ドラッケンミラーのポートフォリオ(保有銘柄を一覧)

政治経済

スタンリー・ドラッケンミラーの歩みとポートフォリオ(2025年10月更新)

スタンリー・フリーマン・ドラッケンミラー(Stanley Freeman Druckenmiller)は、米国の伝説的な投資家(ヘッジファンドマネージャー)であり、慈善活動家です。かつてジョージ・ソロスが設立したクォンタム・ファンドでリード・ポートフォリオ・マネージャーを務め、その後は自己資産を中心に運用するデュケイン・ファミリーオフィスの代表として知られます。

以下では、彼の歩み・投資哲学・最新の公開株式(13F)ポートフォリオを整理します。

ドラッケンミラーの歩み

Stanley Druckenmiller

1953年6月14日、ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれ。ボウディン大学で学士号を取得後、ミシガン大学の経済学博士課程に進むも中退し、ピッツバーグ国立銀行でオイル・アナリストとしてキャリアを開始しました。[1]

1981年、28歳でヘッジファンドのデュケイン・キャピタル・マネジメントを設立。1988年、ジョージ・ソロスのクォンタム・ファンドに招かれ、1992年のポンド危機(いわゆる「イングランド銀行を負かした日」)での空売りで多額の利益を上げ、名声を不動のものにしました。[2]

2000年のITバブル崩壊直前にはハイテク株で損失を被り、同年にソロス氏の下を去るなど、成功と失敗の両面を経験。2010年には外部資金の運用を停止してファンドを閉鎖し、以降は自己資産を中心に運用するファミリーオフィス体制へ移行しました。[3]

慈善活動にも積極的で、2009年には7億500万ドルを自身の財団に拠出し、医療研究・教育・貧困対策などを支援。ハーレム・チルドレンズ・ゾーンの理事長としても知られます。[4]

資産運用について(投資哲学)

ドラッケンミラーの投資哲学は、マクロ経済の大きな潮流を先読みして投資テーマを定めるトップダウン・アプローチを核とし、確信度が高いときには集中投資とレバレッジをいとわない「ホームラン狙い」のスタイルで知られます。必要に応じて先物・通貨・株式のロング/ショートを機動的に組み合わせるのが特徴です。[5]

現役の投資家・関係者の証言や複数メディアのインタビューでは、外部資金を運用した約30年間で年間ベースのマイナスがなかった、四半期ベースでも下落はごく一部に限られた、との記録が示されています。また、長期の平均リターンは年率30%前後だったと広く報じられています(いずれも第三者の報道・インタビューに基づく)。[6]

保有株式ポートフォリオ(参考情報/13F)

【極めて重要】以下はデュケイン・ファミリーオフィスが米SECに提出したForm 13F(2025年6月30日時点、提出日:2025年8月15日)に基づく、米国上場株式ロングのみのスナップショットです。通貨・債券・コモディティ・デリバティブ・ショート等は含まれず、ドラッケンミラーの全戦略を表すものではありません。[7][8]

順位 銘柄名 (ティッカー) ポートフォリオ比率(13F内)
1 Natera Inc (NTRA) 約 12.8%
2 Teva Pharmaceutical Industries Ltd (TEVA) 約 6.6%
3 Insmed Inc (INSM) 約 5.6%
4 Woodward Inc (WWD) 約 5.1%
5 Taiwan Semiconductor Manufacturing Co (TSM) 約 4.2%
6 Entegris Inc (ENTG) 約 3.3%
7 SPDR S&P 500 ETF Trust — コール(SPY) 約 3.1%
8 Microsoft Corp (MSFT) 約 2.5%
9 Citigroup Inc (C) 約 1.4%
10 Broadcom Inc (AVGO) 約 1.2%

注記:2025年Q2(6月30日)時点の13F計上額は約40.7億ドル・69銘柄。前四半期(Q1)の約30.6億ドルから増加。四半期単位で入れ替えが大きい点に留意。[9][10]

ミニ解説:13Fは「米国上場株式ロング」の四半期スナップショットのみを開示する制度です。ドラッケンミラーの本質は、為替・金利・コモディティ・デリバティブ等を含むマクロ運用にあり、13Fだけでは全体像を把握できません。[7]

【注】(出典リンク)

  1. 略歴(大学〜初職) → Wikipedia: Stanley Druckenmiller(二次)/補足 → The Hustle(Q&A)(二次) (確認日:2025-10-20)
  2. クォンタム・ファンド/1992年ポンド危機 → Mallaby『More Money Than God』(一次=著作) (確認日:2025-10-20)
  3. 2010年の外部資金運用停止・ファンド閉鎖 → Business Insider(2010-08)(二次) (確認日:2025-10-20)
  4. 慈善:2009年の7.05億ドル拠出/HCZ理事長 → Philanthropy News Digest(二次)/参考 → Philanthropy Roundtable(二次) (確認日:2025-10-20)
  5. 投資スタイル(トップダウン・集中投資・レバレッジ) → Business Insider(2018-10-04)(二次) (確認日:2025-10-20)
  6. 成績に関する言及(下げ年なし/長期平均リターン) → Business Insider(二次)/補足 → Acquirer’s Multiple(GSトーク抜粋)(二次) (確認日:2025-10-20)
  7. 13F一次情報(EDGAR入口) → SEC EDGAR Company Search(一次) (確認日:2025-10-20)
  8. Q2 2025 提出情報(提出日・期間等) → SEC Database(CIK:1536411)(一次)/PR転載 → PublicNow(二次) (確認日:2025-10-20)
  9. 保有上位・比率・銘柄数(集計) → 13f.info(二次) (確認日:2025-10-20)
  10. 補助データ(上位集中度・銘柄数) → WhaleWisdom(二次)/参考 → Yellowbrick(二次) (確認日:2025-10-20)

Posted by 南 一矢