BP:ブリティッシュペトロリアムの配当·業績
企業概要
ブリティッシュ・ペトロリアム(BP p.l.c.)は英系のエネルギーメジャーで、本社はロンドンにあります。起源は1909年に設立されたAnglo-Persian Oil Companyで、のちに現在のBPへ発展しました。[1]
BPは子会社を通じて欧州・北米・南米・豪州・アフリカ・アジアで事業を展開しています。なお、ロシア事業については2022年2月に撤退方針を決定し、ロスネフチ(Rosneft)持分19.75%の処分等を進めています。過去の「ロスネフチを通じて製油所を保有・運営する」という説明は、現在のBPの方針とは整合しないため、ロシア事業は撤退対象として扱うのが適切です。[2]
BPの報告セグメントは、gas & low carbon energy、oil production & operations、customers & products、およびother businesses & corporateで構成されています。2025年第1四半期から、Archaea事業がcustomers & productsからgas & low carbon energyへ移され、比較年度の数値も必要に応じて組み替えられています。[3]
事業は上流から下流・潤滑油・小売・電力・低炭素分野まで幅広く、2025年時点でもBPは世界的な統合エネルギー企業として事業を続けています。ただし、2025年以降の戦略では、低炭素投資を一律に拡大するというより、石油・ガス、顧客向け事業、選別した低炭素分野に資本を配分し直す方向が強まっています。[4]
主な歴史的節目として、1998年のアモコ(Amoco)との合併、2010年のメキシコ湾原油流出事故(ディープウォーター・ホライズン)、2020年のネットゼロ戦略発表、2022年のロシア事業撤退決定、そして2025年の戦略リセットが挙げられます。ネットゼロについては、2050年またはそれ以前にネットゼロ企業になるという大枠の目標を掲げつつ、近年は投資規律・負債削減・株主還元の優先度を高めています。[5][4]
BPの事業は以下の三つの主要領域で説明できます(報告セグメントに対応)。[3]
- oil production & operations(石油生産・上流):世界各地での石油・ガスの探鉱・開発・生産、主要資産の操業最適化。
- customers & products(顧客・製品):製油・燃料マーケティング、潤滑油(Castrol)、小売ネットワーク、EV充電などの下流・顧客向け事業。
- gas & low carbon energy(ガス&低炭素):LNG、ガス・電力、バイオエネルギー、水素、再生可能エネルギー関連など。ただし2025年以降は、低炭素分野も収益性と資本効率をより厳しく見直す方向です。
株式はロンドン証券取引所(LSE)に上場し、ニューヨーク証券取引所(NYSE:BP、ADS)でも取引されています。[6]
配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート
BP(ブリティッシュペトロリアム)の配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。
権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを図る指標)等も確認してみます。
年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等
BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)の配当利回りと株価を見る場合、NYSE上場のADS(ティッカー:BP)と、LSE上場の普通株では価格表示の通貨・単位が異なる点に注意が必要です。本記事の配当表では、比較しやすいようにNYSE ADSベースの年間配当と平均株価を中心に整理しています。
2026年5月7日時点で、NYSEのBP ADSは40ドル台前半で推移しており、直近四半期配当を年率換算したフォワード配当利回りはおおむね4%台です。2025年途中に四半期配当は普通株1株あたり8.32セント、ADSあたり0.4992ドルへ引き上げられました。[8][9]
以下、年間累計の1株配当、年平均株価、通年EPSを用いて、平均配当利回りや配当成長率、配当性向を確認します。平均株価はMacrotrendsのAnnual Average Stock Priceを優先し、配当はBP公式の配当発表および配当データサイトを照合しました。2025年のEPSは、BP株主帰属利益がごく小さいため、配当性向が極端に大きくなります。[9][10]
| 年 | 配当 | 平均株価 (ADS) |
年EPS (ADS) |
|||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均利回り | 成長率 | 配当性向 | 年計 (ADS) |
|||
| 2025 | 6.24% | 6.9% | 約9,792% | 1.9584 | 31.37 | 0.02 |
| 2024 | 5.91% | 10.0% | 約9,162% | 1.8324 | 31.00 | 0.02 |
| 2023 | 5.22% | 21.9% | 32% | 1.6656 | 31.92 | 5.15 |
| 2022 | 5.28% | 6.8% | 赤字のため算定困難 | 1.3660 | 25.88 | -0.79 |
| 2021 | 5.02% | -31.8% | 約42% | 1.2796 | 25.49 | 3.02 |
| 2020 | 8.01% | -23.4% | 赤字のため算定困難 | 1.8760 | 23.41 | -5.97 |
| 2019 | 6.10% | 1.5% | 約208% | 2.4600 | 40.35 | 1.18 |
| 2018 | 5.67% | 1.3% | 約87% | 2.4240 | 42.76 | 2.80 |
| 2017 | 6.55% | 0.0% | 約235% | 2.3920 | 36.54 | 1.02 |
| 2016 | 7.28% | 0.0% | 極端値 | 2.3920 | 32.87 | 0.04 |
| 2015 | 6.42% | 2.6% | 赤字のため算定困難 | 2.3920 | 37.26 | -2.12 |
| 2014 | 5.00% | 6.9% | 約190% | 2.3320 | 46.67 | 1.23 |
| 2013 | 5.06% | 10.6% | 約30% | 2.1816 | 43.10 | 7.39 |
| 2012 | 4.67% | 17.9% | 約57% | 1.9728 | 42.27 | 3.45 |
| 2011 | 3.49% | 0.0% | 約21% | 1.6734 | 47.98 | 7.90 |
| 2010 | 1.87% | -50.0% | 赤字のため算定困難 | 1.6734 | 89.40 | -1.19 |
| 2009 | 3.44% | 1.8% | 約64% | 3.3600 | 97.70 | 5.25 |
| 2008 | 2.76% | 30.4% | 約49% | 3.3000 | 119.50 | 6.69 |
変動する配当の実績
BPの配当実績は、グローバルエネルギー市場の変動や会社独自の課題により、大きく変動してきました。2010年のディープウォーター・ホライズン事故後、BPは配当を大幅に削減しました。その後、緩やかな回復期を経て、2020年にはCOVID-19パンデミックによるエネルギー需要の急減と原油価格の暴落により、再び大幅な配当削減を実施しました。
一方、2022年以降はエネルギー価格の回復を背景に、配当は再び増加傾向にあります。2025年は第2四半期分から四半期配当が普通株1株あたり8.32セント、ADSあたり0.4992ドルに引き上げられました。[9]
配当成長率の推移
BPの配当成長率は極めて変動的です:
- 2008〜2009年:高配当を維持しつつ、増配も行った時期。
- 2010年:ディープウォーター・ホライズン事故の影響で大幅減配。
- 2011〜2014年:事故後の回復期で、配当を徐々に戻した時期。
- 2015〜2019年:原油価格低迷期でも配当をおおむね維持したが、EPS比では重くなった時期。
- 2020〜2021年:パンデミックと戦略転換により、配当水準を再設定。
- 2022〜2025年:エネルギー市場の回復とともに配当成長を再開。
このパターンは、原油価格サイクル、事故・訴訟・地政学リスク、そして同社の資本配分方針を反映しています。BPは安定増配銘柄というより、エネルギー価格とキャッシュフローに応じて配当と自社株買いを調整する銘柄と見るべきです。
配当利回りの魅力
BPの平均配当利回りは、2008年の2.76%から2025年には6.24%へと、長期的には高い水準で推移しています。特に注目すべき点は以下です。
- 2016年、2020年、2025年は平均利回りが6%を超える高水準。
- 2020年以降、株価が過去の高値水準を大きく下回るなかで、利回りが高く見えやすい。
- 高利回りは魅力である一方、株価低迷や事業転換リスクを反映している面もある。
高い配当利回りは、エネルギーセクターとしてのBPの魅力の一つです。ただし、これは「安全な高配当」というより、原油・ガス価格、訴訟・規制、低炭素投資、負債削減のバランスを市場が慎重に評価している結果でもあります。
注目ポイント:BPは伝統的な「配当貴族」ではありません。2025年までは配当と自社株買いを組み合わせた総還元を重視していましたが、2025年通期決算では、取締役会が自社株買いを停止し、余剰キャッシュをバランスシート強化に回す方針を示しました。したがって、今後は「配当は維持・小幅成長を狙うが、自社株買いは財務状況次第」という見方がより適切です。[7]
配当性向の持続可能性
配当性向は「1株配当 ÷ EPS」で計算される指標ですが、BPの場合、この指標は極めて変動的で、解釈には注意が必要です。EPSがマイナスとなった年(2010年、2015年、2020年、2022年)には、通常の意味での配当性向は使いにくくなります。また、2014年、2016年、2017年、2019年、2024年、2025年のように、EPSが低い年には配当性向が極端に高く表示されます。
極端な配当性向の理解:2024年と2025年の配当性向が異常に高く見える主因は、BP株主帰属利益が非常に小さかったためです。2025年通期のBP株主帰属利益は5,500万ドルにとどまり、前年2024年の3億8,100万ドルからさらに低下しました。一方、2025年の営業キャッシュフローは244.93億ドルあり、会計上の利益とキャッシュ創出力の差が大きくなっています。[7]
会計上の一時的要因の影響:石油・ガス会社の純利益は以下の理由で大きく変動します。
- 資産減損損失:原油・ガス価格の前提変更や低炭素資産の評価見直し。
- 事業売却・撤退に伴う特別損益:BPの場合、ロシア事業撤退や資産売却の影響。
- 法的和解金・引当金:ディープウォーター・ホライズン事故関連の支払いなど。
- 棚卸資産評価損益:原油価格の急激な変動による在庫評価の変化。
- 低炭素・再エネ関連資産の減損:2025年にはLightsource bp、Archaea、洋上風力関連などで減損が発生しています。[7]
そのため、BPの配当分析では、EPSベースの配当性向だけでなく、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー、ネット負債、資本支出、自社株買いの有無を組み合わせて見ることが重要です。
財務パフォーマンスと成長見通し
以下の表では、売上高、営業CF、純利益はM$(百万ドル)単位、営業CFマージンは%単位で表示しています。2025年の売上高・財務数値は、BPの2025年通期決算および財務データを基に更新しています。[7][10]
主要財務指標の推移
| 年度 | 売上高 | 営業CF | 同マージン | 純利益 (BP株主帰属) |
|---|---|---|---|---|
| 2009 | 246,138 | 27,716 | 11% | 16,578 |
| 2010 | 308,928 | 13,616 | 4% | -3,719 |
| 2011 | 386,216 | 22,218 | 6% | 25,212 |
| 2012 | 388,074 | 20,479 | 5% | 11,017 |
| 2013 | 396,217 | 21,100 | 5% | 23,451 |
| 2014 | 358,678 | 32,754 | 9% | 3,780 |
| 2015 | 225,982 | 19,133 | 8% | -6,482 |
| 2016 | 186,606 | 10,691 | 6% | 115 |
| 2017 | 244,582 | 18,931 | 8% | 3,389 |
| 2018 | 170,147 | 22,873 | 13% | 9,383 |
| 2019 | 163,526 | 25,770 | 16% | 4,026 |
| 2020 | 109,078 | 12,162 | 11% | -20,305 |
| 2021 | 156,431 | 23,612 | 15% | 7,565 |
| 2022 | 239,067 | 40,932 | 17% | -2,487 |
| 2023 | 213,032 | 32,039 | 15% | 15,239 |
| 2024 | 194,629 | 27,297 | 14% | 381 |
| 2025 | 192,549 | 24,493 | 13% | 55 |
収益性と効率性の変動
BPの財務データからは、石油・ガス産業特有の景気循環性と外部環境の影響を強く受ける特性が見てとれます。
- 売上高は原油・ガス価格に大きく左右され、2013年の3,962億ドル規模から2020年には1,091億ドル規模へ大きく減少しました。
- 営業CFは2022年に409.32億ドルまで拡大しましたが、2025年は244.93億ドルへ低下しました。
- 2025年通期のBP株主帰属利益は5,500万ドルにとどまりましたが、これは営業CFの弱さだけでなく、減損や調整項目の影響も大きい年でした。
- 2025年の基礎的RC利益は74.85億ドルで、2024年の89.15億ドルから減少しました。[7]
特に注目すべきは、2025年に「会計上の純利益はほぼゼロに近いが、営業キャッシュフローはなお大きい」という状態になっている点です。このため、BPを分析する際は、純利益だけで判断すると実態を見誤る可能性があります。
安定したキャッシュフロー基盤
以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFはM$(百万ドル)単位、営業CF成長率は%単位で表示しています。
| 年度 | 営業CF | 成長率 | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|---|
| 2009 | 27,716 | -27% | -18,133 | -9,551 |
| 2010 | 13,616 | -51% | -3,960 | 840 |
| 2011 | 22,218 | 63% | -26,753 | 477 |
| 2012 | 20,479 | -8% | -13,075 | -2,010 |
| 2013 | 21,100 | 3% | -7,855 | -10,400 |
| 2014 | 32,754 | 55% | -19,574 | -5,266 |
| 2015 | 19,133 | -42% | -17,300 | -4,535 |
| 2016 | 10,691 | -44% | -14,753 | 1,977 |
| 2017 | 18,931 | 77% | -14,077 | -3,296 |
| 2018 | 22,873 | 21% | -21,571 | -4,079 |
| 2019 | 25,770 | 13% | -16,974 | -8,817 |
| 2020 | 12,162 | -53% | -7,858 | 3,956 |
| 2021 | 23,612 | 94% | -5,694 | -18,079 |
| 2022 | 40,932 | 73% | -13,713 | -28,021 |
| 2023 | 32,039 | -22% | -14,872 | -13,359 |
| 2024 | 27,297 | -15% | -13,250 | -7,297 |
| 2025 | 24,493 | -10% | -11,504 | -15,880 |
BPの強みは、高いキャッシュフロー生成能力にあります。ただし、そのキャッシュフローは原油・ガス価格、精製マージン、在庫評価、税金支払い、運転資本の変動に大きく左右されます。
- 2022年の営業CFは409.32億ドルと非常に高く、エネルギー価格高騰の恩恵が大きく出ました。
- 2023年、2024年、2025年は営業CFが連続して減少し、2025年は244.93億ドルになりました。
- 2025年の財務CFは-158.80億ドルで、配当・自社株買い・負債関連取引などの影響を反映しています。
- 2025年末のネット負債は222億ドルで、2024年末の230億ドルからやや減少しました。[7]
キャッシュフロー分析のポイント:BPは営業CFを生み出す力を維持していますが、2025年時点では「増配と自社株買いを同時に強く進める局面」から、「配当を守りながらバランスシートを強化する局面」へ移りつつあります。2025年通期決算で自社株買い停止が示されたことは、この変化を象徴しています。[7]
負債水準と資本構成
以下の表では、総資産、総負債、株主資本はM$(百万ドル)単位、自己資本率は%単位で表示しています。
| 年度 | 総資産 | 総負債 | 株主資本 | 自己資本率 | 負債比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2009 | 235,968 | 133,855 | 102,113 | 43% | 131% |
| 2010 | 272,262 | 176,371 | 95,891 | 35% | 184% |
| 2011 | 292,907 | 180,322 | 112,585 | 38% | 160% |
| 2012 | 300,466 | 180,714 | 119,752 | 40% | 151% |
| 2013 | 305,690 | 175,283 | 130,407 | 43% | 134% |
| 2014 | 284,305 | 171,663 | 112,642 | 40% | 152% |
| 2015 | 261,832 | 163,445 | 98,387 | 38% | 166% |
| 2016 | 263,316 | 166,473 | 96,843 | 37% | 172% |
| 2017 | 276,515 | 176,111 | 100,404 | 36% | 175% |
| 2018 | 282,176 | 180,628 | 101,548 | 36% | 178% |
| 2019 | 295,194 | 194,486 | 100,708 | 34% | 193% |
| 2020 | 267,654 | 182,086 | 85,568 | 32% | 213% |
| 2021 | 287,272 | 196,833 | 90,439 | 31% | 218% |
| 2022 | 288,120 | 205,130 | 82,990 | 29% | 247% |
| 2023 | 280,294 | 194,801 | 85,493 | 31% | 228% |
| 2024 | 282,228 | 203,910 | 78,318 | 28% | 260% |
| 2025 | 278,530 | 204,530 | 74,000 | 27% | 276% |
BPの資本構成には、いくつかの重要な特徴が見られます。
- 自己資本率は2009年の43%から2025年には27%へと低下しました。
- 負債比率は同期間に131%から276%へと上昇しました。
- 2025年末の総資産は2,785億ドル、総負債は2,045億ドル、株主資本は740億ドルです。
- 2025年末のネット負債は222億ドルで、2027年末までに140億〜180億ドルを目指す方針が示されています。[7][10]
負債比率の上昇は、配当投資家にとって無視できない論点です。BPは2025年通期決算で自社株買いを停止し、余剰キャッシュをバランスシート強化に振り向ける方針を示しました。これは、配当そのものよりも、まず財務の安定性を重視する局面に入ったことを示しています。
まとめ:長期配当投資家にとってのBPとは?
BPは、石油メジャーとしてのキャッシュ創出力と、低炭素社会への移行戦略の間でバランスを取りながら、株主還元を続けている企業です。ただし、公益事業会社や生活必需品企業とは異なり、景気循環性が高く、配当の安定性という点では不確実性があります。
同社の強みは以下の点にあります。
- 石油・ガス価格が高い時期に大きな営業キャッシュフローを生み出せる。
- 2020年の配当再設定後、2022〜2025年に配当を回復させてきた。
- 2025年時点でも配当利回りは比較的高い。
- 上流、下流、顧客向け事業を持つ統合エネルギー企業である。
- 資産売却や投資見直しにより、財務改善を進める余地がある。
一方で、注意すべき点としては以下が挙げられます。
- 過去に大幅な減配実績がある(2010年、2020年)。
- 収益とキャッシュフローが原油・ガス価格に左右される。
- 自己資本率が低下し、負債比率が上昇している。
- 2025年は純利益が非常に小さく、EPSベースの配当性向は極端に高い。
- 自社株買い停止により、総還元の見え方が変わった。
- 低炭素事業の収益性、減損、資本効率に不確実性がある。
- 環境規制、炭素税、座礁資産リスク、地政学リスクの影響を受ける。
投資家へのポイント:BPへの投資は、「安定した連続増配を受け取る投資」というより、エネルギー価格サイクルと財務改善を見ながら高めの配当を狙う投資に近いです。配当だけを見ると魅力的ですが、2025年時点では、ネット負債、自社株買い停止、低炭素資産の減損、資産売却の進み具合をあわせて確認する必要があります。長期配当投資家にとっては、配当利回りの高さだけでなく、営業CFが配当と資本支出をどこまで支えられるかが最重要ポイントです。
よくある質問
BPの配当はどれくらい安全ですか?
BPの配当安全性は、公益事業や生活必需品企業と比べると相対的に低いと考えるべきです。過去に複数回の大幅な配当削減実績があり、2025年もEPSベースでは配当性向が極端に高くなっています。ただし、営業キャッシュフローで見ると、2025年通期でも244.93億ドルを生み出しており、会計上の純利益だけで判断するよりは余力があります。今後は、原油価格、ネット負債の削減、自社株買い再開の有無が配当安全性の判断材料になります。[7]
エネルギートランジション戦略はBPの配当にどのような影響を与えますか?
2020年当時のBPは低炭素事業の拡大を強く打ち出していましたが、2025年には投資規律と収益性を重視する方向へ修正しています。これは短期的には、採算の低い低炭素投資を抑え、石油・ガスや顧客向け事業のキャッシュ創出を重視する動きです。配当投資家にとっては、低炭素投資の拡大そのものよりも、投資がキャッシュフローを圧迫しないか、減損につながらないかを見ることが重要です。
負債比率の上昇傾向は懸念材料ではないですか?
懸念材料です。BPの自己資本率は2009年の43%から2025年には27%へ低下し、負債比率は276%まで上昇しています。もっとも、BPは2025年末のネット負債222億ドルを、2027年末までに140億〜180億ドルへ下げる目標を示しています。2025年通期決算で自社株買いを停止し、余剰キャッシュをバランスシート強化に回す方針を示したことは、財務改善を優先する姿勢の表れです。[7]
2024年から2025年にかけてEPSが低い理由は何ですか?
2024年と2025年は、BP株主帰属利益が非常に小さくなったため、EPSも低くなりました。2025年通期では、BP株主帰属利益が5,500万ドルにとどまっています。背景には、エネルギー価格の正常化、減損、低炭素関連資産の評価見直し、調整項目などがあります。一方で、営業キャッシュフローは2025年通期で244.93億ドルあり、EPSとキャッシュ創出力の差が大きい点がBP分析の難しさです。[7]
【注】(出典リンク)
- 会社の起源(1909年設立:Anglo-Persian Oil Company) → Our history(BP公式) → 一次情報:BP公式沿革ページ(確認日:2026-05-09) ↩
- ロシア撤退方針(Rosneft持分19.75%の退出決定、2022年2月) → bp’s position in Russia(BP公式声明) → 一次情報:BP公式ニュースリリース(確認日:2026-05-09) ↩
- 報告セグメントと2025年のセグメント変更 → BP 2025 Q4/FY Results Form 6-K(SEC) → 一次情報:SEC提出資料、Archaeaのセグメント移管と比較数値の組替え(確認日:2026-05-09) ↩ ↩
- 2025年の戦略リセット、石油・ガス投資重視、低炭素投資の選別 → Fourth quarter and full year 2025 results(BP公式) → Reuters:2025年の戦略転換報道(確認日:2026-05-09) ↩ ↩ ↩
- ネットゼロ戦略(2050年またはそれ以前にネットゼロを目指す方針) → Net zero ambition(BP公式、2020年発表) → 一次情報:BP公式発表(確認日:2026-05-09) ↩
- 上場情報(LSE/NYSE: BP ADS) → Share price history(BP公式) → 一次情報:BP投資家向けページ(確認日:2026-05-09) ↩
- 2025年通期決算、営業CF、純利益、ネット負債、自社株買い停止、減損 → BP 2025 Q4/FY Results Form 6-K(SEC) → 一次情報:SEC提出資料、2025年通期決算(確認日:2026-05-09) ↩ ↩ ↩ ↩ ↩ ↩ ↩ ↩ ↩ ↩ ↩ ↩
- 2026年5月時点の株価・フォワード利回り目安 → Dividend.com:BP ADR配当情報 → 二次情報:株価・フォワード配当利回りの確認(確認日:2026-05-09) ↩
- BP配当履歴、2025年の四半期配当、ADS配当額 → Dividends(BP公式) → MarketChameleon:BP Dividend Information → 一次情報を優先し、配当履歴データで照合(確認日:2026-05-09) ↩ ↩ ↩
- 年平均株価、売上高、財務データの照合 → Macrotrends:BP Stock Price History → Macrotrends:BP Revenue → AlphaQuery:BP Fundamentals(確認日:2026-05-09) ↩ ↩ ↩

