CRM(セールスフォースドットコム)今後の見通し

AI(人工知能),SaaS(クラウド+サブスク),ダウ30銘柄,情報技術,株価•決算

セールスフォースドットコム(salesforce.com, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。


直近決算

CRM(セールスフォース)決算
★業績
《四半期》
・EPS:予想2.86$→結果3.25$
・売上高:予想102.7億$→結果102.6億$(前年同期比+9%)
★ガイダンス
《四半期》
・EPS:予想3.03$→結果3.02~3.04$
・売上高:予想109.1億$→結果111.3~112.3億$
《通年》
・EPS:予想11.35$→結果11.75~11.77$
・売上高:予想412億$→結果414.5~415.5億$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreetinsider.comを参照しました。

企業概要

セールスフォース(Salesforce, Inc.)は、法人向けクラウド型CRM(顧客関係管理)を中核に、営業、サービス、マーケティング、コマース、アプリ開発基盤、データ管理、AIエージェントを統合したプラットフォームを提供する大手企業です。2024年以降はデータ基盤Data CloudとAI(Einstein/Agentforce)を軸に、「AI CRM」から、さらに人間・AIエージェント・アプリ・データを統合するAgentic Enterpriseへの進化を加速しています。導入社数は、公式ページで世界15万社超とされています。[1]

従来のオンプレミス型と異なり、Salesforceはブラウザ経由で使えるSaaS(サース)モデルです。拡張はAppExchangeやAPIで容易で、業種・規模を問わず採用が広がっています。売上構成はサブスクリプション&サポートが中心で、FY2026(2026年1月期)のサブスクリプション&サポート売上は393.88億ドル、全社売上415.25億ドル約94.9%を占めました。残りはプロフェッショナルサービスなどで、導入支援・運用定着を補完する収益です。[2]

営業支援、顧客サービス、マーケティング、コミュニティ/ポータル、コマース、ローコード開発、データ統合、分析、AIエージェントまで、業務横断の生産性向上とデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しします。

その主要製品・サービスと事業領域は以下の通りです。

Agentforce Sales(旧Sales Cloud系):顧客、商談、予実、パイプライン可視化、AIによる見込み度スコア、営業活動の自動化などで営業活動を効率化します。FY2026の同領域のサブスクリプション&サポート売上は90.28億ドルでした。[2]

Agentforce Service(旧Service Cloud系):ケース管理、ナレッジ、チャット、音声、フィールドサービス、AIによる要約や応答案作成、AIエージェントによる自己解決支援を提供します。FY2026の同領域のサブスクリプション&サポート売上は98.18億ドルでした。[2]

Agentforce Marketing and Agentforce Commerce:メール、モバイル、広告、パーソナライズ配信、B2C/B2Bコマースを提供します。旧DatoramaはMarketing Cloud Intelligenceとして統合され、広告・マーケティングデータの可視化や効果測定を担います。FY2026の同領域のサブスクリプション&サポート売上は54.28億ドルでした。[2]

Experience Cloud(旧Community Cloud):顧客・パートナー向けポータルやコミュニティ構築で、自己解決、パートナー連携、顧客体験の改善を促進します。名称はCommunity CloudからExperience Cloudへ変更されています。[3]

Agentforce 360 Platform, Slack and Other:ローコード(Flow/Lightning)、開発者ツール、Slack、業務アプリ基盤、AIエージェントの実行基盤などを含みます。FY2026の同領域のサブスクリプション&サポート売上は88.82億ドルで、このうち2025年11月に買収完了したInformaticaの寄与は3.88億ドルでした。[2]

Agentforce Integration and Agentforce Analytics:MuleSoft(統合)、Tableau(可視化)、データ連携、分析を中心とする領域です。FY2026の同領域のサブスクリプション&サポート売上は62.32億ドルでした。[2]

Data Cloud/Data 360:社内外の構造化・非構造化データを統合し、単一顧客ビューやAIエージェントの判断材料を作るデータ基盤です。FY2026にはData 360が112兆件のレコードを取り込み、そのうちZero Copy経由が53兆件でした。Data Cloudは、Agentforceを実運用するうえで「きれいで、接続され、権限管理されたデータ」を整える中核基盤になっています。[4]

Einstein/Agentforce:会話操作のアシスタントや、自律的に業務を進めるAIエージェントを提供します。Einstein Trust Layerにより、権限、ログ、データ保護、監査を組み込みながら業務投入しやすくする設計です。FY2026末時点で、SalesforceはAgentforceの契約件数がローンチ以降2万9,000件超に達したと公表しています。[4]

買収によりラインナップを強化してきました。MuleSoft(2018年/データ統合)、Tableau(2019年/可視化)、Demandware(2016年/コマース)、Vlocity(2020年/業界特化=Salesforce Industries)Slack(2021年/コラボレーション)などが代表例です。さらに、2025年11月にはデータマネジメント大手Informaticaの買収を完了しました。Informaticaはデータカタログ、データ統合、ガバナンス、品質・プライバシー管理、メタデータ管理、マスターデータ管理(MDM)を強みとしており、Agentforceを支えるデータ基盤の強化に位置づけられます。[5][6]

そのビジネスモデルはサブスクリプション中心です。企業は月額/年額の定額料金で各アプリを利用し、プロフェッショナルサービスは導入・定着を支える補完収益です。エコシステム(AppExchange)、API、業界別ソリューション、Googleなどとのデータ連携、パートナーによる導入支援も重要な成長ドライバーです。[7]

最新トピック:FY2026(2026年1月期)の売上高は415.25億ドル(前年比+10%)、GAAP純利益は74.57億ドル、GAAP希薄化後EPSは7.80ドルでした。FY2026末時点のRPO(残存履行義務)は724億ドル、うち今後12か月以内に売上計上されるcRPOは351億ドルです。FY2027通期ガイダンスでは、売上高458億〜462億ドル、GAAP営業利益率20.9%、Non-GAAP営業利益率34.3%を見込んでいます。なお、FY2027 Q1決算は2026年5月27日に発表予定で、本稿執筆時点ではまだ公表されていません。[2][8]

社史:1999年にMarc Benioff氏らにより創業。2004年6月23日にNYSE(ティッカー:CRM)へ上場しました。クラウドSaaSという新形態でCRM市場を開拓し、M&Aと製品強化を通じて、「データ×AI×アプリ×コラボレーション」を束ねるプラットフォーム企業へ進化しています。[9]

用語解説

  • SaaS=サース:インストール不要の「借りる型」ソフトです。毎月/毎年の利用料で、クラウド上の最新版を利用します。
  • Data Cloud/Data 360:バラバラの顧客データを統合し、AIや自動化で使える形に整えるデータ基盤です。
  • Agentforce:会話や指示をもとに、問い合わせ対応、営業支援、マーケティング、コマースなどの業務を進めるAIエージェント群です。権限・監査・データ保護の仕組みと組み合わせて実運用する点が特徴です。

【注】(出典リンク)

  1. 導入社数・世界No.1 CRM表記 → Salesforce World’s #1 CRMSalesforce Japan 世界No.1 CRM(確認日:2026-05-10)
  2. FY2026通期業績・売上構成・RPO・FY2027ガイダンス → Salesforce Delivers Record Fourth Quarter Fiscal 2026 ResultsSalesforce FY2026 Annual Report(確認日:2026-05-10)
  3. Community CloudからExperience Cloudへの名称変更 → Salesforce Help:Experience Cloud Rebrand(確認日:2026-05-10)
  4. Data 360・Agentforce契約件数・AI関連指標 → Salesforce FY2026 Q4 ResultsSalesforce Data Cloud Overview(確認日:2026-05-10)
  5. Informatica買収完了 → Salesforce Completes Acquisition of InformaticaInformatica Japan 抄訳(確認日:2026-05-10)
  6. 主要買収の沿革 → Slack買収完了Tableau買収発表MuleSoft買収完了Vlocity買収発表(確認日:2026-05-10)
  7. Google連携・AppExchange等のエコシステム → Salesforce and Google Strategic PartnershipSalesforce AppExchange(確認日:2026-05-10)
  8. FY2027 Q1決算発表予定 → Salesforce Announces Date of First Quarter Fiscal 2027 Earnings Release(確認日:2026-05-10)
  9. 創業・NYSE上場・社史 → The History of SalesforceSalesforce Investor Relations Overview(確認日:2026-05-10)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢