2026年Q3決算はまだ公表されていません。

成熟銘柄の分析軸 SPCXで重視する軸
過去5年の財務推移 → 開示済み全期間+上場後初決算
会社ガイダンス → AI契約・経営陣の事業目標・アナリスト予想の分散
株主還元 → ロックアップ解除・空売り・公開株式数の増加

【免責事項および出典について】

  • 財務情報はSpaceXのForm 10-Q、8-K、IPO目論見書などSEC提出資料を優先しています。[6]
  • 株価は2026年10月8日米国市場終値(通常取引)までを使用しています。
  • アナリスト目標株価・空売りデータなどは集計サービスによって差があるため、確認日を明記しています。
  • 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券の購入や売却を推奨するものではありません。
  • スマートフォンでは表を横にスクロールできます。

会計年度・為替について:SpaceXの会計年度は12月31日終了です。ドル建て数値を中心に掲載し、円換算は規模感を示す場合だけ参考値として扱います。

結論:スペースX(SPCX)株をどう見るか

2026年10月時点の論点は、①Starshipの商用化前進、②AI投資資金の調達負担、③Starlink Mobileの通信事業拡張、④続くロックアップ解除です。上場後初決算の数字は8月公表の2026年Q2が直近の確定決算です。

  1. Q2業績は高成長。2026年Q2売上高は78.14億ドル(前年同期比92%増)、純損失は5.41億ドル、調整後EBITDAは35.38億ドルでした。[7]
  2. 株価はIPO価格を上回る一方、なお高値から調整。10月8日終値は160.57ドルで、公開価格135ドルより約19%高く、6月16日の225.64ドルより約29%低い水準です。[8]
  3. ロックアップ解除は継続。8月6日の第1弾(最大9億1,150万株)、9月24日(約3億2,840万株)は通過。10月9日の米国通常取引開始から、さらに約3億2,840万株が解除予定です。解除株数は上限・推計であり、実際の売却株数ではありません。[9]
  4. Starshipは軌道投入と衛星展開に成功。9月28日のFlight 14では実用型Starlink V3衛星26機を展開。ただしエンジン不具合があり、飛行は当初計画より短縮されました。[4]
  5. AIと通信の投資需要が拡大。10月6日にはNvidia製AIチップ購入のため400億ドル規模の資金調達交渉が報じられ、10月8日には800MHz帯の周波数取得契約を発表しました。前者は交渉段階、後者は規制当局の承認待ちです。[10][5]

SpaceXは、Starlinkの収益力、AIインフラの投資回収、Starshipの再使用実現、通信周波数の事業化を分けて評価する必要があります。上期純損失が続いており、現時点の単純なPERだけでは株価水準を十分に説明できません。

スペースX(SPCX)基本情報
ティッカー/市場 SPCX/NASDAQ・Nasdaq Texas(Class A)
上場日 2026年6月12日
公開価格 135ドル
IPO純調達額 約857億ドル(2026年6月15日・オーバーアロットメント行使後)
株価 160.57ドル(2026年10月8日・米国通常取引終値)
時価総額 約2.18兆ドル(2026年10月8日時点の市場データ)
52週高値 225.64ドル(2026年6月16日)
52週安値 104.83ドル(2026年8月3日)
配当 なし
次の主要イベント 2026年10月9日:段階的ロックアップ解除予定/10月下旬:Starship Flight 15の動向/2026年Q3決算:正式日未公表

2026年10月9日(日本時間)確認。株価は10月8日米国通常取引終値で、時間外取引価格は含みません。[1][8][11]

上場後初決算(2026年Q2)を読む

SpaceXは2026年8月4日に上場後初の2026年Q2決算を公表し、Form 10-QをSECに提出しました。10月9日時点で新たな四半期決算は未公表のため、以下は引き続き2026年4~6月の実績です。[6]

項目 2026年Q2 2025年Q2 前年比
売上高 78.1億ドル 40.7億ドル +92%
営業損益 ▲1.43億ドル ▲9.70億ドル 改善
純損益 ▲5.41億ドル ▲10.08億ドル 赤字縮小
EPS ▲0.09ドル ▲0.34ドル 改善
調整後EBITDA 35億ドル 12億ドル +191%

2026年Q2。SpaceX 8-K・10-Qに基づく。[6][7]

ミニ解説:Q2だけを見ると改善、上期ではまだ巨額赤字
2026年Q2の純損失は5.41億ドルに縮小しましたが、上期累計では48.17億ドルの純損失です。Q1に損失が集中したため、単一四半期と上期累計では印象が異なります。[12]
調整後EBITDA35.38億ドルは株式報酬・償却費などを調整した非GAAP指標であり、GAAP上の黒字やフリーキャッシュフローを意味しません。[7]

セグメント分析:StarlinkとAIが成長を牽引

2026年Q2のSpaceXは、Space、Connectivity、AIの3セグメントで構成されています。[13]

セグメント 2026年Q2売上 主な特徴
Connectivity
Starlink等
42.9億ドル
前年比+65.8%
最大の売上源。Starlink加入者増加と政府・航空・海運需要が成長を牽引
AI 25.6億ドル Grok、X、クラウド計算能力提供など。AIインフラ投資が急拡大
Space 9.6億ドル Falcon、Starshipなど。研究開発負担が大きい

2026年Q2。[13]

ミニ解説:Starlinkは「加入者数」だけでなくARPUも見る
2026年Q2のStarlink加入者数は1,200万人(前年同期600万人)と倍増しました。一方、月次ARPUは前年同期の85ドルから66ドルへ約22.4%低下しています。国際展開や低価格プランの拡大が背景です。[14]
それでもConnectivity売上高は前年同期比約66%増です。消費者向けに加え、企業・政府・航空・海運向けの需要も成長を支えています。

SpaceXの現在の構図 = Starlinkの利益基盤 + AIインフラの急拡大 + Starshipへの先行投資

キャッシュフロー:2026年上期のAI設備投資は235億ドル

2026年上期の設備投資額は284.76億ドルに達しました。前年同期の69.65億ドルから約4倍です。[15]

項目(2026年上期) 金額 備考
営業CF +34.66億ドル 前年同期+3.51億ドル
設備投資 ▲284.76億ドル AI・衛星・打ち上げ設備
投資活動CF ▲344.87億ドル 設備投資と有価証券購入など
財務活動CF +1,002.91億ドル IPO・借入等
現金・現金同等物 935.22億ドル 2026年6月30日時点
短期有価証券 64.87億ドル 2026年6月30日時点

SpaceX Form 10-Q、2026年6月30日時点。[16]

設備投資の内訳は、Space 22.26億ドル、Connectivity 26.99億ドル、AI 235.51億ドルでした。AIだけで設備投資全体の約83%を占めます。[15]

ミニ解説:IPOで得た現金は「余剰資金」ではない
2026年6月30日の現金・現金同等物と短期有価証券の合計は約1,000億ドルでした。しかし同時期、AIデータセンター、Starship、衛星網に巨額の設備投資が必要となり、上期の営業CF34.66億ドルだけでは設備投資284.76億ドルを賄えていません。[16]
10月6日にはNvidia製チップ購入に向けた400億ドル規模の資金調達交渉が報道されました。約100億ドルの銀行融資と約300億ドルの投資適格債を検討しているとの報道ですが、10月9日時点で成立が確認された資金調達ではありません。[10]

バリュエーション:目標株価の分散はなお大きい

2026年10月8日終値160.57ドルに対し、アナリストの目標株価にはなお大きな幅があります。2026年10月にはBarclaysの新規カバレッジ、Goldman SachsやSusquehannaの目標株価修正も確認されました。下表は確認できる主な予想の抜粋であり、全社コンセンサスではありません。[17]

ミニ解説:株価160.57ドルはどの程度の成長を織り込むか
2026年10月8日の時価総額は市場データで約2.18兆ドルです。一方、直近の2026年Q2売上高は78.14億ドル。Q2売上を単純に4倍した年率換算売上高312.56億ドルとの比較では、時価総額は約70倍となります。[11][7]
これは直近12カ月売上高を使う通常のP/Sではなく、四半期の単純年率換算による参考指標です。相当大きな将来成長を織り込む水準であり、Starlinkの収益だけでなくAI・Starshipの将来価値が実現するかどうかが重要です。

機関 直近確認できる目標株価 公表・更新時期
Morgan Stanley 300ドル 2026年10月7~8日
Oppenheimer 280ドル 2026年9月2日
Barclays 254ドル 2026年10月8日
Bernstein 239ドル 2026年8月31日
Deutsche Bank 235ドル 2026年9月28日
Goldman Sachs 230ドル 2026年10月5日
Pivotal Research 220ドル 2026年9月8日
Wells Fargo 212ドル 2026年9月8日
TD Cowen 200ドル 2026年9月28日
Susquehanna 173ドル 2026年10月7日
MoffettNathanson 142ドル 2026年9月14日
Phillip Securities 75ドル 2026年8月(参考・旧予想)

2026年10月9日確認時点。公表・更新日や対象アナリスト数は集計サービスによって異なります。古い予想は現在の見通しと同列に扱わないよう注意が必要です。[17]

ミニ解説:なぜここまで評価が割れるのか
評価差の中心はStarlinkとAI計算能力提供の将来売上、Starshipの打ち上げコスト低下余地をどこまで織り込むかです。2026年9月に公表された新規AI計算契約は12月開始予定で月額約11億ドル。単純年率換算すると約132億ドルですが、実際の収益認識は稼働開始や契約条項に左右されます。[18]
2026年10月には追加の大規模借入交渉も報じられ、成長率の高さと資本コストの両面が重要になっています。[10]

ロックアップ解除:10月9日も約3.28億株の解除予定

2026年8月6日には大規模な初回解除が行われ、9月24日の追加解除も通過しました。しかし供給増加は続き、10月9日の米国市場ではさらに約3億2,840万株が解除予定です。解除可能となった株式すべてが売却されるわけではありません。[9]

8月6日の9億1,150万株解除では株価は上昇

2026年8月6日、最大9億1,150万株が売却可能となり、IPOで新規発行された約6億3,890万株を上回る規模でした。それでも同日のSPCX株は約6.1%上昇。少なくとも初回解除当日に警戒された一斉売却による急落は起きませんでした。ただし、その後の株価変動を見れば、解除リスクが消えたわけではありません。[19]

解除時期 最大株数・目安 2026年10月9日(日本時間)時点
8月6日 約9億1,150万株 通過
8月20日 約3億1,900万株 通過
9月9日 約3億1,900万株 通過
9月10日 約5,910万株 通過
9月24日 約3億2,840万株 通過
10月9日 約3億2,840万株 米国市場で解除予定
10月26日 約3億2,840万株 予定・取引日調整の可能性
Q3決算後 約13億株 時期未定・業績発表日次第、推計
12月8日 約7億9,760万株 180日ロックアップ満了予定・推計
2027年6月 マスク氏保有分など 別途長期ロックアップ

解除条件はSEC提出のIPO目論見書が基本です。日別株数には第三者サービスの試算が含まれます。とくにQ3決算連動の解除日は、決算日が未公表のため確定していません。[20][9]

2026年10月時点の見方

  • 初回解除では株価急落が起きなかった。ただし今後も解除に伴う売り圧力が生じる可能性はあります。
  • 9月24日の解除は通過。10月9日、10月下旬、決算発表後、12月の供給増加を引き続き確認します。[9]
  • 175.50ドル条件は8月に発動しなかった。IPO価格135ドルの30%上という早期解除条件を満たさず、追加10%の早期放出は見送られました。[20]

空売り:9月15日時点で約1.62億株へ減少

2026年9月15日時点の空売り残高は1億6,225万2,035株で、8月31日の1億7,361万9,060株から6.55%減少しました。9月15日終値143.49ドルで換算すると約232.8億ドルとなります。これは9月15日基準の保有残高であり、10月8日現在の残高を表すものではありません。[21]

基準日 空売り株数 時価換算
2026年7月31日 約2.08億株 約225億ドル
2026年8月14日 約1.84億株 約258億ドル
2026年8月31日 約1.74億株 約249億ドル
2026年9月15日 約1.62億株 約233億ドル

ミニ解説:金額だけでは「弱気が増えた」とは言えない
空売り株数は7月末から9月半ばにかけて減少しており、「空売りが積み上がり続けている」との表現は現状に合いません。一方、ロックアップ解除に伴う流通株式数の拡大も空売り比率に影響します。株数、公開フロート、株価で評価時点をそろえることが重要です。[21]

事業と競合:Starship軌道投入とStarlink Mobileの拡大

事業 現在の位置づけ 主な競合
Starlink 衛星インターネット、航空・海運・政府、Direct-to-Cell。10月8日に米国800MHz帯の追加取得契約を公表 Amazon Leo、Eutelsat OneWeb、通信大手
Space Falcon 9・Starship。9月28日のFlight 14で初の軌道投入とV3衛星26機展開を達成 Blue Origin、ULA、中国勢、Rocket Lab
Starshield 政府・安全保障向け衛星サービス 防衛・衛星関連企業
AI Grok、X、クラウド計算能力、Cursor。10月にはNvidia製チップ向け大型資金調達交渉が報道 OpenAI、Anthropic、Google、クラウド事業者

Cursor買収を8月14日に完了

8月版記事ではCursor買収は「契約段階」でしたが、SpaceXは2026年8月14日に買収を完了しました。SEC提出の8-Kによると、Cursorを運営するAnysphereの評価額は600億ドルで、対価の中心としてSpaceX Class A株約3億8,929万株が交付されました。[22]

これによりCursorはSpaceXの完全子会社となり、AI事業はGrokや計算能力提供だけでなく、企業向けAIコーディング領域にも広がりました。

月額11億ドルの新AI契約

2026年9月のGoldman Sachsカンファレンスで、CFOのBret Johnsen氏は、12月から始まる月額11億ドル規模の新たなAI計算能力提供契約を明らかにしました。単純年率では約132億ドルに相当します。[18]

会社はAI計算能力を2026年の約2GWから、2027年には10GWへ拡大する構想を示しています。ただし、必要資本も極めて大きくなるため、売上成長だけでなく投資回収率を見る必要があります。

Starship Flight 14:9月28日に初の軌道投入、衛星26機を展開

Starship第14回飛行試験は、当初9月22日の予定から変更され、2026年9月28日に実施されました。Starshipは初めて安定した地球周回軌道に到達し、実用型Starlink V3衛星26機を展開。初の商用ペイロード投入という節目を迎えました。[4]

ただし飛行中にはエンジンの早期停止が発生し、当初の約10時間の計画は約3時間に短縮されました。商用化に前進した一方で、完全再使用や打ち上げ頻度向上には追加の検証が必要です。次のFlight 15については10月下旬の可能性が報じられていますが、実施日時は確定情報として扱いません。[4]

Starlink Mobile:10月8日に800MHz帯周波数の取得契約を発表

SpaceXは2026年10月8日、Grain Managementが保有する米国の800MHz帯の全国的な周波数免許ポートフォリオ(最大14MHzのペア帯域)を取得する契約を公表しました。低周波数帯は建物内部などへの電波到達で有利で、衛星から端末への通信と地上設備を組み合わせる構想です。取得はFCC承認などが条件であり、契約公表時点では完了していません。[5]

さらに同じ発表でSpaceXは、次世代Starlink Mobile衛星最大1万5,000機の配備に関するFCCの認可にも言及しました。これは将来の通信容量拡大に関する規制面の進展ですが、免許取得・衛星展開・全国サービス開始は異なる段階です。[5]

AI:400億ドル規模の資金調達交渉が報道

2026年10月6日付のReutersによると、SpaceXはNvidia製AIチップ購入のため総額400億ドル程度の資金調達を金融機関などと協議しています。内訳は銀行融資約100億ドルと投資適格社債約300億ドルとの報道です。会社の正式な資金調達完了発表ではないため、実行額や条件を既成事実として織り込むことはできません。[10]

上場後の株価推移

日付 株価 出来事
6月12日 160.95ドル NASDAQ上場(IPO価格135ドル)
6月16日 225.64ドル 上場後最高値
8月3日 104.83ドル 上場後安値
8月4日 Q2決算発表 売上+92%、純損失縮小
8月6日 前日比約+6% 第1弾ロックアップ解除
8月31日 約143.7ドル IPO価格を回復
9月15日 143.49ドル 前日比▲3.15%
9月24日 148.03ドル 約3.28億株の追加解除日
9月28日 145.47ドル Starship Flight 14実施
9月30日 150.86ドル 月末終値
10月5日 171.09ドル 前日比+7.63%、10月初旬に急伸
10月7日 167.60ドル AI資金調達報道後、前日比▲2.51%
10月8日 160.57ドル 前日比▲4.19%。米国通常取引終了後に周波数取得契約を公表

2026年10月8日の米国通常取引終値まで。Starlink Mobileの10月8日発表に伴う時間外株価は含みません。[8]

6月16日の225.64ドルから8月3日の104.83ドルまでは約54%下落しました。その後反発して10月5日に171.09ドルまで上昇したものの、10月8日は160.57ドルへ反落。日々の値動きは大きく、上場後高値からなお約29%低い水準です。

株価はIPO価格135ドルを上回っていますが、ロックアップ解除だけで価格が決まっているわけではありません。9月28日のStarship進展、10月のAI資金調達報道、10月8日の通信周波数契約など、事業価値と資本需要の双方を市場が評価していると考えられます。

投資家が確認したいリスク

  • 追加ロックアップ解除:2026年9月24日の解除は通過しましたが、10月9日、10月下旬、Q3決算発表後、12月にも解除が予定・想定されています。解除数は試算を含みます。[9]
  • AI設備投資:2026年上期の設備投資284.76億ドルのうち235.51億ドルがAI部門です。売上成長が投資回収に追いつかなければ、資金繰りや利益率を圧迫します。[15]
  • 資金調達と金利:AI半導体調達で400億ドル規模の融資・社債発行の交渉が報道されています。報道どおり実行されれば債務・利払い負担が増えますが、2026年10月9日時点では交渉段階です。[10]
  • 顧客集中:SpaceXは2026年Q2の10-QでAIインフラ収入の顧客集中をリスクとして挙げています。[23]
  • AI契約の解約条項:大型契約の一部は一定条件で終了可能です。単純年率換算額をそのまま長期売上として計上できるとは限りません。[18]
  • Starship開発:2026年9月28日の軌道投入は進展ですが、Flight 14はエンジン不具合で短縮されました。完全再使用、打ち上げ頻度の向上、安定運用をなお確認する必要があります。[4]
  • Starlink Mobileの事業化:2026年10月8日の周波数取得契約はFCC承認待ちです。地上通信設備との接続・整備コストや既存通信会社との競争も課題です。[5]
  • 希薄化:2026年8月のCursor買収ではClass A株約3億8,929万株を交付しました。将来の株式対価買収も1株当たり価値に影響し得ます。[22]
  • キーパーソン・議決権:Class B株は1株10議決権で、Class A株より強い議決権を持ちます。[24]

まとめ:需給・AI投資・Starship・通信拡張を併せて評価

観点 2026年10月9日(日本時間)時点の整理
直近決算 2026年Q2売上78.14億ドル・前年同期比+92%。GAAP純損失5.41億ドル
株価 10月8日終値160.57ドル。IPO価格135ドル超だが上場後高値225.64ドルを約29%下回る
ロックアップ 9月24日の約3.28億株解除を通過。10月9日にも約3.28億株解除予定
空売り 9月15日時点で約1.62億株、約233億ドル相当(同日終値換算)。8月末比減少
AI 2026年上期AI設備投資235.51億ドル。Cursor買収完了、月額11億ドルの新契約公表、400億ドルの資金調達交渉が報道
Starship Flight 14を9月28日に実施。初の軌道投入とStarlink V3衛星26機の展開に成功。ただし飛行短縮
Starlink Mobile 10月8日に米国内800MHz帯周波数取得契約を公表。FCC承認待ち
目標株価 主な機関で75~300ドル程度と幅広く、予想時点にもばらつきがある

ミニ解説:9月版から最も大きく変わった点
9月中旬にはStarship Flight 14や追加ロックアップ解除が「これからの予定」でした。2026年10月9日には、Flight 14が軌道投入と衛星展開を果たした一方、技術的課題も残ったことまで確認できます。[4]
さらに400億ドル規模のAIチップ向け資金調達交渉と、Starlink Mobile向け800MHz帯取得契約が加わりました。成長機会は広がっていますが、追加投資や規制面の不確実性も大きくなっています。[10][5]

SpaceXを「宇宙会社だから」「AI企業だから」という一つの説明で評価するのは難しくなっています。Starlink既存通信事業、Starlink Mobile、AIインフラ、Starshipを分け、成長率と設備投資・規制条件をそれぞれ見たいところです。

2026年10月8日の株価160.57ドルは公開価格135ドルを約19%上回ります。しかしアナリスト目標株価には大きな開きがあり、将来の売上・資本支出・キャッシュフローに対する見方が定まっていないことを示しています。

短期の確認点は10月9日と10月下旬のロックアップ解除、Starship Flight 15の正式日程、10月8日公表の周波数取得契約の審査動向です。中期では、正式日程が未発表の2026年Q3決算と、2026年12月開始予定のAI計算契約の収益化を確認する必要があります。[9][5][18]

本記事は公開情報に基づく情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。IPO後間もない銘柄は値動きが大きく、開示実績も限られています。投資判断はご自身の責任において行ってください。
最終更新:2026年10月9日(10月8日米国通常取引終値、Flight 14実績、ロックアップ予定、AI資金調達報道、800MHz帯取得契約を反映)

【注】(出典リンク)

  1. IPO価格・株数・調達額・ティッカー → SEC「SpaceX Form 424B4」 → SEC「SpaceX 2026 Q2 Form 10-Q」(確認日:2026-10-09) ↩
  2. 2026年Q2決算・上場後初決算 → SEC「SpaceX Reports Second Quarter 2026 Results」(確認日:2026-10-09) ↩
  3. Cursor買収完了など上場後の重要事項 → SEC「SpaceX Form 8-K, August 14, 2026」(確認日:2026-10-09) ↩
  4. Starship第14回飛行試験・衛星26機展開 → SpaceX「Starship Flight 14」 → Reuters「Starship reaches orbit」(確認日:2026-10-09) ↩
  5. 10月8日の800MHz帯周波数取得契約・FCC承認 → SpaceX「Building the World’s Most Advanced Mobile Network」 → Grain Management(10月8日発表)(確認日:2026-10-09) ↩
  6. Q2財務諸表・財務状況 → SEC「SpaceX Form 10-Q, quarter ended June 30, 2026」(確認日:2026-10-09) ↩
  7. Q2売上高・純損失・調整後EBITDA → SpaceX Q2 2026 Earnings Release(SEC)(確認日:2026-10-09) ↩
  8. 2026年10月8日終値・上場後株価時系列 → Investing.com「SPCX Historical Data」 → StockAnalysis「SPCX Price History」(確認日:2026-10-09) ↩
  9. ロックアップ・解除株式数の試算、解除日 → SEC「SpaceX Final Prospectus」 → Tokenomist「SpaceX Unlock Tracker(非公式・一部推計)」(確認日:2026-10-09) ↩
  10. AI半導体向け400億ドルの資金調達交渉 → Reuters「SpaceX seeks $40 billion financing」(確認日:2026-10-09) ↩
  11. 2026年10月8日の時価総額 → StockAnalysis「SPCX Market Cap」(確認日:2026-10-09) ↩
  12. 2026年上期純損失 → SEC「SpaceX 2026 Q2 Form 10-Q」(確認日:2026-10-09) ↩
  13. セグメント別業績 → SEC「SpaceX 2026 Q2 Form 10-Q―Segment Results」(確認日:2026-10-09) ↩
  14. Starlink加入者・ARPU → SEC「SpaceX 2026 Q2 Form 10-Q―Connectivity Revenue」(確認日:2026-10-09) ↩
  15. 2026年上期設備投資・セグメント別設備投資 → SEC「SpaceX 2026 Q2 Form 10-Q―Capital Expenditures」(確認日:2026-10-09) ↩
  16. 営業CF・投資CF・財務CF・現金 → SEC「SpaceX 2026 Q2 Form 10-Q―Statements of Cash Flows」(確認日:2026-10-09) ↩
  17. 10月時点アナリスト目標株価・変更履歴 → StockAnalysis「SPCX Analyst Forecasts」 → Benzinga「Analyst Price Targets」(確認日:2026-10-09) ↩
  18. 月額11億ドルのAI計算契約・AIインフラ拡張 → MarketWatch「SpaceX is inching closer to this lofty $100 billion milestone」(確認日:2026-10-09) ↩
  19. 初回ロックアップ9億1,150万株 → Yahoo Finance「SpaceX lockup expires today」(確認日:2026-10-09) ↩
  20. ロックアップ条件・追加解除日・175.50ドル条件 → SEC「SpaceX Final Prospectus」 → Reuters「SpaceX selloff an ominous sign as lockup expiry looms」(確認日:2026-10-09) ↩
  21. 2026年9月15日の空売り残高 → MarketBeat「SpaceX Short Interest」 → ChartExchange「Short Interest」(確認日:2026-10-09) ↩
  22. Cursor買収完了・600億ドル評価・株式対価 → SEC「SpaceX Form 8-K―Completion of Cursor Acquisition」 → Cursor「Cursor is now a part of SpaceX」(確認日:2026-10-09) ↩
  23. AI顧客集中・AIインフラ事業リスク → SEC「SpaceX Form 10-Q―AI Infrastructure Risks」(確認日:2026-10-09) ↩
  24. Class A・Class B議決権構造 → SEC「SpaceX Final Prospectus」(確認日:2026-10-09) ↩

Posted by 南 一矢