PMとMOを比較:フィリップモリスとアルトリアの違いとは

タバコ株,銘柄比較

PMとMOを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)

フィリップモリスインターナショナル(Philip Morris International Inc.)とアルトリアグループ(Altria Group, Inc.)はタバコ銘柄の代表格です。 その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。 これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(VDC:Vanguard Consumer Staples Index Fund ETFを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

決算(予想:結果)

 

決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照

フィリップモリス(PM)決算:予想と結果 売上&EPS

アルトリア(MO)決算:予想と結果 売上&EPS

【詳細分析】フィリップ・モリス(PM) vs アルトリア(MO) 徹底比較

高配当株ポートフォリオの常連、フィリップ・モリス(PM)とアルトリア・グループ(MO)。かつては一つの企業でしたが、現在はそれぞれが「米国外」と「米国内」の市場を担当する形で事業を展開しています。両社はともに「たばこ」という斜陽産業にありながら、株主への高い還元を続けることで投資家を魅了してきました。ここでは、「加熱式たばこ」で世界を席巻するPMと、驚異的な配当利回りを誇るMOの業績、配当、そして将来性を徹底的に比較・分析します。

比較サマリー:国際のPM、国内のMO

項目 フィリップ・モリス (PM) アルトリア・グループ (MO)
事業地域 米国外の世界市場 米国内市場のみ
主力製品 マールボロ (海外)、加熱式たばこ「IQOS」、ニコチンパウチ「ZYN」 マールボロ (米国)、電子たばこ「NJOY」、オーラルたばこ
成長ドライバー 「IQOS」のグローバル展開 紙巻たばこの価格維持、米国内での電子たばこ事業
連続増配年数 16年 (スピンオフ後) 54年 (配当王)
配当利回り(直近) 約5.3% 約8.6%
PER (株価収益率) 約19倍 約9倍

業績と成長性の詳細分析

業績を見ると、両社の進む道の違いが明確に現れます。フィリップ・モリスは加熱式たばこ「IQOS」の成功により、売上・利益ともに成長軌道を維持しています。一方、アルトリアは喫煙率が低下する米国市場で、緩やかな減収傾向にあります。

フィリップ・モリス 売上高 (前年比) アルトリア 売上高 (前年比)
2024 $35.17 B (+11.0%) $20.53 B (-2.4%)
2023 $31.68 B (+10.7%) $20.69 B (-0.8%)
2022 $28.69 B (+1.2%) $20.84 B (-3.5%)
2021 $28.35 B (+9.4%) $21.11 B (-1.7%)
2020 $25.91 B $21.47 B
年平均成長率(CAGR) 7.98% -1.11%

※B=10億ドル。会計年度や基準により数値は多少変動します。

配当の詳細比較:利回りのMO、成長性のPM

アルトリアの8%を超える配当利回りは全銘柄の中でもトップクラスです。しかし、過去10年の増配率を見ると、フィリップ・モリスの方が安定して高い成長を示しています。

PM 年間配当 (増配率) MO 年間配当 (増配率)
2024 $5.20 (+2.8%) $3.92 (+4.3%)
2023 $5.06 (+1.6%) $3.76 (+4.4%)
2022 $4.98 (+1.6%) $3.60 (+4.7%)
2021 $4.90 (+4.3%) $3.44 (+2.4%)
2020 $4.70 (+2.6%) $3.36 (+4.1%)
2019 $4.58 (+2.7%) $3.20 (+14.3%)
2018 $4.46 (+6.2%) $2.80 (+6.1%)
2017 $4.20 (+2.9%) $2.64 (+7.8%)
2016 $4.08 (+2.0%) $2.45 (+8.4%)
2015 $4.00 $2.26
10年平均増配率(CAGR) 2.82% 6.28%

結論:あなたに合うのはどちら?

両社の比較は、「現在の高い利回り」と「将来の成長性・安定性」のどちらを重視するかという問いに集約されます。

「超高配当利回り」を最優先するなら → アルトリア・グループ (MO)

8%を超える利回りは、インカム投資家にとって抗いがたい魅力です。米国内の喫煙率低下という逆風はありますが、強力な価格支配力で利益を確保し、高い株主還元を続けています。株価の大きな成長は期待しにくいものの、「今」のキャッシュフローを最大化したい投資家に向いています。

「配当と事業の成長性」を両立させたいなら → フィリップ・モリス (PM)

加熱式たばこ「IQOS」の成功により、斜陽産業の中でも成長を続けている稀有な存在です。配当利回りはMOに劣るものの、それでも5%を超える高水準。事業の成長が将来の安定した増配につながる期待が持てます。「高配当」と「企業の成長」のバランスを取りたい投資家にとって、より安心して長期保有できる選択肢と言えるでしょう。

配当については以下の関連記事を参照

フィリップモリス(PM)の配当推移

アルトリア(MO)の配当推移


※本ページの分析は2025年6月8日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。

Posted by 南 一矢