GSとMSを比較|ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーはどっちがいい?

金融,銘柄比較

結論からいうと、投資銀行・トレーディング部門の上振れを重視するならゴールドマン・サックス(GS)、ウェルス・マネジメントの継続収益と資本余力を重視するならモルガン・スタンレー(MS)という違いがあります。

ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)とモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)は、投資銀行、証券取引、資産運用を代表する米国の金融機関です。

本記事では、両社の事業構成、2026年Q2決算、ROE・CET1比率、配当・自社株買い、株価バリュエーション、強み・リスク・将来性を同じ基準で比較します。(2026年8月6日更新)

GSとMSはどっち?ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの違い

比較項目 GS MS
会社名 ゴールドマン・サックス モルガン・スタンレー
収益の特徴 投資銀行・マーケット業務の比重が大きい ウェルス・マネジメントが安定収益を下支え
業績が伸びやすい局面 M&A、IPO、社債発行、顧客取引が活発な局面 顧客資産と手数料収益が増え、市場部門も好調な局面
2026年Q2 ROE 23.5% 20.7%
2026年Q2 ROTCE 26.6%
2026年Q2 CET1比率
標準的手法
12.9% 14.8%
四半期配当 5.00ドル 1.15ドル
比較の要点 市場活況時の利益拡大力 収益の安定性と資本余力
見比べポイント

  • 市場活動が活発な局面で、投資銀行・マーケット収益が大きく伸びやすいのがGSです。
  • ウェルス・マネジメントの継続収益と、比較的厚いCET1比率が特徴なのがMSです。
  • ただし、MSも大規模な投資銀行・トレーディング事業を展開しており、市場変動から切り離された銘柄ではありません。
  • 2026年Q2は両社とも好調で、株主還元も拡大しました。

GSとMSの株価・バリュエーションを比較

※チャート左目盛り:GS、MS、XLF(Financial Select Sector SPDR Fund)の株価推移

※チャート右目盛り:米国10年国債利回り

株価の成長率、52週高値・安値、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などを更新しています。リアルタイムではありませんが、株価は最大20分程度の遅れで表示されます。アナリストの目標株価も、今後の見通しを考えるための参考情報として掲載しています。

PBRや配当利回りは、株価の変動によって毎日変わります。本文中の決算数値だけでなく、上の最新株価表と合わせて確認してください。

GS・MSの決算予想・結果と配当

株価と決算の詳細については、以下の関連記事も参照してください。

ゴールドマン・サックス(GS)の決算:予想と結果、売上高・EPS

モルガン・スタンレー(MS)の決算:予想と結果、売上高・EPS

ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーを詳しく比較

市場収益の上振れ力か、ウェルス・マネジメントを中心とする安定収益か――両社のビジネスモデルと株主還元を最新決算で比較します。

比較で使う金融指標

ROE
自己資本に対して、どの程度の利益を生み出したかを示す指標です。一般に数値が高いほど、株主資本を効率よく利益へ結びつけていると判断されます。
ROTCE
のれんなどを除いた有形普通株式資本に対する利益率です。買収によって生じた無形資産の影響を除き、金融機関の資本効率を比較する際に使われます。
CET1比率
普通株式を中心とする質の高い自己資本が、リスクアセットに対してどの程度あるかを示します。規制上の所要水準を上回るほど、損失への耐久力や株主還元余力が大きくなります。
PBR
株価を1株当たり純資産で割った指標です。金融機関では、収益性や資本効率に対して、株価がどの程度のプレミアムを織り込んでいるかを見る際に使われます。
配当利回り
1株当たりの年間配当を株価で割った値です。増配直後は、実際にその年に受け取る配当額と、四半期配当を4倍した年率換算額が一致しない場合があります。

1|GSとMSの事業構成の違い

◆ ゴールドマン・サックス(GS)

  • 核となるのは投資銀行業務とマーケット業務です。M&A、株式・債券の引受、トレーディングが活発な局面では利益が大きく伸びる一方、市場環境による変動も大きくなります。
  • 近年はアセット&ウェルス・マネジメントを拡大し、運用手数料などの継続収益を積み上げる方向に進んでいます。
  • 2026年6月末の資産運用監督残高(AUS)は4兆410億ドルとなり、2026年3月末の3兆6,500億ドルから増加しました。
  • 2026年Q2には、純流入2,300億ドルと、市場価格上昇などによる1,610億ドルの増加がありました。[1]

◆ モルガン・スタンレー(MS)

  • 安定収益の中核はウェルス・マネジメントです。顧客資産に連動する資産管理手数料や、預金・融資から得る収益が利益を下支えします。
  • 一方、Institutional Securitiesも大規模な収益を生み出しています。市場環境が良好な四半期には、同部門の純収益がウェルス・マネジメントを上回ることがあります。
  • 2026年Q2のウェルス・マネジメント純収益は88億5,600万ドル、手数料ベースの顧客資産は3兆220億ドル、純新規資産は1,481億ドルでした。
  • ウェルス・マネジメントとインベストメント・マネジメントを合わせた顧客資産は、2026年6月末に10兆ドルへ到達しました。[2]

GSは資本市場が活発な局面で高い利益成長力を発揮しやすく、MSは顧客資産に連動する手数料収益によって、業績の変動をある程度抑えやすいという違いがあります。

2|2026年Q2決算を比較

指標
2026年Q2
GS MS
純収益 203億3,800万ドル[1] 213億4,800万ドル[2]
純利益 66億2,800万ドル[1] 55億8,100万ドル
MS帰属ベース[2]
希薄化後EPS 20.98ドル[1] 3.46ドル[2]
ROE 23.5%[1] 20.7%[2]
ROTCE 26.6%[2]
CET1比率
標準的手法
12.9%
2026年6月末の暫定値[1]
14.8%
2026年6月末の暫定値[2]
1株当たり純資産
BVPS
367.67ドル
2026年6月末[1]
67.80ドル
2026年6月末[2]

2026年Q2は、両社とも投資銀行業務と株式関連ビジネスが好調でした。

GSのGlobal Banking & Markets純収益は155億2,000万ドルとなり、前年同期比53%増加しました。投資銀行フィー、株式部門、FICC部門がそろって増収となっています。[1]

MSのInstitutional Securities純収益も110億4,000万ドルとなり、四半期として過去最高を記録しました。ウェルス・マネジメントと市場部門が同時に伸びた点が、2026年Q2決算の特徴です。[2]

純収益ではMSがGSを上回りましたが、ROEではGSがMSを上回りました。一方、MSはROTCEが26.6%と高く、標準的手法によるCET1比率もGSより厚い状態です。

単純な売上高やEPSの大小だけではなく、収益性、資本効率、収益構造を合わせて比較する必要があります。

3|株価バリュエーションと配当を比較

株価、PER、PBR、配当利回りは日々変化するため、最新値は記事上部の株価比較表で確認してください。以下では、2026年Q2決算で確定した1株当たり純資産、配当、自社株買いなどを比較します。

項目 GS MS
1株当たり純資産
BVPS
367.67ドル
2026年6月末[1]
67.80ドル
2026年6月末[2]
四半期配当 5.00ドル
2026年Q3宣言分[1]
1.15ドル
2026年Q3宣言分[2]
年間配当
年率換算
20.00ドル
5.00ドル×4
4.60ドル
1.15ドル×4
2026年Q2の
普通株買戻し
40億ドル[1] 15億ドル[2]
CET1比率
標準的手法
12.9%[1] 14.8%[2]
配当比較の注意点

GSは四半期配当を4.50ドルから5.00ドルへ約11.1%増額し、MSも1.00ドルから1.15ドルへ15%増額しました。[1][2]

ただし、1株当たりの配当額は、株価や発行済み株式数が異なる会社同士では、そのまま比較できません。配当利回り、配当性向、利益成長、自己資本余力、自社株買いを合わせて見る必要があります。

PBRを比較する場合は、最新株価を1株当たり純資産で割ります。高いROEや安定した収益が続くと評価される企業は、一般に簿価を上回るプレミアムで取引されやすくなります。

MSはウェルス・マネジメントの安定性が評価されやすい一方、GSは投資銀行・市場部門の利益成長が期待される局面で、評価倍率が上昇しやすい傾向があります。

4|ゴールドマン・サックスの強みとリスク

◆ 強み

  • 2026年Q2の純収益は203億3,800万ドル、希薄化後EPSは20.98ドル、年率換算ROEは23.5%となりました。[1]
  • 投資銀行フィーは33億9,500万ドルとなり、前年同期比55%増加しました。M&Aや株式・債券の引受が活発になると、利益が大きく伸びやすい事業構造です。[1]
  • Equities純収益は74億1,600万ドルとなり、前年同期比72%増加しました。FICC純収益も45億9,200万ドルとなり、前年同期比32%増加しています。[1]
  • AUSは2026年6月末に4兆410億ドルとなり、資産・ウェルス・マネジメントの手数料収益基盤も拡大しています。[1]
  • 2026年Q2には普通株を40億ドル買い戻し、四半期配当も5.00ドルへ増額しました。[1]

◆ リスク

  • 投資銀行、株式、FICCの好調が2026年Q2の利益を大きく押し上げています。取引量や資本市場活動が鈍化した場合、その反動も大きくなる可能性があります。
  • 企業買収、IPO、社債発行は、金利、景気、株式市場、経営者の心理などに左右されます。
  • Platform Solutionsの2026年Q2純収益は2億2,100万ドルとなり、前年同期比64%減少しました。売却予定に分類されたApple Card融資ポートフォリオに関する評価損などが影響しています。[1]
  • 業績期待の高まりによって株価の評価倍率が上昇している場合、市場部門の成長が鈍化すると、利益減少と評価倍率低下が同時に起きる可能性があります。

5|モルガン・スタンレーの強みとリスク

◆ 強み

  • 2026年Q2の純収益は過去最高の213億4,800万ドル、希薄化後EPSも過去最高の3.46ドルとなり、ROTCEは26.6%でした。[2]
  • ウェルス・マネジメントの純収益は過去最高の88億5,600万ドル、税引前利益率は30.5%でした。資産管理収益、顧客取引、純金利収益が利益を支えています。[2]
  • Institutional Securitiesの純収益も過去最高の110億4,000万ドルとなりました。ウェルス部門だけでなく、市場部門も同時に伸びています。[2]
  • 標準的手法によるCET1比率は14.8%となり、GSの12.9%を上回っています。[2]
  • 四半期配当を1.15ドルへ増額し、2026年Q2には普通株15億ドルを買い戻しました。[2]

◆ リスク

  • 2026年Q2の純新規資産1,481億ドルのうち、半分強はWorkplace部門の一部顧客によるIPO関連の流入でした。すべてが通常の営業活動から生じた継続的な資金流入とは限りません。[2]
  • 顧客資産に連動する手数料収益は、株式や債券の価格が下落すると減少する可能性があります。
  • ウェルス・マネジメントが安定収益を生み出す一方、MSも投資銀行や株式・債券取引を大規模に展開しているため、市場変動の影響を受けます。
  • 収益性と安定性への期待が株価に強く織り込まれている場合、利益成長の鈍化や株式市場の下落時には、評価倍率が調整される可能性があります。

6|GSとMSはどっち?目的別の見方

◆ 市場サイクルの上振れを重視するならGS
投資銀行、株式、FICCの収益規模が大きく、M&A、IPO、社債発行、顧客取引が活発な局面では、利益が急速に伸びやすい銘柄です。
2026年Q2は投資銀行フィーが前年同期比55%増、Equitiesが72%増となり、GSの強みが明確に表れました。[1]
一方、市場活動が鈍化する局面では、利益の変動がMSより大きくなる可能性があります。市場活況がどこまで続くかを確認する必要があります。
◆ 継続手数料収益と資本余力を重視するならMS
ウェルス・マネジメントが収益を下支えし、2026年Q2末の標準的手法によるCET1比率も14.8%と、GSの12.9%を上回っています。
2026年Q2には、ウェルス・マネジメントとInstitutional Securitiesの両方が過去最高の純収益を記録しました。[2]
ただし、MSも市場部門の規模が大きく、株式市場や投資銀行活動の影響から完全に切り離された銘柄ではありません。

比較の結論:投資銀行・マーケット部門の収益拡大を強く取り込みたい場合はGS、ウェルス・マネジメントの継続収益と厚いCET1比率を重視する場合はMSという基本的な違いがあります。

ただし、2026年Q2はGS、MSともに好調で、株主還元も拡大しました。現在は単純に「どちらが割安か」を見るだけでなく、好業績の持続性に対して、現在の株価がどこまで先回りしているかを比較する必要があります。

7|GSとMSの将来性を左右する3つの要因

◆ M&A・IPO・債券発行の動向

企業買収、IPO、増資、社債発行が増えると、投資銀行部門の手数料収益が拡大します。この影響をより強く受けやすいのがGSです。

一方、資本市場活動が低迷した場合は、案件の延期や中止によって、投資銀行フィーが減少する可能性があります。

◆ 顧客資産と手数料収益の成長

MSの将来性を考えるうえでは、ウェルス・マネジメントの顧客資産、手数料ベース資産、純新規資産の推移が重要です。

顧客からの資金流入に加えて、株式や債券の価格が上昇すれば、資産管理手数料の計算対象となる資産額も増えやすくなります。

GSもアセット&ウェルス・マネジメントを拡大しており、将来的には市場部門への依存度を抑え、継続的な手数料収益を増やせるかが注目点です。

◆ 資本規制と株主還元

金融機関は、CET1比率などの規制資本を一定水準以上に保つ必要があります。規制上の所要水準が上昇すると、配当や自社株買いに回せる資本が減る可能性があります。

反対に、利益の積み上げやリスクアセットの管理によって資本余力が拡大すれば、増配や自社株買いを継続しやすくなります。

将来性を見る際の確認項目

  • 投資銀行フィーの増減
  • 株式・FICC部門の収益
  • 顧客資産と純新規資産
  • ROE・ROTCEの持続性
  • CET1比率と規制上の所要水準
  • 配当と自社株買いの推移

8|次回決算の発表予定

企業 次回決算予定日 発表時間
ゴールドマン・サックス
GS
2026年10月13日 米国東部時間7時30分ごろ
日本時間20時30分ごろ
米国市場開始前
モルガン・スタンレー
MS
2026年10月14日 米国東部時間7時30分ごろ
日本時間20時30分ごろ
米国市場開始前

両社とも次回は2026年Q3決算を米国市場開始前に発表する予定です。発表日や時間は変更される可能性があるため、決算前には各社の投資家向け情報を再確認してください。[3]

よくある質問

ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは同じ会社ですか

同じ会社ではありません。ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは、それぞれ独立した米国の金融機関です。

検索時に「ゴールドマンスタンレー」と混同されることがありますが、その名称の会社はありません。

GSとMSでは、どちらの業績が安定していますか

一般には、ウェルス・マネジメントの継続手数料収益が大きいMSの方が、安定性を期待しやすい事業構成です。

ただし、MSも投資銀行やトレーディング事業の規模が大きく、株式市場や資本市場の影響を受けます。

GSとMSでは、どちらの配当利回りが高いですか

配当利回りは株価によって毎日変わるため、記事上部の最新株価表で確認する必要があります。

1株当たり配当額だけでなく、配当利回り、配当性向、利益成長、CET1比率、自社株買いを合わせて比較してください。

GSとMSでは、どちらの株価が上昇しやすいですか

資本市場が活況となり、M&A、IPO、社債発行、顧客取引が増える局面では、GSの利益が大きく伸びる可能性があります。

一方、MSはウェルス・マネジメントの顧客資産と手数料収益が伸びることで、比較的安定した利益成長を期待しやすい構造です。

どちらが上昇しやすいかは、市場環境だけでなく、現在の株価にどの程度の成長期待が織り込まれているかによっても変わります。

まとめ

  • GSは、投資銀行・株式・FICCを中心に、市場活況時の利益拡大力が大きい金融機関です。
  • MSは、ウェルス・マネジメントの継続収益と、比較的厚いCET1比率が特徴です。
  • 2026年Q2は、両社とも投資銀行・市場部門が好調でした。
  • GSのROEは23.5%、MSのROEは20.7%、ROTCEは26.6%でした。
  • 四半期配当はGSが5.00ドル、MSが1.15ドルへ増額されました。
  • 株価指標だけでなく、事業構成、利益の持続性、規制資本、株主還元を合わせて比較する必要があります。

市場サイクルの上振れを重視するならGS、継続的な手数料収益と資本余力を重視するならMSという違いを基本に、株価バリュエーションと今後の決算を確認していくとよいでしょう。

免責事項:本記事は情報提供のみを目的とし、特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

【注】(出典リンク)

  1. GS:2026年Q2決算、BVPS、CET1比率、AUS、配当、自社株買い
    Goldman Sachs 2026 Second Quarter Earnings Results(一次情報・PDF)
    Goldman Sachs Q2 Results Press Release(一次情報)
    (確認日:2026年8月6日)
  2. MS:2026年Q2決算、BVPS、CET1比率、顧客資産、配当、自社株買い
    Morgan Stanley 2Q 2026 Earnings Release(一次情報・PDF)
    Morgan Stanley 2Q 2026 Financial Supplement(一次情報・PDF)
    (確認日:2026年8月6日)
  3. 次回決算予定
    Goldman Sachs:2026年決算発表予定(一次情報)
    Morgan Stanley:2026年決算発表予定(一次情報)
    (確認日:2026年8月6日)

Posted by 南 一矢