BND・AGG・AGGY・SPAB(米国債券ETF)を比較:株価・配当・構成銘柄

債券ETF

米国の債券市場全体に低コストで分散投資できる「総合債券ETF」。この記事では、ポートフォリオの核(コア)となる代表的なETFであるAGG、BND、SPABと、インカム向上を目指す利回り強化型AGGYの合計4銘柄を比較し、その特徴と選び方を解説します。[1][2][3][4]

※ご注意:以下に記載するデュレーション、利回り、構成比率、純資産総額は常に変動します。投資を検討される際は、必ず各社の公式ページ(Key Facts / Fact Sheet)で「いつ時点」の数値かを確認してください。特に債券ETFは、同じ公式ページ内でも利回り・デュレーション・保有数・純資産総額の基準日がずれることがあります。

また、記事中で使用する略語の簡単な解説を付記しておきます。

  • MBS(Mortgage-Backed Security):住宅ローン担保証券。住宅ローン債権を裏付けとして発行される証券。
  • CMBS(Commercial Mortgage-Backed Security):商業用不動産ローン担保証券。オフィスビルや商業施設などのローンを裏付けとする証券。
  • ABS(Asset-Backed Security):資産担保証券。MBSやCMBS以外、自動車ローンやクレジットカード債権などの資産を裏付けとする証券の総称。

【徹底比較】米国総合債券ETF 4選!コアのAGG・BND・SPABか、利回り強化のAGGYか?


主要ETF比較サマリー 2026年5月12日確認

まずは各ETFの最も重要な違いを一覧で見てみましょう。AGG・BND・SPABは方向性の近い「コア債券ETF」です。一方、AGGYは市場平均そのものではなく、Bloomberg U.S. Aggregateの内部でより高い利回りを狙う設計です。したがって、AGGYは単純な上位互換ではなく、ややリスクを上乗せして利回りを高めるETFとして見る必要があります。[5]

項目 【AGG】 【BND】 【SPAB】 【AGGY】
戦略 市場平均連動(コア向け) 利回り強化型
連動指数 / 位置づけ Bloomberg U.S. Aggregate Bond Indexの代表格。[1] Bloomberg U.S. Aggregate Float Adjusted Indexを採用。[2] Bloomberg U.S. Aggregate Bond Index連動の低コスト対抗馬。[3] Bloomberg U.S. Aggregate Enhanced Yield Index。市場平均を上回るインカムを狙う設計。[4]
経費率 0.03%
現行目論見書ベース、2026/05/12確認[1]
0.03%
現行目論見書ベース、2026/05/12確認[2]
0.03%
2026/05/12確認[3]
0.12%
2026/05/11時点[4]
純資産総額 1,356億ドル
2026/05/11時点[1]
ファンド全体:約3,898億ドル
ETFシェア:約1,516億ドル
2026/04/30時点[2]
92億ドル規模
2026年5月確認[3]
8.84億ドル
2026/05/11時点[4]
30日SEC利回り 4.36%
2026/05/08時点[1]
4.35%
2026/05/07時点[2]
4.33%
2026/05/08時点[3]
4.67%
2026/05/11時点[4]
デュレーション / 満期 実効デュレーション5.75年、加重平均満期8.02年
2026/05/11時点[1]
平均デュレーション5.7年、平均実効満期8.0年
2026年春時点の公表データ[2]
オプション調整後デュレーション5.86年、平均残存年数8.12年
2026/05/11時点[3]
実効デュレーション6.67年、平均残存年数11.76年
2026/05/11時点[4]
保有数 13,168
2026/05/11時点[1]
11,000銘柄超
2026年春時点[2]
8,323
ファンド、2026/05/11時点[3]
公式ページでは保有数よりも、利回り・デュレーション・配分の確認が中心。[4]
特徴 超低コストで米国の投資適格債券市場全体に広く分散。AGG・BND・SPABは方向性が近く、指数仕様、運用会社、売買のしやすさ、口座での取扱いで選ぶ構造です。 コア債券の枠内で利回り向上を狙う設計。ただし、デュレーションが長めで、信用リスクもやや厚くなりやすい点に注意が必要です。[5]

各ETFの詳細

【AGG】iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF

  • 連動指数:Bloomberg U.S. Aggregate Bond Index。[1]
  • 投資対象:米国の投資適格債券市場全体。米国債、政府関連債、社債、MBS、ABS、CMBSなどに幅広く分散します。[1]
  • 構成比率(参考):2026/05/11時点の上位発行体は、米国債46.33%、FNMA11.18%、GNMA II5.26%、FHLMC5.21%などで、国債と政府系住宅ローン関連が大きな柱です。[1]
  • ポイント:このカテゴリの代表格の一つです。経費率は0.03%、純資産総額は約1,356億ドル(2026/05/11時点)、保有数は13,168(2026/05/11時点)で、流動性と規模を重視する投資家に向いています。[1]

【BND】バンガード・米国トータル債券市場ETF

  • 連動指数:Bloomberg U.S. Aggregate Float Adjusted Index。[2]
  • 投資対象:米国の投資適格債券市場全体に分散投資します。方向性はAGGやSPABと近い一方、指数仕様がFloat Adjustedである点が違いです。[2]
  • 構成比率(参考):Vanguardの公表データでは、米国債・政府機関債、政府系MBS、社債などが中心です。米国債とMBSの比率が高く、株式ポートフォリオの安定化に使いやすいコア債券ETFです。[2]
  • ポイント:AGGと双璧をなす超低コストETFです。経費率は0.03%、ファンド全体の純資産は約3,898億ドル、ETFシェアは約1,516億ドル(いずれも2026/04/30時点)、30日SEC利回りは4.35%(2026/05/07時点)です。[2]

【SPAB】SPDRポートフォリオ米国総合債券ETF

  • 連動指数:Bloomberg U.S. Aggregate Bond Index。[3]
  • 投資対象:米国の投資適格債券市場全体に分散投資します。AGGと同じ方向性で「コア枠」を構成しやすい設計です。[3]
  • 構成比率(参考):2026/05/11時点のファンド特性では、保有数は8,323、平均残存年数は8.12年、オプション調整後デュレーションは5.86年、最終利回りは4.63%でした。[3]
  • ポイント:低コストのコアETFとして有力です。経費率は0.03%、30日SEC利回りは4.33%(2026/05/08時点)で、AGGやBNDとかなり近い性格を持ちます。[3]

【AGGY】ウィズダムツリー米国債券ファンド(利回り強化型)

  • 連動指数:Bloomberg U.S. Aggregate Enhanced Yield Index。[4]
  • 投資対象:米国の投資適格債券。ただし、市場平均をそのまま持つのではなく、セクター、満期、信用格付けの配分をルールベースで組み替えて、より高い利回りを狙います。[4]
  • 構成の考え方:Bloomberg U.S. Aggregate Enhanced Yield Indexは、U.S. Aggregate Indexを20のサブコンポーネントに分け、リスク特性を一定程度保ちながら利回りを高めるように配分を調整します。2026年4月末のリバランス資料では、Agg Enhanced YieldはAggに対しておよそ34bp高い利回りを持ち、デュレーションは約1.01年長い設計とされています。[5]
  • ポイント:市場平均(AGGなど)にそのまま連動するETFではありません。2026/05/11時点で、純資産総額は約8.84億ドル、30日SEC利回りは4.67%、分配利回りは4.41%、実効デュレーションは6.67年でした。利回りは高めですが、金利上昇局面や信用スプレッド拡大局面では、コア型より値動きが大きくなる可能性があります。[4]

結局どれを選ぶべきか?

  • 規模・流動性・代表性を重視するなら:AGG
  • バンガードで低コストにまとめたいなら:BND
  • 低コストのSPDRシリーズでそろえたいなら:SPAB
  • コア債券より少し高い利回りを狙いたいなら:AGGY

AGG・BND・SPABの3本は、いずれも米国の投資適格債券市場へ広く分散する「コア債券ETF」です。リターン差は大きく開きにくいため、経費率だけでなく、証券会社での取扱い、スプレッド、積立設定のしやすさ、NISA対応、既存ポートフォリオとの重複なども含めて選ぶのが現実的です。

AGGYは30日SEC利回りが相対的に高めですが、その分、デュレーションが長くなりやすく、信用リスクもやや厚くなりやすい設計です。したがって、ポートフォリオの守りの核として使うならAGG・BND・SPAB、インカムを少し上乗せしたい補完枠として使うならAGGY、という分け方がわかりやすいでしょう。

ミニ解説:債券ETFの利回りは、「30日SEC利回り」「分配利回り(Distribution / Trailing)」「最終利回り(Yield to Maturity)」など定義が複数あります。30日SEC利回りは、直近30日間の投資収益を年率換算した標準化指標で、実際の分配水準とは一致しないことがあります。比較するときは、同じ指標でそろえ、かつ「いつ時点」の値かを必ず確認するとブレが減ります。
免責事項:本記事は2026年5月12日時点で確認できる情報に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。ETFの利回り、デュレーション、構成比率、純資産総額、保有数、価格は日々変動します。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

【注】(出典リンク)

  1. AGG公式データ(概要・経費率・AUM・保有数・30日SEC利回り・デュレーション・主要発行体) → BlackRock/iShares「iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF」(確認日:2026-05-12)
  2. BND公式データ(概要・経費率・純資産・30日SEC利回り・平均デュレーション・平均実効満期・保有数) → Vanguard「Vanguard Total Bond Market ETF」Vanguard Advisors「BND」(確認日:2026-05-12)
  3. SPAB公式データ(概要・経費率・30日SEC利回り・デュレーション・保有数・ファンド特性) → State Street「SPDR Portfolio Aggregate Bond ETF」(確認日:2026-05-12)
  4. AGGY公式データ(概要・経費率・AUM・30日SEC利回り・分配利回り・デュレーション・平均残存年数) → WisdomTree「Yield Enhanced U.S. Aggregate Bond Fund」(確認日:2026-05-12)
  5. AGGY指数設計・リバランス(20サブコンポーネント、利回り強化、デュレーション差) → Bloomberg「U.S. Aggregate Enhanced Yield Index」WisdomTree「Bloomberg U.S. Aggregate Enhanced Yield Index Rebalance」(確認日:2026-05-12)

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。




配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*当サイトは特別配当(分配金)を含めて計算するので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されることがあります)

BNDの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 3.88% 2.86 8.3% 73.7 1.2%
2024 3.63% 2.64 18.9% 72.8 1.0%
2023 3.08% 2.22 23.3% 72.1 -5.1%
2022 2.37% 1.80 2.9% 76.0 -11.4%
2021 2.04% 1.75 -15.0% 85.8 -1.7%
2020 2.36% 2.06 -7.2% 87.3 6.1%
2019 2.70% 2.22 2.8% 82.3 4.0%
2018 2.73% 2.16 8.0% 79.1 -3.1%
2017 2.45% 2.00 1.5% 81.6 -1.4%
2016 2.38% 1.97 -1.5% 82.8 0.9%
2015 2.44% 2.00 -10.3% 82.1 0.4%
2014 2.73% 2.23 2.8% 81.8 -0.1%
2013 2.65% 2.17 -17.8% 81.9 -2.7%
2012 3.14% 2.64 -9.9% 84.2 2.8%
2011 3.58% 2.93 -4.6% 81.9 1.4%
2010 3.80% 3.07 -1.0% 80.8 3.6%
2009 3.97% 3.10 -10.7% 78.0 2.1%
2008 4.54% 3.47 76.4

AGGの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 4.06% 3.89 7.2% 95.9 4.7%
2024 3.96% 3.63 16.7% 91.6 4.4%
2023 3.55% 3.11 34.1% 87.7 -2.6%
2022 2.58% 2.32 14.9% 90.0 -9.3%
2021 2.04% 2.02 -15.5% 99.2 0.5%
2020 2.42% 2.39 -5.5% 98.7 8.5%
2019 2.78% 2.53 2.8% 91.0 7.1%
2018 2.89% 2.46 8.4% 85.0 -0.4%
2017 2.66% 2.27 1.3% 85.3 1.1%
2016 2.65% 2.24 -15.5% 84.4 3.3%
2015 3.24% 2.65 -7.0% 81.7 3.2%
2014 3.60% 2.85 14.5% 79.2 2.7%
2013 3.23% 2.49 -10.8% 77.1 0.3%
2012 3.63% 2.79 -9.1% 76.9 6.4%
2011 4.25% 3.07 -4.7% 72.3 5.1%
2010 4.68% 3.22 -4.7% 68.8 7.3%
2009 5.27% 3.38 -5.6% 64.1 6.8%
2008 5.97% 3.58 60.0

AGGYの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 4.49% 1.97 4.8% 43.9 0.9%
2024 4.32% 1.88 13.3% 43.5 1.4%
2023 3.87% 1.66 46.9% 42.9 -5.7%
2022 2.48% 1.13 17.7% 45.5 -12.8%
2021 1.84% 0.96 -32.4% 52.2 -2.1%
2020 2.66% 1.42 -6.0% 53.3 4.9%
2019 2.97% 1.51 -4.4% 50.8 4.5%
2018 3.25% 1.58 15.3% 48.6 -3.6%
2017 2.72% 1.37 -11.0% 50.4 -1.0%
2016 3.03% 1.54 92.5% 50.9 2.4%
2015 1.61% 0.80 49.7

SPABの利回り

分配金 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 4.02% 1.02 6.2% 25.4 0.4%
2024 3.79% 0.96 11.6% 25.3 0.4%
2023 3.41% 0.86 43.3% 25.2 -5.3%
2022 2.26% 0.60 5.3% 26.6 -11.3%
2021 1.90% 0.57 -16.2% 30.0 -1.6%
2020 2.23% 0.68 -15.0% 30.5 5.5%
2019 2.77% 0.80 2.6% 28.9 4.0%
2018 2.81% 0.78 -38.1% 27.8 -3.1%
2017 4.39% 1.26 -12.5% 28.7 -1.7%
2016 4.93% 1.44 1.4% 29.2 0.7%
2015 4.90% 1.42 4.4% 29.0 0.7%
2014 4.72% 1.36 27.1% 28.8 0.3%
2013 3.73% 1.07 -18.9% 28.7 -2.0%
2012 4.51% 1.32 -31.6% 29.3 3.2%
2011 6.80% 1.93 -21.5% 28.4 1.1%
2010 8.75% 2.46 -12.1% 28.1 1.8%
2009 10.14% 2.80 28.4% 27.6 3.0%
2008 8.13% 2.18 26.8


ポートフォリオ

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品の構成比率を見てみます。
債権の格付けなどの比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢