【決済ブランド対決】ビザ(V) vs アメックス(AXP)!ビジネスモデルを徹底解剖

世界中のキャッシュレス決済を支える巨大企業、ビザ(V)アメリカン・エキスプレス(AXP)。両社は「クレジットカードのブランド」として一括りにされがちですが、そのビジネスモデルは根本的に異なります。この違いを理解することが、両社を正しく評価する鍵となります。

本記事では、「決済ネットワーク」に徹するビザと、「決済も融資も手掛ける」アメックスの業績、配当、そして将来性を、そのビジネスモデルの違いから徹底的に比較・分析します。

最重要ポイント:ビジネスモデルの決定的な違い

  • ビザ (V) – オープンループ・ネットワーク
    ビザ自身はカード発行や利用者への融資を行いません。世界中の銀行(発行会社)とお店(加盟店)を繋ぐ「決済ネットワーク(通信網)」を提供し、取引に応じた手数料を得る通行料ビジネスに徹しています。よって利用者の未払いに伴う貸し倒れリスクは原則負いません(清算・オペレーション上のリスクは別)。
  • アメリカン・エキスプレス (AXP) – クローズドループ・ネットワーク
    自社でカードを発行し、自社ネットワークで決済を処理、さらに利用者への融資(リボ/分割/キャッシング等)も行います。つまり決済ネットワークに銀行機能が重なるモデル。高い加盟店手数料と金利収入を得られる一方、景気局面では貸し倒れリスクを自社で負担します。

比較サマリー:ネットワークのV、銀行のアメックス

項目 ビザ (V) アメリカン・エキスプレス (AXP)
ビジネスモデル 決済ネットワーク(テクノロジー企業) 決済ネットワーク + カード発行・融資(金融企業)
貸し倒れリスク なし あり
顧客層 幅広い一般大衆 富裕層・高所得者層に強み
連続増配年数 17年[1] 4年[2]
配当利回り(直近株価ベース) 0.8%
年率$2.68($0.67×4)に基づく、2025-11-04時点の目安[3]
0.9%
年率$3.28($0.82×4)に基づく、2025-11-04時点の目安[4]

業績と成長性の詳細分析

売上高(ネット売上)では、融資収益も取り込むアメックスが上回る傾向は不変。一方で、ビザはFY2025に売上$40.0B(+11%)と堅調に拡大し、営業利益率はTTMで約62%とネットワーク特有の高効率を維持しています。[5][6]

アメックスは2025年Q3売上(利息控除後)$18.4B(+11%)/EPS $4.14(+19%)と好調、2025年通期ガイダンスを売上+9〜10%、EPS $15.20〜$15.50へ引き上げています。[7]

ビザ 売上高(前年比) アメックス 売上高(前年比)
2025 $40.00 B (+11.0%)[5] Q3累計$53.25 B(+9%)/ガイダンス:通期+9〜10%[7]
2024 $35.93 B (+10.0%)[8] $65.90 B (+9.0%)[9]
2023 $32.65 B (+11.4%)[8] $60.50 B (+14.4%)[10]
2022 $29.31 B (+21.6%)[8] $52.90 B (+24.9%)[11]
2021 $24.04 B (+10.3%)[8] $42.38 B (+17.0%)[12]
2020 $21.78 B[8] $36.09 B[12]

※B=10億ドル。ビザは会計年度(9月期)、アメックスは暦年。2025年のAXPはQ3累計と通期ガイダンスの併記。

配当の詳細比較:低利回りだが高い増配力

アメックスは2025年に四半期配当を$0.82へ引き上げ(3月発表、9月再宣言)、連続増配は4年。ビザは2025年10月に四半期配当を$0.6714%増額し、連続増配は17年です。[2][7][1][3]

V 年間配当(増配率) AXP 年間配当(増配率)
2025 $2.44 (+17.3%)($0.59×3+$0.67×1)[3] $3.16 (+17.0%)($0.70×1+$0.82×3)[2]
2024 $2.08 (+15.6%)[3] $2.70 (+16.4%)[9]
2023 $1.80 (+20.0%)[3] $2.32 (+16.6%)[10]
2022 $1.50 (+17.2%)[3] $1.99 (+15.7%)[11]
2021 $1.28 (+6.7%)[3] $1.72 (0.0%)[12]
2020 $1.20 (+20.0%)[3] $1.72 (+7.8%)[12]

結論:あなたに合うのはどちら?

「究極の通行料ビジネス」の安定性を買うなら → ビザ (V)

貸し倒れリスクを負わず、世界の消費活動から通行料を徴収するモデル。営業利益率60%超の高い効率性が長期の株主価値を下支えします。テック寄りの高収益モデルを核にしたい投資家向け。[6]

「富裕層向け金融サービス」のブランド力を買うなら → アメリカン・エキスプレス (AXP)

富裕層・高所得者中心の顧客基盤、年会費収入、割賦・リボ等の利息収入で成長。景気悪化局面では信用コスト上昇のリスクがある一方、2025年Q3時点でも増収・増益ガイダンス上方修正を継続。金融セクターへの王道エクスポージャーを求める投資家に好適です。[7]


※本ページの分析は2025年11月4日(日本時間)時点の公開情報に基づきます。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。