【PYPL/SQ】ペイパルとスクエアを比較

2020年以降、現金なしのデジタル決済の利用が広まり、クレジットカードの利用が多い北米でも、デジタルウォレットでは、PYPLの「ベンモ(Venmo)」とSQの「キャッシュアップ(Cash App)」の利用者が急増しました(SQのアプリが給付金受取で使われたことも大きな要因)。

2020年のベンモのTPV(Total Payment Volume)は1590億ドル(前年度比56%増)、キャッシュアップの「monthly active customers」は3600万人(前年度比50%増)。

さらに、ビットコイン決済でも両社は競合し、21年3月末には、PYPLが約2900万の加盟店で暗号資産の決済を可能にしました。

また、SQのほうでも、キャッシュアップによるビットコイン販売に力を入れるようになりました(21年2月時点でSQは約3億8000万ドル相当のビットコインを保有)。

しかし、21年に入り、金利急騰に伴う株価下落が直撃。

COIN(コインベース)上場後もビットコインが値下がりし、両社はやや力を削がれ、株価は停滞気味になっています。

ただ、もともと力のある企業なので、今後も事業そのものは拡大が続きそうです。

ネットでは両社の比較記事がたまに目につきますが、意外と基本情報を図解で並べてくれるものは少ないので、当サイトの個別株記事で用いたグラフを使い、両社の業績を、ある程度、視覚化してみます(グラフをクリックすると、リンクでPYPLやSQのページに飛びます)。

主要指標で比較

PYPL SQ
1/4株価 237.8 222.5
5/13株価 240.8 197.1
株価上昇率 1.26% -11.4%
52週高値 309.1 283.2
52週安値 139.6 70.8
β値 1.15 2.4
EPS 4.39 0.61
PER 54.87 323.61
配当利回り
時価総額(億$) 2829 898
株式数(億) 11.7 3.9

2021年で見ると、両社の株価伸び率の差はあまりないのですが、2020年以前は、SQの伸び率のほうが優勢でした。

SQのアプリが給付金受取で使われるといった特需も終わり、これからはSQの割高感のほうが目立つようになるかもしれません。

事業構成について

株価チャートを見る前に、まず事業構成の概要に触れてみます。

なぜかというと、2020年のSQの株価急騰はすごかったのですが、売上高の内訳に重大な変化が起きているからです。

PYPLの場合、ほとんど決済サービスを通じて収益をあげています。昔ながらのWEBでの決済、モバイル決済などです。

しかし、SQのほうは、2020年の売上のうちビットコイン関連が48%を占めるに至りました(19年では11%)。このあたりはビットコイン急騰に助けられているので、注意が必要です。

SQの20年の売上のうち、トランザクション関連が35%、サブスクリプション収入が16%、ハードウェアが1%なので、ビットコイン部門の売上比率がやや高すぎるように思います(20年Q4決算での比率)。

むろん、SQの決済サービスの伸び率は良好(前年度比でトランザクション+7%、サブスク+49%)なので、ビットコイン価格下落でSQが倒れる…というところまでは行かないでしょうが、ビットコイン次第で事業業績が左右されそうな構造になってきています。

そのほか、地域別売上高で見ると、SQは米国が97%、PYPLは北米が5割、英国が1割、残りが他地域という構成になっています。

世界で決済インフラになっていることがPYPLの強みだということも、押さえておきたいところです。

株価推移(チャートと伸び率)

次に、株価の推移を見てみます(赤点線が200日間の移動平均線)。

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株価の伸び率を1年ごとに見てみましょう。

株価伸び率

★1:各年の株価伸び率(※21年終値は5/13株価)
PYPL SQ
2021 1% -11%
2020 114% 245%
2019 31% 16%
2018 13% 62%
2017 83% 151%
2016 12% 6%
2015 -5% 17%

2017年、18年、20年はSQが圧倒的な伸び率の差を見せつけています。ただ、16年と19年だと、PYPLのほうが伸び率が高いです。

2015年~20年で1年ごとに伸び率で勝ち負けを見ると、SQはPYPLに4勝2敗のようです。

各年初からの伸び率比較

各年初から直近までの伸び率を比較しました

★2:各年初から21/5/13までの伸び率
PYPL SQ
2021 1% -11%
2020 120% 213%
2019 192% 264%
2018 225% 468%
2017 498% 1328%
2016 586% 1440%
2015 534% 1660%

SQのほうがスタート時点の株価が低いので、15年比での伸び率は3倍以上の差がついています。

テンバガーどころではない伸び率なので、SQ恐るべしですね。


四半期決算(2021予想など)

さらに、四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます。
(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載。データの主な出所は英語版のヤフーファイナンス。ただ、2019年6月までのデータ出所はロイター)。

EPS:予想と結果

予想 PYPL SQ
5/10 1月前 5/10 1月前
Y:2022 5.83 5.74 1.91 1.88
Y:2021 4.67 4.56 1.24 1.22
Q:21/9 1.14 1.17 0.36 0.36
Q:21/6 1.12 1.1 0.29 0.28

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近年、EPSの取りこぼしは少なく、PYPLもSQもコロナ直後の決算でミスした程度でした。

売上高:予想と結果

予想 PYPL SQ
5/10 1月前 5/10 1月前
Y:2022 31270 31010 16670 16480
Y:2021 25800 25690 14440 13870
Q:21/9 6440 3750
Q:21/6 6230 6160 3530 3450

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SQは、EPSと売上高が20年Q2とQ3で急拡大しています。このあたりをみると、20年の株価急騰もうなづけます。


通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を比較してみます(以下、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

注目点は、PYPLの営業キャッシュフローではないかと思います。

大きな投資をしながらも(投資CFに注目)、安定した数字を刻み続けていることに期待が持てます。

SQのほうは、とにかく売上拡大に勝機を見出そうとしているような感じです。

損益計算(売上、純利益等)

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*同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

バランスシート

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キャッシュフロー

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