NKE(ナイキ)今後の見通し
ナイキ(NIKE, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(NKEとUAAを比較:ナイキとアンダーアーマー)を参照
直近決算
米国時間で3月30日にNKEは四半期決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想0.3$→結果0.35$
・売上高:予想112.3億$→結果113億$(前年同期比-3%)
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreetinsiderを参照しました。
企業概要
ナイキ(NIKE, Inc.)は、世界最大級のスポーツ用品メーカーであり、フットウェア・アパレル・機器・アクセサリーの設計・開発・マーケティング・販売を世界各国で行っています。報告セグメントはNIKEブランド(地域別:北米/EMEA/中国/APLA)とConverseで構成されます。2025年通期(決算期末:2025年5月31日)の連結売上高は463.09億ドル、うちNIKEブランドが447.14億ドルで全体の大半を占めます。[1]
製品はスポーツシューズとウェアが中心で、アクセサリーや機器も展開します。販売は自社直営(NIKE Direct:自社ECと直営店)と卸売の両チャネルで行われます。2025年通期のNIKEブランド売上では、卸売が258.83億ドル、NIKE Directが187.83億ドルでした。2026年Q3(2026年2月28日までの3カ月)では、卸売売上が65億ドル(前年同期比+5%)、NIKE Directが45億ドル(同-4%)となり、直販偏重から卸売パートナー再強化へ軸足を戻す動きが見えます。[1][2]
ブランドの中核をなす「NIKE」ブランドの売上比率は2025年通期で9割超(447.14億ドル/463.09億ドル)に達し、ジョーダン・ブランドはNIKEブランドの内部で計上されます。Converseは独立セグメントとして開示され、2025年通期売上は16.92億ドル、2026年Q3売上は2.64億ドル(前年同期比-35%)でした。[1][2]
直営店(NIKE Directの店舗)は、2025年5月期時点で米国内376店(NIKEブランドのファクトリーストア213、インライン85、Converse78)、米国外658店(NIKEブランドのファクトリー543、インライン61、Converse54)が稼働していました。連結では世界で約1,029店を賃借しています。[3] 主要な外部EC連携としては、中国の天猫(Tmall)公式旗艦店、欧州ではZalandoとの提携、日本ではZOZOTOWNやABC-MARTなどでの展開があります。[4][5][6]
その事業は3つの領域に分かれています。
■フットウェア:ランニング、バスケットボール、サッカー、トレーニング等、各スポーツに特化したシューズを幅広く展開。代表的なシリーズに「Air Max」「Air Jordan」「Nike Free」などがあります。2025年通期のNIKEブランド・フットウェア売上は295.10億ドルで、NIKEブランド売上の最大項目です。2026年Q3のNIKEブランド・フットウェア売上は72.08億ドルでした。[1][2]
■アパレル:スポーツ/カジュアル/トレーニング用途のウェアを展開。機能性素材と着心地で、競技から日常までカバーします。2025年通期のNIKEブランド・アパレル売上は129.65億ドル、2026年Q3は31.93億ドルでした。[1][2]
■アクセサリーおよび機器:バッグ、帽子、ソックスなどのアクセサリーに加え、各種スポーツ機器を提供しています。2025年通期のNIKEブランド・機器売上は21.91億ドル、2026年Q3は4.77億ドルでした。[1][2]
社史をさかのぼると、1964年にBlue Ribbon Sportsとして創業、1971年にナイキ・ブランド(スウッシュ)が誕生し、現在の体制の礎となりました。現在の本社所在地は米オレゴン州ビーバートンです。[7]
現在、ナイキは世界のスポーツ用品市場で高い知名度を持ち、競技スポーツだけでなく、ファッションやライフスタイルにも強い影響力を持つブランドとして評価されています。一方で、2025年通期は売上が前年比10%減少し、2026年に入っても中国、Converse、NIKE Directの回復が遅れています。2024年10月にCEOへ復帰したエリオット・ヒル氏の下で、同社は「スポーツ」を再び中核に置き、過剰な販促・在庫整理、卸売パートナーとの関係再構築、製品イノベーションの強化を進めています。[1][2][8]
1980年代にNBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンと契約し「Air Jordan」シリーズを展開、スポーツ用品業界に革新をもたらしました。ジョーダン・ブランドの売上はNIKEブランド各地域に含めて開示されており、2025年通期のジョーダン・ブランド売上は72.70億ドルでした。ただし、2025年通期は前年比16%減となっており、ライフスタイル系定番商品の過度な依存を見直す局面に入っています。[1]
〔特色あるブランド戦略〕
ナイキのブランド戦略は、革新性・情熱・挑戦を前面に打ち出します。スローガン「Just Do It」は個々の挑戦を象徴し、幅広い層に浸透しています。[4]
・著名アスリート/チームとのスポンサー契約を通じ、アイコニックな価値と市場での影響力を強化しています。2025年通期も、スポーツイベントや重点競技への投資により、需要創造費用は48.30億ドルと高水準を維持しました。[1]
・デジタル/ソーシャル活用で消費者と直接つながり、会員プログラムや直販の体験価値を高めています。ただし、2025年通期のNIKE Direct売上は187.83億ドル(前年比-13%)、2026年Q3もNIKE Directは前年同期比-4%でした。現在は自社ECを「フルプライス重視の場」へ戻しつつ、卸売パートナーへの再投資も進める段階です。[1][2]
〔製品開発の技術革新とデジタル導入〕
・「Flyknit」や「React(ReactX含む)」「Zoom Air」等の独自技術により、軽量化・快適性・反発性を追求し差別化しています。2026年の再建局面では、ランニングなどのパフォーマンス領域を重視し、単なる定番商品の回転よりも「競技起点の新製品」で需要を作り直すことが重要になっています。[9][10][11]
・モバイルアプリや会員向けデジタル機能、店頭のデジタル体験などを通じて、購入導線とロイヤルティを強化しています。一方、2026年Q3ではNIKEブランド・デジタル売上が前年同期比9%減となっており、デジタル販売の量を追うだけでなく、値引き依存を下げてブランド価値を守ることが課題です。[2]
ミニ解説
NIKE Direct=自社EC+直営店です。外部モール(例:Tmall、Zalando、ZOZOTOWNなど)は連携先であり、会員連携や限定商品の提供などを進めています。2020年代前半は直販強化が重視されましたが、2025〜2026年の再建局面では、直販と卸売のバランスを取り直すことが重要になっています。[2][4][5]
リスクと留意点
- 再建に時間がかかるリスク:2026年Q3は売上が横ばいだった一方、粗利率は40.2%へ低下しました。会社側は「Win Now」施策が2026年中の業績に引き続き影響すると説明しており、短期的には値引き、在庫整理、チャネル再構築の負担が残ります。[2]
- 中国・Converseの弱さ:2026年Q3のGreater China売上は16.15億ドル(前年同期比-7%、為替中立で-10%)、Converse売上は2.64億ドル(前年同期比-35%)でした。地域・ブランドごとの回復速度に差があります。[2]
- 関税・原価上昇:2026年Q3の粗利率低下は、主に北米の関税上昇が要因と説明されています。製造はベトナム、インドネシア、中国など海外委託先に依存しており、関税・地政学・サプライチェーンの変化に影響されます。[2][12]
- 外部委託生産への依存:2025年通期のNIKEブランド・フットウェア生産は、ベトナム約51%、インドネシア約28%、中国約17%でした。上位4社のフットウェア委託先が合計で生産の約59%を占めており、供給網の集中にも留意が必要です。[12]
【注】(出典リンク)
- 2025年Form 10-K:事業・売上内訳・販売チャネル・ジョーダン・ブランド・Converse → NIKE 2025 Form 10-K。一次(SEC) / 一次(PDF) / 確認日:2026-05-10 ↩
- 2026年Q3決算:売上、NIKE Direct、卸売、Converse、粗利率、中国、デジタル、Win Now施策 → NIKE 2026年Q3決算発表およびForm 10-Q。一次 / 一次(10-Q) / 確認日:2026-05-10 ↩
- 2025年Form 10-K:米国内376店、米国外658店、世界約1,029店の賃借店舗数 → NIKE 2025 Form 10-K。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- 企業概要・理念・スローガン・本社所在地 → NIKE公式「About NIKE, Inc.」。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Zalandoとの戦略的提携(欧州EC連携) → Zalando公式リリース。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- 日本EC連携・国内販売チャネルの例 → ZOZOTOWN NIKEページ、ABC-MART NIKEページ。二次 / 二次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Blue Ribbon Sports創業、本社所在地、NIKEブランドの歴史 → NIKE公式・会社概要。一次 / 一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- CEO Elliott Hillの復帰、卸売パートナー再構築、再建施策に関する補足 → Reuters報道。二次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Flyknitの技術概要 → Nike公式・NIKEニュースルーム。一次 / 一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- React/ReactXの技術概要 → Nike公式・NIKEニュースルーム。一次 / 一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- Zoom Airの技術概要 → Nike公式ヘルプ。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
- 委託生産・製造国・サプライヤー集中、2025年フットウェア生産比率 → NIKE 2025 Form 10-K。一次 / 確認日:2026-05-10 ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】

