MU:マイクロンテクノロジーの業績

AI(人工知能),半導体,情報技術,業績


【2026年10月版】Micron(MU)徹底分析:FY2026通期決算とHBM戦略

【2026年10月版】Micron(MU)徹底分析:FY2026通期決算とHBM・AIメモリ市場の成長、FY2027見通し

最終更新:2026年10月8日/業績基準:FY2026通期(2026年9月3日終了)/株価基準:2026年10月7日終値

はじめに
マイクロン・テクノロジー(Micron Technology, Inc.、NASDAQ:MU)は、DRAM、NAND、NORなどの半導体メモリとストレージ製品を手がける大手企業です。AIサーバー、一般サーバー、PC、スマートフォン、自動車、産業機器などに製品を供給しています。[1]
半導体メモリには需給によって価格・利益が大きく変動する「シリコンサイクル」があります。しかしFY2026には、AI向けHBMに加えてサーバーDRAMやデータセンターSSDでも供給逼迫と価格上昇が進み、過去のピークを大幅に上回る業績になりました。[2][3]
FY2026通期の売上高は1,331.88億ドル、GAAP純利益は849.69億ドル、営業キャッシュフローは896.75億ドル。第4四半期単独でも売上高542.29億ドル、GAAP希薄化後EPS32.87ドルでした。[2]
本記事では、9月30日発表のFY2026通期・第4四半期決算と、10月7日までの株価・事業動向を基に、長期業績、事業部門、HBM戦略、キャッシュフロー、設備投資、FY2027見通しを整理します。

【免責事項および出典について】

  • FY2026通期は9月30日に公表された決算リリースとSEC提出のForm 8-K添付資料を使用します。2026年10月8日現在、FY2026のForm 10-Kが公表済みであるとは扱わず、通期決算リリースの未監査数値を優先して記載します。[2]
  • FY2025以前は年次報告書・Form 10-KのGAAP数値、事業見通しは会社側の発言と区別して記載します。[1]
  • 「調整後フリーCF」「純設備投資」などはNon-GAAP指標です。株価は市場データによる参考値で、記事公開後に変わります。
  • 本記事は分析・情報提供を目的とし、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

会計年度の注意:Micronの会計年度は原則として8月31日に最も近い木曜日で終了します。FY2025は2025年8月28日終了、FY2026は2026年9月3日終了です。FY2026は53週間、FY2025は52週間で、FY2026 Q4は14週間でした。前年比の一部に会計期間の長さの影響がある点に注意してください。[4]

1. Micronの長期的な業績:V字回復から記録的な利益拡大へ

FY2023はメモリ価格の下落と在庫調整により大幅赤字に転落しましたが、FY2024に黒字へ転じ、FY2025に売上高の過去最高を更新。FY2026はDRAMとNANDの価格上昇、データセンター需要、製品ミックスの改善により、売上と利益が急増しました。[1][2]

1.1. 売上、利益、EPSの推移

会計年度 売上高
(百万$)
売上成長率 営業利益/損失
(百万$)
純利益/損失
(百万$)
GAAP希薄化後EPS
($)
FY2018 30,391 +49.5% 14,994 14,135 11.51
FY2019 23,406 -23.0% 7,376 6,313 5.51
FY2020 21,435 -8.4% 3,003 2,687 2.37
FY2021 27,705 +29.3% 6,283 5,861 5.14
FY2022 30,758 +11.0% 9,702 8,687 7.75
FY2023 15,540 -49.5% (5,745) (5,833) (5.34)
FY2024 25,111 +61.6% 1,304 778 0.70
FY2025 37,378 +48.9% 9,770 8,539 7.59
FY2026 133,188 +256.3% 99,340 84,969 74.33
CAGR(年平均成長率)
FY2018~FY2025売上高 約3.0% ― ― ― ―
FY2018~FY2026売上高 約20.3% ― ― ― ―

FY2018~FY2025は元記事のGAAP系列を維持、FY2026は2026年9月30日発表の通期決算に基づく。[1][2]

FY2018からFY2025までの売上高CAGRは約3.0%ですが、FY2026まで期間を延ばすと約20.3%に上がります。ただしFY2026の急伸は価格サイクルの影響が大きく、長期的な持続成長率と同一視するのは適切ではありません。

  • FY2023:売上高155.40億ドル、GAAP純損失58.33億ドル。需要調整で赤字に転落しました。[1]
  • FY2025:売上高373.78億ドル、GAAP純利益85.39億ドル。データセンター向け高性能メモリが業績回復を牽引しました。[1]
  • FY2026:売上高1,331.88億ドル(前年比約256.3%増)、GAAP営業利益993.40億ドル、GAAP純利益849.69億ドル、GAAP希薄化後EPS74.33ドル。過去最高の業績です。[2]

1.2. FY2026 第4四半期実績(2026年9月30日発表)

FY2026 Q4(2026年9月3日終了)は、売上高542.29億ドル、GAAP純利益377.01億ドルで、売上高は前四半期から約30.8%、前年同期から約379.3%増加しました。なお、Q4は14週間のため、前年との比較は通常の13週間の四半期と完全に同条件ではありません。[2][4]

項目 FY2026 Q4
(14週間)
FY2026 Q3 FY2025 Q4 前年同期比
売上高 54,229 41,456 11,315 +379.3%
売上総利益率(GAAP) 86.8% 84.6% 44.7% +42.1pt
営業利益(GAAP) 43,751 33,318 3,654 +1,097%
営業利益率(GAAP) 80.7% 80.4% 32.3% +48.4pt
純利益(GAAP) 37,701 28,243 3,201 +1,078%
希薄化後EPS(GAAP) 32.87 24.67 2.83 +1,061%
営業キャッシュフロー 43,973 25,388 5,730 約+667%
調整後フリーCF 33,200 18,304 ― ―

単位:金額は百万ドル、EPSはドル。売上・利益等の前年比は表示値から算出。調整後FCFはNon-GAAP指標。[2]

第4四半期は売上総利益率86.8%、営業利益率80.7%という極めて高いGAAP利益率でした。期初からのメモリ価格高騰を反映していますが、こうした水準が将来も一定とは限りません。[2]

1.3. 収益性:価格上昇と高付加価値製品が利益を押し上げる

会計年度/四半期 売上総利益率 営業利益率 純利益率
FY2021 37.6% 22.7% 21.2%
FY2022 45.2% 31.5% 28.2%
FY2023 -9.1% -37.0% -37.5%
FY2024 22.4% 5.2% 3.1%
FY2025 39.8% 26.1% 22.8%
FY2026 80.7% 74.6% 63.8%
FY2026 Q4 86.8% 80.7% 69.5%

GAAPベース。FY2026純利益率は84,969÷133,188、FY2026 Q4純利益率は37,701÷54,229。[1][2]

  • FY2025からの変化:FY2026通期のGAAP粗利益率は39.8%から80.7%へ、営業利益率は26.1%から74.6%へ上昇しました。[2]
  • 利益増加の要因:HBMのみならず、一般DRAM、サーバーDRAM、NANDの販売価格上昇と製品構成の改善が収益を押し上げました。[3]
  • 利益率の持続性:価格上昇が止まる、顧客が注文を前倒ししている、または新工場が供給を増やすといった場合には、営業利益率が大きく変動し得ます。

2. 事業概要と製品ポートフォリオ:DRAMとNANDが柱、AI起点の事業構成へ

FY2026 Q4のDRAM売上高は約398億ドル(全社の約73%)、NAND売上高は約141億ドル(約26%)でした。DRAMは前四半期比約27%増、NANDは約42%増。NANDではビット出荷の増加に加え、販売価格も前四半期比約30%上昇したと会社は説明しています。[3]

  1. DRAM(Dynamic Random Access Memory)
    • HBM、サーバーDDR5、高容量RDIMM、低消費電力LPDRAMに加え、PC・モバイル用が中心です。
    • FY2026 Q4には、1-gammaを使った高性能サーバーRDIMMの顧客認定が進展し、512GB DDR5 RDIMMのサンプル出荷も始まりました。[2]
  2. NANDフラッシュメモリ
    • SSD、スマートフォン、産業・組み込み用途などの不揮発性記憶装置を支えます。
    • データセンターSSD売上高はFY2026 Q4に約100億ドル近くとなり、前年同期の10倍超で、全NAND売上高の3分の2超を占めました。AI推論のKVキャッシュやHDD代替が追い風です。[3]

主要事業部門(Business Units)

FY2025 Q4からの4事業部門体制を維持しています。FY2026 Q4のデータセンター関連2部門(クラウドメモリ+コアデータセンター)の売上高合計は342.85億ドルで、全社売上高の約63.2%です。[5][2]

事業部門 FY2026 Q4売上
(百万$)
前年同期比 粗利益率 営業利益率
クラウドメモリ(CMBU) 16,283 約+258% 83% 76%
コアデータセンター(CDBU) 18,002 約+1,042% 90% 85%
モバイル&クライアント(MCBU) 13,114 約+249% 90% 88%
自動車&エンベデッド(AEBU) 6,824 約+376% 84% 79%

粗利益率・営業利益率は部門別開示値。各部門計と連結売上高の差は表示上の丸めを含む。[2]

  • クラウドメモリ:HBMやAI向けDRAMを中心に、FY2026 Q4の売上高は162.83億ドル。[2]
  • コアデータセンター:通常のサーバーDRAMとSSDが成長し、売上高は180.02億ドルと前四半期比56%増。[2][3]
  • モバイル&クライアント:出荷ビットが減る一方で販売価格が上がり、売上高は131.14億ドル。単にPC・携帯電話の台数拡大だけに依存しない収益構造を示します。[3]
  • 自動車&エンベデッド:68.24億ドル。高度運転支援、ロボット、産業システムなどメモリ搭載量が増える市場への展開が続きます。[2]

Crucialコンシューマ事業からの撤退

2025年12月に発表したCrucialブランドの個人向けメモリ・SSD事業からの撤退方針は、FY2026 Q2末までの既存チャネル出荷終了を前提としていました。法人向けMicron製品は対象外で、既存製品の保証・サポートは継続する方針です。[5]

供給が逼迫するなかで、限られたDRAM・NANDの生産枠をデータセンターなどの戦略分野に振り向ける意図があります。ただし、取引先の集中やコンシューマ市場との接点減少という別のリスクもあります。

戦略顧客契約(SCA)による事業モデルの変化

Micronの戦略顧客契約(SCA)は複数年のテイク・オア・ペイ型供給契約です。2026年6月の16件から、9月30日時点では26件に拡大しました。2030年までの見込み売上高の35%超をカバーすると会社は説明しています。[3]

  • 長期契約の規模:最低価格に基づく残存履行義務(RPO)は約1,500億ドル。これは全額の確定売上ではなく、対象契約の最低価格と契約数量から算出した残存義務です。[3]
  • 価格条件:予定されるSCA売上の約4分の3には価格枠組みがあり、その大半には価格下限・上限があります。残りは定期的な市場価格ベースの再交渉です。[3]
  • 顧客の財務コミットメント:26件の契約に伴う合計コミットメントは約320億ドル。大部分は預託金です。2026年度末の貸借対照表には顧客預託金関連負債が約127億ドル計上されています。[3][2]
  • 契約期間:2031年まで延長・締結された契約もあり、将来の需要見通しを改善しています。ただし売上高・利益率が保証されるわけではなく、顧客側の信用・履行リスクも残ります。[3]

2026年7月にはGM、Fordとの自動車向け戦略契約に続き、主要な自動車部品サプライヤーとの契約も公表しています。GM・Fordとの契約は6月時点の16件に含まれるため、新規26件への増加分として二重計上しません。SCAはメモリ産業の収益予測を改善し得ますが、契約内の価格下限、上限、需要量、預託金の返還時期まで考慮して評価する必要があります。[6]

3. AI時代のHBM戦略と技術ロードマップ

HBM(広帯域幅メモリ)はAIアクセラレータの近くに積層配置し、大量のデータを高い帯域幅で供給するDRAMです。AI計算では演算性能だけでなく、メモリ帯域、容量、電力効率がシステム性能を左右します。

  • HBM4:FY2026 Q4にも量産・顧客拡大が進み、HBM売上成長率は全社売上の前四半期比成長率を上回りました。[3]
  • HBM4E:2027年の量産開始を予定。9月30日の説明ではNVIDIAとのカスタムHBM4E「NVHBM」に取り組み、次世代GPUやNVLink Fusion用途を目指していることが明らかになりました。[3][7]
  • 2027年の供給契約:カレンダー2027年のHBMビット供給の大部分について契約が完了。会社は2026年比で大幅な価格上昇を見込み、一般DRAMとの粗利益率差の縮小を期待しています。[3]
  • 先端DRAM・NAND:1-gamma DRAMとG9 NANDが主要生産ノードへ成長中。次世代ノードは2027年下期の量産開始を見込みます。[3]
  • パッケージング能力:シンガポールのHBM先端パッケージング拠点は、2027年初めの生産開始予定へと計画が進みました。[3]

ミニ解説:HBMが一般DRAMにも影響する理由
HBMは通常のDRAMと比べて多くのウエハー面積や積層・パッケージ工程を必要とするため、HBMを増産すると一般DRAMの供給を圧迫しやすくなります。一方、Micronの2026年Q4の収益を押し上げたのはHBMだけではなく、一般DRAMやNANDの価格上昇も大きな要因です。[3]

4. 財務の健全性と設備投資

Micronは巨額の設備投資を必要とする製造業ですが、FY2026の営業キャッシュフローが大幅に増えたことで、財務余力も改善しました。ただし、顧客契約に伴う預託金は将来の返還・充当を伴う負債であり、すべてを恒久的な余剰現金と見なすべきではありません。[2][3]

4.1. 資産・負債・資本の推移

会計年度末/四半期末 総資産
(百万$)
総負債
(百万$)
株主資本
(百万$)
自己資本比率 現金・市場性投資
(百万$)
FY2022 65,863 17,753 48,110 73.0% 12,735
FY2023 58,898 17,651 41,247 70.0% 9,985
FY2024 69,416 24,285 45,131 65.0% 9,152
FY2025 82,798 28,633 54,165 65.4% 11,936
FY2026 Q2末 101,509 29,050 72,459 71.4% 16,627
FY2026 Q3末 134,112 33,388 100,724 75.1% 30,128
FY2026末 195,888 57,510 138,378 70.6% 73,453

現金・市場性投資=現金同等物+短期投資+長期市場性投資。FY2026末の制限付き現金を含む会社開示値は73,480Mドル。[1][7][2]

  • 株主資本:FY2026末(2026年9月3日)の株主資本は1,383.78億ドル、自己資本比率は約70.6%でした。FY2026 Q3末の75.1%からは低下していますが、絶対額は増加しています。[2]
  • 現金・投資残高:FY2026末の現金同等物・市場性投資は734.53億ドル。制限付き現金まで含めた会社の公表額は734.8億ドルです。[2]
  • 有利子負債:同日現在の流動債務4.91億ドルと長期債務46.88億ドルの合計は約51.79億ドル。現金・市場性投資との差は約682.74億ドルのネットキャッシュです。[2]
  • 留意事項:2026年末の顧客契約負債(長期)は128.95億ドル。預託金を含むため、借入金の少なさだけで無条件に財務負担を軽視すべきではありません。[2][3]

4.2. キャッシュフローと設備投資

指標 FY2026通期
(百万$)
FY2025通期
(百万$)
FY2026 Q4
(百万$)
営業キャッシュフロー 89,675 17,525 43,973
設備取得支出(総額) 30,712 15,857 ―
政府インセンティブ受領 3,316 2,005 ―
設備投資(会社調整後・純額) 27,367 13,804 10,774
調整後フリーキャッシュフロー 62,308 3,721 33,199
戦略顧客契約による預託金受入 12,747 0 約12,300
配当支払 610 522 ―

設備取得支出総額と政府インセンティブ受領はキャッシュフロー計算書、純設備投資と調整後FCFは会社定義のNon-GAAP指標。預託金は財務CFに計上。[2][3]

  • FY2026のCapEx:実際の通期純設備投資は約273.7億ドルでした。7月記事での見通し約270億ドルを置き換えています。[2]
  • FY2026のFCF:調整後フリーCFは623.1億ドル。FY2026 Q4単独では332.0億ドルでした。[2]
  • FY2027のCapEx:会社はQ1に約115億ドル、上期に約250億ドルを想定し、下期は上期以上と見込んでいます。通期の確定した会社予想額は示されていないため、上期+下期の単純な断定値は掲載しません。[3]
  • 運転資本:FY2026通期で売掛金増加による現金流出が252.06億ドルありました。純利益だけでなく営業CFへの転換を継続監視する必要があります。[2]

キャッシュフローの読み方
FY2026は営業CF896.75億ドルに対し、会社定義の純設備投資273.7億ドルを差し引いた調整後FCFが約623.1億ドルとなりました。SCAの顧客預託金約127.47億ドルは財務活動によるキャッシュフローに分類され、営業CF・調整後FCFには加算されていません。預託金は契約履行に伴って将来返還・相殺され得ます。[2][3]

4.3. 米国内投資の拡大

Micronは2026年7月時点で、2035年までの米国内の工場・技術投資計画を累計2,500億ドル超に拡大し、長期的な米国DRAM生産比率40%を目標としていました。これは長期の計画総額であり、2026年度の設備投資実績とは別の数字です。[8]

  • ニューヨーク州Clay:2026年7月に建設工事が進展し、9月30日の会社説明では初期ウエハー生産開始をカレンダー2030年に見込んでいます。[8][3]
  • アイダホ州:ID1の初期ウエハー生産は2027年半ば、ID2は2028年後半の予定です。[3]
  • 日本・台湾・シンガポール:日本のDRAM拡張設備は2028年末の初期生産、台湾Tongluoは2027年半ばの出荷、シンガポールのHBM先端パッケージ設備は2027年初めの生産開始をそれぞれ見込みます。[3]
  • CHIPS法:米国工場への政府支援は投資負担を軽減する一方、要件・制約にも注意が必要です。会社は2026年12月9日以降の株主還元拡大方針も説明しています。[8][3]

5. 市場環境と競争:寡占市場と構造的な供給制約

DRAM・NANDはMicron、Samsung Electronics、SK hynixなどの大手企業が市場を主導しています。製造設備の増強は長い時間と資金を必要とし、HBMの高いウエハー使用量も一般DRAM供給を抑えます。[1][3]

  • カレンダー2027~2028年:Micronは、DRAM・NANDとも2026年より需給が逼迫すると予想しています。これは会社予想であり、確定した市場事実ではありません。[3]
  • DRAM出荷量:業界全体のビット出荷量は2026年に前年比20%台半ば、2027~2028年に各年20%台前半の伸びを予想。[3]
  • NAND出荷量:2026年は前年比20%台前半、2027~2028年には各年20%台半ばの増加を予想。[3]
  • HBM競争:SamsungとSK hynixとの世代更新競争に加えて、HBM4Eの顧客認定、積層歩留まり、価格、供給契約が注目されます。
  • PC・スマートフォン:高級機の高容量化は成長要因ですが、2026年の両市場の端末台数は減少の可能性があり、価格上昇と数量減少を分けて読む必要があります。[3]
  • 地政学・政策:米中間の輸出規制、台湾の製造拠点、米国内工場建設コスト、電力・用水・人材確保などが供給網リスクです。

株価参考値:2026年10月7日のMicron終値は1,088.00ドルでした。FY2026 GAAP EPS74.33ドルとの単純比較による過去実績PERは約14.6倍です。ただしFY2026は記録的な好況期であり、過去実績PERだけから長期的割安さを判断するのは危険です。[9]

6. FY2027の見通しと今後のポイント

FY2026 Q4実績は7月記事の会社ガイダンス売上高500億ドル(±10億ドル)を上回りました。MicronはFY2027も記録更新を見込み、第1四半期に売上高615億ドル(±15億ドル)、調整後EPS38.15ドル(±1ドル)を予想しています。[2]

FY2027 第1四半期の会社ガイダンス(2026年9月30日発表)

指標 FY2027 Q1会社予想(GAAP) FY2027 Q1会社予想(Non-GAAP)
売上高 615億ドル ± 15億ドル 615億ドル ± 15億ドル
売上総利益率 約85.95% 約86.25%
営業費用 約23.1億ドル 約20.6億ドル
希薄化後EPS 37.84ドル ± 1.00ドル 38.15ドル ± 1.00ドル

2026年9月30日公表のFY2027 Q1会社予想。実績ではない。[2]

FY2027 Q1予想中心値の売上高615億ドルはFY2026 Q4比で約13.4%増です。一方、Non-GAAP粗利益率の予想中心値86.25%はFY2026 Q4の87.0%より低く、会社は従業員インセンティブ費用や生産立ち上げ費用などを要因に挙げています。FY2027の残りの四半期は売上・粗利益率が段階的に伸びるとの説明ですが、あくまで会社の見通しです。[2][3]

投資家が注目すべきポイントとリスク

  • HBM4とHBM4E:NVIDIAとのカスタムHBM4E開発、認定と2027年の量産立ち上がり。[3]
  • 契約の効力:26件のSCAによる収益の予測可能性が実際の価格・出荷・キャッシュフローにどの程度反映されるか。[3]
  • 利益率:粗利益率80~90%近い水準が続く前提は避け、メモリ価格の変動に敏感な経営構造を考慮する。
  • 設備投資:FY2027上期250億ドルの投資予定と、その後の建設・設備投資回収。[3]
  • 顧客需要:AI向け需要が拡大しても、顧客の先行発注、注文数量の二重計上、在庫調整が将来の需要急減を招く可能性。
  • キャッシュ管理:営業CF、純設備投資、顧客預託金の返還条件、残存履行義務の実現率。
  • 競争・供給網:Samsung、SK hynixによる供給増強、半導体装置の制約、台湾・米国など各拠点の操業・政策リスク。

7. まとめ:AI時代の成長企業へ変化する一方、サイクル株の性質は残る

MicronはFY2023の大幅赤字から急回復し、FY2026通期には売上高1,331.88億ドル、GAAP純利益849.69億ドル、調整後FCF623.1億ドルを記録しました。クラウド向けHBMだけでなく、一般サーバーDRAMとデータセンターSSDの需要増・価格上昇が業績を押し上げています。[2][3]

戦略顧客契約は26件に増え、最低価格ベースのRPO約1,500億ドルが示されたことで、従来より先々の需要を把握しやすい体制へ向かっています。さらにFY2027 Q1は売上高615億ドルを会社が予想し、増産投資も拡大する方針です。[3][2]

  • 強み:HBM4・HBM4Eロードマップ、1-gamma DRAM、データセンターSSD、長期供給契約、高い営業CF、ネットキャッシュ。
  • 課題:記録的な利益率の持続性、SCAの履行条件、建設投資の回収、供給増による価格反転、競合メーカーと地政学。

AI需要による構造的な市場拡大は重要ですが、メモリ価格が下落すれば利益率も急低下し得ます。「長期契約が増えたからシリコンサイクルが消えた」とは考えず、価格・ビット出荷・供給能力・FCF・顧客在庫を合わせて確認することが、今後も重要です。

【注】(出典リンク)

  1. FY2025年次報告書・過年度GAAP実績 → Micron FY2025 Form 10-K/Annual Report → Micron Annual Reports(確認日:2026-10-08) ↩
  2. FY2026通期・Q4実績、財務諸表、FY2027 Q1予想 → Micron FY2026 Q4決算(IR、一次情報) → SEC提出8-K Exhibit 99.1(確認日:2026-10-08) ↩
  3. FY2026 Q4経営陣説明:HBM・契約・市場・CapEx → Micron FY2026 Q4 Prepared Remarks(IR) → Q4決算説明会トランスクリプト(参考)(確認日:2026-10-08) ↩
  4. FY2026は53週・第4四半期は14週 → Micron FY2026 Q3 Form 10-Q(会計期間)(確認日:2026-10-08) ↩
  5. 事業再編とCrucialコンシューマ製品撤退 → Micron Announces Business Unit Reorganization → Micron Announces Exit from Crucial Consumer Business(確認日:2026-10-08) ↩
  6. GM・Fordとの戦略顧客契約 → MicronとGeneral Motorsの契約(IR) → MicronとFordの契約(IR) → Micronの自動車部品サプライヤー向け契約(IR)(確認日:2026-10-08) ↩
  7. FY2026 Q3実績、HBM4技術、従来の会社見通し → Micron FY2026 Q3 Earnings Release(SEC)(確認日:2026-10-08) ↩
  8. 米国内長期投資計画・政府支援 → Micron米国内投資拡大発表(IR) → 米国商務省NIST発表(確認日:2026-10-08) ↩
  9. 2026年10月7日終値(参考市場データ) → MU株価・日次履歴(Stock Analysis) → Google Finance MU(確認日:2026-10-08) ↩

Posted by 南 一矢