EWT・EWY:台湾と韓国をETFで比較する

海外ETF

アジアを代表するハイテク拠点、台湾と韓国のETFデータを比較し、最新の情報を整理します。

このページでは、長期的な資産運用や積立の検討材料として、ETFの概要、配当利回り、ポートフォリオの構造を解説します。数値は市場環境により日々変動するため、投資の最終判断前には必ず運用会社の公式サイト等で最新の一次情報をご確認ください。[1][2]

*免責事項:投資判断はご自身の責任において行われるようお願いいたします。本記事は情報提供を目的としており、売買の結果について一切の責任を負うものではありません。

【国別ETF】台湾(EWT)・韓国(EWY) – アジアのハイテク大国への投資を考える

世界経済のサプライチェーン、特に半導体やAIインフラにおいて欠かせない存在となった台湾と韓国。受託製造(ファウンドリ)で圧倒的な存在感を持つ台湾と、メモリ半導体や自動車、電池産業で世界的な競争力を持つ韓国は、投資対象として非常に魅力的ながらも、異なるリスク要因を抱えています。iシェアーズの代表的ETFである「EWT(台湾)」「EWY(韓国)」の現状をプロの視点で分析します。

マーケット動向(2025年通期実績 + 2026年5月時点の足元)

EWT(台湾)は、2025年通期のNAVベースリターンが+27.81%(2025年12月31日時点)でした。2026年に入るとAI・半導体関連への期待がさらに強まり、NAVベースの年初来リターンは+52.21%(2026年5月11日時点)まで拡大しています。[1]

EWY(韓国)は、2025年にNAVベースで+97.57%(2025年12月31日時点)という大幅上昇を記録しました。2026年もメモリ半導体・AI需要への期待が続き、NAVベースの年初来リターンは+95.17%(2026年5月11日時点)と、EWTを上回る勢いで推移しています。[2]

韓国については、2026年1月時点で米国の対韓関税をめぐる不透明感が再燃しました。Reutersは、米国が韓国製自動車・自動車部品などに対する関税率について、既存の15%枠組みから25%への引き上げを示唆したと報じています。その後、韓国議会は2026年3月に3,500億ドル規模の対米投資関連法案を承認しており、通商リスクは残るものの、交渉材料も増えています。[3]

【EWT】iシェアーズ MSCI 台湾 ETF

世界のAIブームの恩恵を直接受けるファウンドリ最大手を中心に、台湾のハイテク・エコシステムをまとめて保有するETFです。

台湾(EWT)投資の魅力とリスク

投資の魅力
  • AIインフラの心臓部:台湾はファウンドリ、半導体設計支援、電子機器受託製造など、AIインフラの供給網に深く関わっています。EWTはその中核企業への集中度が高く、AI関連の成長を取り込みやすいETFです。[4]
  • 高収益な主力銘柄:世界最高峰の技術力を持つ企業の成長を、米ドル建てETFとして効率的にポートフォリオへ組み込めます。[1]
  • 制度の透明性:iシェアーズブランドによる高い流動性と、日次で更新される保有銘柄データにより、実務的な管理が容易です。[1]
注意すべきリスク
  • 地政学的緊張:台湾海峡を巡る不確実性は、常にバリュエーションの押し下げ要因となります。
  • 単一銘柄への集中:最大構成銘柄である台湾積体電路製造(TSMC)の比率が高く、同社の決算や半導体サイクルでETF全体が大きく振れやすい構造です。[4]
  • エネルギー供給:ハイテク工場の稼働に必要な電力インフラと、脱炭素政策の進展が長期的なコスト要因となり得ます。

EWTの基本情報とポートフォリオ(2026年5月時点)

連動指数 MSCI Taiwan 25/50 Index[1]
経費率 0.59%(現行目論見書ベース、2026年5月13日時点の公式表示)[1]
純資産総額 約98.64億ドル(2026年5月12日時点)[1]
保有銘柄数 85銘柄(2026年5月12日時点)[1]
分配頻度 年1回(Annual)[1]
12カ月分配利回り 1.12%(2026年4月30日時点)[1]
30日SEC利回り 1.25%(2026年4月30日時点)[1]
年初来騰落率 +52.21%(NAVベース、2026年5月11日時点)[1]
バリュエーション P/E 28.82倍、P/B 3.63倍(2026年5月11日時点)[1]

上位構成銘柄(2026年5月12日前後の公式保有データ):台湾積体電路製造(TSMC)、鴻海精密工業、メディアテック、デルタ電子、クアンタ・コンピュータなどが中心です。なお、EWTは日次で保有比率が変わるため、個別比率は公式のHoldings画面で確認するのが安全です。[4]

セクター構造:情報技術の比率が高く、台湾の半導体・電子機器サプライチェーンへの集中投資という性格が明確です。[4]


【EWY】iシェアーズ MSCI 韓国 ETF

財閥系コングロマリットを中心に、エレクトロニクスから重工業、自動車、金融まで、韓国経済をまるごと保有するパッケージです。

韓国(EWY)投資の魅力とリスク

投資の魅力
  • AIメモリの中核:SKハイニックスとサムスン電子は、AIサーバー向け高帯域幅メモリ(HBM)や先端メモリ需要の恩恵を受けやすい企業です。EWYはこの2社への集中度が高く、メモリ半導体サイクルの上昇局面を取り込みやすいETFです。[5]
  • 割安感と株主還元改革:韓国市場では、いわゆる「コリア・ディスカウント」の解消に向けた資本市場改革や企業価値向上策が投資テーマになっています。
  • 輸出力の回復:半導体、自動車、防衛、造船、電池関連など、外需主導の産業が多く、世界景気やAI投資の回復局面では追い風を受けやすい構造です。
注意すべきリスク
  • 米国の関税リスク:2026年1月時点で、米国が韓国製自動車などに対する関税率の再引き上げを示唆したことで、通商交渉の不透明感が意識されました。[3]
  • 通貨ボラティリティ:ウォン安局面では、ドル建て・円建ての投資リターンが圧迫される可能性があります。
  • 特定2社への集中:SKハイニックスとサムスン電子だけでETFの大きな割合を占めるため、メモリ市況や半導体投資サイクルの変動を強く受けます。[5]
  • 指数分類をめぐる期待と現実:韓国はFTSE Russellの株式分類ではDeveloped market statusに位置づけられていますが、MSCIではなおEmerging Markets側の扱いです。MSCIのDeveloped Market入りは期待材料ではあるものの、2026年5月時点では確定事項ではありません。[6]

EWYの基本情報とポートフォリオ(2026年5月時点)

連動指数 MSCI Korea 25/50 Index (Net)[2]
経費率 0.59%(現行目論見書ベース、2026年5月13日時点の公式表示)[2]
純資産総額 約229.16億ドル(2026年5月12日時点)[2]
保有銘柄数 81銘柄(2026年5月12日時点)[2]
分配頻度 年1回(Annual)[2]
12カ月分配利回り 1.29%(2026年4月30日時点)[2]
30日SEC利回り 0.37%(2026年4月30日時点)[2]
年初来騰落率 +95.17%(NAVベース、2026年5月11日時点)[2]
バリュエーション P/E 25.08倍、P/B 2.92倍(2026年5月11日時点)[2]

上位構成銘柄(2026年5月12日前後の公式保有データ):SKハイニックス、サムスン電子、SKスクエア、現代自動車、KBフィナンシャルなどが中心です。足元ではAIメモリ関連の上昇により、SKハイニックスとサムスン電子の存在感が一段と大きくなっています。[5]

セクター構造:情報技術が最大セクターで、次いで資本財、金融、一般消費財などが続きます。台湾のEWTほど情報技術に一本足ではありませんが、半導体メモリの影響は非常に大きいETFです。[5]


【比較】ポートフォリオの分散と分配金利回り

どちらのETFも、2026年に入り「AIインフラ」と「半導体サイクル」というテーマで大きく動いています。EWTはファウンドリ・電子機器サプライチェーン寄り、EWYはメモリ半導体と韓国大型企業の再評価寄りです。インカム面では、2026年4月30日時点の12カ月分配利回りで見るとEWYがやや高いものの、30日SEC利回りではEWTのほうが高く表示されています。

項目 EWT(台湾) EWY(韓国)
12カ月分配利回り 1.12%(2026年4月30日時点)[1] 1.29%(2026年4月30日時点)[2]
30日SEC利回り 1.25%(2026年4月30日時点)[1] 0.37%(2026年4月30日時点)[2]
年初来騰落率 +52.21%(NAVベース、2026年5月11日時点)[1] +95.17%(NAVベース、2026年5月11日時点)[2]
主なリターン源泉 AI半導体・ファウンドリ・電子機器サプライチェーン HBM・メモリ半導体・韓国大型株の再評価
投資判断のポイント AI需要の持続性、TSMC集中、台湾海峡リスク メモリ市況、SKハイニックス・サムスン集中、通商交渉と韓国市場改革

まとめ:アジア・ハイテク二大国の活用法

  • EWT(台湾):世界最強級の半導体エコシステムに「順張り」で投資するETFです。特定の巨大企業への集中を理解し、ポートフォリオのグロース枠として活用するのが現実的です。
  • EWY(韓国):AIメモリ需要と韓国大型株の再評価を取り込むETFです。2026年5月時点では上昇率が非常に大きいため、追随買いではなく、半導体サイクルと通商リスクを見ながら分割投資を検討したい局面です。

2026年の米国金利環境やドル相場が変化する中、アジアのハイテク国ETFは大きなリターン機会を持つ一方、為替・地政学・通商政策の影響を強く受けます。個別ニュースに振り回されすぎず、セクター集中度と分配金実績をベースにした定期的なリバランスが重要です。

ミニ解説:両ETFが採用する「25/50」型インデックスは、米国の分散投資会社規制に対応するため、単一銘柄と大口銘柄群への集中を一定程度抑える仕組みです。ただし、TSMC、SKハイニックス、サムスン電子の影響がETF全体に大きく及ぶ事実は変わりません。[1][2]

【注】(出典リンク)

  1. EWT公式データ(Key Facts、Performance、Fees、Portfolio Characteristics:2026年4月30日〜5月12日時点) → iShares MSCI Taiwan ETF(EWT)公式ページiShares EWT Fact Sheet(PDF)(確認日:2026-05-13)
  2. EWY公式データ(Key Facts、Performance、Fees、Portfolio Characteristics:2026年4月30日〜5月12日時点) → iShares MSCI South Korea ETF(EWY)公式ページiShares EWY Fact Sheet(PDF)(確認日:2026-05-13)
  3. 韓国関税・通商協議(2026年1月〜3月) → Reuters(2026-01-26)Reuters(2026-01-27、解説)Reuters(2026-03-12、対米投資法案)(確認日:2026-05-13)
  4. EWTポートフォリオ補足(保有銘柄・セクター・台湾市場のAI半導体集中) → iShares EWT HoldingsiShares EWT Fact Sheet(PDF)(確認日:2026-05-13)
  5. EWYポートフォリオ補足(保有銘柄・セクター・SKハイニックス/サムスン電子集中) → iShares EWY HoldingsiShares EWY Fact Sheet(PDF)(確認日:2026-05-13)
  6. 韓国の指数分類・市場アクセス状況 → FTSE Russell Equity Country Classification March 2026 Interim Review(PDF)MSCI Market ClassificationReuters(MSCI分類・市場アクセス、2025-06-20)(確認日:2026-05-13)

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株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイで変動をフォロー。




配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*当サイトは特別配当(分配金)を含めて計算するので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されることがあります)

EWTの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 4.89% 2.816 63.9% 57.6 11.8%
2024 3.34% 1.718 -68.9% 51.5 12.9%
2023 12.12% 5.527 -26.9% 45.6 1.8%
2022 16.87% 7.558 442.6% 44.8 -26.8%
2021 2.28% 1.393 43.2% 61.2 43.7%
2020 2.28% 0.973 -4.9% 42.6 18.0%
2019 2.83% 1.023 2.5% 36.1 -0.8%
2018 2.74% 0.998 -2.1% 36.4 3.7%
2017 2.90% 1.019 45.4% 35.1 23.2%
2016 2.46% 0.701 -12.2% 28.5 -5.6%
2015 2.64% 0.798 37.1% 30.2 -5.0%
2014 1.83% 0.582 11.1% 31.8 13.2%
2013 1.86% 0.524 -3.3% 28.1 3.3%
2012 1.99% 0.542 -42.7% 27.2 -4.9%
2011 3.31% 0.946 63.1% 28.6 -3.1%
2010 1.97% 0.580 39.4% 29.5 26.1%
2009 1.78% 0.416 -65.4% 23.4 -15.8%
2008 4.33% 1.203 27.8

EWYの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 2.83% 2.037 56.9% 71.9 12.7%
2024 2.03% 1.298 -21.4% 63.8 4.2%
2023 2.70% 1.651 136.9% 61.2 1.2%
2022 1.15% 0.697 -58.5% 60.5 -29.1%
2021 1.97% 1.679 166.5% 85.3 38.9%
2020 1.03% 0.630 -51.8% 61.4 5.7%
2019 2.25% 1.308 65.6% 58.1 -15.1%
2018 1.15% 0.790 -63.7% 68.4 4.4%
2017 3.32% 2.176 237.4% 65.5 24.1%
2016 1.22% 0.645 -46.3% 52.8 -1.7%
2015 2.24% 1.202 81.3% 53.7 -12.4%
2014 1.08% 0.663 -26.2% 61.3 4.6%
2013 1.53% 0.898 146.0% 58.6 5.8%
2012 0.66% 0.365 -47.9% 55.4 -2.5%
2011 1.23% 0.700 58.4% 56.8 10.3%
2010 0.86% 0.442 40.3% 51.5 33.4%
2009 0.82% 0.315 -51.5% 38.6 -14.6%
2008 1.44% 0.650 45.2

ポートフォリオ

このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率はチャールズシュワブのサイト内ページを参照。
セクター別比率、構成銘柄一覧(配当利回り&配当性向などのファンドのデータはブラックロック「EWY」ページを参照。
(EWTページのデータは日足で更新)

Posted by 南 一矢