中国ETF(FXI・MCHI・KWEB・ASHR・CNXT・CXSE)を比較:株価・配当・構成銘柄

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中国ETF徹底比較 2025年10月最新版

中国ETF徹底比較 2025年10月最新版


【2025年10月11日更新】 公式サイト等の最新データで配当利回り・指数情報を見直し、一部数値と説明を修正しました(利回りは直近12カ月ベースの目安)。

中国ETFのデータを比較し、情報を整理してみます。

このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を紹介してみましょう

日本の主要証券会社でも購入可能な米国上場の代表的な中国株ETF4本 (FXI, MCHI, KWEB, ASHR) を中心に、さらにユニークな特徴を持つETF (CXSE, CNXT) も加えて、それぞれの違いと選び方を、パフォーマンスや配当の観点も交えて徹底的に解説します。

結論:あなたの投資目的はどれ?4つの主要ETFのポジショニング

まず、中心的に比較する4つのETFがどのような投資目的に合うのか、その特徴を見てみましょう。

  • FXI: 中国を代表する超大手企業だけに投資したい。
  • MCHI: とにかく広く分散して、中国経済全体のリスク・リターンを享受したい。
  • KWEB: 中国のハイテク・インターネット分野の成長に賭けたい。
  • ASHR: 中国「本土」の経済成長に直接投資したい。

このように、同じ中国株ETFでも投資対象やコンセプトは大きく異なります。まずはこの4つの基本形を理解することが重要です。

4大ETF 詳細比較

それでは、各ETFの基本情報を比較表で確認しましょう。

ティッカー FXI MCHI KWEB ASHR
正式名称 iシェアーズ 中国大型株 ETF iシェアーズ MSCI チャイナ ETF クレーンシェアーズ CSI チャイナ・インターネット ETF Xトラッカーズ・ハーベスト CSI300 チャイナA株 ETF
投資対象 中国大型株(H株・レッド/Pチップ等 約50銘柄) 中国株全般(大型・中型 約500銘柄) 中国インターネット関連(海外上場の中国ネット企業) 中国本土A株(上海・深圳の主要300銘柄)
連動指数 FTSE China 50 Index MSCI China Index CSI Overseas China Internet Index CSI 300 Index
経費率 0.74% 0.59% 0.70% 0.65%
直近12ヶ月の分配金利回り(目安) 約2.3% 約2.2% 約2.5〜2.7%注1 / 注2 約0.9%
こんな方に 超大手企業に絞りたい 幅広く分散したい ネット/テックに集中投資 中国「本土」へのエクスポージャー

※利回りは掲載サイトの算出方法(多くは「過去12カ月の分配金/足元価格」)に依存し、将来の分配を保証しません。最新値は各社サイトをご確認ください。

 

配当(分配金)利回りの比較

中国株ETFは、一般的にキャピタルゲイン(値上がり益)を主な目的としており、高い分配金利回りを期待する商品ではありません。しかし、ETFの構成銘柄によって分配金には明確な差が出ます。

ティッカー 直近12ヶ月の分配金利回り(目安) 特徴
FXI 約 2.3%出典 大手銀行・保険・エネルギーなどの伝統的企業が多く、4本の中では相対的に高め
MCHI 約 2.2%出典 市場全体に広く分散する分、単純平均ではやや抑え目。
KWEB 約 2.5〜2.7%出典1 / 出典2 ※改善傾向:以前はゼロ近辺の年もありましたが、直近は一定の分配が出ています。
ASHR 約 0.9%出典 本土A株の配当水準を反映。直近は低め。

※上記は2025年9~10月に各社/データサイトで確認できる参考値です。

結論として、分配金を重視するならKWEBFXIが候補になります。一方で、ASHRは本土A株の構成上、利回りは相対的に低めです。

各ETFの深掘り解説

1. 【伝統の大型株】 iシェアーズ 中国大型株 ETF (FXI)

FXIは、米国で最も歴史があり流動性も高い中国株ETFの一つ。投資対象を中国を代表する大手企業約50社に絞っているのが最大の特徴です(連動:FTSE China 50)。同指数は香港上場のH株やレッド/Pチップ等から構成されます出典

構成例:Tencent、Alibaba、Meituan、China Construction Bank、ICBC 等(時点により入替)構成一覧

  • こんな投資家に最適: 「中国経済を支える巨大企業だけに投資したい」「値上がり益だけでなく、一定のインカムも欲しい」

2. 【バランスの王道】 iシェアーズ MSCI チャイナ ETF (MCHI)

MCHIは、中国株ETFの中で最も包括的で分散が効いている一本。MSCI China IndexはA株(ストックコネクト経由の一部)・H株・ADR等を含む大型/中型をカバーします出典

トップ保有例:Tencent、Alibaba、PDD、Meituan、Xiaomi など(組入は随時変動)出典

  • こんな投資家に最適: 「最初の1本で市場全体を押さえたい」「個別選好を抑えて中国全体の値動きを取り込みたい」

3. 【ハイテク特化】 クレーンシェアーズ CSI チャイナ・インターネット ETF (KWEB)

KWEBは中国インターネット関連企業に特化。Eコマース、オンライン決済、ゲーム、SNSなどデジタル経済を担う企業に集中投資します。直近の上位にはAlibaba、Tencent、PDD、Meituan、Trip.com、JD.com等が並びます(年次報告・記事より)年次報告 / 記事

かつては分配が少ない年もありましたが、足元はおおむね2%台半ばの水準で推移していますETFdb / YCharts

  • こんな投資家に最適: 「中国の成長エンジンであるデジタル分野に賭けたい」「分配金も一定水準は欲しいが、値上がりも狙いたい」

4. 【中国「本土」市場】 Xトラッカーズ・ハーベスト CSI300 チャイナA株 ETF (ASHR)

ASHRは中国本土(上海・深圳)のA株に上場する主要300銘柄に投資(連動:CSI 300)。指数は中国A株市場の代表指数です出典

本土A株は国内政策や個人投資家の動向に影響されやすく、H株/ADR中心のETFと異なる値動きに。直近の分配水準は約0.9%です出典

  • トップ保有例: Kweichow Moutai、CATL、Ping An、BYD 等(時点により変動)

【参考】東証で手軽に投資したいなら

「まずは為替リスクを気にせず、日本円で手軽に始めてみたい」という方のために、東京証券取引所(東証)に上場している代表的な中国株ETFもご紹介します。これらは日本のほぼ全ての証券会社で、国内株と同じように取引できます。

コード 銘柄名 概要
1322 上場インデックスファンド中国A株(パンダ) 本土A株のCSI300に連動。米国上場ASHRに近いコンセプト出典
1309 NEXT FUNDS ChinaAMC・中国株式・上証50 上証50に連動。本土A株の大型50銘柄(A50ではなく「上証50」)出典
1571 NEXT FUNDS ハンセン高配当株指数ETF 香港市場の代表的な高配当株に投資。分配重視なら検討余地。

【参考】その他ユニークな米国上場ETF

主要4本のETF以外にも、ユニークな戦略を持つETFが存在します。他の投資家と差をつけたい場合に検討の価値がある2本です。

ウィズダムツリー 中国株 ex-国有企業 ファンド (CXSE)

CXSEは「中国の国有企業を除外」する明確なコンセプト。中国政府の持分が20%以上の企業を指数から除外します出典。結果として、民間テックや消費関連の比率が相対的に高まります。

  • 投資戦略: 非・国有企業への特化
  • 経費率: 0.32%出典
  • 分配: 市況によりばらつき(直近の分配利回りは同社サイトで要確認)

ヴァンエック ChiNext ETF (CNXT)

CNXTは深圳のChiNext市場(新興・成長企業板)に上場する企業に投資。小型〜中型の成長株を多く含み、ボラティリティは高めです。

  • 投資戦略: 中国の新興・成長企業に投資
  • 経費率: ネット0.65%(総経費1.27%に対し、現在はネット0.65%へ上限設定:2026年5月1日まで)出典
  • 構成上位例: CATL、Sungrow、Innolight、Mindray 等(時点により変動)出典

結論として、どのETFが最適かは、あなたの投資目標とリスク許容度次第です。まずは基本となる4本(FXI, MCHI, KWEB, ASHR)の違いを理解し、さらにこだわりたい場合はCXSEやCNXTのようなユニークなETFを検討することで、ご自身のポートフォリオに最適な一本を見つけられるでしょう。

最近のポイント:KWEBの分配金利回りは2%台半ばで推移しており(時期により変動)、成長性+一定のインカムの両取りを狙う選択肢として存在感が増しています出典

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載された情報は更新日時点の公開情報に基づきます。ETFの組入銘柄・利回り・経費率等は常に変動します。投資判断は必ず最新の公式情報をご確認の上、ご自身の責任で行ってください。

参考リンク(公式・指数ファクトシート等)

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。



ポートフォリオ

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、セクター別比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

中国の経済力

最後に、中国の経済力を見ていきましょう。
ここで、世界銀行のデータバンク等から主要統計を閲覧してみます。

中国の経済力

最後に、中国の経済力を見ていきましょう。ここでは 世界銀行データバンク(WDI) から主要統計を抽出し、推移を整理しました。

実質GDPと成長率

(※実質GDPは2015年米ドル基準。単位は100 millionドル)

実質GDP 名目GDP 実質成長率(%)
2005 44205 22860 11.39
2006 49829 27521 12.72
2007 56920 35503 14.23
2008 62413 45943 9.65
2009 68279 51017 9.40
2010 75541 60872 10.64
2011 82756 75515 9.55
2012 89263 85322 7.86
2013 96196 95704 7.77
2014 103339 104757 7.43
2015 110616 110616 7.04
2016 118191 112333 6.85
2017 126402 123104 6.95
2018 134934 138948 6.75
2019 142962 142799 5.95
2020 146318 147227 2.35
2021 177593 287225 8.4
2022 178485 316781 3.0
2023 177580 345409 5.3
2024 184881 370721 4.8

一人当たりGDP/人口/失業率

(*失業率は ILO モデル推計。一人当たり GDP〔実質〕の単位はドル、人口は万人)

1人当りGDP 人口 失業率(%)
2005 3391 130372 4.5
2006 3801 131102 4.4
2007 4319 131789 4.3
2008 4712 132466 4.6
2009 5129 133126 4.7
2010 5647 133771 4.5
2011 6153 134504 4.5
2012 6592 135419 4.6
2013 7056 136324 4.6
2014 7533 137186 4.6
2015 8016 137986 4.6
2016 8517 138779 4.5
2017 9053 139622 4.4
2018 9619 140276 4.3
2019 10155 140775 4.6
2020 10370 141093 5.0
2021 12572 141236 5.1
2022 12643 141175 5.6
2023 12597 140967 5.2
2024 12969 140828 5.1

Posted by 南 一矢