BLV・SPTL・SPLB:長期債ETFを比較(株価・配当利回り・構成銘柄)

債券ETF

最終更新:2026年7月16日に確認できた各運用会社の公式ページ・最新ファクトシートをもとに加筆修正しました。デュレーション、利回り、構成比率にはそれぞれ異なる基準日があります。

相対的に高いインカム収益と、長期金利が低下した場合の大きな価格上昇を期待できる一方、金利上昇局面では大幅な価格下落が起こり得る資産が、長期債券ETFです。

株式とは異なる値動きを取り入れる手段になりますが、短期債券ETFよりも価格変動が大きく、株式のヘッジとして常に機能するわけでもありません。ポートフォリオの一部として利用する場合は、金利リスクと信用リスクを分けて考える必要があります。

この記事では、代表的な長期債券ETFであるBLV(政府債・社債ミックス)SPTL(長期米国債)SPLB(長期社債)の3銘柄を比較します。投資対象の違いから生じるリスクとリターンの特徴を整理し、投資目的ごとの使い分けを考えます。

ご注意:デュレーション、SEC利回り、満期、構成比率は市場環境や保有銘柄の変化によって動きます。投資を検討する際は、必ず公式サイトと最新ファクトシートを確認してください。

【長期債券ETF】BLV・SPTL・SPLBを徹底比較!金利リスクとどう付き合うか?


主要ETF比較サマリー

まずは、3つのETFの重要な違いを一覧で見てみましょう。特に注目したいのは、投資対象実効デュレーション30日SEC利回りです。

項目 【BLV】ミックス 【SPTL】国債 【SPLB】社債
カテゴリ 長期政府債・信用債
米国政府債、投資適格社債、米ドル建て国際債など[1]
長期米国債
残存期間10年以上の米国財務省証券[2]
長期投資適格社債
残存期間10年以上の米ドル建て社債[3]
連動指数 Bloomberg U.S. Long Government/Credit Float Adjusted Index[1] Bloomberg Long U.S. Treasury Index[2] Bloomberg U.S. Long Term Corporate Bond Index[3]
デュレーション 13.0年
平均デュレーション、2026年5月31日時点[1]
14.10年
OAD、2026年7月15日時点[2]
12.35年
OAD、2026年7月15日時点[3]
経費率 0.03%
2026年4月28日時点[1]
0.03%
2026年7月16日時点[2]
0.04%
2026年7月16日時点[3]
30日SEC利回り 5.47%
2026年7月13日時点[1]
5.08%
2026年7月14日時点[2]
6.05%
2026年7月14日時点[3]
主な価格変動要因 長期金利+信用スプレッド 長期金利 長期金利+信用スプレッド
信用リスク 中間
政府債と投資適格信用債を保有
3本の中で最も小さい
米国財務省証券が中心
3本の中で最も大きい
投資適格でも価格は信用状況に左右される

SEC利回りは、直近30日間の純投資収益を年率換算した標準化利回りです。将来の分配金や投資収益を保証するものではありません。OADはオプション調整後デュレーションです。

ミニ解説:BLVは一般的な「総合債券ETF」とは異なる
BLVは政府債と社債を組み合わせていますが、投資対象は原則として残存期間10年超の長期債です。短期債や中期債まで含むBNDのような市場全体型ETFではありません。この記事では便宜上「ミックス型」と表記します。

各ETFの詳細

【ミックス】BLV(Vanguard Long-Term Bond ETF)

  • 連動指数:Bloomberg U.S. Long Government/Credit Float Adjusted Index。[1]
  • 投資対象:残存期間10年超の米国政府債、投資適格社債、投資適格の米ドル建て国際債など。[1]
  • 平均デュレーション:約13.0年(2026年5月31日時点)。[1]
  • 30日SEC利回り:約5.47%(2026年7月13日時点)。[1]
  • 経費率:0.03%(2026年4月28日時点)。[1]

2026年3月31日時点の発行体別構成は、米国財務省・政府機関債が53.5%、事業会社が28.6%、金融が7.1%、公益事業が5.9%、外国発行体が2.9%でした。[1]

信用格付け別では、2026年3月31日時点で米国政府債が53.5%、A格が20.2%、BBB格が19.9%でした。政府債による安定性と、社債による利回り上乗せを組み合わせた構成です。[1]

ただし、政府債だけでなく信用債も保有するため、景気悪化時には社債の信用スプレッド拡大が価格を押し下げる可能性があります。金利リスクだけを取るSPTLと、信用リスクを積極的に取るSPLBの中間に位置するETFです。

【国債】SPTL(State Street SPDR Portfolio Long Term Treasury ETF)

  • 連動指数:Bloomberg Long U.S. Treasury Index。[2]
  • 投資対象:残存期間10年以上、固定金利、米ドル建ての米国財務省証券。TIPSやストリップス債などは指数の対象外です。[2]
  • 保有銘柄数:108銘柄(2026年7月15日時点)。[2]
  • 平均残存期間:約21.75年(2026年7月15日時点)。[2]
  • OAD:約14.10年(2026年7月15日時点)。[2]
  • 30日SEC利回り:約5.08%(2026年7月14日時点)。[2]
  • 経費率:0.03%(2026年7月16日時点)。[2]

2026年7月15日時点の構成は、米国財務省証券が99.97%、現金が0.03%です。満期別では、15~20年が35.83%、20~30年が54.10%を占めています。[2]

企業の信用悪化や倒産による損失を直接受けにくい一方、3本の中で金利感応度が最も高く、長期金利の上昇時には大きく値下がりする可能性があります。

景気後退やデフレ懸念によって長期金利が低下する局面では、株式の値下がりを緩和する役割が期待できます。ただし、インフレや財政懸念を背景に株式と長期国債が同時に下落することもあるため、常に株式と逆方向に動くとは限りません。

【社債】SPLB(State Street SPDR Portfolio Long Term Corporate Bond ETF)

  • 連動指数:Bloomberg U.S. Long Term Corporate Bond Index。[3]
  • 投資対象:残存期間10年以上、固定金利、課税対象、米ドル建ての投資適格社債。米国企業だけでなく、条件を満たす米国外企業の債券も含まれます。[3]
  • 保有銘柄数:2,919銘柄(2026年7月15日時点)。[3]
  • 平均残存期間:約22.77年(2026年7月15日時点)。[3]
  • OAD:約12.35年(2026年7月15日時点)。[3]
  • 30日SEC利回り:約6.05%(2026年7月14日時点)。[3]
  • 経費率:0.04%(2026年7月16日時点)。[3]

2026年7月15日時点の発行体別構成は、事業会社が69.47%、金融が15.96%、公益事業が14.40%でした。[3]

同日時点の格付け構成では、Baa1~Baa3が合計約40.94%を占めています。Baaは投資適格の範囲ですが、投資適格の中では下位に位置するため、景気悪化や企業財務の悪化に対する感応度は高くなります。[3]

2026年7月15日時点のオプション調整後スプレッドは約98.11bpでした。SPLBの価格は長期金利だけでなく、この信用スプレッドの拡大・縮小からも影響を受けます。[3]

2026年7月14日時点の30日SEC利回りはSPTLより約0.97ポイント高い一方、その差は企業の信用リスクを引き受ける対価でもあります。景気後退時には、国債利回りが低下しても信用スプレッドの拡大が価格上昇を打ち消す可能性があります。


投資のポイントと注意点

1.極めて高い金利リスクを理解する

長期債投資の最大の特徴は、長いデュレーションに起因する金利感応度です。2026年7月15日時点でOADが約14.10年のSPTLでは、金利が一律に1ポイント上昇した場合、他の条件が変わらなければ、価格は理論上およそ14.1%下落する計算です。反対に、金利が1ポイント低下すれば、およそ14.1%上昇する方向に働きます。[2]

⚠️ 金利リスクの概算例
SPTLへ100万円を投資している場合、金利が1ポイント上昇すると、理論上の価格下落は約14.1万円です。金利が1ポイント低下した場合は、約14.1万円の価格上昇方向に働きます。

実際の値動きは、金利曲線の変化、時間の経過、クーポン収入、コンベクシティ、需給などによって異なります。SPLBとBLVでは、これに信用スプレッドの変動も加わります。

2.ポートフォリオにおける役割を考える

投資目的を明確にすると、3本の使い分けが見えやすくなります。

  • 長期金利低下への投資:SPTLは信用スプレッドの影響がほとんどなく、3本の中で最も純粋な長期金利エクスポージャーです。
  • 政府債と社債の組み合わせ:BLVは政府債を過半数保有しながら、投資適格信用債から利回りの上乗せを得ます。
  • 高めのインカム:SPLBは2026年7月14日時点で3本中最も高いSEC利回りですが、景気悪化時の信用スプレッド拡大を受けやすくなります。
  • 株式下落への備え:景気後退と金利低下が同時に進む局面ではSPTLが有効になりやすい一方、インフレを伴う株安では長期債も下落する可能性があります。

3.日本の投資家は為替変動にも注意

BLV、SPTL、SPLBはいずれも米ドル建てETFです。日本円で見た投資収益は、債券価格と分配金だけでなく、ドル円相場にも左右されます。

米国金利の低下でETF価格が上昇しても、同時にドル安・円高が進めば、円換算後の利益が縮小する可能性があります。反対に、ETF価格が下落してもドル高・円安が損失を緩和する場合があります。

4.結局どれを選ぶべきか?

  • 🛡️
    企業の信用リスクを避け、長期金利低下への感応度を重視 → 【SPTL】
  • ⚖️
    政府債と投資適格信用債を低コストで組み合わせる → 【BLV】
  • 📈
    高めのインカムを重視し、信用スプレッド変動を許容 → 【SPLB】

経費率はいずれも0.03~0.04%と低いため、選択を左右する最大の要因はコスト差ではなく、どのリスクを引き受けるかです。金利リスクだけを重視するならSPTL、政府債と信用債を組み合わせるならBLV、信用リスクを取って利回りを高めるならSPLBという整理になります。

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。ETFの利回り、デュレーション、価格、構成比率は変動します。

【注】(出典リンク)

  1. BLVの指数・経費率・SEC利回り・デュレーション・構成比率 → Vanguard BLV公式ページVanguard BLV公式ファクトシート(2026年3月31日)(確認日:2026-07-16)
  2. SPTLの指数・経費率・SEC利回り・OAD・保有構成 → State Street SPTL公式ページState Street SPTL公式ファクトシート(確認日:2026-07-16)
  3. SPLBの指数・経費率・SEC利回り・OAD・格付け・業種構成 → State Street SPLB公式ページState Street SPLB公式ファクトシート(確認日:2026-07-16)

過去~現在株価

※左目盛り:株価推移(最大20分ディレイ)
※右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル



配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)

BLVの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 4.46% 3.178 -0.7% 71.3 2.6%
2024 4.60% 3.200 5.6% 69.5 -4.3%
2023 4.17% 3.03 2.4% 72.6 -11.7%
2022 3.60% 2.96 -12.7% 82.2 -20.0%
2021 3.30% 3.39 -46.5% 102.7 -6.5%
2020 5.77% 6.34 71.4% 109.8 14.5%
2019 3.86% 3.70 5.4% 95.9 8.6%
2018 3.98% 3.51 3.2% 88.3 -4.3%
2017 3.68% 3.40 -7.4% 92.3 -1.6%
2016 3.91% 3.67 -1.3% 93.8 2.7%
2015 4.07% 3.72 3.0% 91.3 2.6%
2014 4.06% 3.61 -7.4% 89.0 2.3%
2013 4.48% 3.90 -25.7% 87.0 -7.5%
2012 5.58% 5.25 13.1% 94.1 12.2%
2011 5.53% 4.64 1.5% 83.9 4.4%
2010 5.68% 4.57 15.7% 80.4 6.6%
2009 5.24% 3.95 0.3% 75.4 1.3%
2008 5.30% 3.94 74.4

SPTLの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 4.04% 1.124 6.0% 27.8 3.7%
2024 3.96% 1.060 12.8% 26.8 -6.9%
2023 3.26% 0.94 28.8% 28.8 -14.5%
2022 2.17% 0.73 12.3% 33.7 -18.8%
2021 1.57% 0.65 -7.1% 41.5 -9.2%
2020 1.53% 0.70 -22.2% 45.7 20.6%
2019 2.37% 0.90 1.1% 37.9 10.5%
2018 2.59% 0.89 -41.4% 34.3 -3.9%
2017 4.26% 1.52 -10.6% 35.7 -5.6%
2016 4.50% 1.70 -2.9% 37.8 5.3%
2015 4.87% 1.75 -6.4% 35.9 8.5%
2014 5.65% 1.87 8.7% 33.1 1.8%
2013 5.29% 1.72 -2.3% 32.5 -7.7%
2012 5.00% 1.76 -14.1% 35.2 16.6%
2011 6.79% 2.05 -2.8% 30.2 6.0%
2010 7.40% 2.11 -3.7% 28.5 1.1%
2009 7.77% 2.19 -8.4% 28.2 2.9%
2008 8.72% 2.39 27.4

SPLBの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2025 5.02% 1.214 4.7% 24.2 4.3%
2024 5.00% 1.160 6.4% 23.2 2.2%
2023 4.80% 1.09 13.5% 22.7 -9.2%
2022 3.84% 0.96 10.3% 25.0 -20.4%
2021 2.77% 0.87 -7.4% 31.4 0.0%
2020 2.99% 0.94 -13.0% 31.4 11.0%
2019 3.82% 1.08 0.9% 28.3 7.2%
2018 4.05% 1.07 -30.5% 26.4 -4.0%
2017 5.60% 1.54 -8.3% 27.5 1.9%
2016 6.22% 1.68 -1.8% 27.0 1.9%
2015 6.45% 1.71 0.6% 26.5 -0.7%
2014 6.37% 1.70 -4.0% 26.7 3.5%
2013 6.86% 1.77 -8.8% 25.8 -4.8%
2012 7.16% 1.94 3.2% 27.1 10.2%
2011 7.64% 1.88 -32.9% 24.6 0.8%
2010 11.48% 2.80 30.8% 24.4 7.0%
2009 9.39% 2.14 22.8


ポートフォリオ

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品の構成比率を見てみます。
債権の格付けなどの比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢