BNDX・BWX・IGOV・IHY(世界債券ETF)を比較:株価・配当・構成銘柄

債券ETF,海外ETF

このページでは、積立投資や資産運用のポートフォリオを組む際の参考となるように、各ETFの概要(連動インデックス、投資対象)から、経費率や信用格付けといった重要なデータ、そして投資のリスクまでを詳しく紹介します。

(*ご注意:以下に記載する構成比率・平均デュレーション・配当利回り・国別投資比率などは常に変動します。最新の数値は各運用会社の公式サイトで必ずご確認ください。数値は特に断りがない限り2025年10月時点の公表資料をもとにしています。)

世界の債券ETFを比較【BNDX・BWX・IGOV・IHY】

世界の債券に投資するETF(上場投資信託)について、その特徴を比較し、情報を整理します。


【BNDX】バンガード・トータル・インターナショナル債券ETF

  • 主な投資対象:米国を除く、世界の投資適格債(国債・政府機関債・社債・証券化商品)
  • 連動インデックス:Bloomberg Global Aggregate ex-USD Float Adjusted RIC Capped Index(米ドルヘッジ)。[注1]
  • 特徴:圧倒的な低コスト(経費率0.07%)で、広範・投資適格中心に分散。平均デュレーション約7.0年(2025年6月末)。国別はフランス・日本・ドイツ・イタリア・英国などが上位。[注1]
  • 信用格付け構成:AAA/AA/A/BBBで大半を占める投資適格中心。例:AAA 24.3%、AA 27.2%、A 26.7%、BBB 18.4%(2025年6月末)。[注1]
  • 為替について:インデックスは現地通貨⇄米ドルをヘッジ(USD建ての値動きを目指す)。日本円で保有する場合はUSD⇄JPYの為替変動は残る点に注意。[注1]
  • 出所:Vanguard BNDX ファクトシート

【BWX】SPDR ブルームバーグ・インターナショナル国債ETF

  • 主な投資対象:米国を除く、世界の先進国の投資適格「国債」に限定。
  • 連動インデックス:Bloomberg Global Treasury ex-US Capped Index。
  • 特徴:社債を含まず国債に絞る保守的な設計。経費率0.35%オプション調整後デュレーション約7.77年(2025年10月8日)。分配は毎月[注2]
  • 出所:SSGA BWX 公式ページ

【IGOV】iシェアーズ・インターナショナル国債ETF

  • 主な投資対象:米国を除く、世界の先進国の投資適格「国債」
  • 連動インデックス:FTSE World Government Bond Index – Developed Markets Capped(USD)。[注3]
  • 特徴:BWXと同様に国債中心。経費率0.35%有効デュレーション約7.58年。主要発行体の比率例(2025年10月8日):日本11.71%、フランス8.48%、イタリア7.89%、ドイツ6.75%、英国6.13% 等。[注3]
  • 分配頻度:年間(Annual)。[注3]
  • 出所:iShares IGOV 公式ページファクトシート

【IHY】ヴァンエック・インターナショナル・ハイイールド債ETF

  • 主な投資対象:米国を除く、世界のハイイールド社債(投資不適格級)
  • 連動インデックス:ICE BofA Global ex-US Issuers High Yield Constrained Index(HXUS)。
  • 特徴:高いインカムを狙う代わりに、信用リスクが高い経費率0.40%有効デュレーション約3.15年と短めで、価格の金利感応度は国債系より小さめだが、景気悪化時にはスプレッド拡大による下落に注意。[注4]
  • 地域の傾向:上位は英国・フランス・カナダ・ルクセンブルク・オランダ・イタリアなどの比率が高い(2025年4月末ファクトシート)。[注4]
  • 分配頻度:毎月。[注4]
  • 出所:VanEck IHY 公式ページファクトシート

投資のポイントと注意点

1.「信用リスク」の違いを理解する

今回ご紹介したETFを安全性の高い順に整理すると概ね (BWX, IGOV) > BNDX ≫ IHY となります。BWX/IGOVは先進国の投資適格「国債」中心、BNDXは国債に加えて政府機関債・社債・証券化商品も含む「投資適格の広範インデックス」、IHYは投資不適格級の社債であり、景気後退期は価格下落が大きくなる傾向があります。

2.「為替リスク」を忘れない

BNDXは現地通貨⇄米ドルをヘッジしてUSD建ての値動きを目指しますが、円で保有する投資家にとってはUSD⇄JPYの為替変動の影響は残ります(円建て評価額は円高で目減り、円安で増加しやすい)。ヘッジの仕組みはBNDXのファクトシートで明記されています。[注1]

3.金利環境の変化に注意

債券ETFは金利に敏感で、金利上昇局面では価格が下落しやすくなります。一般にデュレーションが長いほど金利変動の影響を受けやすく、BWX・IGOV(約7.5〜7.8年)は金利感応度が相対的に高め、IHY(約3.15年)は短めです。ただしIHYは信用スプレッド拡大による価格下落リスクも大きいため、金利だけでなく景気動向にも注意が必要です。[注2][注3][注4]

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。最新の情報は各運用会社の公式サイトでご確認ください。

[注1]BNDXの出典:
Vanguard「BNDX ファクトシート(2025年6月末)」(指数の定義、為替ヘッジ方針、経費率0.07%、平均デュレーション7.0年、上位国配分・格付け構成 など)。

[注2]BWXの出典:
SSGA「BWX 公式ページ」(インデックス名、経費率0.35%OAD約7.77年分配頻度:毎月 ほか)。

[注3]IGOVの出典:
iShares「IGOV 公式ページ」経費率0.35%有効デュレーション約7.58年主要発行体の比率分配頻度:Annual など)/
ファクトシート

[注4]IHYの出典:
VanEck「IHY 公式ページ」経費率0.40%分配頻度:毎月 など)/
ファクトシート(2025年4月末)有効デュレーション約3.15年上位国比率 など)。

過去~現在株価

※左目盛り:株価推移(最大20分ディレイ)
※右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル



配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)

BNDXの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 4.16% 2.05 -6% 49.3 1.4%
2023 4.49% 2.18 240.6% 48.6 -3.8%
2022 1.27% 0.64 -68.2% 50.5 -11.9%
2021 3.51% 2.01 246.6% 57.3 -0.7%
2020 1.01% 0.58 -69.1% 57.7 1.4%
2019 3.3% 1.88 19% 56.9 4.4%
2018 2.9% 1.58 39.8% 54.5 0%
2017 2.07% 1.13 16.5% 54.5 -0.5%
2016 1.77% 0.97 16.9% 54.8 3.2%
2015 1.56% 0.83 9.2% 53.1 3.3%
2014 1.48% 0.76 65.2% 51.4 3.4%
2013 0.93% 0.46 0% 49.7 0%

BWXの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 1.94% 0.43 13.2% 22.2 -0.8%
2023 1.7% 0.38 65.2% 22.4 -6.2%
2022 0.96% 0.23 -4.2% 23.9 -19%
2021 0.81% 0.24 0% 29.5 0.9%
2020 0.82% 0.24 -4% 29.2 3.1%
2019 0.88% 0.25 8.7% 28.3 1%
2018 0.82% 0.23 130% 28 2.1%
2017 0.36% 0.1 27.5 59%
2016 17.3 31.2%
2015 13.2 -10.3%
2014 6.27% 0.92 -9.8% 14.7 0.7%
2013 7% 1.02 -13.6% 14.6 -2.9%
2012 7.86% 1.18 -38.9% 15 -0.8%
2011 12.76% 1.93 271.2% 15.1 6.6%
2010 3.66% 0.52 8.3% 14.2 3.4%
2009 3.5% 0.48 -69.4% 13.7 1.6%
2008 11.62% 1.57 13.5

IGOVの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 0.57% 0.227 39.8 1.5%
2023 0% 0 -100% 39.2 -7.1%
2022 0.09% 0.04 -78.9% 42.2 -19.8%
2021 0.36% 0.19 52.6 1.7%
2020 51.7 4%
2019 0.24% 0.12 -20% 49.7 0.8%
2018 0.3% 0.15 7.1% 49.3 3.4%
2017 0.29% 0.14 -79.7% 47.7 -1%
2016 1.43% 0.69 666.7% 48.2 5.7%
2015 0.2% 0.09 -92.4% 45.6 -10.4%
2014 2.34% 1.19 -7.8% 50.9 1.8%
2013 2.58% 1.29 -39.7% 50 -0.2%
2012 4.27% 2.14 -46.2% 50.1 -4%
2011 7.62% 3.98 75.3% 52.2 3.4%
2010 4.5% 2.27 8.1% 50.5 -0.6%
2009 4.13% 2.1 50.8

IHYの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 5.53% 1.15 4.5% 20.8 4%
2023 5.5% 1.1 20.9% 20 -1.5%
2022 4.48% 0.91 -11.7% 20.3 -19.8%
2021 4.07% 1.03 -10.4% 25.3 5.4%
2020 4.79% 1.15 0% 24 -2%
2019 4.69% 1.15 9.5% 24.5 -0.8%
2018 4.25% 1.05 -0.9% 24.7 -1.6%
2017 4.22% 1.06 -9.4% 25.1 5.9%
2016 4.94% 1.17 -6.4% 23.7 -1.7%
2015 5.19% 1.25 -12% 24.1 -11.1%
2014 5.24% 1.42 -14.5% 27.1 0.7%
2013 6.17% 1.66 26.9 6.3%


ポートフォリオ

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品の構成比率を見てみます。
債権の格付けなどの比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢