IFRA・IGFを比較:米国インフラETFの株価・配当
各ETFの経費率、分配利回り、純資産総額(AUM)、組入銘柄数、セクター構成などを、主に2026年7月15~16日時点の公式公表値へ更新しました。IFRAはインフラ建設企業だけでなく、公益事業などのインフラ資産所有者も組み入れるため、従来の「作る側に特化したETF」という説明も修正しています。[1][2]
インフラ銘柄への投資は、電力、交通、エネルギー、建設資材など、経済活動に不可欠な事業へ分散投資できる点が特徴です。利用料や規制料金から比較的安定した収益を得る企業がある一方、建設需要、金利、政策、資材価格の影響を受ける企業も含まれます。
本記事では、インフラETFを代表する2銘柄、iシェアーズのIFRAとIGFについて、その設計思想から収益源までを比較・整理します。
インフラ投資の二つの設計:IFRA(米国関連企業)とIGF(世界の運営企業)の違い
同じ「インフラETF」でも、組み入れる企業の地域や事業内容は異なります。IFRAは米国のインフラ関連企業を対象とし、建設、資材、輸送、エネルギー、公益事業などへ幅広く投資します。一方、IGFは先進国を中心とする公益事業、交通、エネルギーインフラの所有・運営企業を対象とします。[1][2]
元の記事では、IFRAをインフラを「作る側」、IGFを「持つ側」と整理していました。ただし、2026年7月15日時点のIFRAは公益事業が42.22%を占めており、インフラ資産の所有・運営企業も多く含みます。そのため、両ETFの違いは「建設対運営」という単純な二分法ではなく、米国のインフラ関連企業を広く保有するIFRAと、世界の上場インフラ運営企業に重点を置くIGFとして捉える方が正確です。[1]
【IFRA】iシェアーズ U.S.インフラETF 〜米国のインフラ関連企業へ幅広く投資〜
IFRAは、米国でインフラ事業に関わる企業へ投資するETFです。連動指数は、インフラの建設や資材供給を担う「インフラ・イネーブラー」と、公益事業や輸送などの「インフラ資産所有者」の双方を組み入れる設計です。[1]
したがって、政府の公共投資、電力需要の増加、送配電網の更新、製造業の国内回帰、道路・鉄道整備などの恩恵を期待できる一方、公益事業株の金利感応度や規制リスクも抱えます。
| 基本情報(主に2026年7月15~16日時点) | |
|---|---|
| 経費率 | 0.30%(2026年7月16日確認時点、目論見書記載値)[1] |
| 分配利回り |
12カ月実績利回り:1.54%(2026-06-30時点) 30日SEC利回り:1.44%(2026-06-30時点)[1] |
| 純資産総額(AUM) | 約45.82億米ドル(4,581,643,042ドル、2026-07-16時点)[1] |
| 組入銘柄数 | 161銘柄(2026-07-15時点)[1] |
| セクター構成 | 公益事業42.22%、資本財・サービス35.69%、素材12.96%、エネルギー8.72%など(2026-07-15時点)[1] |
| 30日平均出来高 | 約60.1万口(2026-07-15時点)[1] |
| 30日中央値売買スプレッド | 0.05%(2026-07-15時点)[1] |
| ポートフォリオの性質 | 米国のインフラ資産所有者と、建設・資材・設備などの関連企業を組み合わせたポートフォリオです。公益事業の比率が最も高いため、建設需要だけでなく金利や電力需要の影響も受けます。 |
【IGF】iシェアーズ グローバル・インフラETF 〜世界のインフラを所有・運営する企業へ投資〜
IGFは、先進国を中心とする世界のインフラ関連企業へ投資するETFです。主な投資対象は、電力・ガスなどの公益事業、鉄道、空港、有料道路、港湾、パイプラインといったインフラ資産の所有・運営企業です。[2]
これらの企業は、利用料、輸送料、規制料金などを主な収益源とします。需要が比較的安定しやすい事業を含む一方、多額の設備投資や借入を必要とする企業も多く、金利上昇や規制変更によって利益や企業価値が圧迫される可能性があります。
| 基本情報(主に2026年7月15~16日時点) | |
|---|---|
| 経費率 | 0.39%(2026年7月16日確認時点、目論見書記載値)[2] |
| 分配利回り |
12カ月実績利回り:2.90%(2026-06-30時点) 30日SEC利回り:2.79%(2026-06-30時点)[2] |
| 純資産総額(AUM) | 約108.71億米ドル(10,871,416,865ドル、2026-07-16時点)[2] |
| 組入銘柄数 | 75銘柄(2026-07-15時点)[2] |
| セクター構成 | 公益事業39.90%、運輸36.82%、エネルギー20.20%、現金・デリバティブ3.08%(2026-07-15時点)[2] |
| 地域比率 | 米国36.54%、スペイン9.00%、カナダ8.40%、オーストラリア7.14%、メキシコ6.67%、フランス6.09%など(2026-07-15時点)[2] |
| 30日平均出来高 | 約79.5万口(2026-07-15時点)[2] |
| 30日中央値売買スプレッド | 0.01%(2026-07-15時点)[2] |
| ポートフォリオの性質 | 世界の公益事業、輸送、エネルギーインフラが中心です。利用料や規制料金などの継続的な収益を得る企業が多く、IFRAより分配利回りが高い傾向があります。 |
IFRAとIGFの比較・投資判断のポイント
IFRAとIGFでは、投資地域、銘柄数、セクター構成、利回り、売買流動性に違いがあります。IFRAは米国のインフラ投資や電力需要拡大の恩恵を狙いやすく、IGFは世界のインフラ運営企業からのインカムと地域分散を得やすい設計です。
| 比較項目 | IFRA 米国インフラ関連 |
IGF 世界のインフラ運営 |
|---|---|---|
| 主要ビジネス | 公益事業、建設、資材、鉄道、エネルギーなど | 公益事業、交通、パイプラインなど |
| 投資地域 | 米国企業 | 先進国を中心にグローバル分散 |
| 組入銘柄数 | 161銘柄 | 75銘柄 |
| 経費率 | 0.30% | 0.39% |
| 12カ月実績利回り | 1.54% | 2.90% |
| 30日SEC利回り | 1.44% | 2.79% |
| 3年標準偏差 | 17.00% | 12.41% |
| 3年株式ベータ | 0.85 | 0.47 |
| 30日中央値売買スプレッド | 0.05% | 0.01% |
| 主な投資目的 | 米国のインフラ投資、電力需要、設備更新による成長を狙う | インカム、地域分散、比較的低い市場感応度を重視する |
※組入銘柄数と売買スプレッドは2026年7月15日時点、経費率は2026年7月16日確認時点、利回り・標準偏差・ベータは2026年6月30日時点です。[1][2]
値動きの安定性については、IGFが常にIFRAより安全とは限りません。ただし、2026年6月30日時点の3年標準偏差はIFRAの17.00%に対してIGFは12.41%、3年株式ベータはIFRAの0.85に対してIGFは0.47でした。直近3年間の実績では、IGFの方が市場全体に対する感応度と値動きの幅が小さかったことを示しています。[1][2]
投資に際して留意すべき4大リスク
- 金利変動リスク:インフラ企業は設備投資に多額の資金を必要とし、借入金も大きくなりやすい業種です。金利上昇時には支払利息や資金調達コストが増えるほか、債券利回りとの比較から高配当株の投資魅力が低下する可能性があります。
- 規制・政策リスク:IFRAに含まれる建設・資材企業は、公共予算の成立や執行時期の影響を受けます。公益事業や交通インフラ企業は、料金改定、事業許可、環境規制、独占規制などによって収益が制約される可能性があります。
- コモディティ価格と需要変動:パイプラインなどのエネルギーインフラ企業は、契約に基づく利用料収入を得る場合でも、長期的には原油・天然ガスの生産量や輸送需要の影響を受けます。建設・素材企業は、鋼材、セメント、燃料などの価格上昇によって利益率が圧迫される可能性があります。
- 為替・海外投資リスク:IGFは米国以外の企業を幅広く保有するため、各国の政治、規制、景気、通貨変動の影響を受けます。また、IFRAとIGFはいずれも米ドル建てETFであり、日本の投資家は円高・ドル安によって円換算の投資収益が減少する可能性があります。
まとめ:ポートフォリオにおける役割の最適化
IFRAは、米国の公益事業、資本財、素材、エネルギー企業を組み合わせ、米国内の電力需要、老朽設備の更新、製造業投資、交通インフラ整備などの恩恵を狙うETFです。2026年7月15日時点では公益事業が42.22%を占めているため、単純な建設・資材ETFではありません。[1]
IGFは、世界の公益事業、交通、エネルギーインフラ企業から得られる収益と地域分散を重視するETFです。2026年7月15日時点で米国比率は36.54%にとどまり、スペイン、カナダ、オーストラリア、メキシコ、フランスなどにも分散しています。[2]
経費率を抑え、米国インフラ関連企業へ幅広く投資するならIFRA、分配利回り、海外分散、直近実績における比較的低い市場感応度を重視するならIGFが候補となります。
ただし、2026年6月30日時点では、IFRAとIGFの30日SEC利回りはいずれも12カ月実績利回りを下回っていました。元の記事にあった「足元のSEC利回りが過去の平均的な利回りを上回っている」との説明は、2026年7月時点の公表値には当てはまりません。利回りだけを理由に投資時期を判断せず、金利、株価水準、構成銘柄、既存ポートフォリオとの重複を確認する必要があります。[1][2]
2026年7月15日時点のIGFは、公益事業が39.90%、運輸が36.82%、エネルギーが20.20%を占めていました。これらの業種には、成熟した設備から利用料や規制料金を得て、その利益の一部を配当として還元する企業が多く含まれます。
一方、IFRAは公益事業を42.22%含むものの、資本財・サービスが35.69%、素材が12.96%を占めます。建設、設備、資材関連企業は、利益を設備投資、買収、研究開発などへ振り向ける場合も多いため、ETF全体の分配利回りはIGFより低くなっています。[1][2]
【注】(出典リンク)
- IFRAの指数・経費率・純資産・利回り・銘柄数・セクター構成・流動性 → iShares:iShares U.S. Infrastructure ETF公式商品ページ / iShares:IFRA Fact Sheet(確認日:2026-07-17) ↩
- IGFの指数・経費率・純資産・利回り・銘柄数・地域・セクター構成・流動性 → iShares:iShares Global Infrastructure ETF公式商品ページ(確認日:2026-07-17) ↩
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
配当(分配金)と利回り
年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算するので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高くなることがあります)
IFRAの利回り
| 年 | 配当 | 株価 | |||
| 平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
| 2025 | 4.13% | 0.967 | 19.4% | 23.4 | 12.5% |
| 2024 | 3.89% | 0.810 | 1.3% | 20.8 | 4.5% |
| 2023 | 4.02% | 0.800 | -10.1% | 19.9 | -7.9% |
| 2022 | 4.12% | 0.890 | 34.8% | 21.6 | 4.3% |
| 2021 | 3.19% | 0.660 | 11.9% | 20.7 | 5.6% |
| 2020 | 3.01% | 0.590 | 25.5% | 19.6 | -7.1% |
| 2019 | 2.23% | 0.470 | -52.0% | 21.1 | 11.1% |
| 2018 | 5.16% | 0.980 | – | 19.0 | – |
IGFの利回り
| 年 | 配当 | 株価 | |||
| 平均利回り | 年累計 | 年伸び率 | 平均株価 | 年伸び率 | |
| 2025 | 3.38% | 1.979 | 17.8% | 58.5 | 17.2% |
| 2024 | 3.37% | 1.680 | 6.3% | 49.9 | 7.5% |
| 2023 | 3.41% | 1.58 | -6.0% | 46.4 | -2.1% |
| 2022 | 3.54% | 1.68 | -1.8% | 47.4 | 3.0% |
| 2021 | 3.72% | 1.71 | 71.0% | 46.0 | 13.0% |
| 2020 | 2.46% | 1.00 | -35.9% | 40.7 | -10.2% |
| 2019 | 3.44% | 1.56 | 13.0% | 45.3 | 5.8% |
| 2018 | 3.22% | 1.38 | 4.5% | 42.8 | -2.3% |
| 2017 | 3.01% | 1.32 | 13.8% | 43.8 | 12.0% |
| 2016 | 2.97% | 1.16 | 0.9% | 39.1 | -3.7% |
| 2015 | 2.83% | 1.15 | -8.7% | 40.6 | -3.6% |
| 2014 | 2.99% | 1.26 | -6.0% | 42.1 | 12.9% |
| 2013 | 3.59% | 1.34 | -8.2% | 37.3 | 7.8% |
| 2012 | 4.22% | 1.46 | 1.4% | 34.6 | -1.7% |
| 2011 | 4.09% | 1.44 | 11.6% | 35.2 | 5.4% |
| 2010 | 3.86% | 1.29 | 13.2% | 33.4 | 12.8% |
| 2009 | 3.85% | 1.14 | 107.3% | 29.6 | -26.7% |
| 2008 | 1.36% | 0.55 | – | 40.4 | – |
ポートフォリオ
次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、セクター別比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

