銀ETF(SLV・SIL)の株価を比較する
銀と銀鉱株に投資する米国上場商品を比較し、情報を整理します。
積立や資産運用の参考となるように、現物銀を保有する信託商品と、銀鉱山関連企業へ投資する株式ETFの違い、費用、分配方針、ポートフォリオ、価格変動の特徴を紹介します。
【銀・銀鉱株ETF】SLVとSILを比較|シルバー投資の魅力と2つの方法
銀は、金と同じ貴金属として投資・価値保存の対象になる一方、電気・電子、太陽光発電、自動車、ろう付けなどにも利用される工業金属です。
USGSの2026年版資料によると、2025年の米国内用途は電気・電子が25%、その他の工業用途・写真が19%、地金投資が18%、太陽光発電が15%、コイン・メダルが14%でした。銀価格は金融市場の投資需要だけでなく、製造業や太陽光発電の技術変化からも影響を受けます。[3]
足元の銀市場:長期テーマと高い変動が共存
SLV(銀現物連動):2026年6月30日時点の直近1年間のNAVトータルリターンは+62.63%でした。一方、2026年上半期のリターンは-18.54%、2026年7月15日時点の年初来リターンは-19.73%です。2025年に大幅上昇した後、2026年には大きく反落しています。[1]
SIL(銀鉱株):2026年6月30日時点の直近1年間のNAVトータルリターンは+62.96%でした。3年年率リターンは+45.98%ですが、3年標準偏差も36.00%と高い水準です。[2]
※過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。銀価格と銀鉱株は短期間に大きく上下することがあります。
銀投資の魅力:金融と産業、シルバーが持つ「二つの顔」
- 金融資産としての顔:地金、コイン、上場商品などを通じて、価値保存や通貨・地政学リスクへの備えとして購入されることがあります。
- 産業用金属としての顔:高い導電性、反射性、抗菌性などから、電気・電子、電力網、自動車、太陽光発電などに利用されます。
Silver Instituteによると、世界の銀市場は2025年に5年連続の供給不足となりました。2025年の工業需要は前年比3%減の6億5,740万オンスでしたが、AIインフラ、自動車、電力網関連の需要は引き続き支援材料となりました。[4]
一方、2026年の工業需要は、太陽光パネル1枚当たりの銀使用量削減や他素材への代替によって減少する見通しです。2026年も市場全体では6年連続の供給不足が予想されていますが、「太陽光発電の増加=銀需要が同じ割合で増加する」とは限りません。[4]
【重要】銀現物型と銀鉱株ETFの違い
銀への投資は、大きく「現物銀の価格へ連動する商品」と「銀鉱山関連企業の株式へ投資するETF」に分けられます。
| 項目 | 銀現物型 SLV |
銀鉱株ETF SIL |
|---|---|---|
| 投資対象 | 信託が保有する銀地金[1] | 世界の銀鉱山・貴金属関連企業[2] |
| リターンの主因 | 銀価格からスポンサー費用などを差し引いた値動き | 銀価格、採掘量、生産コスト、為替、企業経営、株式市場の評価 |
| 直近1年リターン | +62.63% NAV、2026-06-30 |
+62.96% NAV、2026-06-30 |
| 3年標準偏差 | 43.07% 2026-06-30 |
36.00% 2026-06-30 |
| 分配金 | なし[1] | 年2回[2] |
| 主な固有リスク | 銀価格、信託費用、銀の保管・市場価格とNAVの乖離 | 銀価格に加え、操業停止、コスト増加、政治、規制、為替、増資 |
| 商品の性格 | 銀価格への直接性が比較的高い | 銀関連株式へのテーマ投資 |
① 銀そのものに投資する「現物型」
【SLV】iShares Silver Trust
SLVは銀地金を保有し、その銀価格の値動きを反映することを目的とする信託商品です。NAVの算定にはLBMA Silver Priceが利用されます。一般的な投資会社法上のETFではなく、銀を保有するトラストである点に注意が必要です。[1]
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式名称 | iShares Silver Trust |
| 設定日 | 2006年4月21日[1] |
| 参照ベンチマーク | LBMA Silver Price[1] |
| スポンサー費用 | 0.50%(現行目論見書ベース、2026年7月17日確認)[1] |
| 純資産総額 | 約272.3億ドル(2026年7月16日時点)[1] |
| 保有銀量 | 4億8,206万2,954.10トロイオンス、約1万4,993.83トン(2026年7月16日時点)[1] |
| 発行済み口数 | 5億3,310万口(2026年7月16日時点)[1] |
| 分配金 | なし(Distribution Frequency:None、2026年7月16日時点)[1] |
| 直近1年リターン | +62.63%(NAVトータルリターン、2026年6月30日時点)[1] |
| 2026年上半期リターン | -18.54%(NAVトータルリターン、2026年6月30日時点)[1] |
| 2026年年初来リターン | -19.73%(NAVトータルリターン、2026年7月15日時点)[1] |
| 3年標準偏差 | 43.07%(2026年6月30日時点)[1] |
| 30日平均出来高 | 1,951万129口(2026年7月15日時点)[1] |
| 売買スプレッド | 30日中央値0.02%(2026年7月15日時点)[1] |
SLVは銀価格へ比較的直接的に投資できますが、銀地金を購入して無期限にそのまま保管する商品ではありません。スポンサー費用などを支払うために信託が銀を売却するため、1口当たりが表す銀の量は長期的に減少します。銀価格が横ばいであれば、費用分だけNAVが徐々に低下する構造です。[5]
また、SLVの市場価格は銀の価値を基にしたNAVと一致するとは限りません。2026年7月16日時点では、市場価格がNAVを1.39%下回る状態でした。売買時には市場価格、NAV、プレミアム・ディスカウントを確認する必要があります。[1]
② 銀鉱山会社に投資する「株式型ETF」
【SIL】Global X Silver Miners ETF
SILは、世界の銀鉱山・貴金属関連企業へ分散投資する株式ETFです。Solactive Global Silver Miners Total Return Indexへの連動を目指します。[2]
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式名称 | Global X Silver Miners ETF |
| 設定日 | 2010年4月19日[2] |
| 連動指数 | Solactive Global Silver Miners Total Return Index[2] |
| 経費率 | 0.65%(2026年7月16日時点)[2] |
| 純資産総額 | 約39.0億ドル(2026年7月16日時点)[2] |
| 保有資産数 | 39(2026年7月15日時点)[2] |
| 分配頻度 | 年2回(2026年7月16日時点)[2] |
| 30日SEC利回り | -0.13%(2026年7月16日時点)[2] |
| 直近1年リターン | +62.96%(NAVトータルリターン、2026年6月30日時点)[2] |
| 3年年率リターン | +45.98%(NAV、2026年6月30日時点)[2] |
| 3年標準偏差 | 36.00%(2026年6月30日時点)[2] |
| 売買スプレッド | 30日中央値0.16%(2026年7月15日時点)[2] |
SILの上位構成銘柄(2026年7月16日時点)
| 順位 | 銘柄 | 構成比率 |
|---|---|---|
| 1 | Wheaton Precious Metals | 21.88% |
| 2 | Pan American Silver | 12.49% |
| 3 | Coeur Mining | 10.74% |
| 4 | Industrias Peñoles | 5.17% |
| 5 | Hecla Mining | 4.88% |
| 6 | First Majestic Silver | 4.85% |
| 7 | Fresnillo | 4.38% |
| 8 | Compañía de Minas Buenaventura ADR | 4.26% |
| 9 | OR Royalties | 4.02% |
| 10 | SSR Mining | 3.99% |
上位3銘柄だけで2026年7月16日時点の純資産の45.11%を占めています。39資産を保有していても、実際のリターンはWheaton Precious Metals、Pan American Silver、Coeur Miningなどの値動きに大きく左右されます。[2]
セクター内訳は、2026年6月30日時点で素材が99.0%、エネルギーが1.0%です。幅広い株式市場へ分散するETFではなく、銀・貴金属関連企業へ集中するテーマ型ETFです。[2]
なぜSILは銀価格と異なる値動きをするのか
銀鉱山会社の利益は、銀価格と生産量から得られる売上だけでなく、採掘・精錬費用、人件費、エネルギー価格、為替、設備投資、金利、埋蔵量、鉱石品位などで決まります。
例えば、銀1オンス当たりの売価が上昇しても、採掘コストや設備投資が同時に増えれば、利益が銀価格ほど増えない可能性があります。反対に、生産コストが安定している状態で銀価格が上昇すれば、利益率が大きく改善することがあります。
注意点:銀価格が下落する局面では、採算悪化、減損、増資、操業停止などによって、銀価格を上回る下落が発生する可能性があります。
まとめ:投資目的に合うのはどちらか
-
SLVが向いている場面:
個別企業の経営リスクを避け、銀価格そのものの値動きへ比較的直接的に投資したい場合。ただし、分配金はなく、スポンサー費用によって1口当たりの銀量は減少します。 -
SILが向いている場面:
銀価格の上昇に加えて、鉱山会社の増産、利益率改善、配当、企業価値上昇を取り込みたい場合。その分、企業固有リスク、国別リスク、株式市場全体の影響が加わります。
直近1年の実績比較
| 商品 | 直近1年リターン | 投資スタイル |
|---|---|---|
| SLV | +62.63% NAV、2026-06-30 |
銀現物連動 |
| SIL | +62.96% NAV、2026-06-30 |
銀鉱株 |
※2026年6月30日までの1年間では両商品のリターンは近い水準でしたが、これは恒常的な関係ではありません。銀価格と鉱山株のリターンは、期間によって大きく乖離します。
銀は金融需要と産業需要が同時に作用する資産です。ただし、2025年には太陽光発電分野で銀使用量の削減と代替が進み、工業需要は減少しました。銀需要の長期的な成長性だけでなく、技術革新による使用量削減も確認する必要があります。
SLVとSILを選ぶ際は、「銀価格を保有したいのか」「銀関連企業の利益成長へ投資したいのか」を明確にすることが重要です。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。純資産総額、構成銘柄、保有銀量、リターンなどは変動します。投資前に最新の公式情報をご確認ください。
ミニ解説:SLVは一般的な株式ETFと同じ商品ではない
SLVは銀地金を保有するトラストであり、1940年投資会社法に基づく一般的なETFではありません。信託は費用を支払うために銀の一部を売却するため、1口が表す銀量は時間とともに減少します。
SILは投資会社法に基づく株式ETFであり、保有企業から受け取る配当などを原資として年2回の分配を行います。商品名だけでなく、法的構造とリターンの源泉も異なります。[5]
【注】(出典リンク)
- SLVの費用・純資産・保有銀量・分配・リターン・標準偏差・流動性 → 一次情報:iShares Silver Trust公式ページ / 一次情報:SLVファクトシート(確認日:2026-07-17) ↩
- SILの指数・経費率・純資産・保有数・上位銘柄・分配・リターン・標準偏差 → 一次情報:Global X Silver Miners ETF公式ページ / 一次情報:SILファクトシート(確認日:2026-07-17) ↩
- 2025年の米国における銀用途・生産・需給 → 一次情報:USGS「Mineral Commodity Summaries 2026: Silver」 / 一次情報:USGS Silver Statistics and Information(確認日:2026-07-17) ↩
- 2025年の世界銀需給と2026年見通し → 一次情報:Silver Institute「World Silver Survey 2026」概要 / 一次情報:Silver Institute・2026年銀市場見通し(確認日:2026-07-17) ↩
- SLVの法的構造・費用による銀量減少・主要リスク → 一次情報:iShares SLV商品説明 / 一次情報:iShares Silver Trust目論見書(確認日:2026-07-17) ↩
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移
※チャート右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル。株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、総資産、配当利回り、経費率、権利落ち日などの情報を整理。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
ポートフォリオ
次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品(株式など)の構成比率を見てみます。
投資する企業の規模別比率、組入れ上位10銘柄ははチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

