原油·天然ガスETFを比較(USO•BNO•UGA•UNG)
石油や天然ガスのマーケット価格に連動する米国ETFのデータを比較してみます。
このページでは資産運用の参考となるように、ETF(上場投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート等のデータを詳細に紹介してみましょう。
*注意:投資判断は自己責任なので、銘柄(投信などの商品)の売買の結果について、当サイトは一切の責任を負うことはできません。
【要注意】USO, BNO, UNG – 原油・天然ガスETFの「罠」と正しい知識
原油や天然ガスの価格変動に手軽に投資できる商品として、USOやUNGといったETFが知られています。しかし、これらの商品に投資する前には、株式ETFとは全く異なる、極めて重要な仕組みとリスクを理解しておく必要があります。知らずに長期保有すると、思わぬ損失を被る可能性があるため、十分に注意してください。
【超重要】先物型ETFの仕組みと「コンタンゴ」のリスク
これらのETFは、石油やガスの現物をタンカーやタンクで保管しているわけではありません。金融派生商品である「先物(さきもの)」に投資しています。
- 先物とは?: 将来の決められた日(満期日)に、あらかじめ決められた価格で商品を売買することを約束する取引です。
- ロールオーバー: 先物には満期があるため、満期が来る前に保有している今月の契約(期近物)を売り、来月の契約(期先物)に買い換える作業が定期的に発生します。これを「ロールオーバー」と呼びます。
- コンタンゴの罠(価格の減価): もし、来月の価格が今月の価格より高い状態(これをコンタンゴと言います)が続くと、ロールオーバーの度に「安い今月物を売り、高い来月物を買う」ことになります。これを繰り返すと、仮に原油価格自体が動かなくても、手数料のようにETFの価値がどんどん目減りしていくのです。
結論:この「コンタンゴによる減価リスク」のため、これらのETFは基本的に長期保有には全く向いていません。主に短期的な価格変動を捉えるための専門的なトレーディング(売買)ツールと考えるべきです。
各ETFの概要(運用会社:United States Commodity Funds)
以下のETFはすべて、上記の「先物型」であり、長期保有には推奨されません。また、コモディティのため分配金はありません。
【USO】ユナイテッド・ステイツ・オイル・ファンド
米国の原油価格の代表的な指標であるWTI原油先物の価格に連動することを目指します。WTIは「ウェスト・テキサス・インターミディエイト」の略です。
連動対象 | WTI原油先物 |
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経費率 | 0.81% |
【BNO】ユナイテッド・ステイツ・ブレント・オイル・ファンド
国際的な原油価格の指標であるブレント原油先物の価格に連動することを目指します。ブレント原油は主に北海で産出され、WTI原油と共に世界の二大指標とされています。
連動対象 | ブレント原油先物 |
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経費率 | 1.08% |
【UGA】ユナイテッド・ステイツ・ガソリン・ファンド
私たちの生活にも身近な、無鉛ガソリン先物の価格に連動することを目指します。ガソリン価格は、原油価格だけでなく、精製コストや季節的な需要(夏のドライブシーズンなど)にも影響されます。
連動対象 | ガソリン先物 |
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経費率 | 0.97% |
【UNG】ユナイテッド・ステイツ・ナチュラル・ガス・ファンド
天然ガス先物の価格に連動することを目指します。天然ガス価格は、冬の暖房需要や夏の冷房需要(発電用)、貯蔵量、天候など、非常に多くの要因で大きく変動します。
連動対象 | 天然ガス先物 |
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経費率 | 1.11% |
まとめ:これらのETFとの正しい付き合い方
USO、BNO、UNGなどの先物型コモディティETFは、長期的な資産形成のツールではありません。これらは、日々の価格変動を予測し、短期的な利益を狙う**プロ向けのトレーディング商品**です。
もしあなたが「原油価格が上がると思うから、長期で持っておこう」と考えているのであれば、それは危険な戦略かもしれません。コンタンゴによって、あなたの知らない間に資産が目減りしていく可能性があるからです。これらの商品の仕組みとリスクを完全に理解できない限りは、安易に投資しないことを強くお勧めします。
【出典・情報源】
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、経費率などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。