WMT/COSTを比較:ウォルマートとコストコ 戦略の違いとは
WMTとCOSTを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)
ウォルマートとコストコは小売の代表格です。 その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。 これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(VDC:Vanguard Consumer Staples Index Fund ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
決算(予想:結果)
マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。 配当に関しては、利回りと配当性向(一株配当÷EPS)を掲載しています。
決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照
【詳細分析】ウォルマート vs コストコ 徹底比較
米国の小売業界を象徴する2大巨人、ウォルマートとコストコ。「低価格」という共通点を持ちながら、そのビジネスモデルと成長戦略は大きく異なります。ウォルマートは「配当王」として50年以上にわたり増配を続ける安定したインカム銘柄、一方のコストコは高い成長性と不定期の「特別配当」で株主を魅了します。ここでは、両社の業績、配当戦略、そして将来性を徹底的に比較・分析し、どちらがあなたの投資スタイルに合っているかを探ります。
比較サマリー:一目でわかる両社の違い
項目 | ウォルマート (WMT) | コストコ (COST) |
---|---|---|
ビジネスモデル | 世界最大のスーパーマーケット。「EDLP(毎日低価格)」戦略。 | 会員制の倉庫型店舗。年会費が利益の源泉。 |
連続増配年数 | 51年 (配当王) | 20年 (配当貴族) |
通常配当利回り | 約1.4% | 約0.7% |
特別配当 | なし | あり (不定期) |
PER (株価収益率) | 約25倍 | 約48倍 |
ビジネスモデルの核心:利益の源泉の違い
両社の最大の違いは利益の生み出し方にあります。ウォルマートが「商品の販売利益」で稼ぐ一方、コストコの営業利益の大部分は「年会費収入」から得られています。商品をほぼ原価で販売できるため、顧客に圧倒的な価格メリットを提供でき、それが高い顧客忠誠心(会員継続率90%以上)に繋がっています。この安定した会費収入が、コストコの強固な経営基盤です。
業績と成長性の詳細分析
売上高ではウォルマートがコストコの3倍近い規模を誇りますが、成長率ではコストコが一貫して高い数値を示しています。コストコのビジネスモデルがいかに効率的で、顧客から強く支持されているかがわかります。
年 | ウォルマート 売上高 (前年比) | コストコ 売上高 (前年比) |
---|---|---|
2024 | $648.1 B (+6.0%) | $242.3 B (+6.8%) |
2023 | $611.3 B (+6.7%) | $226.9 B (+15.8%) |
2022 | $572.8 B (+2.4%) | $195.9 B (+17.5%) |
2021 | $559.2 B (+6.7%) | $166.8 B (+9.2%) |
2020 | $524.0 B | $152.7 B |
年平均成長率(CAGR) | 5.45% | 12.25% |
※B=10億ドル。両社は決算月が異なるため、各社会計年度に基づき比較しています。
配当の詳細比較
通常配当:安定のWMT、成長のCOST
ウォルマートは51年間増配を続ける「配当王」として、非常に安定した配当を提供しています。一方、コストコは増配率が高く、配当の成長を楽しめる銘柄です。
最重要ポイント:コストコの「特別配当」
コストコの通常配当利回りは低いですが、数年に一度、莫大なキャッシュを株主に還元する「特別配当」を実施します。これを含めると、トータルの株主還元は大きく変わります。
過去の特別配当実績(1株あたり):
- 2024年1月: $15.00
- 2020年12月: $10.00
- 2017年5月: $7.00
- 2015年2月: $5.00
- 2012年12月: $7.00
例えば、2024年の特別配当は、当時の株価に対し2%を超える非常に大きな利回りでした。この「お年玉」のような還元が、多くの投資家を惹きつける大きな魅力となっています。
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注意すべきリスク要因
両社ともに盤石な経営基盤を持ちますが、それぞれに固有のリスクも存在します。
- ウォルマートのリスク: eコマース分野でのAmazonとの競争激化、人件費上昇による利益率への圧力、巨大企業ゆえの成長率の鈍化懸念。
- コストコのリスク: 会員数の伸びの鈍化が最大の懸念点。また、高いPERは市場の高い期待を反映しており、その期待に応えられない場合は株価が調整する可能性があります。
結論:あなたに合うのはどちら?
「毎年の安定したインカム」を重視するなら → ウォルマート (WMT)
世界最大の小売業者としての圧倒的な安定感と、半世紀以上続く連続増配の実績が魅力です。配当利回りもコストコより高く、予測可能なキャッシュフローを重視するインカム投資家にとって、ポートフォリオの土台となる銘柄です。
「株価成長と特別なリターン」を狙うなら → コストコ (COST)
高い顧客忠誠度に支えられた会員制ビジネスは、不況にも強く、高い成長性を誇ります。通常配当利回りは低いものの、高い増配率と数年に一度の「特別配当」を合わせたトータルリターンは非常に魅力的です。株価の成長も期待したい投資家に向いています。
※本ページの分析は2025年6月8日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。