WMT/COSTを比較:ウォルマートとコストコ 戦略の違いとは

必需品,銘柄比較

最終更新:2026年10月8日/株価基準日:2026年10月7日(米国市場終値)

ウォルマート(WMT)とコストコ(COST)は、ともに低価格を強みに持つ米国小売大手です。本記事では、両社の事業モデル、最新決算、売上高推移、配当、特別配当、株価評価と将来性を比較します。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(VDC:Vanguard Consumer Staples Index Fund ETFを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

決算(予想:結果)

マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。配当に関しては、利回りと配当性向(一株配当÷EPS)を掲載しています。

決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照

★ウォルマート(WMT)決算:予想と結果 売上&EPS

★コストコ(COST)決算:予想と結果 売上&EPS

【詳細分析】ウォルマート vs コストコ 徹底比較

ウォルマートは食品・日用品を軸とする巨大な店舗・EC網に広告や会員サービスを組み合わせます。コストコは会員制倉庫型店舗を中心に、限られた商品を大量に販売し、年会費収入を安定的に積み上げます。どちらも安さを訴求しますが、利益の源泉は同じではありません。

2026年10月時点の焦点

WMTはFY2027 Q2に増収を維持して通期会社見通しを上方修正しました。COSTはFY2026通期の総収益が3,000億ドルを超え、9月の月次販売も2桁増となりました。ただし、両社の直近の利益には関税還付による一時的な恩恵が含まれます。[1][2][3]

比較サマリー:一目でわかる両社の違い

項目 ウォルマート(WMT) コストコ(COST)
ビジネスモデル 毎日低価格(EDLP)、店舗、EC、広告、マーケットプレイス、Sam’s Club 会員制倉庫型小売、低価格・高回転、年会費収入
直近通期総収益 7,131.63億ドルFY2026(2026年1月期)[4] 3,031.54億ドルFY2026(2026年8月期)[5]
最新四半期の総収益 1,879億ドルFY2027 Q2、前年比+5.9%[1] 957.23億ドルFY2026 Q4、商品売上は938.73億ドル[2]
直近の利益指標 調整後EPS 0.81ドル(FY2027 Q2) GAAP希薄化後EPS 6.75ドル(FY2026 Q4)
通常配当 年0.99ドル(四半期0.2475ドル)、53年連続増配[6] 年5.88ドル(四半期1.47ドル)[7]
株価と通常配当利回り 108.16ドル/約0.92% 942.25ドル/約0.62%
特別配当 定期配当が中心 過去に特別配当を実施。直近は2024年1月の1株15ドル
主要な投資上の論点 米国消費、EC・広告の収益性、価格投資、株価評価 会員更新率、既存店売上、会費増収、出店、株価評価

※売上高は両社とも「商品売上+その他収益・会費」を含む総収益でできるだけ統一しました。WMTは1月末、COSTは8月末頃に会計年度が終了します。配当利回りは2026年10月7日終値を使った年率換算です。[8]

ビジネスモデルの核心:利益の源泉の違い

ウォルマート:FY2026の総収益は7,131.63億ドル。食品・日用品などの必需品を中心に、店舗販売と配送、マーケットプレイス、広告、会員制クラブを組み合わせます。規模の経済が競争力の基礎ですが、電子商取引や広告が利益構造の高度化を支えています。[4]

FY2027 Q2のグローバルEC売上は前年同期比23%増、グローバル広告事業は38%増、会員費収入は世界で17%増でした。Walmart U.S.の燃料を除く既存店売上は2.6%増。EC売上の成長だけでなく、配送コストと広告収益のバランスが今後の利益率を左右します。[1]

コストコ:FY2026の商品売上は2,972.47億ドル、会費収入は59.07億ドルで、総収益は3,031.54億ドルでした。会員費収入は前年比約11%増。会員更新率は米国・カナダで92.3%、世界で89.8%に達しています。[5]

コストコは2024年9月、米国とカナダの通常会員費を60ドルから65ドル、エグゼクティブ会員費を120ドルから130ドルへ引き上げました。FY2026における会費収入の増加額の約30%は、この値上げに由来すると会社は説明しています。値上げだけでなく、有料会員数も増やせるかが中期的な焦点です。[9]

業績と成長性の詳細分析

売上規模はWMTが大きい一方、COSTは会員基盤の拡大、出店、既存店の客数増加を通じて高めの成長率を維持しています。ただし、両社では会計年度が異なるため、以下の前年比はそれぞれの会計年度に対するものです。

年度 WMT 総収益 COST 総収益
2026 FY2026:713.2 Bドル+4.7% FY2026:303.2 Bドル+10.1%
2025 FY2025:681.0 Bドル(+5.1%) FY2025:275.2 Bドル(+8.2%)
2024 FY2024:648.1 Bドル(+6.0%) FY2024:254.5 Bドル(+3.7%)
2023 FY2023:611.3 Bドル(+6.7%) FY2023:242.3 Bドル(+6.8%、53週年度)
2022 FY2022:572.8 Bドル(+2.4%) FY2022:226.9 Bドル(+15.8%)
2021 FY2021:559.2 Bドル(+6.7%) FY2021:195.9 Bドル(+17.5%)
2020 FY2020:524.0 Bドル FY2020:166.8 Bドル

※単位B=10億ドル。過去年度は表示を丸めています。最新FY2026は会社報告値に更新し、2020〜2025年度は従来の時系列を継承しました。[10]

ウォルマート最新決算:FY2027 Q2で見通しを上方修正

WMTのFY2027 Q2(2026年7月31日終了)は総収益1,879億ドル、前年比5.9%増(恒常為替ベース5.1%増)。GAAP EPSは0.80ドル、調整後EPSは0.81ドルでした。営業利益は28.8%増、恒常為替ベースの調整後営業利益は17.4%増です。[1]

営業利益の伸びには、関税還付とその一部を価格引き下げに再投資した効果が含まれます。会社は還付の影響を除いた基礎的な営業利益成長についても堅調と説明していますが、この四半期の高い増益率をそのまま長期の平常値とみることはできません。

WMTの会社見通し(2026年8月20日発表)

FY2027 Q3:恒常為替ベースの売上高3.0~3.75%増、調整後EPS0.62~0.64ドル。FY2027通期:恒常為替ベースの売上高4.0~5.0%増、調整後営業利益7.0~8.5%増、調整後EPS2.80~2.87ドル。FY2027通期のEPS予想は従来の2.75~2.85ドルから上方修正されました。[1]

一方、2026年2~7月の6カ月累計の営業キャッシュフローは197.10億ドル、設備投資は141.81億ドル、FCFは55.29億ドルです。営業CFは前年より増えましたが、配送・店舗・物流などへの投資拡大でFCFは前年同期の69.43億ドルから減少しました。[1]

コストコ最新決算:FY2026通期と9月販売実績

COSTのFY2026 Q4(2026年8月30日終了、16週間)は商品売上938.73億ドル、前年同期比11.2%増でした。会費を含む総収益は957.23億ドル、GAAP希薄化後EPSは6.75ドル(前年同期5.87ドル)です。通期純利益は92.26億ドル、EPSは20.76ドルとなりました。[2]

FY2026 Q4の既存店売上は全社で9.4%増、ガソリン価格と為替変動を除いた調整後では6.7%増。デジタル経由の既存店売上も調整後で19.8%増となりました。一方、Q4のEPSには関税還付の非反復的なプラス効果が1株当たり0.15ドル含まれ、比較時には留意が必要です。[2]

最新月次:2026年9月販売実績

COSTは2026年10月7日、9月の5週間(10月4日まで)の商品売上高が300.2億ドル、前年同期比13.0%増だったと発表しました。全社既存店売上は11.4%増、ガソリン価格と為替の影響を除くと7.6%増、デジタル経由売上は19.0%増です。米国・カナダの祝日配置のずれが売上を約0.5ポイント強押し上げた点にも注意が必要です。[3]

FY2026通期の営業キャッシュフローは158.17億ドル、設備投資64.35億ドルで、単純差額のFCFは約93.82億ドルでした。設備投資はFY2027に約75億ドルを予定し、倉庫は移転5拠点を含め最大33拠点の新規開業を計画しています。[5]

配当の詳細比較

通常配当:53年連続増配のWMT、増配を続けるCOST

WMTは2026年2月、FY2027の年間配当を0.94ドルから0.99ドルへ約5%引き上げ、53年連続増配となりました。四半期あたり0.2475ドル。直近は2026年9月8日に支払われ、次回予定は2027年1月4日(基準日2026年12月11日)です。[6]

COSTは2026年4月、四半期配当を1.30ドルから1.47ドルへ約13%増額しました。年率換算では5.88ドル。直近で確認できる支払いは2026年8月7日(基準日7月24日)で、その次の四半期配当の日付については2026年10月8日時点の公式発表を確認できていないため、確定日として記載しません。[7]

比較項目 WMT COST
四半期通常配当 0.2475ドル 1.47ドル
年率換算通常配当 0.99ドル 5.88ドル
2026年10月7日終値 108.16ドル 942.25ドル
参考通常配当利回り 約0.92% 約0.62%
特別配当 基本的に通常配当中心 不定期。直近は2024年1月の15ドル

※配当利回りは年率換算通常配当÷2026年10月7日終値。過去に支払われた特別配当は通常配当利回りに算入しません。[8]

コストコの特別配当は不定期

コストコは余剰資金の一部を、過去に一時的な特別配当として株主に還元してきました。これらは定期的に受け取れる配当ではないため、通常配当と分けて評価する必要があります。[11]

  • 2024年1月:15ドル/株
  • 2020年12月:10ドル/株
  • 2017年5月:7ドル/株
  • 2015年2月:5ドル/株
  • 2012年12月:7ドル/株

FY2026の実際の年間通常配当宣言額は1株5.54ドルでした。現在の5.88ドルは直近の四半期配当1.47ドルを4倍した年率換算であり、FY2026の実際の支払額ではありません。[5]

株価・PERと配当利回り:良い企業でも買付価格が重要

2026年10月7日の終値はWMTが108.16ドル、COSTが942.25ドルでした。WMTのFY2027調整後EPS会社予想2.80~2.87ドルを使うと、参考予想PERは約37.7~38.6倍です。一方、COSTのFY2026通期GAAP EPS20.76ドルを使った参考実績PERは約45.4倍です。[8][1][5]

※WMTは会社予想の非GAAP EPS、COSTは確定済み通期のGAAP EPSを用いています。利益の定義・会計年度が異なるため同条件のPER比較ではありません。倍率の数字だけで「どちらが割安」とは判断できません。

株価:過去から現在まで

株価チャートはWMT・COSTに加え、生活必需品ETFや米国10年国債利回りを重ねると、企業固有の業績と市場全体の金利・バリュエーション変化を分けて見る助けになります。元原稿に埋め込みURLが含まれていないため、既存の株価チャートを下記位置へ再挿入してください。

決算:市場予想と結果

最新のEPS実績・売上高実績、アナリスト予想の変化、次の決算日程を確認します。元原稿に予想・実績チャートの埋め込みURLは含まれていないため、この位置に既存のデータを挿入してください。

次回決算は、WMTのFY2027 Q3が2026年11月19日(米国中部時間、決算資料は朝6時頃、説明会は朝7時予定)、COSTのFY2027 Q1が2026年12月10日に予定されています。COSTは11月4日の10月月次売上発表も予定しています。[12][13]

注意すべきリスク要因

  • WMT:EC配送や自動化投資による設備投資負担、関税や輸入コスト、低価格競争、賃金・物流費、為替、海外市場、広告収入の伸びの鈍化。FY2027上半期はFCFが前年同期比で減少しているため、資金創出力の追跡が重要です。
  • COST:高い株価評価倍率を維持するための会員数・更新率・既存店売上の成長、店舗出店コスト、ガソリン価格・為替による比較のぶれ、会費値上げの反動、関税還付を含む一時的利益。FY2027の設備投資計画は約75億ドルです。

結論:ウォルマートとコストコのどちらを選ぶか

生活必需品・事業分散と連続増配を重視するならWMT

WMTは規模の大きさに加え、生活必需品の売上基盤と53年の連続増配が特徴です。ECや広告の成長により、小売売上そのもの以外から利益を積み上げる余地があります。一方、株価には既に比較的高い成長期待が織り込まれ、設備投資拡大でFCFが鈍化する局面もあります。

会員制モデル・既存店成長・不定期の特別配当を重視するならCOST

COSTは会員更新率の高さ、出店余地、デジタル販売と会員費収入の伸びが強みです。2026年9月の月次売上も好調でした。ただし、特別配当は保証されず、PERも高めです。安定した企業であっても、購入する株価次第で投資成果は大きく変わります。

比較の要点:WMTは「幅広い生活必需品需要+EC・広告の利益化」、COSTは「高い会員ロイヤルティ+既存店売上と新店成長」。両社とも安定的な小売企業ですが、高配当銘柄ではありません。通常配当・自社株買い・特別配当・設備投資を分けて評価することが重要です。

当サイトでは、両社の売上高・EPS推移や配当の長期履歴も個別に整理しています。[14]


※2026年10月8日までに公表された情報で更新しています。会計年度・利益指標の定義、株価の時点に注意してください。過去の増配・特別配当・業績は将来の実績を保証しません。本記事は投資情報の整理を目的とし、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身で行ってください。

【注】(出典リンク)

  1. WMT FY2027 Q2決算・Q3および通期見通し・関税還付・営業CF → Walmart FY2027 Q2決算(SEC提出資料) → Walmart決算説明資料(確認日:2026-10-08) ↩
  2. COST FY2026 Q4・通期決算・特別要因 → Costco FY2026 Q4・通期決算(SEC提出資料)(確認日:2026-10-08) ↩
  3. COST 2026年9月度売上・既存店売上・デジタル売上 → Costco「September Sales Results」(2026年10月7日)(確認日:2026-10-08) ↩
  4. WMT FY2026通期実績・会計年度・セグメント・過年度業績 → Walmart FY2026 Form 10-K(SEC)(確認日:2026-10-08) ↩
  5. COST FY2026通期Form 10-K・年会費・更新率・設備投資・キャッシュフロー → Costco FY2026 Form 10-K(SEC)(確認日:2026-10-08) ↩
  6. WMT 年間配当0.99ドル・53年連続増配・基準日と支払日 → Walmart「Raises Annual Dividend」(2026年2月19日)(確認日:2026-10-08) ↩
  7. COST 配当増額・2026年8月の配当支払 → Costco「Quarterly Dividend Increase」(2026年4月15日) → Costco「June Sales and Quarterly Dividend」(2026年7月8日)(確認日:2026-10-08) ↩
  8. WMT・COSTの2026年10月7日米国市場終値 → Stock Analysis「WMT Historical Data」 → Stock Analysis「COST Historical Data」(確認日:2026-10-08) ↩
  9. COSTの2024年9月会員費改定とFY2026への寄与 → Costco Membership Fee Increase → Costco FY2026 Form 10-K(SEC)(確認日:2026-10-08) ↩
  10. 過去年度比較・売上の推移 → Walmart FY2026 Form 10-K(SEC) → Costco FY2025 Form 10-K(SEC)(確認日:2026-10-08) ↩
  11. COSTの過去の特別配当・不定期支払履歴 → Costco「Special Cash Dividend」(2023年12月14日発表) → Costco Dividend History(確認日:2026-10-08) ↩
  12. WMTのFY2027 Q3決算発表予定 → Walmart「FY2027 Q3 Earnings Release」(2026年11月19日予定)(確認日:2026-10-08) ↩
  13. COSTのFY2027 Q1決算と次回月次売上発表予定 → Costco「Events & Presentations」(確認日:2026-10-08) ↩
  14. 当サイトのWMT・COST決算と配当の関連記事 → WMT売上高・EPS推移 → COST売上高・EPS推移 → WMT配当推移 → COST配当推移(確認日:2026-10-08) ↩

Posted by 南 一矢