BP:ブリティッシュペトロリアムの配当·業績
企業概要
業績・貸借対照表の最新基準は2026年6月30日終了の第2四半期および上半期です(8月4日公表)。株価はNYSE上場ADSの2026年10月7日終値を使用します。通期FY2026決算と第3四半期実績はまだ公表済みとは扱いません。[1][2]
ブリティッシュ・ペトロリアム(BP p.l.c.)は英系のエネルギーメジャーで、本社はロンドンにあります。起源は1909年に設立されたAnglo-Persian Oil Companyで、のちに現在のBPへ発展しました。[3]
BPは欧州・北米・南米・豪州・アフリカ・アジアで事業を展開します。ロシアのRosneft持分19.75%については2022年2月に撤退方針を示しており、通常の継続操業資産と区別する必要があります。[4]
2026年10月8日時点の対外報告セグメントは、gas & low carbon energy、oil production & operations、customers & productsの3部門です。共通・その他部門も業績資料に表示されます。2026年6月に組織モデルを見直しましたが、新しい財務報告区分への移行は2027年1月開始年度からの予定です。2025年のArchaeaの部門移管も長期比較上の注意点です。[1][5]
BPは上流の石油・ガス生産から精製、燃料小売、潤滑油、電力、選別した低炭素事業まで展開しています。2025年の戦略リセット後は、低炭素投資の一律拡大よりも収益性、資産売却、負債削減、主力事業の操業改善を優先しています。2026年4月に就任したMeg O’Neill CEOも、資本規律と事業簡素化を重視しています。[6][1]
主な歴史的節目として、1998年のアモコ(Amoco)との合併、2010年のメキシコ湾原油流出事故(ディープウォーター・ホライズン)、2020年のネットゼロ戦略発表、2022年のロシア事業撤退決定、そして2025年の戦略リセットが挙げられます。ネットゼロについては、2050年またはそれ以前にネットゼロ企業になるという大枠の目標を掲げつつ、近年は投資規律・負債削減・株主還元の優先度を高めています。[7][6]
以下の3領域が2026年末までの報告セグメントに対応します。[1]
- oil production & operations(石油生産・上流):世界各地での石油・ガスの探鉱・開発・生産、主要資産の操業最適化。
- customers & products(顧客・製品):精製・燃料販売、小売、潤滑油Castrolなど。2025年12月にCastrol持分65%をStonepeakへ売却する契約を発表し、2026年末までの完了を想定していますが、2026年10月8日時点で完了扱いにはしません。
- gas & low carbon energy(ガス・低炭素):LNG、天然ガス、ガス・電力取引、選別した低炭素事業。2026年8月、米国バイオガス事業Archaeaの売却方針を示しました。
株式はロンドン証券取引所(LSE)に上場し、ニューヨーク証券取引所(NYSE:BP、ADS)でも取引されています。[8]
年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等
BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)の配当利回りと株価を見る場合、NYSE上場のADS(ティッカー:BP)と、LSE上場の普通株では価格表示の通貨・単位が異なる点に注意が必要です。本記事の配当表では、比較しやすいようにNYSE ADSベースの年間配当と平均株価を中心に整理しています。
2026年10月7日のNYSE上場ADS終値は44.51ドルです。BPが2026年8月4日に発表した第2四半期分配当は普通株1株8.660米セント、ADS1口(普通株6株相当)につき0.5196ドルでした。これを4倍した年率換算配当は2.0784ドル、同終値に対するフォワード配当利回りは約4.67%です。[1][2]
下表は原則として暦年に実際に支払われたADS1口当たり配当と参考平均株価を比較したものです。2026Eだけは直近四半期配当の年率換算で、2026年の支払済み総額ではありません。2025年はGAAP利益が小さく、EPSベースの配当性向が極端に高くなりました。2024年のADS当たり希薄化EPSは元記事の0.02ドルではなく、公式Form 20-Fに基づく0.14ドルへ修正しています。[5][10]
2026年3月・6月の支払いは各0.4992ドル、9月18日の支払いは0.5196ドルで、10月8日までの支払済み累計は1.5180ドルです。9月支払い分は8月14日がADSの権利落ち日、8月14日が基準日でした。今後の配当は次回の取締役会発表に依存します。[1][10]
2008~2010年の原稿にある「平均株価」119.50、97.70、89.40ドルは当時のADS取引価格帯と整合しないため、比較可能な株価系列の再集計まで平均株価・平均利回りを空欄としました。[11]
| 年 | 配当 | 平均株価 (ADS) |
年EPS (ADS) |
|||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均利回り | 成長率 | 配当性向 | 年計 (ADS) |
|||
| 2026E 10/7基準 |
約4.67% | - | - 異なる期間のEPSと比較しない |
2.0784 年率換算 |
44.51 10/7終値 |
上半期2.98 通期ではない |
| 2025 | 6.24% | 6.9% | 約9,792% | 1.9584 | 31.37 | 0.02 |
| 2024 | 5.91% | 10.0% | 約1,309%(丸めEPS基準) | 1.8324 | 31.00 | 0.14 |
| 2023 | 5.22% | 21.9% | 32% | 1.6656 | 31.92 | 5.15 |
| 2022 | 5.28% | 6.8% | 赤字のため算定困難 | 1.3660 | 25.88 | -0.79 |
| 2021 | 5.02% | -31.8% | 約42% | 1.2796 | 25.49 | 3.02 |
| 2020 | 8.01% | -23.4% | 赤字のため算定困難 | 1.8760 | 23.41 | -5.97 |
| 2019 | 6.10% | 1.5% | 約208% | 2.4600 | 40.35 | 1.18 |
| 2018 | 5.67% | 1.3% | 約87% | 2.4240 | 42.76 | 2.80 |
| 2017 | 6.55% | 0.0% | 約235% | 2.3920 | 36.54 | 1.02 |
| 2016 | 7.28% | 0.0% | 極端値 | 2.3920 | 32.87 | 0.04 |
| 2015 | 6.42% | 2.6% | 赤字のため算定困難 | 2.3920 | 37.26 | -2.12 |
| 2014 | 5.00% | 6.9% | 約190% | 2.3320 | 46.67 | 1.23 |
| 2013 | 5.06% | 10.6% | 約30% | 2.1816 | 43.10 | 7.39 |
| 2012 | 約4.68% | 17.9% | 約57% | 1.9800 | 42.27 | 3.45 |
| 2011 | 3.49% | +100.0% | 約21% | 1.6800 | 47.98 | 7.90 |
| 2010 | - | -75.0% | 赤字のため算定困難 | 0.8400 | - | -1.19 |
| 2009 | - | 1.8% | 約64% | 3.3600 | - | 5.25 |
| 2008 | - | 30.4% | 約49% | 3.3000 | - | 6.69 |
変動する配当の実績
BPの配当は原油価格、事故対応、財務戦略の転換に左右されてきました。2010年の原油流出事故後、2010年は一部四半期の配当が停止され、年間支払額はADS当たり0.84ドル(2009年の3.36ドルから75%減)でした。2020年にも大幅減配し、その後は徐々に増配を再開しました。[12]
2025年のADS当たり年間支払額は1.9584ドルで、2024年の1.8324ドルから増加しました。2026年9月18日に支払われた四半期配当はADS当たり0.5196ドルで、年率換算では2.0784ドルになります。ただし、これは今後4回の支払いを保証するものではありません。[9][1]
配当成長率の推移
BPの配当成長率は事故や資源価格の影響を受けて大きく変動します。特に2010年は前年比75%減、2011年は低い前年の反動で100%増となりました。2025年は前年比約6.9%増、2026年の直近宣言配当は前四半期の8.32セントから8.66セントへ約4.1%増です。後者は年間増配率ではなく、普通株1株当たりの四半期宣言額の比較です。[12][1]
- 2008〜2009年:高配当を維持しつつ、増配も行った時期。
- 2010年:事故後の四半期配当停止により、ADS年間支払額は3.36ドルから0.84ドルへ75%減少。
- 2011〜2014年:低下した配当水準からの回復期。2011年は2010年の配当停止の反動で前年比100%増。
- 2015〜2019年:原油価格低迷期でも配当をおおむね維持したが、EPS比では重くなった時期。
- 2020〜2021年:パンデミックと戦略転換により、配当水準を再設定。
- 2022〜2025年:エネルギー市場の回復とともに配当成長を再開。
このパターンは、原油価格サイクル、事故・訴訟・地政学リスク、そして同社の資本配分方針を反映しています。BPは安定増配銘柄というより、エネルギー価格とキャッシュフローに応じて配当と自社株買いを調整する銘柄と見るべきです。
配当利回りの魅力
BPの配当利回りは資源価格だけでなく株価下落でも上昇します。長期表の平均利回りは参考系列であり、価格調整や集計方法が異なると比較不能になるため注意が必要です。2026年10月7日終値ベースの現行年率換算利回りは約4.67%で、これは2025年の平均利回り約6.24%とは算定期間が異なります。[2][1]
- 2016年、2020年、2025年には参考平均利回りが6%を超えた。2008〜2010年の再集計前データは比較対象から除く。
- 2020年以降、株価が過去の高値水準を大きく下回るなかで、利回りが高く見えやすい。
- 高利回りは魅力である一方、株価低迷や事業転換リスクを反映している面もある。
高利回りには一定の投資妙味がある一方、BPの配当額は原油・ガス市況、下流マージン、資産売却、負債削減の優先順位に影響されます。2026年上半期はキャッシュフローが回復しましたが、半年分の好業績だけで通期配当の安全性を断定することはできません。[1]
注目ポイント:BPは連続増配を保証する配当貴族ではありません。2026年2月の2025年通期決算発表では自社株買いプログラムを停止し、余剰資金を財務強化に充てる方針へ転換しました。2026年8月の第2四半期公表でも、配当の小幅増額とバランスシート強化を両立させる方針が焦点です。[9][1]
配当性向の持続可能性
配当性向は「1株配当 ÷ EPS」で計算される指標ですが、BPの場合、この指標は極めて変動的で、解釈には注意が必要です。EPSがマイナスとなった年(2010年、2015年、2020年、2022年)には、通常の意味での配当性向は使いにくくなります。また、2014年、2016年、2017年、2019年、2024年、2025年のように、EPSが低い年には配当性向が極端に高く表示されます。
極端な配当性向の理解:2025年通期のBP株主帰属利益は5,500万ドル、ADS当たり希薄化EPSは0.02ドルでした。2024年は利益3億8,100万ドル、ADS当たり希薄化EPSは0.14ドルです。2025年のEPSベースの配当性向は概算約9,792%、2024年は約1,309%となりますが、両年とも丸めた小さなEPSで計算した参考値であり、配当持続性の直接的な尺度としては不適切です。[5]
会計上の一時的要因の影響:石油・ガス会社の純利益は以下の理由で大きく変動します。
- 資産減損損失:原油・ガス価格の前提変更や低炭素資産の評価見直し。
- 事業売却・撤退に伴う特別損益:BPの場合、ロシア事業撤退や資産売却の影響。
- 法的和解金・引当金:ディープウォーター・ホライズン事故関連の支払いなど。
- 棚卸資産評価損益:原油価格の急激な変動による在庫評価の変化。
- 低炭素・再エネ関連資産の減損:2025年にはLightsource bp、Archaea、洋上風力関連などで減損が発生しています。[9]
そのため、BPの配当分析では、EPSベースの配当性向だけでなく、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー、ネット負債、資本支出、自社株買いの有無を組み合わせて見ることが重要です。
財務パフォーマンスと成長見通し
以下の表では収益、営業キャッシュフロー(営業CF)、BP株主帰属利益を百万ドルで示します。2026年第2四半期と上半期は未監査の期間実績であり、年間データとは混同しないでください。なお、元記事に残る2018~2022年の「売上高」には過去の会計表示組替え・収益とその他収入の集計範囲の変更が反映されているため、全年度で厳密に同一定義の連続系列とは扱えません。2018年の修正後170,147百万ドルは当時の「総収益・その他収入」に対応し、「売上・その他営業収入」の165,165百万ドルとは異なります。連続成長率の算定には同一定義の再集計が必要です。[5][1][13]
主要財務指標の推移
| 年度 | 収益等(旧系列に定義差) | 営業CF | 同マージン | 純利益 (BP株主帰属) |
|---|---|---|---|---|
| 2026 H1 | 121,360 | 13,718 | 11.3% | 7,753 |
| 2026 Q2 | 69,105 | 10,858 | 15.7% | 3,911 |
| 2009 | 246,138 | 27,716 | 11% | 16,578 |
| 2010 | 308,928 | 13,616 | 4% | -3,719 |
| 2011 | 386,216 | 22,218 | 6% | 25,212 |
| 2012 | 388,074 | 20,479 | 5% | 11,017 |
| 2013 | 396,217 | 21,100 | 5% | 23,451 |
| 2014 | 358,678 | 32,754 | 9% | 3,780 |
| 2015 | 225,982 | 19,133 | 8% | -6,482 |
| 2016 | 186,606 | 10,691 | 6% | 115 |
| 2017 | 244,582 | 18,931 | 8% | 3,389 |
| 2018 | 170,147 | 22,873 | 13% | 9,383 |
| 2019 | 163,526 | 25,770 | 16% | 4,026 |
| 2020 | 109,078 | 12,162 | 11% | -20,305 |
| 2021 | 156,431 | 23,612 | 15% | 7,565 |
| 2022 | 239,067 | 40,932 | 17% | -2,487 |
| 2023 | 213,032 | 32,039 | 15% | 15,239 |
| 2024 | 194,629 | 27,297 | 14% | 381 |
| 2025 | 192,549 | 24,493 | 13% | 55 |
収益性と効率性の変動
BPの財務データからは、石油・ガス産業特有の景気循環性と外部環境の影響を強く受ける特性が見てとれます。
- 売上高は原油・ガス価格に大きく左右され、2013年の3,962億ドル規模から2020年には1,091億ドル規模へ大きく減少しました。
- 営業CFは2022年に409.32億ドルまで拡大しましたが、2025年は244.93億ドルへ低下しました。
- 2025年通期のBP株主帰属利益は5,500万ドルにとどまりましたが、これは営業CFの弱さだけでなく、減損や調整項目の影響も大きい年でした。
- 2025年の基礎的RC利益は74.85億ドルで、2024年の89.15億ドルから減少しました。[9]
2025年は株主帰属純利益がほぼゼロでも営業CFが244.93億ドルでした。一方、2026年上半期は純利益77.53億ドル、営業CF137.18億ドルへ回復し、基礎的RC利益も89.30億ドルとなりました。ただし、2026年上半期の増益には地政学要因を含む資源価格、精製・トレーディング環境が寄与しており、同水準が恒常的に継続するとは限りません。[1]
安定したキャッシュフロー基盤
以下の表は営業・投資・財務キャッシュフローを百万ドルで表示します。2026年H1は2026年1~6月の累計、その他の行は通期です。投資CFと設備投資(CapEx)は同義ではありません。[1]
| 年度 | 営業CF | 成長率 | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|---|
| 2026 H1 | 13,718 | +51% | -5,443 | -7,688 |
| 2009 | 27,716 | -27% | -18,133 | -9,551 |
| 2010 | 13,616 | -51% | -3,960 | 840 |
| 2011 | 22,218 | 63% | -26,753 | 477 |
| 2012 | 20,479 | -8% | -13,075 | -2,010 |
| 2013 | 21,100 | 3% | -7,855 | -10,400 |
| 2014 | 32,754 | 55% | -19,574 | -5,266 |
| 2015 | 19,133 | -42% | -17,300 | -4,535 |
| 2016 | 10,691 | -44% | -14,753 | 1,977 |
| 2017 | 18,931 | 77% | -14,077 | -3,296 |
| 2018 | 22,873 | 21% | -21,571 | -4,079 |
| 2019 | 25,770 | 13% | -16,974 | -8,817 |
| 2020 | 12,162 | -53% | -7,858 | 3,956 |
| 2021 | 23,612 | 94% | -5,694 | -18,079 |
| 2022 | 40,932 | 73% | -13,713 | -28,021 |
| 2023 | 32,039 | -22% | -14,872 | -13,359 |
| 2024 | 27,297 | -15% | -13,250 | -7,297 |
| 2025 | 24,493 | -10% | -11,504 | -15,880 |
BPの強みは上流・下流が生む営業キャッシュフローですが、運転資本と資源価格の変動によって四半期間の差が大きくなります。2026年Q1営業CFは28.60億ドルにとどまり、Q2は108.58億ドルでした。単一四半期のFCFだけで年間の配当余力を判断すべきではありません。[1]
- 2022年の営業CFは409.32億ドルと非常に高く、エネルギー価格高騰の恩恵が大きく出ました。
- 2023年、2024年、2025年は営業CFが連続して減少し、2025年は244.93億ドルになりました。
- 2025年の財務CFは-158.80億ドルで、配当・自社株買い・負債関連取引などの影響を反映しています。
- 2026年6月末のネット負債は222.51億ドル。2027年末までの140億~180億ドル目標との差は残る。
キャッシュフロー分析のポイント:2026年上半期の営業CF137.18億ドルから、会社開示の現金設備投資63.76億ドルを差し引く簡易FCFは73.42億ドルです。BP株主への同期間の現金配当は25.80億ドルで、簡易FCFによる配当カバーは約2.85倍でした。これは筆者試算で、BP独自の「調整後FCF」や売却収入を含む資金余剰額とは異なります。Q1の運転資本増とQ2の反動に注意が必要です。[1]
負債水準と資本構成
以下の表は総資産、総負債、非支配持分を含む総資本を百万ドルで表示します。自己資本比率=総資本÷総資産、負債比率=総負債÷総資本です。一般的な「親会社株主に帰属する自己資本比率」とは異なる定義のため、表の表題と指標を明示しました。[1]
| 年度 | 総資産 | 総負債 | 総資本(非支配持分含む) | 総資本比率 | 負債比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026 Q2末 | 294,627 | 218,207 | 76,420 | 25.9% | 285.5% |
| 2009 | 235,968 | 133,855 | 102,113 | 43% | 131% |
| 2010 | 272,262 | 176,371 | 95,891 | 35% | 184% |
| 2011 | 292,907 | 180,322 | 112,585 | 38% | 160% |
| 2012 | 300,466 | 180,714 | 119,752 | 40% | 151% |
| 2013 | 305,690 | 175,283 | 130,407 | 43% | 134% |
| 2014 | 284,305 | 171,663 | 112,642 | 40% | 152% |
| 2015 | 261,832 | 163,445 | 98,387 | 38% | 166% |
| 2016 | 263,316 | 166,473 | 96,843 | 37% | 172% |
| 2017 | 276,515 | 176,111 | 100,404 | 36% | 175% |
| 2018 | 282,176 | 180,628 | 101,548 | 36% | 178% |
| 2019 | 295,194 | 194,486 | 100,708 | 34% | 193% |
| 2020 | 267,654 | 182,086 | 85,568 | 32% | 213% |
| 2021 | 287,272 | 196,833 | 90,439 | 31% | 218% |
| 2022 | 288,120 | 205,130 | 82,990 | 29% | 247% |
| 2023 | 280,294 | 194,801 | 85,493 | 31% | 228% |
| 2024 | 282,228 | 203,910 | 78,318 | 28% | 260% |
| 2025 | 278,526 | 204,526 | 74,000 | 27% | 276% |
2026年6月末の総資本比率は約25.9%、総負債÷総資本は約285.5%です。ただし総負債には営業債務やデリバティブ負債等も含まれるため、負債の償還余力は純有利子負債であるネット負債やその対資本比率(gearing)とあわせて評価します。BP公表のgearingは同日22.6%でした。[1]
- 自己資本率は2009年の43%から2025年には27%へと低下しました。
- 負債比率は同期間に131%から276%へと上昇しました。
- 2025年末の総資産は2,785.26億ドル、総負債は2,045.26億ドル、総資本は740億ドル(Form 20-F公表値)。
- 2026年6月末のネット負債は222.51億ドル。2027年末までの140億~180億ドル目標との差は残る。
総負債÷総資本比率の高さは財務を見る際の注意点ですが、全額が有利子負債ではありません。2026年6月末には、BPは財務上のネット負債を222.51億ドルと開示しています。2026年7月末には独Gelsenkirchen製油所の売却を完了し、英北海事業および米バイオガス事業の売却意向も公表しました。売却収入が実際に負債削減へ反映されるか、次回決算で確認する必要があります。[1]
2026年Q2の業績と経営方針:改善と残る課題
2026年8月4日発表の第2四半期決算は、売上高691.05億ドル、BP株主帰属純利益39.11億ドル、基礎的RC利益57.32億ドル、営業CF108.58億ドルでした。前年同期の基礎的RC利益23.53億ドルから改善し、特に原油・ガス販売価格、精製マージン、トレーディング環境が寄与しています。[1]
新CEOのMeg O’Neill氏は、事業の簡素化、資本規律、操業の安定化、負債削減を重点課題としています。2026年7月末にGelsenkirchen製油所を売却し、英北海・Archaeaの売却方針を示す一方、Castrol持分65%の売却契約は2026年末までの完了を想定しています。契約締結と売却完了を区別して評価する必要があります。[1]
2026年通期見通し:8月4日時点の会社見通しでは、設備投資は135億~140億ドル、売却などによる収入は80億~90億ドルを見込み、そのうち約60億ドルがCastrol持分売却の予定収入です。売却は実現時期や承認手続きに左右されるため、計画を現金受領済みとは扱いません。[1]
投資家が見るべき指標は、ネット負債の実質削減、事業売却後の継続事業キャッシュフロー、上流設備の稼働率、配当支払額に対するFCFです。石油・ガス価格が高騰した四半期の利益をそのまま将来へ延長せず、複数四半期で比較することが重要です。
まとめ:長期配当投資家にとってのBPとは?
BPは統合石油メジャーとして一定のキャッシュ創出力を持ちますが、配当収入の安定性は油価、天然ガス価格、精製マージン、債務、資本投資に左右されます。2026年上半期の簡易FCFカバーは約2.85倍まで改善した一方、2026年6月末ネット負債は222.51億ドルと2025年末比で横ばい圏でした。高い配当利回りだけでなく、負債削減の実績が重要です。[1]
同社の強みは以下の点にあります。
- 石油・ガス価格が高い時期に大きな営業キャッシュフローを生み出せる。
- 2020年の配当再設定後、2022〜2025年に配当を回復させてきた。
- 2025年時点でも配当利回りは比較的高い。
- 上流、下流、顧客向け事業を持つ統合エネルギー企業である。
- 資産売却や投資見直しにより、財務改善を進める余地がある。
一方で、注意すべき点としては以下が挙げられます。
- 過去に大幅な減配実績がある(2010年、2020年)。
- 収益とキャッシュフローが原油・ガス価格に左右される。
- 自己資本率が低下し、負債比率が上昇している。
- 2025年は純利益が非常に小さく、EPSベースの配当性向は極端に高い。
- 自社株買い停止により、総還元の見え方が変わった。
- 低炭素事業の収益性、減損、資本効率に不確実性がある。
- 環境規制、炭素税、座礁資産リスク、地政学リスクの影響を受ける。
投資家へのポイント:BPへの投資は、毎年の増配を当然視する投資というより、油価サイクルと財務改善を監視しながら配当を得る投資です。2026年10月7日終値44.51ドルに対する現行配当の年率換算利回りは約4.67%。上半期のキャッシュフロー改善は好材料ですが、原油・ガス価格の下落、売却資産の収益喪失、設備投資や配当負担が重なれば余裕が縮小します。[2][1]
よくある質問
BPの配当はどれくらい安全ですか?
BPは2010年と2020年に大幅減配した実績があり、配当が無条件に安全な企業ではありません。2026年上半期は簡易FCF約73.42億ドルに対しBP株主への現金配当25.80億ドルで、カバー約2.85倍でした。一方、2026年Q1だけを見ると営業CF28.60億ドルに対しCapEx32.90億ドルであり、四半期ごとの変動は大きいです。[1]
エネルギートランジション戦略はBPの配当にどのような影響を与えますか?
2020年当時のBPは低炭素事業の拡大を強く打ち出していましたが、2025年には投資規律と収益性を重視する方向へ修正しています。これは短期的には、採算の低い低炭素投資を抑え、石油・ガスや顧客向け事業のキャッシュ創出を重視する動きです。配当投資家にとっては、低炭素投資の拡大そのものよりも、投資がキャッシュフローを圧迫しないか、減損につながらないかを見ることが重要です。
負債比率の上昇傾向は懸念材料ではないですか?
財務上の懸念材料です。ただし、総負債÷総資本と有利子負債だけを対象としたネット負債は異なります。2026年6月末の総負債は2,182.07億ドル、ネット負債は222.51億ドルで、同社公表のgearingは22.6%。2027年末までのネット負債140億~180億ドル目標に向けて、実際の売却収入やFCFがどう使われるかが焦点です。[1]
2024年から2025年にかけてEPSが低い理由は何ですか?
2024年のBP株主帰属利益は3.81億ドル、2025年は0.55億ドルへ減少しました。ADS当たり希薄化EPSは2024年0.14ドル、2025年0.02ドルです。減損や時価評価などがGAAP利益を押し下げる一方、2025年通期の営業CFは244.93億ドルありました。利益の質はRC利益やCFと併せて判断する必要があります。[5]
【注】(出典リンク)
- 2026年Q2/H1実績、配当、CF、負債、資産売却、新報告区分 → 一次情報:SEC BP 2026年Q2/H1報告(Form 6-K)(確認日:2026-10-08) ↩
- 2026年10月7日NY市場ADS終値44.51ドル → 参考情報:Investing.com 2026年10月7日株価履歴(確認日:2026-10-08) ↩
- BPの沿革(1909年創業など) → 一次情報:BP公式 Our History(確認日:2026-10-08) ↩
- ロシア・Rosneft持分の撤退方針 → 一次情報:BP公式 Russia statement(確認日:2026-10-08) ↩
- 2025年Form 20-F:会計基準・EPS・財務・部門 → 一次情報:SEC BP Annual Report and Form 20-F 2025(確認日:2026-10-08) ↩
- 2025年の戦略リセット・財務強化方針 → 一次情報:BP 2025年通期発表 → SEC BP FY2025 release(確認日:2026-10-08) ↩
- 2020年に掲げたネットゼロ目標の沿革 → 一次情報:BP公式 2020年発表(確認日:2026-10-08) ↩
- ロンドン株式・NYSEのADS情報 → 一次情報:BP公式 Share price history(確認日:2026-10-08) ↩
- 2025年業績・配当実績・ネット負債・自社株買い → 一次情報:SEC 2025 Q4/通期 Form 6-K(確認日:2026-10-08) ↩
- 配当の公式履歴と2025~2026年ADS換算 → 一次情報:BP公式 Dividends → SEC 2026 Q2配当注記(確認日:2026-10-08) ↩
- 2008~2010年ADSの実勢価格帯による過年度表検証 → 一次情報:SEC提出文書:BP ADS四半期株価(2005~2010年)(確認日:2026-10-08) ↩
- 2008~2012年の配当支払額と2010年の停止 → 一次情報:BP Financial and Operating Information 2008–2012(確認日:2026-10-08) ↩
- 2018~2020年の収益区分の再表示:売上と総収益の違い → 一次情報:SEC BP 2020年Form 20-F修正再提出(確認日:2026-10-08) ↩

