VGT·XLK·IYW·IXN(情報技術セクターETF)を比較する

セクターETF

米国の情報技術セクターETFのデータを比較してみます。

その代表は、バンガード社の【VGT】、ステート・ストリート社の【XLK】、ブラックロック社の【IYW】ですが、世界各国の情報テクノロジー企業に投資する【IXN】も紹介してみます。

ブラックロック社の世界投資型ETFは、どのセクターでも米国比率がかなり高いからです。

このページでは積立や資産運用の参考となるように、ETF(投資信託)の概要(連動するインデックス等)や株価チャート、配当利回り、ポートフォリオ等の詳細を整理してみましょう

【徹底比較】テクノロジーETF VGT vs XLK!グローバル投資という選択肢も

現代の株式市場を牽引する「情報技術(テクノロジー)セクター」。その成長にまとめて投資できるのが、VGTやXLKといったテクノロジーETFです。

しかし、一見すると同じように見えるこれらのETFですが、その中身(ポートフォリオ)はかなり異なります。あるETFは幅広く分散しているのに対し、別のETFはたった2つの巨大企業に資産の半分近くを集中投資している、といった大きな違いがあります。

この記事では、まず米国を代表するテクノロジーETFの戦略的な違いを解き明かし、さらに視野を世界に広げたグローバル投資の選択肢までを詳しく解説します。

主要テクノロジーETF 比較一覧表

まずは、今回ご紹介するETFの「個性」が一目でわかる比較表をご覧ください。「経費率」と、ポートフォリオの「トップ2銘柄への集中度」が特に重要な比較ポイントです。

ティッカー 投資戦略 経費率(年率) 銘柄数(目安) トップ2集中度(目安)
VGT 米国・幅広分散型 0.10% 約310 約40%
XLK 米国・超大型集中型 0.09% 約70 約45%
IYW 米国・独自基準型 (高コスト) 0.40% 約130 約35%
IXN グローバル分散型 (高コスト) 0.41% 約190 約33%

※データは2025年6月時点のものを参考にしています。トップ2集中度はアップルとマイクロソフトの合計比率の目安。各種データは変動します。


米国テクノロジーETFの選択:分散か、集中か

【VGT】バンガード米国情報技術セクターETF (分散・網羅型)

  • 特徴: 米国のテクノロジー企業、約300銘柄に幅広く投資します。大型株だけでなく、将来の成長が期待される中型株や小型株までカバーしているのが最大の魅力です。特定の巨大企業への依存度を下げ、より分散の効いた安定的な投資をしたい方に向いています。
  • 出典: Vanguard

【XLK】テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド (超大型・集中型)

  • 特徴: S&P500の中からテクノロジー関連の巨大企業約70社だけに投資します。最大の特徴は、アップルとマイクロソフトの2社だけで、資産の約45%を占めるという極端な集中投資である点です。米国の「ビッグ・テック」の成長に強く賭けたい、ハイリスク・ハイリターンを狙う投資家向けの選択肢です。
  • 出典: SSGA

【IYW】iシェアーズ 米国テクノロジーETF (独自基準・集中型)

  • 特徴: ダウ・ジョーンズの独自基準で銘柄を選定するため、他のETFでは通信セクターに分類されるメタ(META)やアルファベット(GOOGL)が含まれるのがユニークな点です。しかし、経費率が0.40%とVGT/XLKに比べて4倍高く、長期投資におけるコスト負担が大きなデメリットになります。
  • 出典: iShares

グローバル投資という戦略:なぜ世界に目を向けるのか?

「米国の企業だけに投資するのは、カントリーリスクの観点から集中しすぎている」と考える投資家にとって、グローバルな視点を持つことは非常に重要です。世界の優良企業にアクセスし、地政学的なリスクや特定国の経済・政策リスクを分散する効果が期待できます。

【IXN】iシェアーズ グローバル・テクノロジー ETF

IXNは、そのグローバル戦略を実現するための具体的な選択肢です。米国のトップ企業に加えて、各国の代表的なテクノロジー企業にも投資します。

  • 世界的なリーダー企業へのアクセス: 米国市場にはない、半導体受託製造の巨人TSMC(台湾)や、半導体製造装置のトップ企業ASML(オランダ)、そしてサムスン電子(韓国)といった世界のトップ企業に投資できます。
  • コストとのトレードオフ: IXNの経費率は0.41%であり、VGT/XLKの約4倍です。このコストを支払ってでもグローバル分散のメリットを享受したいか、という視点での検討が必要になります。

出典: iShares


投資前に理解すべきテクノロジーセクターのリスク

高い成長が期待できる一方、テクノロジーセクターへの集中投資には特有のリスクが伴います。

  1. 高いボラティリティ(価格変動): 景気の動向や市場心理に敏感に反応するため、市場全体(S&P500など)に比べて価格の変動が激しくなる傾向があります。
  2. 金利上昇への弱さ: 将来の成長を織り込んで株価が形成されるグロース株は、金利が上昇すると理論上の株価が下がりやすく、売られやすい傾向があります。
  3. 規制リスク: 世界各国で、巨大IT企業に対する独占禁止法や個人情報保護などの規制強化の動きが強まっており、これが株価の重しになる可能性があります。

【まとめ】あなたの投資スタイルに合うのは?

  • 分散を重視し、中小型株の成長も狙いたいなら → VGT
  • 低コストで米国の巨大IT企業の成長に賭けるなら → XLK
  • 米国外の世界的リーダーにも分散投資したいなら → IXN

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。




配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算するので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高くなることがあります)

VGTの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 0.67% 3.72 19.6% 556.1 35.9%
2023 0.76% 3.11 7.6% 409.3 13.1%
2022 0.8% 2.89 -0.3% 362 -9.1%
2021 0.73% 2.9 0.3% 398.3 41.7%
2020 1.03% 2.89 7% 281 34.2%
2019 1.29% 2.7 26.8% 209.4 14.7%
2018 1.17% 2.13 33.1% 182.6 25.4%
2017 1.1% 1.6 1.3% 145.6 30.5%
2016 1.42% 1.58 14.5% 111.6 4.1%
2015 1.29% 1.38 17.9% 107.2 11.7%
2014 1.22% 1.17 24.5% 96 24.2%
2013 1.22% 0.94 13.3% 77.3 10.6%
2012 1.19% 0.83 72.9% 69.9 12%
2011 0.77% 0.48 33.3% 62.4 12.8%
2010 0.65% 0.36 44% 55.3 28.%
2009 0.58% 0.25 -21.9% 43.2 -10.9%
2008 0.66% 0.32 48.5

XLKの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 0.7% 1.52 4.8% 216.5 34.2%
2023 0.9% 1.45 14.2% 161.3 15.3%
2022 0.91% 1.27 15.5% 139.9 -5.5%
2021 0.74% 1.1 -6.8% 148 40.7%
2020 1.12% 1.18 13.5% 105.2 35.4%
2019 1.34% 1.04 7.2% 77.7 12.3%
2018 1.4% 0.97 14.1% 69.2 22%
2017 1.5% 0.85 2.4% 56.7 26.8%
2016 1.86% 0.83 10.7% 44.7 5.9%
2015 1.78% 0.75 7.1% 42.2 10.2%
2014 1.83% 0.7 18.6% 38.3 20.8%
2013 1.86% 0.59 22.9% 31.7 9.3%
2012 1.66% 0.48 33.3% 29 13.7%
2011 1.41% 0.36 16.1% 25.5 11.8%
2010 1.36% 0.31 6.9% 22.8 23.2%
2009 1.57% 0.29 38.1% 18.5 -12.7%
2008 0.99% 0.21 21.2

IYWの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 0.23% 0.33 -8.3% 143.6 41.9%
2023 0.36% 0.36 2.9% 101.2 15.1%
2022 0.4% 0.35 2.9% 87.9 -11.4%
2021 0.34% 0.34 -26.1% 99.2 46.1%
2020 0.68% 0.46 12.2% 67.9 36.6%
2019 0.82% 0.41 17.1% 49.7 11.7%
2018 0.79% 0.35 12.9% 44.5 23.3%
2017 0.86% 0.31 -3.1% 36.1 31.3%
2016 1.16% 0.32 14.3% 27.5 3.8%
2015 1.06% 0.28 0% 26.5 10.4%
2014 1.17% 0.28 33.3% 24 24.4%
2013 1.09% 0.21 40% 19.3 6.6%
2012 0.83% 0.15 114.3% 18.1 11.7%
2011 0.43% 0.07 75% 16.2 12.5%
2010 0.28% 0.04 -20% 14.4 27.4%
2009 0.44% 0.05 25% 11.3 -9.6%
2008 0.32% 0.04 12.5

IXNの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 0.46% 0.36 -2.7% 78.3 35.9%
2023 0.64% 0.37 -26% 57.6 13.8%
2022 0.99% 0.5 42.9% 50.6 -10.1%
2021 0.62% 0.35 0% 56.3 41.8%
2020 0.88% 0.35 12.9% 39.7 33.2%
2019 1.04% 0.31 40.9% 29.8 9.2%
2018 0.81% 0.22 22.2% 27.3 21.3%
2017 0.8% 0.18 -5.3% 22.5 33.1%
2016 1.12% 0.19 11.8% 16.9 5%
2015 1.06% 0.17 13.3% 16.1 9.5%
2014 1.02% 0.15 7.1% 14.7 20.5%
2013 1.15% 0.14 75% 12.2 10.9%
2012 0.73% 0.08 14.3% 11 8.9%
2011 0.69% 0.07 40% 10.1 8.6%
2010 0.54% 0.05 -16.7% 9.3 22.4%
2009 0.79% 0.06 100% 7.6 -13.6%
2008 0.34% 0.03 8.8


ポートフォリオの比較

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、組入れ上位10銘柄はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢