EZA·AFK:アフリカETFを比較する
南アフリカとアフリカに投資するETFのデータを比較してみます。
このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を紹介してみましょう
【国別・地域別ETF】南アフリカ(EZA)・アフリカ(AFK) – 大陸の盟主と、未来の成長エンジンへの投資を考える
高い成長ポテンシャルを秘めるアフリカ大陸への投資は、分散投資の新たなフロンティアとして注目されています。投資対象として、アフリカ最大の経済大国である南アフリカに集中投資するのか、あるいは大陸全体に広く分散投資するのかは、大きな選択肢となります。今回は、南アフリカに特化したiシェアーズのETF「EZA(南アフリカ)」と、アフリカ大陸全体をカバーするVanEckのETF「AFK(アフリカ)」について、その中身と投資妙味を徹底解説します。
【EZA】iシェアーズ MSCI 南アフリカ ETF
アフリカ大陸で最も発展した経済を誇り、豊富な鉱物資源を有する南アフリカの主要企業にまるごと投資できるETFです。
南アフリカ(EZA)投資の魅力とリスク
投資の魅力
- 豊富な鉱物資源: 金やプラチナなど世界有数の鉱物資源国であり、コモディティ価格上昇の恩恵を受けやすいです。
- 発展した金融市場: アフリカで最も成熟した金融システムを持ち、大手銀行や証券取引所が経済の基盤を支えています。
- 高配当の魅力: ポートフォリオの上位を占める金融セクターや資源セクターには、比較的高配当な企業が含まれ、現在の配当利回りは4.91%となっています。[1]
注意すべきリスク
- 政治・経済の不安定性: 高い失業率、汚職、電力不足(ロードシェディング)などの国内問題が経済成長の足かせとなる可能性があります。
- 資源価格への依存: 経済が資源価格の動向に大きく左右されるため、市況の変動が株価の不安定要因となります。
- 通貨(ランド)の変動リスク: 新興国通貨である南アフリカ・ランドの対ドルでの価値変動が、ETFの価格に直接影響します。
EZAの基本情報とポートフォリオ
| 連動指数 | MSCI South Africa 25/50 Index |
|---|---|
| 経費率 | 0.59%[1] |
| 純資産総額 | 約4.7億ドル(2025年10月時点)[1] |
| 配当利回り | 4.91%(2025年9月時点)[3] |
| 年初来リターン | +60.55%(2025年10月8日時点)[1] |
| 上位構成銘柄 | Naspers (約17%), AngloGold Ashanti, Gold Fields, FirstRand, Standard Bank Groupなど[4] |
| セクター比率 | 素材 (約37%), 金融 (約30%), 一般消費財 (約20%), 通信 (約5%) など[5] |
※比率は2025年10月時点。常に変動するため参考値としてご覧ください。
【AFK】VanEck アフリカ インデックス ETF
「最後のフロンティア」とも呼ばれるアフリカ大陸全体の経済成長の恩恵を、分散して享受することを目指すETFです。
アフリカ(AFK)投資の魅力とリスク
投資の魅力
- 大陸全体の成長性: 著しい人口増加と中間所得層の拡大を背景に、長期的な内需主導の経済成長が期待されます。
- 単一国リスクの分散: 南アフリカだけでなく、ナイジェリア、モロッコ、ケニア、エジプトなど複数国に分散投資することで、一国への過度な依存を避けます。
- フロンティア市場の潜在力: まだ発展途上にある多様な市場へアクセスし、将来の大きなリターンを狙うことができます。
注意すべきリスク
- フロンティア市場リスク: 構成国には政治情勢が不安定な国や、規制・法制度が未整備な国も含まれ、高いカントリーリスクを伴います。
- 流動性と通貨リスク: 複数の国の株式市場にまたがるため、流動性の低さや、多様な通貨の変動リスクに晒されます。
- インフラの未整備: 多くの国で電力、輸送、通信といった基本的なインフラが未発達であり、経済発展の制約となる可能性があります。
AFKの基本情報とポートフォリオ
| 連動指数 | MVIS GDP Africa Index[2] |
|---|---|
| 経費率 | 0.88%(契約上の上限0.78%まで)[2][7] |
| 純資産総額 | 約8,861万ドル(2025年10月時点)[2] |
| 配当利回り | 1.94%(2025年9月時点)[6] |
| 年初来リターン | +54.74%(2025年10月9日時点)[2] |
| 上位構成銘柄 | Naspers (南ア), Barrick Gold (カナダ/アフリカ事業), Attijariwafa Bank (モロッコ), Airtel Africa (英国/アフリカ事業), Banque Centrale Populaireなど[8] |
| セクター比率 | 金融 (約34%), 素材 (約31%), 通信 (約13%), 一般消費財 (約11%), エネルギー (約5%) など[9] |
※比率は2025年9月時点。常に変動するため参考値としてご覧ください。アフリカに収益源を持つ国外企業も含まれます。
まとめ:ポートフォリオにおける役割
EZAとAFKは、どちらもアフリカに関連するETFですが、その投資対象とリスク・リターンの特性は大きく異なります。
- EZA (南アフリカ): アフリカの中では比較的成熟した単一国に集中投資することで、「資源価格との連動性」や「高配当」を狙う投資です。2025年の配当利回り4.91%は魅力的な水準にあり、南アフリカ経済の動向を直接ポートフォリオに反映させたい場合に適しています。
- AFK (アフリカ): 大陸全体の「長期的な人口動態と経済成長」という壮大なテーマに、分散して投資する選択肢です。より高いリスク許容度を持ち、フロンティア市場の将来性に賭けたい投資家に向いています。
注目すべきは、2025年の年初来パフォーマンスでは、EZAが+60.55%、AFKが+54.74%と、両ETFとも極めて優秀なリターンを記録していることです。特にEZAの60%超のリターンは際立っており、南アフリカ市場の力強い回復を示しています。[1][2]
EZAはアフリカへの入口として、AFKはより広い視野での成長への賭けとして、それぞれのETFがポートフォリオ内で果たす役割は明確に異なります。両者の特性とリスクを十分に理解し、自身の投資戦略に合った選択をすることが重要です。
【出典・情報源】
- [1] iShares MSCI South Africa ETF (EZA) 公式サイト – 2025年10月時点データ
- [2] VanEck Africa Index ETF (AFK) 公式サイト – 2025年10月時点データ
- [3] Investing.com – EZA配当利回りデータ – 2025年9月時点
- [4] Yahoo Finance – EZA Holdings – 2025年データ
- [5] Yahoo Finance – EZA セクター配分 – 2025年10月時点
- [6] Investing.com – AFK配当利回りデータ – 2025年9月時点
- [7] VanEck AFK Fact Sheet – 2025年8月時点
- [8] Stock Analysis – AFK Holdings
- [9] Yahoo Finance – AFK セクター配分 – 2025年9月時点
※本記事は2025年10月時点の情報に基づいています。ETFの情報は常に変動するため、最新の情報については必ず各ETFの公式サイトをご確認ください。投資判断は自己責任で行ってください。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当金(分配金)と利回り
年間配当を1年の平均株価で割り、平均の利回りを計算してみます。
| 年 | EWC | EWW |
| 2024 | 2.16% | 2.6% |
| 2023 | 2.35% | 3.09% |
| 2022 | 2.08% | 2.75% |
| 2021 | 1.76% | 1.66% |
| 2020 | 2.42% | 2.57% |
| 2019 | 2.3% | 2.56% |
| 2018 | 2.11% | 2.25% |
| 2017 | 1.71% | 1.55% |
| 2016 | 2.04% | 2.52% |
| 2015 | 2.36% | 1.51% |
ポートフォリオ
次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、セクター別比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。
参考:南アフリカの経済力
最後に、南アフリカ共和国の経済力を見ていきましょう。ここでは、世界銀行のデータバンクから主要統計を閲覧してみます。
実質GDPと成長率
※実質GDPは2015年米ドル基準。単位は億ドル
| 年 | 実質GDP | 名目GDP | 実質成長率 |
|---|---|---|---|
| 2005 | 2675 | 2889 | 5.28 |
| 2006 | 2825 | 3039 | 5.60 |
| 2007 | 2977 | 3331 | 5.36 |
| 2008 | 3072 | 3161 | 3.19 |
| 2009 | 3025 | 3298 | -1.54 |
| 2010 | 3117 | 4174 | 3.04 |
| 2011 | 3215 | 4582 | 3.17 |
| 2012 | 3292 | 4344 | 2.40 |
| 2013 | 3374 | 4009 | 2.49 |
| 2014 | 3422 | 3812 | 1.41 |
| 2015 | 3467 | 3467 | 1.32 |
| 2016 | 3490 | 3236 | 0.66 |
| 2017 | 3531 | 3814 | 1.16 |
| 2018 | 3583 | 4048 | 1.49 |
| 2019 | 3587 | 3879 | 0.11 |
| 2020 | 3356 | 3354 | -6.43 |
| 2021 | 3518 | 4209 | 4.9 |
| 2022 | 3585 | 4069 | 1.9 |
| 2023 | 3607 | 3730 | 0.6 |
一人当たりGDP/人口/失業率
※失業率はILO方式。一人当たりGDP【実質】の単位はドル、人口は万人
| 年 | 1人当りGDP | 人口 | 失業率 |
|---|---|---|---|
| 2005 | 5588 | 4788 | 29.12 |
| 2006 | 5827 | 4849 | 28.34 |
| 2007 | 6060 | 4912 | 26.54 |
| 2008 | 6171 | 4978 | 22.41 |
| 2009 | 5992 | 5048 | 23.52 |
| 2010 | 6085 | 5122 | 24.68 |
| 2011 | 6183 | 5200 | 24.64 |
| 2012 | 6232 | 5283 | 24.73 |
| 2013 | 6285 | 5369 | 24.56 |
| 2014 | 6274 | 5454 | 24.89 |
| 2015 | 6260 | 5539 | 25.15 |
| 2016 | 6209 | 5621 | 26.54 |
| 2017 | 6193 | 5701 | 27.04 |
| 2018 | 6200 | 5779 | 26.91 |
| 2019 | 6126 | 5856 | 28.47 |
| 2020 | 5659 | 5931 | 28.74 |
| 2021 | 6843 | 6050 | 35.30 |
| 2022 | 6523 | 6200 | 28.84 |
| 2023 | 5990 | 6221 | 27.99 |
| 2024 | 5900 | 6301 | 32.10 |
【2021-2024年の注目ポイント】
- 2021年の急回復: コロナ禍からの回復で実質GDP成長率4.9%、一人当たりGDPも大幅増加
- 失業率の高さ: 2021年に35.30%という記録的高水準を記録、現在も32%台と世界最高水準
- 人口の継続的増加: 2022年の国勢調査で6,200万人を突破、アフリカ第3位の人口大国
- 経済成長の鈍化: 2022年以降は1%前後の低成長が続く
※2021年以降のデータ(緑背景)は最新の統計に基づく推計値を含みます。純資産総額は常に変動します。

