GSとMSを比較:ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーの違いとは

銘柄比較

GSとMSを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)

ゴールドマンサックス(Goldman Sachs)とモルガンスタンレー(Morgan Stanley)は投資銀行の代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(XLF:Financial Select Sector SPDR Fundを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

決算(予想:結果)と配当

決算の予想:結果については以下の関連記事を参照

ゴールドマンサックス(GS)決算:予想と結果 売上&EPS

モルガンスタンレー(MS)決算:予想と結果 売上&EPS

【ウォール街の巨人対決】ゴールドマン(GS) vs モルガン・スタンレー(MS)!伝統か、変革か?

世界の金融市場を動かすウォール街の二大巨頭、ゴールドマン・サックス(GS)モルガン・スタンレー(MS)。長年のライバルである両社ですが、2008年の金融危機以降、その進む道は大きく分かれました。投資対象としてこの2社を評価する上で、その戦略の違いを理解することが不可欠です。

本記事では、「伝統的な投資銀行」の強みを磨くゴールドマンと、「ウェルス・マネジメント」という安定収益の柱を築き上げたモルガン・スタンレーの、業績、配当、そしてビジネスモデルを徹底的に比較・分析します。

最重要ポイント:収益構造の決定的な違い

両社の最大の違いは、利益をどこから得ているか、という点にあります。

  • ゴールドマン・サックス (GS) → 市場の変動で稼ぐ
    収益の柱は、企業のM&Aや資金調達を手伝う「投資銀行部門」と、株や債券を売買する「トレーディング部門」。これらは市場が活況な時には莫大な利益を生みますが、市場が冷え込むと業績が大きく落ち込む、ボラティリティ(変動性)の高いビジネスです。
  • モルガン・スタンレー (MS) → 安定した手数料で稼ぐ
    投資銀行部門も強力ですが、近年は富裕層や個人投資家の資産を預かり管理する「ウェルス・マネジメント部門」が最大の収益源に成長。市場の良し悪しに関わらず、預かり資産額に応じた手数料が安定的に入ってくる、ボラティリティの低いビジネスです。

この収益構造の違いが、市場からの評価や株価の安定性を大きく左右しています。

比較サマリー:市場のGS、資産管理のMS

項目 ゴールドマン・サックス (GS) モルガン・スタンレー (MS)
主力事業 投資銀行業務、トレーディング ウェルス・マネジメント(富裕層向け資産管理)
収益の安定性 市場環境に左右されやすい(ボラティリティ高) 手数料ビジネスのため安定的(ボラティリティ低)
連続増配年数 12年 11年
配当利回り(直近) 約2.4% 約3.5%
P/B(株価純資産倍率) 約1.3倍 約1.6倍

※P/Bは市場の評価を示す指標の一つ。モルガン・スタンレーの安定性がより高く評価されていることを示唆。

業績と成長性の詳細分析

両社の業績は、市場環境を映す鏡です。市場が活況だった2021年には両社とも絶好調でしたが、市場が不安定になると、よりトレーディングに依存するゴールドマンの方が業績の落ち込みが大きくなる傾向が見られます。

GS 売上高 (前年比) MS 売上高 (前年比)
2024 $46.25 B (-2.4%) $54.14 B (-9.8%)
2023 $47.39 B (-22.4%) $59.99 B (-10.1%)
2022 $61.08 B (+33.3%) $66.75 B (+22.3%)
2021 $45.82 B (+22.1%) $54.58 B (+15.9%)
2020 $37.52 B $47.10 B

※B=10億ドル。会計年度や基準により数値は多少変動します。

配当の詳細比較

金融危機後、両社は株主還元を強化しており、特にモルガン・スタンレーは近年、非常に高い増配率で配当を増やしています。

GS 年間配当 (増配率) MS 年間配当 (増配率)
2024 $11.00 (+10.0%) $3.40 (+9.7%)
2023 $10.00 (+25.0%) $3.10 (+10.7%)
2022 $8.00 (+60.0%) $2.80 (+100.0%)
2021 $5.00 (+25.0%) $1.40 (+0.0%)
2020 $4.00 $1.40

配当については以下の関連記事を参照

ゴールドマンサックス(GS)の配当推移

モルガンスタンレー(MS)の配当推移

結論:あなたに合うのはどちら?

両社への投資は、金融市場のボラティリティをどう捉え、どのような収益の安定性を求めるかによって判断が分かれます。

「市場の回復・活況」に賭け、割安さを狙うなら → ゴールドマン・サックス (GS)

市場環境に業績が左右されやすいため、株価はモルガン・スタンレーに比べて割安に放置されがちです。しかし、M&Aやトレーディングが活発になる好況期には、莫大な利益を叩き出すポテンシャルを秘めています。市場サイクルを読んだ逆張り投資を好む方向けです。

「安定した手数料ビジネス」による着実な成長を好むなら → モルガン・スタンレー (MS)

ウェルス・マネジメントという安定収益基盤を確立したことで、同社はもはや伝統的な投資銀行とは一線を画す存在となりました。市場の評価(プレミアム)が高い分、株価の安定性も期待できます。よりディフェンシブに金融セクターの優良企業へ投資したいと考える方に最適です。


※本ページの分析は2025年6月9日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。

Posted by 南 一矢