【PYPL/SQ】ペイパルとスクエアを比較

情報技術,銘柄比較

2020年以降、現金なしのデジタル決済の利用が広まり、クレジットカードの利用が多い北米でも、デジタルウォレットでは、PYPLの「ベンモ(Venmo)」とSQの「キャッシュアップ(Cash App)」の利用者が急増しました(SQのアプリが給付金受取で使われたことも大きな要因)。

(*2021年12月、SQは社名をスクエアからブロックに変更)。

2020年のベンモのTPV(Total Payment Volume)は1590億ドル(前年度比56%増)、キャッシュアップの「monthly active customers」は3600万人(前年度比50%増)。

さらに、ビットコイン決済でも両社は競合し、21年3月末には、PYPLが約2900万の加盟店で暗号資産の決済を可能にしました。

また、SQのほうでも、キャッシュアップによるビットコイン販売に力を入れるようになりました(21年2月時点でSQは約3億8000万ドル相当のビットコインを保有)。

しかし、21年に入り、金利急騰に伴う株価下落が直撃。

COIN(コインベース)上場後もビットコインが値下がりし、両社はやや力を削がれ、株価は停滞気味になっています。

ネットでは両社の比較記事がたまに目につきますが、意外と基本情報を図解で並べてくれるものは少ないので、当サイトの個別株記事で用いたグラフを使い、両社の業績を、ある程度、視覚化してみます(グラフをクリックすると、リンクでPYPLやSQのページに飛びます)。

事業構成について

株価チャートを見る前に、事業構成の概要に触れてみます。

なぜかというと、2020年のSQの株価急騰はすごかったのですが、売上高の内訳に重大な変化が起きているからです。

PYPLの場合、ほとんど決済サービスを通じて収益をあげています。昔ながらのWEBでの決済、モバイル決済などです。

しかし、SQのほうは、2020年の売上のうちビットコイン関連が48%を占めるに至りました(19年では11%)。このあたりはビットコイン急騰に助けられているので、注意が必要です。

SQの20年の売上のうち、トランザクション関連が35%、サブスクリプション収入が16%、ハードウェアが1%なので、ビットコイン部門の売上比率がやや高すぎるように思います(20年Q4決算での比率)。

むろん、SQの決済サービスの伸び率は良好(前年度比でトランザクション+7%、サブスク+49%)なので、ビットコイン価格下落でSQが倒れる…というところまでは行かないでしょうが、ビットコイン次第で事業業績が左右されそうな構造になってきています。

そのほか、地域別売上高で見ると、SQは米国が97%、PYPLは北米が5割、英国が1割、残りが他地域という構成になっています。

世界で決済インフラになっていることがPYPLの強みだということも、押さえておきたいところです。

過去~現在株価

※左目盛り:株価推移はPYPL/SQ、XLK(テクノロジーセレクトセクターSPDRファンド)を比較(最大20分ディレイ)。

※右目盛り:10年国債利回り

※主要指標の単位 時価総額:億ドル、株式数:億、1日の平均取引量:100万ドル


四半期決算 予想:結果

さらに、マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を整理してみます。
(※Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄には1カ月前、2か月前の予想値を記載)。

EPS:予想と結果

予想 PYPL SQ
2/1 1月前 2/1 1月前
2023 4.75 4.77 1.72 1.7
2022 4.08 4.08 1.07 1.07
Q:23/3 1.07 1.07 0.34 0.34
Q:22/12 1.19 1.19 0.29 0.29

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売上高:予想と結果

予想 PYPL SQ
2/1 1月前 2/1 1月前
2023 29990 30010 19970 20080
2022 27520 27520 17500 17480
Q:23/3 7010 7010 4480 4480
Q:22/12 7390 7380 4600 4600

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業績:通期決算実績

通期の売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの詳細を見てみます(単位は百万ドル)

損益計算(売上、純利益等)

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同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

バランスシート

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キャッシュフロー

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