ナイキ(NKE)の配当金・配当利回り|株価・配当月・増配推移
ナイキ(NIKE, Inc.、NKE)の配当金、配当利回り、配当月、権利落ち日、株価と業績の推移を確認します。
現在の四半期配当は1株0.41ドル、年間換算配当は1.64ドルです。直近の配当は2026年6月1日を基準日として、2026年7月1日に支払われました。ナイキは2025年11月の配当改定で24年連続増配となっています。[1]
本記事では、2026年6月30日に発表された2026年度第4四半期・通期決算と、2026年7月15日に提出されたForm 10-Kを反映しています。[3][5]
ナイキの配当・株価早見表
| 項目 | 2026年8月5日時点 |
|---|---|
| 四半期配当 | 0.41ドル |
| 年間換算配当 | 1.64ドル |
| 主な配当支払月 | 1月・4月・7月・10月 |
| 直近の権利落ち日 | 2026年6月1日 |
| 直近の配当支払日 | 2026年7月1日 |
| 連続増配 | 24年 |
| 2026年度配当性向 | 約78% |
| 2026年8月4日終値 | 41.53ドル |
| 予想配当利回り | 約3.95% |
予想配当利回りは、年間換算配当1.64ドルを2026年8月4日終値41.53ドルで割って計算しています。株価の変動に伴い、実際の利回りも変化します。[2]
ナイキの配当月・権利落ち日・支払日
ナイキは四半期配当を実施しており、最近の配当支払月は1月・4月・7月・10月です。
直近4回の配当日程は次の通りです。米国株では2024年5月に決済期間がT+1へ短縮されたため、最近のナイキでは権利落ち日と基準日が同日になっています。
| 配当宣言日 | 権利落ち日 | 基準日 | 支払日 | 1株配当 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年8月7日 | 2025年9月2日 | 2025年9月2日 | 2025年10月1日 | 0.40ドル |
| 2025年11月20日 | 2025年12月1日 | 2025年12月1日 | 2026年1月2日 | 0.41ドル |
| 2026年2月13日 | 2026年3月2日 | 2026年3月2日 | 2026年4月1日 | 0.41ドル |
| 2026年5月4日 | 2026年6月1日 | 2026年6月1日 | 2026年7月1日 | 0.41ドル |
2026年8月5日時点で、次回分の配当は正式発表されていません。過去の日程からは10月前後の支払いが想定されますが、配当額、基準日、支払日は取締役会による正式な宣言を確認する必要があります。[1][2]
米国株の配当を受け取るには、原則として権利落ち日の前営業日までに株式を購入しておく必要があります。取引日、決済日、証券会社の取扱時間、祝日の影響もあるため、実際の購入時には利用する証券会社の日程を確認してください。
配当利回りと株価の推移:3カ月チャート
以下は、ナイキの株価と配当利回りの直近3カ月の推移です。
2026年8月4日終値41.53ドルと年間換算配当1.64ドルを使った予想配当利回りは約3.95%です。ナイキの過去の平均的な配当利回りと比べると高い水準ですが、利回り上昇の主因は増配ではなく株価下落です。[2]
年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等
年平均の配当利回り、配当成長率、配当性向、年間の1株配当、参考平均株価、通年EPSの推移を確認します。
ナイキの会計年度は5月31日に終了します。本表の「年度」は各年5月期を指し、年間配当は各会計年度に宣言された1株配当を株式分割調整後の金額で表示しています。
平均株価は各会計年度に対応する6月1日から翌年5月31日までの参考値です。2026年度の参考平均株価は、月次調整後終値の単純平均を用いています。[4]
| 年度 | 配当 | 参考 平均株価 |
希薄化後 EPS |
|||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均利回り | 成長率 | 配当性向 | 年計 | |||
| 2026 | 2.65% | 4% | 78% | 1.630 | 61.6 | 2.10 |
| 2025 | 2.13% | 8% | 73% | 1.570 | 73.7 | 2.16 |
| 2024 | 1.81% | 9% | 39% | 1.450 | 79.9 | 3.73 |
| 2023 | 1.29% | 11% | 41% | 1.325 | 102.5 | 3.23 |
| 2022 | 1.06% | 11% | 32% | 1.190 | 112.2 | 3.75 |
| 2021 | 0.72% | 12% | 30% | 1.070 | 148.9 | 3.56 |
| 2020 | 0.76% | 11% | 60% | 0.955 | 125.0 | 1.60 |
| 2019 | 0.96% | 10% | 35% | 0.860 | 89.9 | 2.49 |
| 2018 | 0.98% | 11% | 67% | 0.780 | 79.7 | 1.17 |
| 2017 | 1.15% | 13% | 28% | 0.700 | 60.7 | 2.51 |
| 2016 | 1.14% | 15% | 29% | 0.620 | 54.3 | 2.16 |
| 2015 | 0.91% | 16% | 29% | 0.540 | 59.4 | 1.85 |
| 2014 | 1.03% | 15% | 31% | 0.465 | 45.1 | 1.49 |
| 2013 | 1.13% | 17% | 30% | 0.405 | 35.9 | 1.35 |
| 2012 | 1.33% | 16% | 29% | 0.348 | 26.1 | 1.20 |
| 2011 | 1.24% | 13% | 27% | 0.300 | 24.1 | 1.12 |
| 2010 | 1.33% | 8% | 27% | 0.265 | 20.0 | 0.97 |
| 2009 | 1.54% | 11% | 32% | 0.245 | 15.9 | 0.76 |
| 2008 | 1.63% | - | 23% | 0.220 | 13.5 | 0.94 |
元の集計では2013年、2016年、2020年などの配当成長率がマイナスになっていましたが、これは株式分割前後の金額や集計期間が混在したためです。
株式分割調整後の「会計年度中に宣言された配当」へ統一すると、2008年度以降の本表では毎年増配となります。[4]
直近決算:2026年度第4四半期・通期
ナイキの直近決算は、2026年6月30日に発表された2026年会計年度第4四半期および通期決算です。
対象期間は、四半期が2026年3月から5月、通期が2025年6月1日から2026年5月31日です。[3]
| 項目 | 2026年度Q4 | 前年同期比 | 2026年度通期 | 前年度比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,972M$ | -1% | 46,398M$ | ほぼ横ばい |
| 為替中立売上成長率 | -4% | - | -2% | - |
| 売上総利益率 | 49.2% | +8.9pt | 42.9% | +0.2pt |
| 純利益 | 1,069M$ | +407% | 3,108M$ | -3% |
| 希薄化後EPS | 0.72$ | +414% | 2.10$ | -3% |
| 1株配当宣言額 | 0.410$ | +3% | 1.630$ | +4% |
2026年度通期の売上高は463.98億ドルで、2025年度の463.09億ドルからほぼ横ばいでした。ただし、為替中立ベースでは2%減です。
純利益は31.08億ドル、希薄化後EPSは2.10ドルで、いずれも2025年度から3%減少しました。[3]
2026年度第4四半期だけを見ると、売上高は109.72億ドル、純利益は10.69億ドル、希薄化後EPSは0.72ドルでした。
しかし、この利益にはIEEPA関税の回収見込みによる一時的な恩恵が含まれます。会社によると、関税回収見込み額9.86億ドルがQ4の売上総利益率を約9ポイント、EPSを0.52ドル押し上げました。[3]
Q4の利益をそのまま回復力とみなさない
2026年度Q4の報告EPSは0.72ドルですが、会社が示した関税回収の寄与0.52ドルを単純に除くと、基礎的なEPSは約0.20ドルです。
粗利益率49.2%についても、一時的な約9ポイントの恩恵が含まれています。表面上の大幅増益だけでなく、通常の販売活動による収益力を分けて見る必要があります。[3]
卸売は改善、NIKE Directは減収が続く
2026年度Q4の卸売売上は66億ドルで前年同期比4%増、為替中立ベースで1%増でした。
一方、NIKE Directは41億ドルで7%減、為替中立ベースで9%減です。NIKE Brand Digitalは12%減、直営店は7%減となりました。[3]
2026年度通期では、卸売売上が275億ドルで6%増、為替中立ベースで4%増となりました。
一方、NIKE Directは177億ドルで6%減、為替中立ベースでは8%減でした。
直販偏重から卸売パートナーとの関係を再構築する方針は売上に表れ始めていますが、デジタルと直営店の弱さは残っています。[3]
中国とConverseが引き続き課題
2026年度通期のNIKE Brand売上は452.22億ドルで報告ベース1%増でしたが、為替中立ベースでは1%減でした。
北米が5%増となった一方、Greater Chinaは報告ベースで11%減、為替中立ベースで13%減となっています。[3]
2026年度Q4のGreater China売上は12.97億ドルで前年同期比12%減、為替中立ベースで17%減でした。
Converseの2026年度通期売上も11.74億ドルで31%減となっており、ナイキ本体以上に厳しい状況です。[3]
24年連続増配は維持、ただし増配率は3%へ減速
ナイキは2025年11月20日、四半期配当を1株0.40ドルから0.41ドルへ3%引き上げました。
この配当改定により、会社が示す連続増配記録は24年となりました。2026年2月と5月に宣言された配当も0.41ドルに据え置かれています。[1]
2026年度中に宣言された配当は1株1.63ドルです。2026年度EPS2.10ドルに対する配当性向は約78%となり、2025年度の約73%からさらに上昇しました。[3]
現在の四半期配当0.41ドルを4倍した年間換算配当は1.64ドルです。
会計年度中の実績1.63ドルと一致しないのは、2026年度の第1四半期に旧配当率0.40ドルが含まれるためです。
配当成長率の推移
株式分割調整後の会計年度ベースで見ると、ナイキの配当成長率は次のように変化しています。
- 2008~2015年度:おおむね年率10%台半ばの増配
- 2016~2023年度:おおむね年率10~15%の増配
- 2024年度:約9%増配
- 2025年度:約8%増配
- 2026年度:約4%増配
増配自体は続いていますが、増配率は利益悪化に合わせて明確に減速しました。配当記録を守りながら、現金流出を抑える現実的な対応と評価できます。
配当利回りの特性
2026年度の参考平均株価61.6ドルに対する年間配当1.63ドルの平均利回りは約2.65%です。
一方、2026年8月4日終値41.53ドルと年間換算配当1.64ドルを使うと、予想配当利回りは約3.95%まで上昇します。[2]
- ナイキの過去の平均利回りと比べると高い
- 四半期配当は2026年8月5日時点で0.41ドルを維持
- 株価下落によって利回りが押し上げられている
- 2026年度の配当性向は約78%と高い
- 利益とキャッシュフローの回復が遅れれば、今後の増配余力は限られる
現在の高い利回りは、事業の安全性が以前より高まった結果ではありません。
市場が中国、直販、Converse、消費環境、在庫、収益性の回復に慎重な見方をしている結果と考えるべきです。
配当性向の持続可能性
配当性向は「1株配当 ÷ 希薄化後EPS」で計算します。近年の推移は次の通りです。
- 2020年度:60%
- 2021年度:30%
- 2022年度:32%
- 2023年度:41%
- 2024年度:39%
- 2025年度:73%
- 2026年度:78%
2026年度はEPSが2.16ドルから2.10ドルへ減少した一方、年間配当は1.57ドルから1.63ドルへ増えました。そのため、配当性向はさらに上昇しています。[3]
約78%という配当性向は、直ちに減配を意味するものではありません。
ナイキは2026年5月末時点で、現金・現金同等物と短期投資を合計約90億ドル保有しています。ただし、従来のような二桁増配を続ける余地は小さく、利益が伸びなければ増配率を低く抑える必要があります。[3]
財務パフォーマンスと成長見通し
主要財務指標の推移
以下の表では、売上高、営業キャッシュフロー、純利益をMドル単位で表示しています。
2026年度は2026年7月15日に提出されたForm 10-Kの正式な通期キャッシュフローを反映しました。[5]
| 年度 | 売上高 (M$) |
営業CF (M$) |
営業CF マージン |
純利益 (M$) |
|---|---|---|---|---|
| 2026 | 46,398 | 2,868 | 6.2% | 3,108 |
| 2025 | 46,309 | 3,698 | 8.0% | 3,219 |
| 2024 | 51,362 | 7,429 | 14.5% | 5,700 |
| 2023 | 51,217 | 5,841 | 11.4% | 5,070 |
| 2022 | 46,710 | 5,188 | 11.1% | 6,046 |
| 2021 | 44,538 | 6,657 | 14.9% | 5,727 |
| 2020 | 37,403 | 2,485 | 6.6% | 2,539 |
| 2019 | 39,117 | 5,903 | 15.1% | 4,029 |
| 2018 | 36,397 | 4,955 | 13.6% | 1,933 |
| 2017 | 34,350 | 3,846 | 11.2% | 4,240 |
| 2016 | 32,376 | 3,399 | 10.5% | 3,760 |
| 2015 | 30,601 | 4,680 | 15.3% | 3,273 |
| 2014 | 27,799 | 3,013 | 10.8% | 2,693 |
| 2013 | 25,313 | 3,032 | 12.0% | 2,472 |
| 2012 | 23,331 | 1,824 | 7.8% | 2,211 |
| 2011 | 20,117 | 1,812 | 9.0% | 2,133 |
| 2010 | 19,014 | 3,164 | 16.6% | 1,907 |
| 2009 | 19,176 | 1,736 | 9.1% | 1,487 |
| 2008 | 18,627 | 1,936 | 10.4% | 1,883 |
2026年度は減収局面を脱したが、本格回復とは言いにくい
2025年度は、売上高が2024年度の513.62億ドルから463.09億ドルへ約10%減、純利益は57.00億ドルから32.19億ドルへ約44%減少しました。
営業キャッシュフローも74.29億ドルから36.98億ドルへ約50%減少しています。[6]
2026年度は売上高が463.98億ドルとわずかに増加しましたが、為替中立ベースでは2%減でした。純利益も31.08億ドルと3%減少しています。
営業キャッシュフローは28.68億ドルとなり、2025年度から約22%減少しました。営業CFマージンも8.0%から6.2%へ低下しています。[5]
このため、「売上の底打ちに近づいた可能性」はあるものの、利益とキャッシュフローの成長を伴う本格的な回復が確認されたとは言いにくい状況です。
2026年度Q4の増益には一時的な関税回収見込みが大きく寄与しました。通常の販売活動では、NIKE Directの減収、中国の低迷、Converseの大幅減収、値引き、在庫、消費環境の弱さが続いています。
新経営陣による事業再建への取り組み
CEOのElliott Hill氏は、スポーツ起点の事業再建を進めています。従来の「Win Now」に加え、スポーツ別に組織と商品開発を連動させる「Sport Offense」を強調しています。
2026年度には、組織、商品、ブランド、地域・都市単位での販売体制を再構築しました。[3]
- スポーツ回帰:ランニング、バスケットボール、フットボールなど競技別の商品開発を強化
- 新商品の増加:過度に依存した定番商品の比率を下げ、新モデルを拡大
- 卸売関係の修復:小売パートナーへの商品供給を増やし、販売接点を回復
- デジタルの正常化:値引き依存を抑え、ブランド価値を維持する販売体制へ移行
- 中国の再構築:現地消費者に合う商品、店舗、マーケティングへ見直し
- コスト管理:販売管理費と組織構造を見直し、効率改善を進める
卸売と北米には改善が見られますが、直販、中国、Converseは弱いままです。全事業が同じ速度で回復しているわけではなく、再建はなお途中段階です。
最高財務責任者の交代
ナイキは2026年6月23日、David Denton氏を新たな最高財務責任者に任命すると発表しました。
SECへ提出されたForm 8-Kでは就任の効力発生日を2026年8月16日としています。一方、会社の対外発表と2026年の委任状では、8月17日付でCFOに就任すると説明されています。[7]
現CFOのMatthew Friend氏はCFO職を退いた後、CEOアドバイザーへ移り、2026年9月4日に退社する予定です。
事業再建の途中で財務責任者が交代するため、2027年度以降のコスト管理、在庫、資本配分、配当、自社株買いの方針にも注目が必要です。
営業キャッシュフローは通期で22%減
2026年度の営業キャッシュフローは28.68億ドルでした。2025年度の36.98億ドルから約22%減少しています。[5]
2026年度の純利益は31.08億ドルでしたが、売掛金の増加、未払費用やその他負債の減少、税金支払いなどが営業キャッシュフローを圧迫しました。
売掛金の増加には、IEEPA関税の未回収債権も含まれます。2026年5月末時点では、9.86億ドルの関税回収額のうち3.02億ドルを受け取り、残る6.84億ドルを売掛金として計上していました。
会社はForm 10-Kで、期末後に未回収額の大部分を受け取ったと説明しています。このため、2026年度の営業CF悪化には回収時期のずれも含まれます。[5]
| 年度 | 営業CF (M$) |
成長率 | 投資CF (M$) |
財務CF (M$) |
|---|---|---|---|---|
| 2026 | 2,868 | -22% | -488 | -2,292 |
| 2025 | 3,698 | -50% | -275 | -5,820 |
| 2024 | 7,429 | +27% | 894 | -5,888 |
| 2023 | 5,841 | +13% | 564 | -7,447 |
| 2022 | 5,188 | -22% | -1,524 | -4,836 |
| 2021 | 6,657 | +168% | -3,800 | -1,459 |
| 2020 | 2,485 | -58% | -1,028 | 2,491 |
| 2019 | 5,903 | +19% | -264 | -5,293 |
| 2018 | 4,955 | +29% | 276 | -4,835 |
| 2017 | 3,846 | +13% | -1,008 | -2,148 |
| 2016 | 3,399 | -27% | -1,034 | -2,974 |
| 2015 | 4,680 | +55% | -175 | -2,790 |
| 2014 | 3,013 | -1% | -1,207 | -2,914 |
| 2013 | 3,032 | +66% | -940 | -1,045 |
| 2012 | 1,824 | +1% | 586 | -2,100 |
| 2011 | 1,812 | -43% | -1,021 | -1,972 |
| 2010 | 3,164 | +82% | -1,268 | -1,061 |
| 2009 | 1,736 | -10% | -798 | -734 |
| 2008 | 1,936 | +3% | -490 | -1,226 |
フリーキャッシュフローだけでは配当を全額賄えなかった
2026年度の営業キャッシュフローは28.68億ドル、設備投資は6.84億ドルでした。
営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた簡易的なフリーキャッシュフローは、約21.84億ドルです。[5]
| 項目 | 2026年度 |
|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 28.68億ドル |
| 設備投資 | -6.84億ドル |
| 簡易フリーキャッシュフロー | 21.84億ドル |
| 現金配当支払額 | 24.07億ドル |
| 簡易FCFによる配当カバー率 | 約91% |
2026年度の現金配当支払額は24.07億ドルであり、簡易フリーキャッシュフローを約2.23億ドル上回りました。
したがって、2026年度は通常の事業活動から生じたフリーキャッシュフローだけで、配当を余裕をもって全額賄えた状態ではありません。
ただし、期末時点で6.84億ドルの関税回収債権が残り、その大部分が期末後に回収されています。回収時期のずれを考慮すると、表面上の不足額だけで直ちに配当危機と判断するのも適切ではありません。[5]
配当を優先し、自社株買いを大幅に抑制
2025年度の現金配当支払額は23.00億ドル、自社株買いによる現金流出は29.85億ドルでした。
2026年度は配当支払額が24.07億ドルへ増えた一方、自社株買いによる現金流出は1.46億ドルまで縮小しました。[5][6]
決算発表資料で示される1.23億ドルは、2026年度に退蔵・消却された1.8百万株の取得額です。キャッシュフロー計算書上の株式取得による現金流出は1.46億ドルとなっており、集計基準が異なります。
- 配当優先:2026年度の配当支払額は前年から約5%増加
- 自社株買い抑制:現金流出額は29.85億ドルから1.46億ドルへ縮小
- 現金防衛:事業再建中の流動性と投資余力を維持
- 今後の焦点:利益だけでなく営業CFとフリーCFが回復するか
増配記録を守る一方で、自社株買いを抑える資本配分は合理的です。
営業キャッシュフローが弱いまま大規模な自社株買いを続けるよりも、配当、商品開発、マーケティング、販売体制の再建に資金を振り向ける方が財務の安定につながります。
負債水準と資本構成
| 年度 | 総資産 (M$) |
総負債 (M$) |
株主資本 (M$) |
自己資本比率 | 負債比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026 | 38,410 | 23,545 | 14,865 | 38.7% | 158% |
| 2025 | 36,579 | 23,366 | 13,213 | 36.1% | 177% |
| 2024 | 38,110 | 23,680 | 14,430 | 37.9% | 164% |
| 2023 | 37,531 | 23,527 | 14,004 | 37.3% | 168% |
| 2022 | 40,321 | 25,040 | 15,281 | 37.9% | 164% |
| 2021 | 37,740 | 24,973 | 12,767 | 33.8% | 196% |
| 2020 | 31,342 | 23,287 | 8,055 | 25.7% | 289% |
| 2019 | 23,717 | 14,677 | 9,040 | 38.1% | 162% |
| 2018 | 22,536 | 12,724 | 9,812 | 43.5% | 130% |
| 2017 | 23,259 | 10,852 | 12,407 | 53.3% | 87% |
| 2016 | 21,379 | 9,121 | 12,258 | 57.3% | 74% |
| 2015 | 21,597 | 8,890 | 12,707 | 58.8% | 70% |
| 2014 | 18,594 | 7,770 | 10,824 | 58.2% | 72% |
| 2013 | 17,545 | 6,464 | 11,081 | 63.2% | 58% |
| 2012 | 15,465 | 5,084 | 10,381 | 67.1% | 49% |
| 2011 | 14,998 | 5,155 | 9,843 | 65.6% | 52% |
| 2010 | 14,419 | 4,665 | 9,754 | 67.7% | 48% |
| 2009 | 13,250 | 4,557 | 8,693 | 65.6% | 52% |
| 2008 | 12,443 | 4,617 | 7,825 | 62.9% | 59% |
2026年5月31日時点の総資産は384.10億ドル、株主資本は148.65億ドルでした。
自己資本比率は2025年度の36.1%から38.7%へ改善し、負債比率は177%から158%へ低下しました。[3]
現金・現金同等物は75.63億ドル、短期投資は14.64億ドルで、合計は約90.27億ドルです。
一方、1年以内に返済予定の長期債務は20億ドル、長期債務は59.42億ドルでした。現金と短期投資は有利子負債を上回っています。[5]
2026年度は利益とキャッシュフローが伸びなかったものの、自社株買いを大幅に減らしたことで株主資本は増加しました。
現時点で配当支払いが直ちに財務危機を引き起こす状況ではありませんが、配当の余裕を回復するには営業キャッシュフローの改善が必要です。
2027年度の見通し
2026年6月30日の決算説明会で、経営陣は2027年度上期の売上高が前年同期比で一桁台前半から半ばの減少になるとの見方を示しました。
従来の記述では第1四半期の予想としていましたが、会社が示した対象期間は2027年度の上期です。[8]
中国、Converse、NIKE Direct、関税、在庫、競争激化、世界的な消費環境の不透明感が引き続き重しとなります。
一方、北米と卸売には改善が見られ、新しいパフォーマンス商品やフットボール関連商品の投入も進めています。サプライチェーン改善や在庫管理による収益性の下支えも期待されます。
ただし、2027年度前半も売上減少が続く見通しであり、事業再建が完了したと判断できる段階ではありません。[8]
今後確認したい指標
- NIKE Direct:デジタルと直営店の減収率が縮小するか
- 卸売:売上増加が値引きや在庫押し込みに依存していないか
- Greater China:二桁減収から脱出できるか
- Converse:30%を超える減収に歯止めがかかるか
- 粗利益率:関税回収の一時要因を除いた利益率が改善するか
- 営業キャッシュフロー:売掛金、未払費用、税金支払いによる資金流出が正常化するか
- フリーキャッシュフロー:配当支払額を安定して上回る水準へ戻るか
- 配当性向:EPS回復によって70%台から低下するか
- 増配率:次回の配当改定でも小幅増配を維持できるか
- 在庫:販売の弱さに対して過剰在庫が積み上がらないか
まとめ:長期配当投資家にとってのナイキとは
ナイキは、世界的なブランド力と24年連続増配の実績を持つ企業です。
2026年度も年間配当を1.57ドルから1.63ドルへ増やし、現在の四半期配当0.41ドルを基にした年間換算配当は1.64ドルです。[1]
2026年8月4日終値41.53ドルに対する予想配当利回りは約3.95%となり、ナイキとしては高い水準です。[2]
一方、2026年度通期の売上高は報告ベースで横ばい、為替中立ベースで2%減、純利益とEPSは3%減でした。
配当性向は約78%まで上昇し、営業キャッシュフローは22%減少しています。簡易フリーキャッシュフロー21.84億ドルは、配当支払額24.07億ドルを下回りました。[3][5]
また、2026年度Q4の売上総利益率49.2%とEPS0.72ドルには、IEEPA関税の回収見込みによる大きな一時利益が含まれます。
表面上のQ4増益だけを根拠に、事業再建が完了したと判断するのは早計です。
同社の強みは、
- 24年連続増配の実績
- 世界的なブランド認知度
- 北米と卸売の改善
- 年間約90億ドルの現金・短期投資
- 自社株買いを抑えて財務を守る柔軟性
- スポーツ起点の商品・組織改革
- 有利子負債を上回る現金・短期投資
一方で、
- 配当性向約78%という高水準
- フリーキャッシュフローが配当支払額を下回ったこと
- NIKE Directとデジタルの減収
- 中国市場の二桁減収
- Converseの大幅な売上減少
- 2026年度Q4利益に含まれる一時的な関税回収効果
- 2027年度上期も続く見込みの減収
- 利益に比べて弱い営業キャッシュフロー
といったリスクがあります。
投資家への示唆:2026年8月時点の予想配当利回りは約3.95%と、ナイキとしては魅力的に見える水準です。
しかし、現在の高利回りは株価下落の結果であり、配当成長力の強まりを示すものではありません。
配当は約90億ドルの現金・短期投資と、自社株買いを縮小できる財務上の柔軟性によって、当面維持しやすいと考えられます。
ただし、従来の二桁増配を期待する局面ではありません。長期投資では、ブランド再建、営業キャッシュフロー、配当性向、中国、直販、在庫の改善を確認しながら判断する必要があります。
よくある質問
ナイキの現在の配当利回りは何%ですか?
2026年8月4日終値41.53ドルと年間換算配当1.64ドルを使うと、予想配当利回りは約3.95%です。株価と今後の配当宣言によって変動します。[2]
ナイキの配当月はいつですか?
最近の配当支払月は、通常1月・4月・7月・10月です。直近では2026年7月1日に、1株0.41ドルが支払われました。[1]
ナイキの権利落ち日はいつですか?
直近の権利落ち日は2026年6月1日です。基準日も同日の6月1日、支払日は7月1日でした。次回の権利落ち日は、会社が次回配当を正式に宣言した後に確定します。[1][2]
2026年度の1株配当はいくらですか?
2026年5月期に宣言された年間配当は1株1.63ドルです。現在の四半期配当0.41ドルを4倍した年間換算額は1.64ドルです。[1][3]
ナイキ株を100株保有すると配当金はいくらですか?
現在の年間換算配当1.64ドルが維持された場合、100株当たりの年間配当金は164ドルです。
これは米国と日本の税金、証券会社の手数料、為替変動を考慮する前の金額です。
ナイキに株主優待はありますか?
ナイキの公式な株主還元資料では、日本企業でみられる商品券や自社製品などの株主優待制度は案内されていません。
株主還元の中心は、現金配当と自社株買いです。2026年度は配当を優先し、自社株買いを大幅に抑制しました。[3][5]
24年連続増配の記録は今後も続きますか?
現金と短期投資は十分にありますが、2026年度の配当性向は約78%で、簡易フリーキャッシュフローは配当支払額を下回りました。
記録を維持するための小幅増配は可能でも、利益とキャッシュフローが回復しなければ、大幅な増配は難しいと考えられます。
2026年度Q4は大幅増益だったのではありませんか?
報告ベースでは大幅増益でしたが、EPS0.72ドルのうち0.52ドルはIEEPA関税の回収見込みによる恩恵です。
通常の事業活動による利益回復とは分けて評価する必要があります。[3]
ナイキの事業再建は進んでいますか?
北米と卸売には改善が見られます。一方、NIKE Direct、中国、Converseは弱く、2027年度上期も減収が見込まれています。
回復に向けた施策は進んでいますが、事業全体ではまだ道半ばです。[8]
配当と自社株買いの両方を続けられますか?
2026年度は配当を24.07億ドル支払う一方、自社株買いによる現金流出を1.46億ドルまで縮小しました。
営業キャッシュフローが弱い局面では、配当を優先し、自社株買いを抑える方針が続く可能性があります。[5]
※本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。
記事中の数値・指標は、特に断りのない限り、2026年度通期決算、2026年度Form 10-K、および2026年8月5日までに公表・確認できた資料に基づいています。株価は2026年8月4日終値を使用しています。
※ナイキは5月決算企業のため、本稿では「2026年度=2026年5月期(2025年6月1日~2026年5月31日)」として集計しています。暦年ベースの配当履歴や他社の12月期決算と比較する際は、集計期間の違いに注意してください。
【注】(出典リンク)
-
直近配当、支払日、増配率、連続増配年数
→
2025年8月7日 0.40ドル配当宣言
→
2025年11月20日 0.41ドル配当宣言
→
2026年2月13日 0.41ドル配当宣言
→
2026年5月4日 0.41ドル配当宣言
(確認日:2026-08-05)
↩ -
株価、予想配当利回り、権利落ち日
→
MarketWatch-2026年8月4日のNKE終値
→
Stock Analysis-NKE Dividend History
→
NIKE Stock Information
(確認日:2026-08-05)
↩ -
2026年度Q4・通期決算、事業別売上、利益、配当、貸借対照表
→
NIKE, Inc. Reports Fiscal 2026 Fourth Quarter and Full Year Results
→
FY2026 Q4 Earnings Release(SEC Exhibit 99.1)
(確認日:2026-08-05)
↩ -
歴代年間配当、EPS、株式分割調整
→
NIKE Stock Splits and Dividends
→
NIKE Annual Reports
→
NIKE SEC Filings
(確認日:2026-08-05)
↩ -
2026年度財務諸表、キャッシュフロー、設備投資、配当、自社株買い、関税回収債権
→
NIKE FY2026 Form 10-K(SEC)
(提出日:2026-07-15、確認日:2026-08-05)
↩ -
2025年度財務、キャッシュフロー、株主還元
→
NIKE FY2025 Form 10-K(SEC)
→
FY2025 Q4 and Full Year Results
(確認日:2026-08-05)
↩ -
CFO交代と就任日
→
NIKE Form 8-K-CFO Appointment and Transition
→
NIKE, Inc. Announces Planned CFO Transition
→
NIKE 2026 Proxy Statement
(確認日:2026-08-05)
↩ -
2027年度上期の会社見通し
→
NIKE Q4 FY2026 Earnings Call
→
Reuters-Nike flags prolonged turnaround as China slump, weak outlook eclipse quarterly beat
(確認日:2026-08-05)
↩