BLV・SPTL・SPLB:長期債ETFを比較(株価・配当利回り・構成銘柄)

債券ETF

最終更新:2025年10月時点の公表値・最新ファクトシートをもとに加筆修正しました(数値は変動します)。

高いインカム収益と、金利低下局面での大きな価格上昇が期待できる一方で、金利上昇局面では大きな下落リスクを伴うハイリスク・ハイリターンな資産、それが長期債券ETFです。ポートフォリオのサテライトとして、あるいは株式のヘッジとして、その特性を理解して活用することが求められます。

この記事では、代表的な長期債券ETFであるBLV(総合債券)SPTL(国債)SPLB(社債)の3銘柄を徹底比較。それぞれの投資対象の違いから生まれる、リスクとリターンの特性を解き明かし、あなたの投資戦略に最適なETFを見つける手助けをします。

ご注意:以下に記載するデュレーションや利回り、構成比率は常に変動します。投資を検討される際は、必ず公式サイト・最新ファクトシートでご確認ください。

【長期債券ETF】BLV・SPTL・SPLBを徹底比較!金利リスクとどう付き合うか?


主要ETF比較サマリー

まずは3つのETFの最も重要な違いを一覧で見てみましょう。「カテゴリ(投資対象)」と、長期債ゆえに大きくなる実効デュレーションに注目です。

項目 【BLV】(総合) 【SPTL】(国債) 【SPLB】(社債)
カテゴリ(投資対象) 長期総合債券(長期米国債+投資適格社債)
指数:Bloomberg U.S. Long Government/Credit Float Adjusted Index※1
長期国債(米国財務省証券のみ)
指数:Bloomberg U.S. Long Treasury Index※2
長期社債(投資適格社債のみ)
指数:Bloomberg U.S. Long Term Corporate Bond Index※3
実効デュレーション 13.2年
(2025/6/30 時点 ファクトシート)※1
14.7年
(2025/6/30 時点 ファクトシート:OAD)※2
12.7年
(2025/6/30 時点 ファクトシート:OAD)※3
経費率 0.03%※1 0.03%※2 0.04%※3
30日SEC利回り(直近) 5.1%
(2025/9/18 時点)※1a
4.7%
(2025/10/13 時点)※2a
5.8%
(2025/6/30 時点)※3
安全性(信用リスク) 高い(国債+投資適格社債) 極めて高い(米国債のみ) 中程度(社債のスプレッド変動あり)

(注)SEC利回りは分配可能収益に基づく年率換算の標準化利回り。各社公表日の値。実効デュレーションはファクトシート掲載のOAD/平均デュレーションを採用。


各ETFの詳細

【総合】BLV(Vanguard Long-Term Bond ETF)

  • 連動指数:Bloomberg U.S. Long Government/Credit Float Adjusted Index※1
  • 投資対象:満期10年以上の米国債と投資適格社債に幅広く分散。
    平均デュレーション約13.2年(2025/6/30)※1、直近30日SEC利回り約5.1%(2025/9/18)※1a
  • ポイント:国債の安全性と社債の利回りを併せ持つ長期ゾーンのコア型。経費率0.03%で超低コスト※1
  • 情報源:Vanguard 公式ファクトシート(PDF)Vanguard サイト(SEC利回り)

【国債】SPTL(SPDR Portfolio Long Term Treasury ETF)

  • 連動指数:Bloomberg U.S. Long Treasury Index※2
  • 投資対象:残存10年以上の米国財務省証券のみ。
    OAD約14.74年(2025/6/30)・経費率0.03%(ファクトシート)※2/直近30日SEC利回り約4.7%(2025/10/13)※2a
  • ポイント:信用リスクが極めて低く、金利感応度が最も高い純粋な長期金利エクスポージャー。株式下落時のヘッジとして機能しやすい一方、金利上昇局面では価格調整が大きくなりやすい。
  • 情報源:SPDR SPTL 公式ページファクトシート(PDF)

【社債】SPLB(SPDR Portfolio Long Term Corporate Bond ETF)

  • 連動指数:Bloomberg U.S. Long Term Corporate Bond Index※3
  • 投資対象:残存10年以上の米ドル建て投資適格社債のみ。
    OAD約12.68年・30日SEC利回り約5.83%・経費率0.04%(いずれも2025/6/30)※3
  • ポイント:国債は含まず信用スプレッドを取りに行く設計。インカムは3本の中で最も高い一方、景気悪化時はスプレッド拡大で価格が下押しされる点に注意。
  • 情報源:SPDR SPLB 公式ファクトシート(PDF)

投資のポイントと注意点

1.極めて高い金利リスクを理解する

長期債投資の最大のリスクは、長いデュレーションに起因する金利リスクです。例えば、デュレーション約14.7年のSPTLの場合、金利が1%上昇すると理論上価格は約14.7%下落、逆に1%低下で約14.7%上昇する計算になります(実際の値動きは他要因で変動)。

⚠️ 金利リスクの具体例
例:SPTLに100万円を投資中、金利が1%上昇 ⇒ 含み損は理論上約14.7万円。金利が1%低下 ⇒ 含み益は理論上約14.7万円。

2.ポートフォリオにおける役割を考える

投資の狙いを明確にして使い分けると機能します。

  • 株式のヘッジ:SPTLのような長期国債は「リスクオフ」局面で買われやすく、株式と逆相関になりやすい傾向。
  • 高いインカム:SPLBやBLVは国債より高めのクーポン収入が期待できる一方、景気悪化時は信用スプレッド拡大リスクがある点を織り込む。

3.結局どれを選ぶべきか?

  • 🛡️ 安全性最優先で株式のヘッジを重視 → 【SPTL】
  • ⚖️ 国債と社債をバランス良く超低コストで → 【BLV】
  • 📈 高いインカムを狙い、信用スプレッド変動も許容 → 【SPLB】

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

過去~現在株価

※左目盛り:株価推移(最大20分ディレイ)
※右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル



配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)

BLVの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 4.46% 3.2 5.6% 71.8 -1.1%
2023 4.17% 3.03 2.4% 72.6 -11.7%
2022 3.6% 2.96 -12.7% 82.2 -20%
2021 3.3% 3.39 -46.5% 102.7 -6.5%
2020 5.77% 6.34 71.4% 109.8 14.5%
2019 3.86% 3.7 5.4% 95.9 8.6%
2018 3.98% 3.51 3.2% 88.3 -4.3%
2017 3.68% 3.4 -7.4% 92.3 -1.6%
2016 3.91% 3.67 -1.3% 93.8 2.7%
2015 4.07% 3.72 3% 91.3 2.6%
2014 4.06% 3.61 -7.4% 89 2.3%
2013 4.48% 3.9 -25.7% 87 -7.5%
2012 5.58% 5.25 13.1% 94.1 12.2%
2011 5.53% 4.64 1.5% 83.9 4.4%
2010 5.68% 4.57 15.7% 80.4 6.6%
2009 5.24% 3.95 0.3% 75.4 1.3%
2008 5.3% 3.94 74.4

SPTLの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 3.83% 1.06 12.8% 27.7 -3.8%
2023 3.26% 0.94 28.8% 28.8 -14.5%
2022 2.17% 0.73 12.3% 33.7 -18.8%
2021 1.57% 0.65 -7.1% 41.5 -9.2%
2020 1.53% 0.7 -22.2% 45.7 20.6%
2019 2.37% 0.9 1.1% 37.9 10.5%
2018 2.59% 0.89 -41.4% 34.3 -3.9%
2017 4.26% 1.52 -10.6% 35.7 -5.6%
2016 4.5% 1.7 -2.9% 37.8 5.3%
2015 4.87% 1.75 -6.4% 35.9 8.5%
2014 5.65% 1.87 8.7% 33.1 1.8%
2013 5.29% 1.72 -2.3% 32.5 -7.7%
2012 5% 1.76 -14.1% 35.2 16.6%
2011 6.79% 2.05 -2.8% 30.2 6%
2010 7.4% 2.11 -3.7% 28.5 1.1%
2009 7.77% 2.19 -8.4% 28.2 2.9%
2008 8.72% 2.39 27.4

SPLBの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 5.02% 1.16 6.4% 23.1 1.8%
2023 4.8% 1.09 13.5% 22.7 -9.2%
2022 3.84% 0.96 10.3% 25 -20.4%
2021 2.77% 0.87 -7.4% 31.4 0%
2020 2.99% 0.94 -13% 31.4 11%
2019 3.82% 1.08 0.9% 28.3 7.2%
2018 4.05% 1.07 -30.5% 26.4 -4%
2017 5.6% 1.54 -8.3% 27.5 1.9%
2016 6.22% 1.68 -1.8% 27 1.9%
2015 6.45% 1.71 0.6% 26.5 -0.7%
2014 6.37% 1.7 -4% 26.7 3.5%
2013 6.86% 1.77 -8.8% 25.8 -4.8%
2012 7.16% 1.94 3.2% 27.1 10.2%
2011 7.64% 1.88 -32.9% 24.6 0.8%
2010 11.48% 2.8 30.8% 24.4 7%
2009 9.39% 2.14 22.8


ポートフォリオ

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品の構成比率を見てみます。
債権の格付けなどの比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢