GILD(ギリアドサイエンシズ)今後の見通し
ギリアドサイエンシズ(Gilead Sciences, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(AMGNとGILDを比較:アムジェンとギリアドサイエンシズ)を参照
直近決算
ギリアドサイエンシズは5月7日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.9$→結果2.03$
・売上高:予想69.1億$→結果70億$(前年同期比+4%)
★ガイダンス
《通年》
・売上高:予想302億$→結果300~304億$
(※EPSは-1.05〜-0.65になる見込み)
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。
企業概要
ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences, Inc./NASDAQ: GILD)は、HIVや肝疾患を中心とする感染症領域に強みを持ち、腫瘍領域(抗体薬・細胞治療)まで展開するバイオ医薬品メーカーです。本社は米国カリフォルニア州フォスターシティにあります。2025年通期の総収益は294億ドル、希薄化後EPSは6.78ドル、Non-GAAP希薄化後EPSは8.15ドルでした。[1]
同社はHIV(Biktarvy、Descovy、Yeztugo など)・HBV/HCV(Vemlidy、Epclusa など)・COVID-19(Veklury)に加え、がん領域では抗TROP-2抗体薬(Trodelvy)やCAR-T細胞療法(Yescarta/Tecartus:Kite Pharma)を保有しています。2025年通期は、HIV製品売上が208億ドル(前年比+6%)、Biktarvy売上が143億ドル(前年比+7%)となり、HIV製品群が引き続き収益の中核です。[2]
その事業分野は以下の通りです。
■感染症治療薬:HIVは単剤配合のBiktarvyを主力に、治療・予防の両面で製品群を拡張しています。2025年6月、半年に1回投与の長時間作用型カプシド阻害薬レナカパビル(ブランド名Yeztugo)が、米国でHIV曝露前予防(PrEP)として承認されました。2026年Q1には、Yeztugoの売上が1.66億ドルとなり、前四半期比で72%増でした。また、Descovyの2026年Q1売上は8.07億ドル(前年比+38%)で、米国PrEP事業の成長を支えています。[3][4]
C型肝炎はSovaldi/Harvoni/Epclusaが標準治療の一角を担い、B型肝炎はVemlidy等を展開しています。肝疾患ポートフォリオは2026年Q1に7.67億ドル(前年比+1%)で、PBC治療薬Livdelziの需要増が、HCV製品の減少を一部補いました。COVID-19治療薬Veklury(レムデシビル)は2020年10月に米FDAが入院成人等を対象に承認し、その後適応が拡大しましたが、COVID-19関連入院の減少により2026年Q1売上は1.44億ドル(前年比-52%)まで低下しています。[5][4]
■オンコロジー(腫瘍):2020年のImmunomedics買収によりTrodelvy(サシツズマブ ゴビテカン)を獲得し、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に続いて、2023年にはHR陽性/HER2陰性切除不能又は転移性乳がんでも米FDA承認を取得しました。2025年通期のTrodelvy売上は14億ドル(前年比+6%)、2026年Q1売上は4.02億ドル(前年比+37%)です。2026年1月には、NCCNガイドラインで一次治療の転移性トリプルネガティブ乳がんにおけるPreferred Regimenとして追加されたことも公表されています。[6][4]
細胞療法は子会社KiteがYescarta(大細胞型B細胞リンパ腫など)とTecartus(マントル細胞リンパ腫など)を保有しています。ただし、競争環境は厳しく、2025年通期の細胞療法売上は18億ドル(前年比-7%)、2026年Q1は4.07億ドル(前年比-12%)でした。内訳は、2026年Q1のYescartaが3.32億ドル(前年比-14%)、Tecartusが0.75億ドル(前年比-4%)です。[7][4]
■その他:かつてインフルエンザ薬タミフル(オセルタミビル)はギリアドが創製し、1996年にロシュへライセンス供与しました。同剤はロシュが製造販売を担い、その後の契約改定や特許満了を経て、現在のギリアドの主力事業ではありません。これは同社の創薬史における重要な歴史的事項です。[8]
研究開発・パイプライン:HIVでは長時間作用型の治療・予防薬を重点領域としています。2026年4月には、ウイルス学的に抑制されている成人HIV患者向けの1日1回経口配合剤bictegravir+lenacapavirについて、米FDAが優先審査を付与し、PDUFA目標日を2026年8月27日に設定しました。[9]
腫瘍領域では、2026年にArcellx、Ouro Medicines、Tubulisの買収・取得案件を進め、CAR-T、多発性骨髄腫、抗体薬物複合体(ADC)などのパイプライン強化を図っています。一方で、これらの取引に伴う取得中研究開発費(acquired IPR&D)が2026年損益を大きく押し下げる見込みです。2026年Q1決算時点の通期見通しでは、2026年の製品売上を300億〜304億ドルへ引き上げた一方、GAAP希薄化後EPSは-3.25〜-2.85ドル、Non-GAAP希薄化後EPSは-1.05〜-0.65ドルに下方修正されました。[10]
なお、CD47抗体マグロリマブは2024年に主要開発を中止しており、がん領域では重点資源をTrodelvy、細胞療法、ADC、次世代CAR-Tなどへ再配分しています。[11]
沿革(抜粋):1987年創業。2012年Pharmasset買収でHCV薬を獲得し、2017年Kite Pharma買収でCAR-Tへ進出、2020年Immunomedics買収でTrodelvyを獲得しました。パンデミック期にはVekluryを供給し、現在は感染症の基盤収益に、腫瘍領域・肝疾患・長時間作用型HIV製品の成長を重ねる体制です。[1][6]
ミニ解説
- 長時間作用型の意味:注射・皮下投与を数か月間隔で行える製剤です。服薬アドヒアランス改善や予防アクセス拡大につながる期待があります。代表例が、半年に1回投与のPrEP薬Yeztugoです。[3]
- 二本柱モデル:安定的なHIV等の感染症収益をベースに、腫瘍領域(抗体薬・細胞療法・ADC)で成長ドライバーを育成する戦略です。ただし、2026年時点ではHIV依存度がなお高く、細胞療法は競争圧力、Trodelvyは適応拡大の成否が重要です。[2][4]
- 投資家が見るべき点:2026年は本業の製品売上見通しが引き上げられた一方、買収関連の取得中研究開発費によりEPS見通しは赤字へ下方修正されました。短期の会計利益だけでなく、Yeztugo、Biktarvy、Trodelvy、Livdelzi、Arcellx関連パイプラインがどれだけ将来収益につながるかを確認する必要があります。[10]
【注】(出典リンク)
- 会社概要・所在地・2025年通期業績 → Gilead 公式:Contact → Gilead 2025年Q4・通期決算リリース → Gilead 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-09) ↩
- 2025年製品ポートフォリオ・HIV売上・Biktarvy売上 → Gilead 2025年Q4・通期決算リリース → Gilead 2025 Form 10-K(確認日:2026-05-09) ↩
- Yeztugo米国PrEP承認・長時間作用型PrEP → Gilead Yeztugo承認リリース(2025年6月) → WHO:lenacapavir承認への見解(確認日:2026-05-09) ↩
- 2026年Q1決算・製品別売上・Yeztugo/Descovy/Biktarvy/Trodelvy/細胞療法 → Gilead 2026年Q1決算リリース → Gilead Q1 2026 Earnings Presentation(確認日:2026-05-09) ↩
- Veklury(レムデシビル)の米FDA承認と売上動向 → FDA:COVID-19初の治療薬承認(2020年10月) → Gilead 2026年Q1決算リリース(確認日:2026-05-09) ↩
- Immunomedics買収・Trodelvy承認拡大・NCCNガイドライン → Gilead:Immunomedics買収発表 → FDA:HR+/HER2−乳がん承認(2023年) → Gilead:TrodelvyのNCCNガイドライン追加(2026年)(確認日:2026-05-09) ↩
- KiteのCAR-T(Yescarta/Tecartus)・細胞療法売上 → FDA:Yescarta初承認(2017年) → FDA:Tecartus承認(2020年) → Gilead 2026年Q1決算リリース(確認日:2026-05-09) ↩
- タミフル起源とロシュへのライセンス(1996)、契約改定 → Gilead 公式(2005年11月) → SEC掲載プレス資料(確認日:2026-05-09) ↩
- bictegravir+lenacapavirのFDA優先審査 → Gilead:BIC/LEN優先審査リリース(2026年4月) → Gilead Q1 2026 Earnings Presentation(確認日:2026-05-09) ↩
- 2026年通期見通し・Arcellx/Ouro/Tubulis・取得中研究開発費 → Gilead 2026年Q1決算リリース → Gilead:Tubulis/Ouro/Arcellx買収アップデート資料(確認日:2026-05-09) ↩
- マグロリマブの主要開発中止 → Gilead:magrolimab開発アップデート(2024年1月) → Reuters(2024年1月)(確認日:2026-05-09) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】

