バフェットの保有銘柄一覧【2026年最新】ポートフォリオとBRK業績
ウォーレン・バフェットが会長を務めるバークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)の保有銘柄を、2026年8月9日時点で最新のForm 13Fをもとに一覧化します。
現在確認できる最新の13Fは2026年3月31日時点のもので、Apple、American Express、Coca-Colaなどが上位を占めています。[1]
2026年Q2分の13Fは8月14日が提出期限です。したがって、本記事の保有銘柄一覧はQ1の13Fを掲載しつつ、2026年第2四半期決算で判明した株式投資、現金ポジション、自社株買いなどについては別途最新情報を反映しています。[2]
本稿では、バークシャーの保有銘柄一覧、最近買った・売った株、日本の5大商社、現金残高、2026年Q2業績を中心に整理します。
そのうえで、保険、鉄道、エネルギーなどを含むバークシャーという会社そのものの構造、財務、バフェット氏の投資手法と歩みについても確認します。
【2026年8月9日時点】13FはQ1、企業業績はQ2まで更新
保有銘柄の完全な一覧を確認するForm 13Fは2026年3月31日時点のものが最新です。一方、バークシャー本体は8月8日に2026年第2四半期決算を公表しているため、営業利益、自社株買い、保険フロートなどはQ2まで更新しています。
バフェットの保有銘柄一覧【2026年最新】
以下は、バークシャー・ハサウェイが米証券取引委員会(SEC)へ提出したForm 13Fに基づく、2026年3月31日時点の対象証券の上位銘柄です。
提出日は2026年5月15日、13F上の評価額は約2,630.96億ドル、明細は90件でした。[1]
13Fは複数の子会社や保険会社などを含むグループ提出です。そのため、一覧に掲載されるすべての売買をウォーレン・バフェット氏個人の判断とみなすことはできません。
また、13Fには、日本の取引所だけに上場する5大商社、現金、米国短期国債、非上場企業、完全子会社、通常の債券、ショートポジションなどは含まれません。
バークシャーの全資産を示したものではなく、主として13Fの報告対象となる米国上場株式等のスナップショットと考える必要があります。
| 順位 | 銘柄名 (ティッカー) |
評価額 (百万ドル) |
13F内 構成比 |
特記事項 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | Apple Inc.(AAPL) | 57,843 | 約22.0% | 約2.279億株。2025年Q4から株数は変わらず、13F上の最大保有銘柄。 |
| 2 | American Express(AXP) | 45,859 | 約17.4% | 約1.516億株。長期保有の中核で、Q1の株数は不変。 |
| 3 | Coca-Cola(KO) | 30,420 | 約11.6% | 4億株。1988年から続く代表的な長期保有銘柄。 |
| 4 | Bank of America(BAC) | 25,039 | 約9.5% | 約5.136億株。Q1に約367万株、率にして約0.7%縮小。 |
| 5 | Chevron(CVX) | 17,457 | 約6.6% | 約8,438万株。Q1に約35%縮小。 |
| 6 | Occidental Petroleum(OXY) | 17,221 | 約6.5% | 約2.649億株。優先株やワラントなど、13Fだけでは表れない関係もある。 |
| 7 | Alphabet(GOOGL・GOOG合算) | 16,629 | 約6.3% | Class AとClass Cを合算して約5,784万株。2025年Q4から大幅増加。 |
| 8 | Chubb(CB) | 11,163 | 約4.2% | 約3,425万株。Q1の株数は不変。 |
| 9 | Moody’s(MCO) | 10,762 | 約4.1% | 約2,467万株。格付け・金融情報を手がける長期保有銘柄。 |
| 10 | Kraft Heinz(KHC) | 7,324 | 約2.8% | 約3.256億株。Q1の株数は不変。 |
評価額と株数はSECの13F情報テーブルを同一企業単位で集計した概数です。AlphabetはClass AとClass Cを合算しています。構成比は13F評価額2,630.957億ドルで割って計算しています。[1]
上位銘柄への集中:
2026年Q1の13Fでは、上位10銘柄で評価額の約91.1%、上位5銘柄で約67.1%を占めました。
ただし、バークシャー全体には完全子会社、日本株、現金、米国債などもあるため、「バークシャー全体の資産の91%が10銘柄に集中している」という意味ではありません。
バフェット/バークシャーが最近買った株・売った株
「バフェットが最近買った株」を調べる場合には、13Fの四半期比較と、バークシャーの決算資料を分けて見る必要があります。
13Fには提出まで最大45日程度の時間差があり、また、売買のすべてがバフェット氏個人によるものとは限りません。
2026年Q1の主な変化
- Alphabet:2025年Q4の約1,785万株から、GOOGLとGOOGを合わせ約5,784万株へ大幅増加。
- Chevron:保有株数を約35%縮小。
- Bank of America:約367万株を減らし、小幅に縮小。
- Delta Air Lines、Macy’s:Q1の13Fに新たに登場。
- Visa、Mastercard、UnitedHealth、Domino’s Pizza、Amazon、Diageoなど:Q1の一覧から消失。
Q1の13F評価額は約2,630.96億ドルで、2025年Q4の約2,741.60億ドルから約4%減少しました。
ただし、13Fの評価額は株式の売買だけでなく、四半期末の株価変動によっても増減します。[1]
2026年Q2は株式を再び買い越し
2026年第2四半期については、8月14日提出期限の13Fがまだ公表されていないため、完全な銘柄別一覧は確定していません。
一方、Q2資料をもとにしたReutersの報道では、バークシャーは同四半期に株式を約198億ドル買い越し、Alphabetへの投資も大きく増やしました。[4]
これは、巨額の現金を積み上げながら上場株を売り越す局面が続いていた近年と比べると重要な変化です。
ただし、1四半期の買い越しだけから、長期的に投資姿勢が全面転換したと断定するのは早いでしょう。
Q2の正式な保有銘柄一覧は、2026年8月14日までに提出される13Fを確認後、本表を更新する必要があります。[2]
バフェットの日本株:5大商社の保有状況
バークシャーの株式投資を見る際に13Fだけでは把握できない重要な投資先が、日本の5大商社です。
2025年12月31日時点の議決権比率は、三菱商事10.8%、三井物産10.4%、伊藤忠商事10.1%、丸紅9.8%、住友商事9.7%でした。
5社への投資の時価総額は合計約353.7億ドル、取得原価は約153.8億ドルです。[3]
バークシャーは日本株投資に関連して円建て債務も活用し、投資原価とおおむね対応させています。
そのため、5大商社への投資は単純な外国株投資というだけでなく、円建てで資金調達する資本配分戦略と合わせて見る必要があります。
三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事は米国のForm 13Fの通常の一覧には入らないため、バークシャーの株式ポートフォリオを13Fだけで評価すると、この大きな投資を見落とします。
バフェット/バークシャーの現金比率・現金残高
バークシャーについて「現金比率」と呼ばれる場合、現金・現金同等物だけを見る場合と、米国短期国債(Tビル)まで含める場合があります。
分母についても総資産、投資可能資産など複数の考え方があるため、本稿では現金・現金同等物と米国短期国債の残高を中心に確認します。
2026年Q1末には、保険およびその他事業の現金・現金同等物と米国短期国債は、未決済購入代金を調整したベースで約3,735億ドルでした。
Q2には株式購入と自社株買いが拡大したことなどから、ReutersがQ2資料をもとに集計した現金等の残高は約3,647億ドルへ減少しました。[4]
それでも3,600億ドルを超える巨額の流動性を持っており、保険金支払いへの備え、大型買収、株式投資、自社株買い、市場急落時の投資余力など複数の役割があります。
現金残高が大きいことだけを根拠として「バフェットが米国株全面安を予想している」と結論づけるのは適切ではありません。
2026年Q2に自社株買いが大幅拡大
2026年Q1の自社株買いは約2.34億ドルと小規模でしたが、Q2には約45億ドルまで拡大しました。
2026年上期累計では約48億ドルです。[5]
6月30日時点のClass A換算発行済み株式数は1,431,693株でした。
バークシャーの自社株買いには固定された実施額や上限はなく、CEOが会長と協議したうえで株価が内在価値を保守的に下回ると判断した場合に実施する方針です。
バークシャーは普通配当を支払っていません。
利益を事業買収、設備投資、上場株、自社株買いなどへ再投資し、長期的な1株当たり価値の増加を目指す資本配分が基本となっています。
バークシャー・ハサウェイの2026年Q2業績
バークシャー・ハサウェイは2026年8月8日、第2四半期決算を公表しました。
Q2の営業利益は129.83億ドルで、前年同期の111.60億ドルから約16%増加しました。[5]
純利益は256.67億ドルで、前年同期の123.70億ドルから大幅に増加しました。
ただし、純利益には上場株式の未実現損益などを含む126.84億ドルの投資利益が含まれています。
バークシャー自身も、株式市場の変動による投資損益は四半期ごとの事業成績を見るうえで大きなノイズになると説明しており、傘下事業を見る場合には営業利益も重要です。[5]
2026年上期の営業利益は243.29億ドルで、前年同期の208.01億ドルを上回りました。
業績推移:営業利益(FY2019~2026 Q2)
バークシャーのGAAP純利益は、保有株式の未実現損益によって大きく変動します。
傘下事業の収益力を見る際は、投資損益などを除いた営業利益も併せて確認する必要があります。
2025年通期の営業利益は444.86億ドルで、2024年の474.37億ドルから6.2%減少しました。
一方、2026年はQ1が113.46億ドル、Q2が129.83億ドルとなり、上期累計では243.29億ドルへ増加しています。[5]
| 会計年度 | 保険引受 (百万$) |
保険投資収益 (百万$) |
鉄道+公益・エネルギー (百万$) |
その他事業 (百万$) |
その他・調整 (百万$) |
営業利益 合計 (百万$) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FY2019 | 325 | 5,530 | 8,321 | 9,372 | 424 | 23,972 |
| FY2020 | 657 | 5,039 | 8,252 | 8,300 | (326) | 21,922 |
| FY2021 | 728 | 4,807 | 9,485 | 11,120 | 1,315 | 27,455 |
| FY2022 | (30) | 6,484 | 9,850 | 14,040 | 509 | 30,853 |
| FY2023 | 5,428 | 9,567 | 7,418 | 15,112 | (175) | 37,350 |
| FY2024 | 9,020 | 13,670 | 8,761 | 13,072 | 2,914 | 47,437 |
| FY2025 | 7,258 | 12,513 | 9,455 | 13,647 | 1,613 | 44,486 |
| 2026 Q1 | 1,717 | 2,679 | 2,491 | 3,199 | 1,260 | 11,346 |
| 2026 Q2 | 1,731 | 3,059 | 2,449 | 4,470 | 1,274 | 12,983 |
単位は百万ドル、税引後。「鉄道+公益・エネルギー」はBNSFとBerkshire Hathaway Energyの合算です。
会社の表示区分は年度によって変更されているため、各セグメントの厳密な連続比較より、営業利益合計と大きな傾向を確認するための表です。
FY2019~FY2025は各年度の決算資料、2026 Q1・Q2は各四半期資料に基づきます。[10]
- 保険引受:2026年Q2は17.31億ドルで、前年同期19.92億ドルを下回りました。
- 保険投資収益:Q2は30.59億ドルで、前年同期33.67億ドルから減少しました。
- BNSF:Q2営業利益は15.58億ドルで、前年同期14.66億ドルを上回りました。
- BHE:Q2営業利益は8.91億ドルで、前年同期7.02億ドルから増加しました。
- 製造・サービス・小売:Q2は44.70億ドルで、前年同期36.01億ドルから増加しました。
事業構造:保険を中核とする分散コングロマリット
バークシャーの価値は、上場株ポートフォリオだけではありません。
2025年通期の連結営業利益444.86億ドルは、保険、鉄道、エネルギー、製造、サービス・小売など多数の傘下事業から生み出されています。[7]
保険事業
- GEICO:米国最大級の自動車保険会社。
- バークシャー・ハサウェイ・プライマリー・グループ:医療専門職賠償、特殊保険、商業保険など。
- バークシャー・ハサウェイ再保険グループ:損害再保険、生命・健康再保険、レトロアクティブ再保険など。
2026年6月30日時点の保険フロートは約1,775億ドルで、2025年末から約11億ドル増加しました。[5]
フロートとは、保険会社が保険料を受け取ってから将来の保険金を支払うまでの間に保有する資金です。
返済不要の自己資本ではなく、将来の保険金支払いに備える負債ですが、引受収支を黒字に維持できれば低コストの運用資金として機能します。
非保険事業
| 事業部門 | 主要内容 | 主なポイント |
|---|---|---|
| BNSF鉄道 | 米国28州とカナダ3州を結ぶ約32,500ルートマイルの貨物鉄道網。 | 2025年営業利益54.76億ドル。2026年Q2営業利益15.58億ドル。 |
| BHE (Berkshire Hathaway Energy) |
電力・ガス、送配電、再生可能エネルギー、不動産関連など。 | 2025年営業利益39.79億ドル。2026年Q2営業利益8.91億ドル。 |
| Pilot | 北米のトラックストップ、旅行センター、燃料販売・卸売。 | 2024年1月に完全子会社化。 |
| 製造業 | Precision Castparts、Lubrizol、Marmon、IMC、建材、工業製品など。 | 2026年からOxyChemを含む。 |
| サービス・小売 | NetJets、FlightSafety、自動車販売、家具、Dairy Queen、See’s Candiesなど。 | 幅広い消費・サービス事業を保有。 |
| OxyChem | PVC、苛性ソーダ、塩素系製品、塩化カルシウムなど。 | 2026年1月2日にOccidentalから取得。 |
| Taylor Morrison/住宅建設 | 全米の住宅開発・住宅建設。Clayton Properties Groupと統合。 | 2026年7月24日に買収完了。企業価値約85億ドル。 |
2025年年次報告書では、非保険事業は51の事業会社から成るグループと説明されていました。
本社が各社の日常業務を細かく管理するのではなく、傘下企業の経営陣に大きな裁量を与える分権型の経営がバークシャーの特徴です。[9]
OxyChemを取得
バークシャーは2026年1月2日、Occidental Petroleumから化学事業OxyChemの取得を完了しました。
買収完了時の会社発表額は97億ドルで、通常の買収価格調整の対象とされています。[8]
Q1の10-Qで示された取得対価は約95億ドルとなっており、資料の基準によって数値に差があります。
OxyChemはPVC、クロールアルカリ、塩素系有機化学品、塩化カルシウムなどを手がけ、2026年からバークシャーの工業製品事業に加わっています。
Taylor Morrison買収を2026年7月に完了
2026年7月24日には、住宅建設大手Taylor Morrisonの買収を完了しました。
買収価格は1株72.50ドルの現金で、株式価値は約68億ドル、企業価値は約85億ドルです。[6]
Taylor Morrisonは、バークシャー傘下のClayton Properties Groupが持つ地域住宅建設会社と統合されます。
両社を合わせると2025年には約2万3,000戸の戸建て住宅引き渡し実績があり、21州・52市場・700超のコミュニティで事業を展開する規模になります。
この買収は6月30日のQ2期末より後に完了しているため、2026年Q2の連結業績には本格的には反映されていません。
今後の住宅関連事業の利益への寄与が注目されます。
株主資本と保険フロートの推移
バフェット氏は長年、1株当たり簿価の成長を重要な評価指標としてきました。
現在は営業利益、営業キャッシュフロー、株主資本、フロート、発行済み株式数、余剰資本の使い方などを総合して見る必要があります。
| 会計年度末 | 総株主資本 (百万$) |
増減率 | 保険フロート (概算・百万$) |
|---|---|---|---|
| FY2019 | 416,495 | — | 約129,000 |
| FY2020 | 450,592 | +8.2% | 約138,000 |
| FY2021 | 503,387 | +11.7% | 約147,000 |
| FY2022 | 506,754 | +0.7% | 約164,000 |
| FY2023 | 561,283 | +10.8% | 約169,000 |
| FY2024 | 651,655 | +16.1% | 約171,000 |
| FY2025 | 719,703 | +10.4% | 約176,400 |
| 2026 Q1 | 729,450 | +1.4% | 176,900 |
株主資本は連結貸借対照表のTotal shareholders’ equityで、非支配持分を含みます。
フロートは会社公表の概算値です。2026年Q2末のフロートは約177,500百万ドルへ増加しています。[11]
FY2019から2026年Q1までに総株主資本は約75%増加しました。
保険フロートもFY2019の約1,290億ドルから2026年Q2には約1,775億ドルまで拡大しています。
ただし、フロートは自由に使える返済不要の資金ではなく、将来の保険金支払いに備える負債です。
バークシャーにとって重要なのはフロートの規模だけでなく、引受規律を維持しながら低コストで保有できるかどうかです。
財務の健全性:バランスシート推移
以下は長期的な変化を確認するため、FY2019から2026年Q1までの連結バランスシートを比較したものです。
Q2については、現金ポジション、営業利益、自社株買い、保険フロートなど8月8日の最新開示で確認できる主要項目を本稿の前半に反映しています。
| 会計年度末 | 総資産 (百万$) |
総負債 (百万$) |
総株主資本 (百万$) |
自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|
| FY2019 | 817,729 | 401,234 | 416,495 | 51.0% |
| FY2020 | 873,729 | 423,137 | 450,592 | 51.6% |
| FY2021 | 958,804 | 455,417 | 503,387 | 52.5% |
| FY2022 | 948,229 | 441,475 | 506,754 | 53.4% |
| FY2023 | 1,069,978 | 508,695 | 561,283 | 52.5% |
| FY2024 | 1,153,881 | 502,226 | 651,655 | 56.5% |
| FY2025 | 1,222,176 | 502,473 | 719,703 | 58.9% |
| 2026 Q1 | 1,252,271 | 522,821 | 729,450 | 58.3% |
総負債はTotal liabilities、総株主資本は非支配持分を含むTotal shareholders’ equity。
自己資本比率は総株主資本÷総資産で算出しています。[12]
- 総資産はFY2019の8,177.29億ドルから2026年Q1の1兆2,522.71億ドルへ約53%増加しました。
- 同期間の総株主資本は約75%増加しました。
- BNSFとBHEは独自に債務を発行しており、親会社の財務と事業子会社の資金調達を一定程度分離する構造を採っています。
バフェットの資産運用・投資手法
ウォーレン・バフェット氏の投資手法は「バリュー投資」が根幹ですが、長い投資人生の中で変化してきました。
初期にはベンジャミン・グレアムの影響を強く受け、資産価値などに比べて極端に割安な企業を買う手法を重視しました。
その後、チャーリー・マンガー氏の影響などを受け、「優れた企業を妥当な価格で買う」考え方へ比重を移しました。
Apple(AAPL)への巨額投資はその象徴的な例です。
Appleを単なるハイテク企業ではなく、強力なブランド、顧客基盤、エコシステム、価格決定力を持つ消費者ビジネスとして評価し、長くポートフォリオの中核に据えてきました。
バークシャーの特徴は個別株選択だけではありません。
- 上場株への投資
- 企業を丸ごと買収する完全子会社化
- 既存子会社への設備投資
- 米国短期国債の運用
- 自社株買い
- 保険フロートの活用
これらの間で資金を振り分ける資本配分こそ、バークシャーのビジネスモデルの重要な部分です。
通常の投資ファンドとは異なり、完全子会社が生み出した利益もグループ内で再配分できます。
バフェットの歩み

(写真:Wikimedia Commons “Warren Buffett KU Visit.jpg”/CC BY-SA 2.0)
ウォーレン・エドワード・バフェット(Warren Edward Buffett)は1930年8月30日、ネブラスカ州オマハで生まれました。
1947年にペンシルベニア大学ウォートン・スクールへ入学し、その後ネブラスカ大学へ編入して卒業しました。
さらにコロンビア大学ビジネススクールで学び、「バリュー投資の父」と呼ばれるベンジャミン・グレアムから大きな影響を受けました。
その後、グレアムの運用会社でも勤務し、1956年に故郷オマハでバフェット・パートナーシップを設立しました。
やがて経営不振の繊維会社だったバークシャー・ハサウェイへの投資を拡大し、同社を事実上の投資持株会社へ転換しました。
その後は保険会社を傘下に収め、保険フロートを長期投資へ活用する現在の仕組みを築きました。
1978年にはチャーリー・マンガー氏が副会長に就任しました。
マンガー氏は「並の企業を非常に安く買う」ことだけを追求するのではなく、優れた事業を適切な価格で買う考え方をバフェット氏に強く根付かせた人物として知られます。
マンガー氏は2023年11月28日に99歳で逝去しました。[13]
【経営体制】2026年からグレッグ・アベル氏がCEO
バークシャーは2026年1月1日付でグレッグ・アベル氏が社長兼CEOに就任し、バフェット氏は会長職を継続する体制へ移行しました。[14]
2026年5月2日の年次株主総会は、アベルCEOが経営トップとして初めて主導しました。
バフェット氏は引き続き会長ですが、日々の経営と資本配分の最終責任はアベル氏へ移っています。[15]
バークシャーは世界有数の企業コングロマリットへ成長しました。
1964年末から2025年末までのバークシャー株の1株当たり市場価値の年率複利リターンは19.7%、累積リターンは6,099,294%でした。
同期間のS&P 500は配当込みで年率10.5%、累積46,061%です。[7]
ただし、現在のバークシャーは総資産1兆ドルを大きく超える企業になっています。
過去と同じリターンを将来も繰り返せることを意味する数字ではありません。
今後の展望と主なリスク
注目点
-
アベル新体制の資本配分:
バフェット氏から引き継いだ価格規律と分権型経営を維持しながら、巨額の余剰資金をどこへ振り向けるかが最大の注目点です。 -
株式投資の再拡大:
2026年Q2には株式を大幅に買い越しました。Q2 13Fで具体的な投資先と保有株数を確認する必要があります。 -
自社株買い:
Q2だけで約45億ドルの自社株買いを実施しました。アベル体制下で株価と内在価値をどう判断するかを知る重要な手掛かりになります。 -
巨額の現金・Tビル:
Q2に減少したとはいえ、依然として3,600億ドルを超える規模です。大型買収、上場株投資、自社株買いへの配分が焦点になります。 -
Taylor Morrisonの統合:
住宅建設事業の規模が大きく拡大します。住宅需要、住宅ローン金利、土地・建築コストの影響も大きくなります。 -
OxyChemの統合:
工業製品事業の規模を押し上げる一方、化学市況、原料・エネルギー価格、景気循環の影響を受けます。 -
日本の5大商社:
米国外投資としての重要性が大きく、事業利益、配当、自社株買い、円相場、円建て調達を合わせて確認する必要があります。 -
保険フロート:
Q2末で約1,775億ドルまで増加しました。規模以上に、引受黒字と十分な準備金を維持できるかが重要です。 -
BNSFとBHE:
物流需要、設備投資、規制、金利に加え、BHE傘下PacifiCorpの山火事関連訴訟などもリスク要因です。
主なリスク
-
経営移行リスク:
アベル氏は長年後継者として準備されてきましたが、大型買収や金融危機時の資本配分能力は今後長期間にわたり評価されます。 -
上場株集中リスク:
Apple、American Express、Coca-Colaなど大型保有株の値動きは、純利益と株主資本を大きく動かします。 -
保険リスク:
大規模自然災害、再保険損失、準備金不足、自動車保険の競争激化などが引受利益を圧迫する可能性があります。 -
公益事業リスク:
BHEは山火事、訴訟、規制変更、資金調達コスト、巨額設備投資などの影響を受けます。 -
住宅市場リスク:
Taylor Morrison買収によって住宅建設事業が拡大するため、高金利や住宅販売の減速による影響も大きくなります。 -
現金保有の機会費用:
巨額のTビルは安全性を高めますが、株式市場や企業価値が長期的に大きく上昇する局面では相対的な収益機会を失う可能性があります。 -
規模の制約:
バークシャーほど巨大になると、小規模な優良投資を発見してもグループ全体の利益に与える影響が小さくなります。
過去と同じ成長率を維持する難度は高くなっています。
13Fは対象となる米国上場株式等のロングポジションを示す四半期末時点のスナップショットです。
日本の5大商社、現金、米国短期国債、完全子会社、通常の債券、ショートポジションなどは含まれません。
したがって、バークシャーを分析する際は13Fだけでなく、10-K、10-Q、年次報告書、株主向け書簡などを併読する必要があります。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
【注】(出典リンク)
-
2026年Q1 Form 13Fの提出日、評価額、保有銘柄、株数
→ SEC EDGAR: Berkshire Hathaway 13F-HR(2026-03-31)(一次)
→ SEC EDGAR: 2026 Q1 Form 13F Information Table(一次)
→ SEC EDGAR: 2025 Q4 Information Table(比較用・一次)
(確認日:2026-08-09)
↩ -
Form 13F制度と2026年Q2の提出期限
→ SEC: Frequently Asked Questions About Form 13F(一次)
2026年Q2の提出期限は2026年8月14日。
(確認日:2026-08-09)
↩ -
日本の5大商社の保有比率、時価、取得原価、円建て調達
→ Berkshire Hathaway 2025 Annual Report(一次)
(確認日:2026-08-09)
↩ -
2026年Q2の上場株投資、現金・Tビル残高など
→ Reuters(2026-08-08)(二次)
(確認日:2026-08-09)
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2026年Q2の営業利益、純利益、投資損益、自社株買い、保険フロート
→ Berkshire Hathaway Second Quarter 2026 Earnings Release(2026-08-08)(一次)
(確認日:2026-08-09)
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Taylor Morrison買収
→ Berkshire Hathaway: Completes Acquisition of Taylor Morrison(2026-07-24)(一次)
(確認日:2026-08-09)
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長期株価実績、2025年営業利益、事業別利益
→ Berkshire Hathaway 2025 Annual Report(一次)
→ 2025 Letter to Berkshire Shareholders(一次)
(確認日:2026-08-09)
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OxyChem取得
→ Berkshire Hathaway News Release(2026-01-02)(一次)
→ Berkshire Hathaway 1Q 2026 Form 10-Q(一次)
(確認日:2026-08-09)
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非保険事業と分権型経営
→ Berkshire Hathaway 2025 Annual Report(一次)
(確認日:2026-08-09)
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FY2019~FY2025および2026年Q1・Q2の営業利益
→ Berkshire Hathaway 2020 Earnings Release(一次)
→ Berkshire Hathaway 2021 Corrected Earnings Release(一次)
→ Berkshire Hathaway 2023 Earnings Release(一次)
→ Berkshire Hathaway 2025 Annual Report(一次)
→ Berkshire Hathaway Second Quarter 2026 Earnings Release(一次)
(確認日:2026-08-09)
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株主資本と保険フロート
→ Berkshire Hathaway Annual & Interim Reports(一次)
→ Berkshire Hathaway 1Q 2026 Form 10-Q(一次)
→ Berkshire Hathaway Second Quarter 2026 Earnings Release(一次)
(確認日:2026-08-09)
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FY2019~2026 Q1のバランスシート
→ Berkshire Hathaway Annual & Interim Reports(一次)
→ Berkshire Hathaway 1Q 2026 Form 10-Q(一次)
(確認日:2026-08-09)
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チャーリー・マンガー氏逝去
→ Berkshire Hathaway News Release(2023-11-28)(一次)
(確認日:2026-08-09)
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CEO交代と2026年の経営体制
→ Berkshire Hathaway News Release(2025-05-05)(一次)
→ Berkshire Hathaway 2025 Annual Report(一次)
(確認日:2026-08-09)
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アベルCEOが主導した2026年年次株主総会
→ Reuters(2026-05-02)(二次)
(確認日:2026-08-09)
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