SNOW:スノーフレークの業績

AI(人工知能),情報技術,業績

【2026年5月版】Snowflake (SNOW) 徹底分析:AI Data Cloudの革新者 – 過去5年実績とFY2027ガイダンス

はじめに
Snowflake(スノーフレーク)は、クラウドネイティブな「AI Data Cloud」を核に、データウェアハウス、レイクハウス、データ共有、アプリ開発、AI/MLワークロードを一体で提供するプラットフォーム企業です。ストレージとコンピュートを分離した独自アーキテクチャにより、マルチクラウド環境でデータ活用を拡張できる点が特徴です。近年はSnowpark、Cortex、Native Apps、Snowflake Intelligenceなどを通じて、データ基盤からAIアプリケーション基盤へと事業領域を広げています。[1]

本稿では、過去5年(FY2022~FY2026)の年次実績を、製品収益、RPO、顧客KPI、バランスシート、キャッシュフローでそろえて整理します。あわせて、FY2026通期決算時点のFY2027ガイダンスを踏まえ、成長の軌跡・収益性・AI戦略を投資家目線で解説します。[2][3]

【免責事項・出典】

  • 数値は主にSnowflake Inc.のSEC提出資料(Form 10-K)と決算発表資料、投資家向けプレゼンテーションに基づきます。FY2026は2026年1月31日終了年度の実績です。[2][3]
  • 本稿では、売上・利益、収益性、バランスシート、キャッシュフローの主要表をFY2022~FY2026の過去5年で統一しています。
  • 成長率・一部指標は公表値から筆者が計算しています。Non-GAAP指標は会社定義に基づきます。
  • 投資勧誘ではありません。最終判断は自己責任でお願いします。最新の公式開示もご確認ください。

会計年度:Snowflakeの会計年度は前年2月1日~当年1月31日です。例えばFY2026は2025年2月1日~2026年1月31日を指します。[2]

【2026年5月更新】
元記事ではFY2026 Q3時点までのデータが中心でしたが、今回はFY2026通期決算とFY2026 Form 10-Kを反映しました。FY2026の製品収益は44.72億ドル、前年比+29%。RPOは97.72億ドル、前年比+42%。NRRは125%、過去12か月製品収益100万ドル超の顧客は733社となりました。FY2027会社ガイダンスでは、製品収益56.60億ドル、前年比+27%、Non-GAAP営業利益率12.5%、調整後FCFマージン23.0%が示されています。[3]

1. Snowflakeの長期業績:高成長は続くが、成長率は正常化へ

IPO後のSnowflakeは、製品収益、RPO、大口顧客数を大きく伸ばしてきました。FY2022~FY2024は急成長期、FY2025~FY2026は30%前後の成長へ移行しつつ、RPOと大口顧客数の積み上がりで将来収益の厚みを増しています。一方で、GAAPでは引き続き純損失が続いており、株式報酬やAI関連投資の影響をどう吸収するかが重要です。[2]

1.1 製品収益・RPO・キャッシュフロー・損益の推移(過去5年:FY2022~FY2026)

会計年度 製品収益
百万$
製品収益
YoY
RPO
百万$
RPO
YoY
営業CF
百万$
GAAP純損失
百万$
FY2022 1,141.8 +106.2% 2,647.1 +99% 110.2 (679.9)
FY2023 1,938.5 +69.8% 3,791.0 +43% 545.6 (798.7)
FY2024 2,666.8 +37.6% 5,174.7 +37% 848.1 (838.0)
FY2025 3,462.4 +29.8% 6,867.5 +32% 959.8 (1,289.2)
FY2026 4,472.3 +29.2% 9,771.5 +42% 1,221.9 (1,329.0)

注)製品収益はProduct revenue。RPOはRemaining performance obligations。FY2024~FY2026はFY2026 Form 10-Kの比較表を中心に、FY2022~FY2023は過年度10-Kに基づく。[2][4]

  • 製品収益:FY2026は44.72億ドル、前年比+29%。FY2022の11.42億ドルから約3.9倍に拡大しました。[2]
  • RPO:FY2026期末は97.72億ドル、前年比+42%。FY2026 Q4時点では、RPOの46%を今後12か月で収益認識する見込みです。[3]
  • 営業CF:FY2026は12.22億ドルで過去最高。GAAP純損失は続いていますが、キャッシュ創出力は拡大しています。[2]

1.2 収益性(Non-GAAP中心):高粗利+キャッシュ創出の強化

会計年度 製品粗利率
Non-GAAP
営業利益率
Non-GAAP
NRR 調整後FCF
マージン
FY2022 約72% 約-4% 178% 約7%
FY2023 75% 5% 158% 25%
FY2024 78% 8% 133% 29%
FY2025 76% 6% 126% 26%
FY2026 76% 10% 125% 25%

注)NRRはNet Revenue Retention。FY2026のNon-GAAP営業利益率はInvestor Presentation上の丸め値。調整後FCFマージンは会社定義。[3]

  • NRR:FY2026期末は125%。FY2022の178%から低下していますが、会社は顧客基盤の成熟に伴って長期的にNRRが低下し得ると説明しています。[2]
  • Non-GAAP営業利益率:FY2026は約10%へ改善。売上成長と費用効率化の両立が進みました。[3]
  • FCF:FY2026も調整後FCFマージン約25%を維持。消費ベース課金で売上変動リスクはある一方、キャッシュ創出力は高い水準です。[3]

1.3 主要KPI:大口顧客とRPO

基準時点 総顧客数 >$1M製品収益顧客
過去12か月
Forbes Global 2000顧客 NRR RPO
百万$
FY2024期末 449 716 133% 5,174.7
FY2025期末 10,996 576 750 126% 6,867.5
FY2026期末 13,328 733 790 125% 9,771.5

注)総顧客数はFY2025以降の投資家向け資料で明示された値を中心に記載。>$1M顧客数、Forbes Global 2000顧客、NRR、RPOはFY2026 Form 10-KおよびQ4 FY2026 Investor Presentationに基づく。[2][3]

2. ビジネスモデル:「AI Data Cloud」と消費ベース課金

  • AI Data Cloud:データウェアハウス、レイクハウス、データ共有、エンジニアリング、データサイエンス、アプリ開発を単一基盤で提供します。マルチクラウドに対応し、企業内外のデータ連携を進めやすい設計です。[2]
  • 消費ベース課金:顧客は主にコンピュート、ストレージ、データ転送の利用量に応じて課金されます。拡張性が高い一方、利用量の変動が四半期収益のブレにつながります。[3]
  • 主要ワークロード:Snowpark、Cortex、Native Apps、Snowflake Intelligenceなどにより、データ基盤からAIアプリケーション実行基盤へ拡張しています。[5][6][7]

3. 財務健全性:転換社債と自社株買いでBS構成が変化

Snowflakeは赤字企業でありながら、営業キャッシュフローはFY2022以降プラスを維持しています。FY2025には転換社債を発行し、FY2025~FY2026には自社株買いも大きく実施したため、総負債と株主資本の構成が変化しました。FY2026末の現金・現金同等物・短期投資・長期投資は約47.85億ドルで、流動性は引き続き厚い状態です。[2]

3.1 バランスシート主要項目(過去5年:FY2022~FY2026)

会計年度末 現金・投資等
百万$
総資産
百万$
総負債
百万$
株主資本
百万$
FY2022 約5,050 6,986 974 6,012
FY2023 約3,944 6,715 1,200 5,515
FY2024 約4,793 8,223 3,033 5,191
FY2025 約5,294 9,034 6,027 3,007
FY2026 約4,785 9,132 7,208 1,924

注)現金・投資等は、現金・現金同等物、短期投資、長期投資を中心に整理。FY2026末は現金・現金同等物28.28億ドル、短期投資12.02億ドル、長期投資7.55億ドル。FY2025以降の総負債増加は主に転換社債と繰延収益の増加によるもの。[2][4]

ミニ解説:FY2025以降、Snowflakeの総負債が大きく増えたのは、事業が急に悪化したからではなく、転換社債発行と前受け型の契約増加が大きく影響しています。また、株主資本の減少には自社株買いも影響します。したがって、BSは「総負債が増えたから危険」と単純に見るより、手元流動性、営業CF、RPO、転換社債の条件を合わせて見るのが実務的です。

3.2 キャッシュフロー:FCFの拡大

会社定義のFCFは、営業CFから設備投資と資産化した内部ソフト開発費を差し引く指標です。Snowflakeはクラウドソフトウェア企業のため、物理的な設備投資は相対的に軽く、営業CFの多くがFCFとして残りやすい構造です。[2]

会計年度 営業CF
百万$
設備投資+内部開発資産化
百万$
FCF
百万$
投資CF
百万$
財務CF
百万$
FY2022 110.2 29.0 81.2 (3,211.9) 3,368.9
FY2023 545.6 49.1 496.5 (690.5)
FY2024 848.1 69.2 778.9 832.3 (854.1)
FY2025 959.8 75.7 884.1 190.6 (226.5)
FY2026 1,221.9 101.6 1,120.3 312.2 (1,385.4)

注)FY2026のFCFは営業CF12.219億ドル-設備投資1.016億ドルで算出。FY2025以前は会社定義のFCFに合わせ、設備投資と資産化内部開発費を差し引く形式で整理。FY2023の財務CFは過年度資料で確認可能だが、表では主要比較を優先して省略。[2][4]

FY2026の財務CFが大きくマイナスなのは、主に自社株買いと株式報酬関連税金の支払いによるものです。事業自体は営業CF・FCFともに拡大しています。[2]

4. 資本効率と収益性:成長投資と利益の両立へ

  • Non-GAAPベースでは営業黒字を維持し、FY2026のNon-GAAP営業利益率は約10%まで改善しました。[3]
  • GAAP損益は、株式報酬、買収関連費用、減損などの影響を受けやすく、FY2026も純損失が続いています。[2]
  • FY2026末時点で、約11億ドルの自社株買い枠が残っています。[2]

5. AI戦略:Data CloudをAI/ML基盤へ

  • Snowpark:Python等でデータ処理・特徴量生成・推論前処理をData Cloud近傍で実行しやすくし、データ移動の摩擦を下げます。[5]
  • Cortex:SQL等から生成AI/LLM機能を呼び出し、要約・分類・抽出などをデータに近い場所で組み込みやすくします。[6]
  • Native Apps:Snowflake上でアプリを構築・配布でき、ガバナンス下で「データ近接型」の実装を進めやすい設計です。[7]
  • Snowflake Intelligence:自然言語でデータとアプリにアクセスする方向性を示す機能群で、企業内データとAIエージェントの接点を広げる取り組みです。[3]

6. 市場ポジションと競合

  • 機会:データ活用の高度化と生成AIの実装が進むほど、データ統合・ガバナンス・AI実行基盤への需要は底堅くなりやすい構図です。[2]
  • 競合:ハイパースケーラー(AWS、Azure、Google Cloud)、Databricks、従来DWHベンダー、データカタログ・ガバナンス企業などが競合します。
  • 強み:クラウドネイティブ設計、データ共有、マルチクラウド、Marketplace、消費課金の拡張性、AI機能の統合が差別化要因です。[3]

7. FY2027見通しと注目点

  • FY2027通期ガイダンス:製品収益56.60億ドル、前年比+27%。Non-GAAP製品粗利率75.0%、Non-GAAP営業利益率12.5%、調整後FCFマージン23.0%。[3]
  • 直近KPI:FY2026期末でNRR125%、RPO97.72億ドル、>$1M製品収益顧客733社。[3]
  • 注目点:消費成長の持続、NRRの安定、RPOから実際の製品収益への転換、AIワークロードの収益寄与、Databricksやクラウド大手との競争、株式報酬と自社株買いのバランスです。

8. まとめ

  • 強み:高粗利の消費モデル、120%超のNRR、大口顧客の拡大、AI対応の加速、厚いRPO。[2]
  • 課題:GAAP赤字の継続、株式報酬の大きさ、消費ベースモデルによる四半期収益の変動、競争激化。
  • 投資判断の軸:FY2027に製品収益56.60億ドルを達成しつつ、Non-GAAP営業利益率12.5%とFCFマージン23%を維持できるかが焦点です。

Snowflakeは「データ×AI」時代の中核基盤を狙う企業です。成長率はIPO直後の超高成長から正常化しつつありますが、RPO、大口顧客、AIワークロード、FCF創出力の組み合わせを見る限り、依然として高成長ソフトウェア企業としての条件を備えています。一方で、株価評価が高くなりやすい銘柄であるため、成長率やNRRの小さな変化にも注意が必要です。

本記事は情報提供を目的とし、投資判断の最終責任は読者にあります。最新の公式開示をご確認ください。

最終更新日時:2026年5月5日(FY2026通期決算/FY2026 Form 10-K/FY2027ガイダンス反映)

ミニ解説:NRRは既存顧客の利用拡大を映す重要指標ですが、顧客基盤が成熟するほど長期的に低下し得ます。また、RPOは将来の契約収益の厚みを示す一方、消費タイミングや更新時期、契約条件の影響を受けます。したがって、Snowflakeを見る際は「製品収益」「NRR」「RPO」「FCF」をセットで確認するのが実務的です。[2][3]

【注】(出典リンク)

  1. Snowflake事業概要・AI Data Cloud → Snowflake公式サイトSnowflake Investor Relations(確認日:2026-05-05)
  2. FY2026 Form 10-K → SEC Form 10-K(FY2026)Snowflake IR SEC Filings(確認日:2026-05-05)
  3. Q4・FY2026決算とFY2027ガイダンス → Snowflake Q4/FY2026 Earnings ReleaseQ4 FY2026 Investor Presentation(確認日:2026-05-05)
  4. 過年度データ → SEC Form 10-K(FY2025)SEC Form 10-K(FY2022)(確認日:2026-05-05)
  5. Snowpark → Snowflake Docs: SnowparkSnowflake Snowpark製品概要(確認日:2026-05-05)
  6. Cortex → Snowflake Docs: Cortex OverviewSnowflake AI製品概要(確認日:2026-05-05)
  7. Native Apps → Snowflake Docs: Native Apps FrameworkSnowflake Marketplace(確認日:2026-05-05)

Posted by 南 一矢