【AAPL/MSFT】アップルとマイクロソフトを比較する
AAPL(アップル)とMSFT(マイクロソフト)という宿命のライバル同士を比較してみます。
この2企業に関しては、すでにネット上で比較記事がたくさんあるので、ここでは範囲を絞り、グラフを用いて株価や決算、業績を概観してみます(グラフをクリックすると、リンクでAAPLやMSFTのページに飛びます)。
まず、ざっと両社の事業の概要を見てみます。
AAPLの事業の中心は「iPhone 」(売上の5割~6割)、タブレットの「iPad」、PCの「MAC」、携帯音楽プレーヤーの「iPod」、スマートスピーカーの「ホームポッド」、スマートウォッチの「アップルウォッチ」等の製品部門ですが、近年は、音楽管理の「iTunes」や金融決済のアップルペイ等のサービス事業も充実してきました。
MSFTの事業は、1)モアパーソナルコンピューティング(Windows、XboxやSurface等の端末)、2)プロダクティビティ&ビジネスプロセス(「Office」「Dynamics」「LinkedIn」等)、3)インテリジェントクラウド(「Azure」や「SQL Server」等)に分かれています。
社史をたどると、90年代にMSFTがPCのシェア獲得競争でAAPLに勝利し、AAPLが2000年代にスマホ市場で巻き返した結果、PCとスマホという現代の二大IT機器を取り合い、他領域も含めてバトルを繰り広げる構造ができてきました。
AAPLはブランド力ある製品群に「iTunes」等のサービスを結び付け、アップルファンに「買わせる」能力が秀でています(悪口ではありません。筆者もAAPL製品を買っています)。
MSFTは、スマホでAAPLに敗れ、検索でGOOGLに敗れ、一時期低迷したものの、Office365等のサブスクリプションビジネスやクラウドコンピューティングのAsureで大成功を収め、魅力的な事業群を再構築しました。
WindowsとOfficeという基盤を抑えながら、ゲームやサーバー、クラウド等、多分野に進出してきています。2020年にtiktok買収で名乗りを上げたのもSNSに進出したいという野心の現れです(「LinkedIn」だけでは規模が小さいからでしょう)。
2020年の事業売上の割合で見ると、AAPLはiPhoneが5割、iPadとMAC、サービスがそれぞれ1割程度。
MSFTは3つの事業分野がそれぞれ1/3程度に分かれています。
AAPLもiPhone比率を6割から5割にまで落としてきたので、両社とも事業を多角化しながら、未来の収益源を強化している段階にあると言えそうです。
過去~現在株価
※左目盛り:株価推移はAAPL/MSFT、XLK(テクノロジーセレクトセクターSPDRファンド)を比較(最大20分ディレイ)。
※右目盛り:10年国債利回り
※主要指標の単位 時価総額:億ドル、株式数:億、1日の平均取引量:100万ドル
四半期決算 予想:結果
さらに、四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます。
(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載。予想値の主な出所は英語版のヤフーファイナンス。)。
EPS:予想と結果
予想 | AAPL | MSFT | ||
10/23 | 1月前 | 10/23 | 1月前 | |
2023 | 6.44 | 6.45 | 11.82 | 11.95 |
2022 | 6.1 | 6.1 | 10.03 | 10.12 |
Q:22/12 | 2.14 | 2.13 | 2.56 | 2.59 |
Q:22/9 | 1.27 | 1.26 | 2.31 | 2.32 |
売上高:予想と結果
予想 | AAPL | MSFT | ||
10/23 | 1月前 | 10/23 | 1月前 | |
2023 | 411890 | 411380 | 249630 | 251660 |
2022 | 392750 | 392430 | 219530 | 220830 |
Q:22/12 | 128430 | 127960 | 56290 | 56680 |
Q:22/9 | 88900 | 88680 | 49730 | 49900 |
通年決算(GAAP基準)
最後に、通年決算の数字を比較してみます(以下、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。
損益計算(売上、純利益等)
*同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。