EWT・EWY:台湾と韓国をETFで比較する
台湾と韓国のETFデータを比較し、情報を整理してみます。
このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を紹介してみましょう
【国別ETF】台湾(EWT)・韓国(EWY) – アジアのハイテク大国への投資を考える
世界経済、特にハイテク分野において重要な役割を担うアジアの二大経済大国、台湾と韓国。半導体受託製造(ファウンドリ)で世界を席巻する台湾と、メモリ半導体や家電、自動車でグローバル市場をリードする韓国は、似ているようで全く異なる産業構造と投資妙味を持っています。今回は、両国を代表するiシェアーズのETF「EWT(台湾)」と「EWY(韓国)」について、その中身と投資妙味を徹底解説します。
📈 2025年のマーケット動向
台湾ETF(EWT)は好調な推移で年初来+12.78%、特に直近3ヶ月では+22.93%の大幅上昇を記録。一方、韓国ETF(EWY)には大量の資金流入があり、3ヶ月で21.6億ドルの純流入を記録しています。ただし、米国の貿易政策により韓国には15%の関税が課される可能性があり、注意が必要です。
【EWT】iシェアーズ MSCI 台湾 ETF
世界の半導体サプライチェーンの中核を担う台湾の優良企業、特に世界最大の半導体メーカーTSMCに重点的に投資できるETFです。
台湾(EWT)投資の魅力とリスク
投資の魅力
- 圧倒的な半導体競争力: 世界の半導体ファウンドリ市場で過半数のシェアを握るTSMC(台湾積体電路製造)が構成銘柄の筆頭であり、AIやIoTの成長の恩恵を直接享受できます。
- 強力なハイテク・エコシステム: 半導体を中心に、電子部品やPC関連企業など、世界屈指のハイテク企業群が集積しています。
- 健全な財政と高い技術力: 先進国レベルの高い教育水準と技術力を持ち、経済基盤が安定しています。
- 2025年の好調なパフォーマンス: AI需要拡大により、年初来+12.78%、直近3ヶ月では+22.93%と強い上昇を見せています。
注意すべきリスク
- 地政学リスク: 中国との緊張関係は常に潜在的なリスク要因であり、情勢の変化が市場に大きな影響を与える可能性があります。
- セクターと個別銘柄への極端な集中: ポートフォリオが情報技術セクター、特にTSMC一社に大きく偏っており、同社の業績や株価動向にETF全体が強く影響されます。
- 米中貿易摩擦の影響: 半導体を巡る米中の競争激化が、台湾企業のビジネスに中長期的な影響を与える可能性があります。
EWTの基本情報とポートフォリオ
連動指数 | MSCI Taiwan 25/50 Index |
---|---|
経費率 | 0.59% |
純資産総額 | 約97億ドル |
2025年パフォーマンス | 年初来+12.78%、3ヶ月+22.93%、1年+14.43% |
上位構成銘柄 | Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. (TSMC), MediaTek, Hon Hai Precision (Foxconn), Delta Electronics, Fubon Financialなど |
セクター比率 | 情報技術 (約63%), 金融 (約18%) , 素材 (約3%) など |
【EWY】iシェアーズ MSCI 韓国 ETF
サムスン電子を筆頭に、世界市場で高いシェアを持つ韓国の多国籍企業(財閥系企業)へまとめて投資するETFです。
韓国(EWY)投資の魅力とリスク
投資の魅力
- 多様なグローバル企業: メモリ半導体、スマートフォン、家電、自動車、バッテリーなど、多岐にわたる分野で世界的な競争力を持つ企業へ分散投資できます。
- 世界経済との高い連動性: サムスン電子や現代自動車など、輸出主導型のグローバル企業が多いため、世界経済の成長の波に乗りやすい側面があります。
- 株主還元強化への期待: 韓国政府主導の「企業価値向上プログラム」により、長年の課題であった「コリア・ディスカウント」の解消と、配当増加などの株主還元強化が期待されています。
- 大量の資金流入: 2025年は3ヶ月で21.6億ドルの純流入があり、投資家の関心が高まっています。
注意すべきリスク
- 地政学リスク: 北朝鮮との関係は常に不安定要因であり、突発的なニュースが市場を揺るがすことがあります。
- 財閥とコーポレートガバナンス: 特定の財閥(チェボル)による経済支配や、コーポレートガバナンスの問題が、海外投資家から「コリア・ディスカウント」として評価され、株価の上値を抑える要因となってきました。
- 通貨(ウォン)の変動: 米ドルに対して韓国ウォンが下落すると、ドル建てのETFの価値も目減りします。
- 米国関税リスク: 2025年に入り、米国が韓国に15%の関税を課す可能性が浮上しており、輸出主導型の韓国企業には逆風となります。
EWYの基本情報とポートフォリオ
連動指数 | MSCI Korea 25/50 Index |
---|---|
経費率 | 0.59% |
純資産総額 | 約43億ドル |
2025年資金流入 | 3ヶ月で+21.6億ドル、6ヶ月で+18.6億ドルの大量流入 |
上位構成比率 | 上位10銘柄で51.4%(集中度は台湾より低め) |
上位構成銘柄 | Samsung Electronics, SK Hynix, KB Financial Group, Hyundai Motor, Shinhan Financial Groupなど |
セクター比率 | 情報技術 (約37%), 金融 (約14%), 資本財 (約12%), 一般消費財 (約8%) など |
【配当比較】株主還元で見るEWTとEWY
ETFへの投資では、値上がり益(キャピタルゲイン)だけでなく、分配金(インカムゲイン)も重要な要素です。ここでは両ETFの配当情報を比較してみましょう。
項目 | EWT (台湾) | EWY (韓国) |
---|---|---|
直近配当利回り | 約1.5% | 約2.0% |
配当頻度 | 年2回 (Semi-Annually) | 年2回 (Semi-Annually) |
配当の傾向と特徴 | 成長のための設備投資を優先するハイテク企業が多く、利回りは比較的控えめ。値上がり益を重視する方向け。 | 財閥系大企業や金融機関からの安定配当がベース。政府の株主還元強化策への期待感から、将来的な増配の可能性も。 |
※配当利回りは市況により常に変動します。あくまで2025年8月時点の参考値です。
一般的に、EWY(韓国)の方がEWT(台湾)よりも高い配当利回りを示す傾向にあります。これは、EWTの構成上位を占めるTSMCなどが、利益の多くをさらなる成長のための設備投資に振り向ける一方、EWYを構成する財閥系の成熟企業や金融機関は、比較的安定した配当を出す体力があるためです。
特に、近年の韓国では政府主導でPBR(株価純資産倍率)の低い企業に対する株主還元強化策「企業価値向上プログラム」が進められており、これが今後の増配につながるのではないかと期待されています。
まとめ:ポートフォリオにおける役割
EWTとEWYは、どちらもアジアを代表するハイテク立国への投資ですが、その中身と投資家に提供する価値は大きく異なります。
- EWT (台湾): ポートフォリオに「半導体への集中投資による高い成長性」を加えたい場合に最適です。配当よりも値上がり益を重視し、「AIの頭脳を作る」という明確なストーリーに賭ける投資家に向いています。2025年の好調なパフォーマンス(3ヶ月+22.93%)がその成長力を裏付けています。
- EWY (韓国): ポートフォリオに「グローバル製造業への分散と安定配当」という要素を加えたい場合に適しています。台湾より多様なセクターに分散しつつ、インカムゲインも狙いたい投資家に向いています。今後の株主還元強化というテーマ性も魅力ですが、米国関税リスクには注意が必要です。
どちらのETFも、米国株のハイテク銘柄とは異なる形でポートフォリオの成長を狙える魅力的な選択肢です。セクターの集中度、配当利回り、そして地政学リスクの違いを十分に理解した上で、投資を検討してみてください。
⚠️ 2025年の投資環境変化
米国の新たな貿易政策により、韓国には15%の関税が課される可能性があり、EWYへの投資には短期的な注意が必要です。一方、AI需要の拡大により台湾の半導体企業は好調を維持しており、EWTは引き続き成長ストーリーが描けます。投資タイミングと地政学的要因を慎重に検討することが重要です。
【出典・情報源】
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイで変動をフォロー。
ポートフォリオ
このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率はチャールズシュワブのサイト内ページを参照。
セクター別比率、構成銘柄一覧(配当利回り&配当性向などのファンドのデータはブラックロック「EWY」ページを参照。
(EWTページのデータは日足で更新)