BLV・SPTL・SPLB:長期債ETFを比較(株価・配当利回り・構成銘柄)

債券ETF

高いインカム収益と、金利低下局面での大きな価格上昇が期待できる一方で、金利上昇局面では大きな下落リスクを伴うハイリスク・ハイリターンな資産、それが長期債券ETFです。ポートフォリオのサテライトとして、あるいは株式のヘッジとして、その特性を理解して活用することが求められます。

この記事では、代表的な長期債券ETFであるBLV(総合債券)SPTL(国債)SPLB(社債)の3銘柄を徹底比較。それぞれの投資対象の違いから生まれる、リスクとリターンの特性を解き明かし、あなたの投資戦略に最適なETFを見つける手助けをします。

(※ご注意:以下に記載するデュレーションや利回り、構成比率は常に変動します。投資を検討される際は、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。)

【長期債券ETF】BLV・SPTL・SPLBを徹底比較!金利リスクとどう付き合うか?


主要ETF比較サマリー

まずは3つのETFの最も重要な違いを一覧で見てみましょう。「カテゴリ(投資対象)」と、極めて長い「実効デュレーション」に注目してください。

項目 【BLV】(総合) 【SPTL】(国債) 【SPLB】(社債)
カテゴリ
(投資対象)
長期総合債券
(国債 + 社債)
長期国債
(国債のみ)
長期社債
(社債のみ)
実効デュレーション 約14.0年 約16.0年 約13.0年
経費率 0.04% 0.03% 0.04%
配当利回り(SEC) 約5.1% 約4.6% 約5.7%
安全性(信用リスク) 高い 極めて高い 中程度

(注:数値は2025年6月時点の参考値です。配当利回りは30日間SEC利回りを示します)


各ETFの詳細

【総合】BLV (バンガード・長期債券ETF)

  • 連動指数:ブルームバーグ米国長期国債/クレジット指数
  • 投資対象:残存期間10年以上の米国債(約5割)と、投資適格社債(約5割)に分散投資します。
  • ポイント:国債の安全性と社債の利回りを両立させた、長期債券投資のバランス型。経費率も低く、長期債券へのコアな投資として検討できます。
  • 情報源:Vanguard BLV 公式サイト

【国債】SPTL (SPDRポートフォリオ長期国債ETF)

  • 連動指数:ブルームバーグ米国長期国債指数
  • 投資対象:残存期間が10年以上の米国財務省証券(国債)のみで構成されています。
  • ポイント:信用リスクが極めて低いため、純粋な金利変動へのエクスポージャーを取りたい場合や、株式ポートフォリオのヘッジとして最適です。デュレーションが最も長く、金利変動への感応度が最も高い点に注意が必要です。
  • 情報源:SPDR SPTL 公式サイト

【社債】SPLB (SPDRポートフォリオ長期社債ETF)

  • 連動指数:ブルームバーグ米国長期社債指数
  • 投資対象:残存期間が10年以上の米ドル建て投資適格社債のみに投資します。
  • ポイント:国債を一切含まず、社債の信用リスクを取ることで、3つの中では最も高いインカム収益を狙います。景気後退局面では、金利低下による価格上昇と、信用不安による価格下落が綱引きになる可能性があります。
  • 情報源:SPDR SPLB 公式サイト

投資のポイントと注意点

1.極めて高い金利リスクを理解する

長期債投資の最大のリスクは、長いデュレーションに起因する金利リスクです。デュレーションが16年のSPTLの場合、金利がたった1%上昇するだけで、ETFの価格は理論上約16%も下落する可能性があります。この価格変動の激しさは、多くの株式以上になることもあるため、十分に理解した上で投資する必要があります。

2.ポートフォリオにおける役割を考える

これほどリスクの高い資産に投資する目的は明確に持つべきです。

  • 株式のヘッジ:SPTLのような長期国債は、株価が暴落する「リスクオフ」局面で安全資産として買われ、価格が上昇する(逆相関の)傾向があります。ポートフォリオの保険として機能させたい場合に有効です。
  • 高いインカム収益:SPLBやBLVは、国債よりも高いクーポン収入が期待できるため、インカムゲインを重視する戦略に適しています。

3.結局どれを選ぶべきか?

  • 株式ポートフォリオのヘッジとして、安全性を最優先するなら → 【SPTL】
  • 国債と社債にバランス良く投資し、コストを抑えたいなら → 【BLV】
  • 高いインカムを求め、金利リスクと信用リスクの両方を許容できるなら → 【SPLB】

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

過去~現在株価

※左目盛り:株価推移(最大20分ディレイ)
※右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル



配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)

BLVの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 4.46% 3.2 5.6% 71.8 -1.1%
2023 4.17% 3.03 2.4% 72.6 -11.7%
2022 3.6% 2.96 -12.7% 82.2 -20%
2021 3.3% 3.39 -46.5% 102.7 -6.5%
2020 5.77% 6.34 71.4% 109.8 14.5%
2019 3.86% 3.7 5.4% 95.9 8.6%
2018 3.98% 3.51 3.2% 88.3 -4.3%
2017 3.68% 3.4 -7.4% 92.3 -1.6%
2016 3.91% 3.67 -1.3% 93.8 2.7%
2015 4.07% 3.72 3% 91.3 2.6%
2014 4.06% 3.61 -7.4% 89 2.3%
2013 4.48% 3.9 -25.7% 87 -7.5%
2012 5.58% 5.25 13.1% 94.1 12.2%
2011 5.53% 4.64 1.5% 83.9 4.4%
2010 5.68% 4.57 15.7% 80.4 6.6%
2009 5.24% 3.95 0.3% 75.4 1.3%
2008 5.3% 3.94 74.4

SPTLの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 3.83% 1.06 12.8% 27.7 -3.8%
2023 3.26% 0.94 28.8% 28.8 -14.5%
2022 2.17% 0.73 12.3% 33.7 -18.8%
2021 1.57% 0.65 -7.1% 41.5 -9.2%
2020 1.53% 0.7 -22.2% 45.7 20.6%
2019 2.37% 0.9 1.1% 37.9 10.5%
2018 2.59% 0.89 -41.4% 34.3 -3.9%
2017 4.26% 1.52 -10.6% 35.7 -5.6%
2016 4.5% 1.7 -2.9% 37.8 5.3%
2015 4.87% 1.75 -6.4% 35.9 8.5%
2014 5.65% 1.87 8.7% 33.1 1.8%
2013 5.29% 1.72 -2.3% 32.5 -7.7%
2012 5% 1.76 -14.1% 35.2 16.6%
2011 6.79% 2.05 -2.8% 30.2 6%
2010 7.4% 2.11 -3.7% 28.5 1.1%
2009 7.77% 2.19 -8.4% 28.2 2.9%
2008 8.72% 2.39 27.4

SPLBの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 5.02% 1.16 6.4% 23.1 1.8%
2023 4.8% 1.09 13.5% 22.7 -9.2%
2022 3.84% 0.96 10.3% 25 -20.4%
2021 2.77% 0.87 -7.4% 31.4 0%
2020 2.99% 0.94 -13% 31.4 11%
2019 3.82% 1.08 0.9% 28.3 7.2%
2018 4.05% 1.07 -30.5% 26.4 -4%
2017 5.6% 1.54 -8.3% 27.5 1.9%
2016 6.22% 1.68 -1.8% 27 1.9%
2015 6.45% 1.71 0.6% 26.5 -0.7%
2014 6.37% 1.7 -4% 26.7 3.5%
2013 6.86% 1.77 -8.8% 25.8 -4.8%
2012 7.16% 1.94 3.2% 27.1 10.2%
2011 7.64% 1.88 -32.9% 24.6 0.8%
2010 11.48% 2.8 30.8% 24.4 7%
2009 9.39% 2.14 22.8


ポートフォリオ

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品の構成比率を見てみます。
債権の格付けなどの比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢