LMTとRTXを比較:ロッキードマーチンとレイセオンテクノロジーズの違いとは

資本財,軍事株,銘柄比較

ロッキード・マーティン(Lockheed Martin Corporation)とRTX(RTX Corporation)は、米国を代表する防衛・航空宇宙企業です。その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

※本記事は2026年5月6日時点で確認できる公開情報に基づいて作成しており、特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。

株価:過去~現在

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

決算(予想:結果)

マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。

決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照

ロッキード・マーティン(LMT)今後の見通し

レイセオンテクノロジーズ(RTX)今後の見通し

業績と配当の詳細比較(2026年5月版)

株価や決算と並んで重要なのが、企業のファンダメンタルズを示す業績と、株主還元の姿勢を示す配当です。ここではLMTとRTXの2社について、過去5年間のデータに加え、2026年Q1の最新決算を反映して比較・分析します。

比較サマリー

項目 ロッキード・マーティン (LMT) RTX
事業概要 世界最大級の防衛企業。F-35、ミサイル防衛、宇宙、艦載・レーダー関連など、防衛大型案件の比重が高い。 防衛(Raytheon)と、民間・軍用航空(Collins Aerospace/Pratt & Whitney)を併せ持つ構造。
直近決算 2026年Q1:売上$18.0B、希薄化後EPS$6.44。2026年通期見通しは据え置き。[1] 2026年Q1:売上$22.1B、調整後EPS$1.78。2026年通期の調整後売上・調整後EPS見通しを引き上げ。[2]
連続増配・配当姿勢 増配を継続。直近の四半期配当は$3.45[3] 長期で配当を継続。2026年4月に四半期配当を$0.73へ増額。[4]
配当(直近年換算) 四半期$3.45、年換算$13.80[3] 四半期$0.73、年換算$2.92[4]
配当利回り(概算) 2.7%
年$13.80 ÷ 株価$508.93
2026年5月6日13:05 UTC時点
[5]
1.7%
年$2.92 ÷ 株価$172.87
2026年5月6日13:04 UTC時点
[5]
バックログ(受注残) $186.4B(2026年Q1末)。2025年末の$193.6Bから減少。[1] $271B(2026年Q1末)。商業航空$162B、防衛$109B。[2]

成長性の詳細分析

売上高の比較(2020〜2025年)

2025年通期では、LMTは$75.0B、RTXは$88.6Bでした。RTXは防衛に加えて民間航空の回復も取り込むため、売上規模ではLMTを上回ります。一方、LMTは防衛大型案件の比重が高く、F-35、ミサイル防衛、宇宙などの長期契約が収益の柱です。[6][7]

LMT 売上高 RTX 売上高
2020 $65.4B $56.6B
2021 $67.0B $64.4B
2022 $66.0B $67.1B
2023 $67.6B $74.3B
2024 $71.0B $80.7B
2025 $75.0B[6] $88.6B[7]
年平均成長率
(CAGR, 2020→2025)
約2.8% 約9.4%

※B=10億ドル。2025年は各社公表値。2020〜2024年は各社年次開示・通期推移データを丸めて整理。

2026年Q1の実績比較

2026年Q1は、LMTが売上横ばい・利益減少、RTXが売上・利益ともに増加という対照的な内容でした。LMTは売上$18.0B、希薄化後EPS$6.44で、営業キャッシュフローは$0.22B、フリーキャッシュフローは-$0.291Bでした。RTXは売上$22.1B、調整後EPS$1.78、営業キャッシュフロー$1.9B、フリーキャッシュフロー$1.3Bでした。[1][2]

指標(2026年Q1) LMT RTX
売上 $18.021B[1] $22.076B[2]
純利益 $1.488B[1] $2.059B[2]
EPS 希薄化後EPS $6.44[1] GAAP EPS $1.51
調整後EPS $1.78[2]
フリーキャッシュフロー -$0.291B[1] $1.3B[2]
バックログ $186.4B[1] $271B[2]

EPS(1株利益)の比較(参考)

LMTは受注型ビジネスゆえに、大型案件の進捗・見積り変更で利益が振れやすい企業です。2026年Q1も、F-16、C-130、CH-53K、Seahawkなどで不利な利益率調整があり、部門利益を押し下げました。[1]

一方、RTXは「調整後」指標で見ると、航空・防衛の複合ポートフォリオを背景に利益水準を引き上げています。2026年Q1はCollins Aerospace、Pratt & Whitney、Raytheonの3部門すべてで有機的売上成長と調整後営業利益成長が見られ、調整後EPSは前年比+21%でした。[2]

2026年の業績見通し

最新ガイダンス(2026年通期・2026年5月時点):
LMT:2026年Q1決算で通期見通しを据え置き。売上$77.5B〜$80.0B、希薄化後EPS$29.35〜$30.25、フリーキャッシュフロー$6.5B〜$6.8Bを見込む。[1]
RTX:2026年Q1決算で通期見通しを引き上げ。調整後売上$92.5B〜$93.5B、調整後EPS$6.70〜$6.90、フリーキャッシュフロー$8.25B〜$8.75Bを見込む。[2]

結論:今後の見通しと注意すべきリスク

分析サマリー

  • LMT:2026年Q1末の受注残は$186.4Bで、2025年末の$193.6Bからは減少しましたが、依然として高水準です。2026年も売上・利益・FCFの通期見通しは据え置かれており、防衛大型案件の需要は底堅いと見られます。一方、固定価格契約やプログラムの実行リスクは、利益率を圧迫しやすい点に注意が必要です。[1]
  • RTX:2026年Q1末の受注残は$271Bで、商業航空$162B、防衛$109Bの二本柱です。2026年Q1は売上・利益・FCFが改善し、会社は通期の調整後売上と調整後EPS見通しを引き上げました。民間航空のアフターマーケット、防衛ミサイル需要、Raytheon部門の伸びが支えです。[2]

注意すべきリスク要因

  • LMTのリスク:固定価格契約・機密案件・航空機プログラムなどでの見積り悪化が利益に直撃しやすい点です。2026年Q1もF-16、C-130、CH-53K、Seahawkなどで不利な利益率調整が発生しました。加えて、米国防政策や調達ルールの見直しが、株主還元や契約条件に影響する可能性があります。[1][8]
  • RTXのリスク:Pratt & WhitneyのGTFエンジン関連の点検・改修、関税や素材・人件費などのコスト要因、航空機の生産ペースの変動が、利益・キャッシュフローのぶれにつながり得ます。RTXは2026年Q1時点では業績が強く、見通しも引き上げましたが、GTF関連対応と商業航空サイクルは引き続き確認ポイントです。[2]

総合的な見通し

LMTは「防衛大型案件×高めの配当利回り」でディフェンシブに見やすい一方、実行リスクと固定価格契約の影響を受けやすい銘柄です。RTXは「防衛+商業航空の二本柱」で、受注残・売上成長・FCF改善が確認できる局面にあります。2026年Q1時点では、業績モメンタムはRTXがやや優位、配当利回りと純防衛色ではLMTが優位という整理です。

保有目的が「安定配当・純防衛寄り」ならLMT、「防衛と民間航空の分散成長・FCF改善」を重視するならRTXが候補になりやすいでしょう。ただし、どちらも政府予算、契約条件、供給網、人件費、規制・政策の影響を受けるため、受注残だけでなく、利益率とフリーキャッシュフローの推移を継続的に確認することが大切です。


最終更新日:2026年5月6日

ミニ解説:「バックログ」とは受注残高のことです。今後の売上計上見込みを示す重要指標で、防衛・航空宇宙産業では中長期の需要を測るベースになります。ただし、バックログが大きくても、固定価格契約のコスト超過や納入遅延が起きると、利益率やキャッシュフローは悪化することがあります。2026年Q1末時点でLMTは$186.4B、RTXは$271Bです。[1][2]

【注】(出典リンク)

  1. LMT 2026年Q1決算・バックログ・2026年見通し(売上$18.021B、EPS$6.44、FCF -$291M、バックログ$186.4B、2026年売上$77.5B〜$80.0B、EPS$29.35〜$30.25、FCF$6.5B〜$6.8B) → Lockheed Martin 2026年Q1決算リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-06
  2. RTX 2026年Q1決算・バックログ・2026年見通し(売上$22.1B、GAAP EPS$1.51、調整後EPS$1.78、FCF$1.3B、バックログ$271B、2026年調整後売上$92.5B〜$93.5B、調整後EPS$6.70〜$6.90、FCF$8.25B〜$8.75B) → RTX 2026年Q1決算リリース(一次情報)Reuters(二次情報) / 確認日:2026-05-06
  3. LMT 配当(四半期$3.45、2026年3月27日支払、配当履歴) → Lockheed Martin Dividend History(一次情報)Lockheed Martin 2026年Q1配当リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-06
  4. RTX 配当(2026年4月30日に四半期$0.73へ増配、2026年6月11日支払予定) → RTX Dividends & Splits(一次情報)RTX 配当増額リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-06
  5. 株価・利回り・PER試算の前提(LMT $508.93、RTX $172.87、2026年5月6日13時台UTC時点) → Yahoo Finance:LMT(二次情報)Yahoo Finance:RTX(二次情報) / 確認日:2026-05-06
  6. LMT 2025通期実績・2020〜2025年の売上推移(2025年売上$75.0B、バックログ$193.6B等) → Lockheed Martin 2025年Q4・通期決算リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-06
  7. RTX 2025通期実績・2020〜2025年の売上推移(2025年売上$88.6B、バックログ$268B等) → RTX 2025年Q4・通期決算リリース(一次情報) / 確認日:2026-05-06
  8. 米国防政策・株主還元への政策圧力に関するリスク(防衛企業の配当・自社株買い・報酬などへの政治的圧力) → Reuters(2026-01-07、二次情報) / 確認日:2026-05-06

Posted by 南 一矢