MS:モルガンスタンレーの配当推移
【2025年7月最新】モルガン・スタンレー (MS) 配当分析 – 8%増配と記録的業績の徹底評価
🎯 2025年7月最新情報
モルガン・スタンレーが四半期配当を8%増額($0.925→$1.00)し、年間配当は$4.00となりました。Q2決算では、EPSが$2.13(予想$1.96を上回る)、収益が$168億ドル(12%増)と市場予想を上回る好決算を発表。ROTCE 18.2%という高い収益性を達成しました。[1]
世界有数の金融サービス企業であるモルガン・スタンレー(MS)が、2025年7月(2025年Q2決算)に好決算と8%の配当増額を発表したことを受け、同社の配当持続性と今後の成長性を最新データ(2025年Q2時点)で分析します。[1]
はじめに:この記事でわかること
モルガン・スタンレーは、安定収益源であるウェルス・マネジメントと、市場連動性の高い機関投資家向けビジネスを両輪としています。本記事では、以下のポイントを通じて、同社の配当支払い能力と将来性を評価します。
- MSの最新業績:2025年Q2の好決算と収益構造の分析
- 配当増額の背景:8%増配の根拠と持続性の評価
- 財務体力:CET1比率(2025年Q2末)を中心に資本基盤を確認
- 競合比較:他の金融大手との相対比較
- 投資判断:配当の持続性と今後の見通し
モルガン・スタンレーの現状(ざっくりまとめ)
- 2025年Q2業績ハイライト:
- EPS $2.13(予想$1.96を上回る)
- 純収益 $168億ドル(前年同期比12%増)
- ROTCE 18.2%
- ウェルス・マネジメント純収益$77.6億ドル(14%増)
- 運用資産$8.2兆ドル(過去最高)
- 配当・株主還元:
- 四半期配当8%増額($0.925→$1.00)
- 年間配当$4.00
- $200億の自社株買いプログラム再承認
- 連続増配の実績継続
- 現状分析: 2025年Q2時点のデータからは、配当の持続可能性が高いことが示唆されます。ウェルス・マネジメント部門の成長と資本余力が増配を支えています。[1]
1. モルガン・スタンレーの「稼ぐ力」:PPNR(貸倒引当金控除前純営業収益)と収益構造
モルガン・スタンレーの基礎的な収益力は、その多角的な事業ポートフォリオから生み出されます。PPNRは、貸倒引当金を計上する前の利益であり、事業運営の本源的な収益力を示します。特に、ウェルス・マネジメントとインベストメント・マネジメントからの安定的なフィー収入、そして投資銀行部門の市場連動型収益のバランスが重要です。[3]
MSは2025年Q2において、EPS $2.13、純収益$168億ドルと市場予想を上回る決算を発表しました。特にウェルス・マネジメント部門の堅調な成長が全体業績を牽引しています。[1]
| 項目 | 2025年Q1 | 2025年Q2 | 2024年通年 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| EPS | $2.60 | $2.13 | $5.85 | +17% |
| 純収益(10億ドル) | $17.7 | $16.8 | $55.7 | +12% |
| 純利益(10億ドル) | $4.3 | $3.5 | $9.9 | +15% |
| ROTCE | 22.1% | 18.2% | 13.8% | +4.4pt |
| 運用資産(兆ドル) | $7.8 | $8.2 | $7.5 | 過去最高 |
部門別収益の内訳
| 事業部門 | Q2 2025 | Q1 2025 | 前年同期比 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ウェルス・マネジメント | $7.76 | $7.45 | +14% | 手数料収入好調 |
| インスティテューショナル証券 | $7.64 | $8.59 | +9% | トレーディング収益増 |
| - エクイティ・トレーディング | $3.7 | $4.1 | +23% | – |
| - 投資銀行業務 | $1.54 | $1.86 | -5% | – |
| インベストメント・マネジメント | $1.6 | $1.7 | +12% | 運用資産増加 |
主な観察点: ウェルス・マネジメント部門が14%増収で$77.6億ドルに達し、全社業績を牽引。エクイティ・トレーディングも好調で、市場環境の改善を着実に収益へ転換しています。[1]
1株当たり利益と収益性指標
| 年度 | EPS (希薄化後) | ROA (総資産利益率) | ROE (自己資本利益率) | ROTCE (有形自己資本利益率)* | 効率性比率** |
|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | $4.73 | 0.9% | 11.1% | 12.8% | 73% |
| 2019 | $5.19 | 1.0% | 11.7% | 13.4% | 73% |
| 2020 | $6.46 | 1.0% | 12.8% | 15.2% | 70% |
| 2021 | $8.03 | 1.2% | 15.0% | 19.8% | 67% |
| 2022 | $6.15 | 0.9% | 11.1% | 15.3% | 73% |
| 2023 | $5.01 | 0.7% | 8.7% | 12.3% | 76% |
| 2024 | $6.50 | 0.9% | 11.5% | 15.0% | 72% |
| 2025 (上半期) | $4.73 | 1.0% | 14.1% | 20.2% | 70% |
**効率性比率 = 経費 ÷ 純収益。低いほど効率が良いとされます。
2025年上半期の数値は、2025年Q1およびQ2の実績に基づく参考値です。[1]
主要な収益性指標の定義
ROA(総資産利益率):企業が保有する総資産をどれだけ効率的に使って利益を生み出しているかを示す指標。
ROE(自己資本利益率):株主資本に対してどれだけの利益を生み出したかを示す指標。
ROTCE(有形自己資本利益率):のれんや無形固定資産を除いた実質的な自己資本に対するリターンを示す指標。モルガン・スタンレーは中長期的に高いROTCEを重視しています。
効率性比率 (Efficiency Ratio):収益に対してどれだけ経費がかかっているかを示す指標。
主な観察点: 2025年上半期(参考)のROTCE 20.2%は、高い水準です。指標は市場環境(投資銀行業務・トレーディング)に影響を受けますが、ウェルス・マネジメントの安定収益が下支えします。[1]
2. 株主還元(配当と自社株買い)
2025年Q2決算発表時、MSは四半期配当を$0.925から$1.00へと8%増額することを発表しました。これは同社の業績と資本余力を踏まえた株主還元姿勢を示しています。[1]
配当履歴と増配実績
| 年度 | EPS (希薄化後) | 年間配当 | 配当性向 (%) | 増配率 (%) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | $4.73 | $1.15 | 24.3% | +27.8% | – |
| 2019 | $5.19 | $1.40 | 27.0% | +21.7% | – |
| 2020 | $6.46 | $1.40 | 21.7% | 0.0% | コロナ禍初期は慎重姿勢 |
| 2021 | $8.03 | $2.80 | 34.9% | +100.0% | 大幅増配 |
| 2022 | $6.15 | $3.10 | 50.4% | +10.7% | – |
| 2023 | $5.01 | $3.35 | 66.9% | +8.1% | EPS減少により性向上昇 |
| 2024 | $6.50 | $3.70 | 56.9% | +10.4% | – |
| 2025 | $9.46 (Est.) | $4.00 | 42.3% | +8.1% | Q2増配で年間$4.00 |
2025年のEPSは、上半期の実績$4.73(Q1: $2.60 + Q2: $2.13)を年換算した推定値です。
主な観察点: 配当性向はEPSの変動に応じて上下しますが、経営は持続可能な配当と成長投資のバランスを重視しています。[1]
総株主還元の推移
| 期間 | 純利益 | 配当 | 自社株買い | 総還元額 | 還元率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | $9.1 | $5.6 | $5.0 | $10.6 | 117% |
| 2024年 | $9.9 | $6.0 | $6.0 | $12.0 | 121% |
| 2025年Q1 | $4.3 | $1.5 | $1.0 | $2.5 | 58% |
| 2025年Q2 | $3.5 | $1.6 | $1.0 | $2.6 | 74% |
3. 財務体力:自己資本比率
モルガン・スタンレーの自己資本比率は、その財務健全性とストレス耐性を測る上で重要です。2025年Q2末時点でも規制水準を大きく上回る水準を維持しています。[1]
| 指標 | 2020年末 | 2022年末 | 2023年末 | 2024年末 | 2025年Q2末 | 規制上の最低水準 (目安) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| CET1比率 (普通株式等Tier1比率) | 16.7% | 15.2% | 15.1% | 14.8% | 15.0% | ~10.5-12.0% (G-SIB、SCB等込) |
| Tier1資本比率 | 18.9% | 17.3% | 17.3% | 16.8% | 17.0% | ~12.0-13.5% |
| 総自己資本比率 | 22.0% | 20.2% | 20.2% | 19.8% | 19.9% | ~14.0-15.5% |
| SLR (補完的レバレッジ比率) | 7.4% | 6.2% | 6.3% | 6.1% | 6.1% | 5.0% (G-SIB向け) |
自己資本比率の用語解説
CET1比率(普通株式等Tier1比率):最も重要な資本健全性指標。
Tier1資本比率:CET1資本に優先株等を含むTier1資本を加えた比率。
総自己資本比率:Tier1資本にTier2資本(劣後債等)も含めた比率。
SLR(補完的レバレッジ比率):リスク度外視の資本の厚み。
主な観察点: 主要な自己資本比率はいずれも規制水準を大幅に上回り、配当・自社株買いの持続性を下支えします。[1]
4. 流動性と資金調達の安定性
十分な流動性の確保と安定的な資金調達は、金融機関の生命線です。
| 指標 | 2022年末 | 2023年末 | 2024年末 | 2025年Q2末 (最新値) | 規制上の最低水準 |
|---|---|---|---|---|---|
| LCR (流動性カバレッジ比率) | 131% | 128% | 129% | 130% | 100% |
| NSFR (安定調達比率) | >100% | >100% | >100% | >100% | 100% |
| HQLA (適格流動資産) | ~$350B | ~$330B | ~$340B | ~$345B | N/A |
流動性指標の用語解説
LCR(流動性カバレッジ比率):30日ストレスでHQLAが純流出をカバーできる比率。
NSFR(安定調達比率):1年の安定調達の十分性。
HQLA(適格流動資産):ストレス時でも迅速に現金化しやすい資産。
主な観察点: 規制最低水準(100%)を上回る流動性指標の維持は、金融ショック局面での耐性を高め、株主還元方針の継続性にも寄与します。[4]
5. リスク管理(信用リスク・市場リスク等)
モルガン・スタンレーは、事業の特性上、信用リスクに加え、市場リスクやオペレーショナルリスクの管理が重要です。
| 指標 | 2020年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年上半期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 貸倒引当金費用 (百万ドル) | 2,274 | 629 | 765 | 800 | 331 |
| 純貸倒 (百万ドル) | N/A | 75 | 131 | 150 | ~100 |
信用リスク指標の解説
貸倒引当金費用:将来の信用損失に備えた費用。
純貸倒:実際の損失確定額(回収分控除後)。
VaR(Value at Risk):一定期間・信頼水準での最大損失見込み(本レポートでは割愛)。
主な観察点: 信用コストは相対的に小さい傾向にありますが、景気後退局面では増加し得ます。市場ボラティリティの影響を受けやすいビジネスであるため、リスク管理の堅牢性が重要です。[4]
6. 競合他行との比較(2025年Q2時点の目安)
| 金融機関 | 配当利回り | 四半期配当 | ROTCE(直近) | CET1比率 |
|---|---|---|---|---|
| モルガン・スタンレー (MS) | ~3.7% | $1.00 | 18.2% | 15.0% |
| ゴールドマン・サックス (GS) | ~2.2% | $4.00 | 11.1% | 14.5% |
| JPモルガン・チェース (JPM) | ~2.1% | ~$1.25 | ~21% | 15.3% |
| バンク・オブ・アメリカ (BAC) | ~2.4% | ~$0.26 | ~15% | ~11.8% |
7. 投資家が注意すべきリスク
- 市場環境への依存: 投資銀行業務やトレーディング収益は市場環境に大きく左右されます。
- ウェルス・マネジメントの競争激化: 安定収益源である一方、競争は激化し得ます。
- 規制環境の変化: 規制・資本要件は株主還元余地に影響します。[2]
- 信用リスクの増加: 景気悪化で貸倒関連費用が増加する可能性があります。
8. 結論:投資判断と今後の見通し
モルガン・スタンレーの配当は、2025年Q2の業績と資本基盤(CET1比率など)に支えられ、「持続性は高い」と評価できます。[1]
投資判断の根拠
定量的要因:
- 2025年Q2の8%増配決定と、連続増配の実績
- Q2のEPS $2.13など、底堅い収益
- ROTCE 18.2%という高い収益性
- 規制水準を上回るCET1比率(2025年Q2末)
- 運用資産$8.2兆ドルによる安定収益基盤
定性的要因:
- ウェルス・マネジメントによるフィー収入の安定性
- 投資銀行・マーケット業務の競争力
- 市場環境改善局面での収益機会の取り込み
現状データ(2025年Q2)からの見通し
- ウェルス・マネジメントの成長が継続すれば、安定収益基盤が一層強化される
- 強固な自己資本が、更なる株主還元と成長投資の両立を支えやすい
- 投資銀行業務の回復局面では、収益成長ポテンシャルが拡大
投資家への参考意見:
MSは、8%の配当増額と高いROTCEにより、配当投資の観点で魅力があります。ウェルス・マネジメントの安定成長と市場ビジネスの収益機会を両立している点が評価ポイントです。一方で、市場環境変動リスクを理解し、ポートフォリオ全体の中で適切な比重で検討することが重要です。
免責事項
本レポートは、公開情報に基づく分析であり、投資助言を構成するものではありません。投資判断は投資家自身の責任において行ってください。
最終更新日: 2025年7月28日
次回更新予定: 2025年10月(Q3決算発表後)
【注】(出典リンク)
- 2025年Q2決算・増配(一次情報)→ SEC: Form 8-K(Earnings Release) → Morgan Stanley IR: Earnings Releases(確認日:2025-12-28) ↩
- 資本規制・SCB(一次情報)→ Federal Reserve: Stress Capital Buffer(確認日:2025-12-28) ↩
- PPNR等の用語・開示(一次情報)→ SEC: Morgan Stanley Filings(10-K/10-Q等)(確認日:2025-12-28) ↩
- 流動性・信用コスト等(一次情報)→ SEC: 10-Q(Morgan Stanley)(確認日:2025-12-28) ↩

