バフェットのポートフォリオ(保有銘柄を一覧)
ウォーレン・エドワード・バフェット(Warren Edward Buffett)は、保険事業と多角的な投資事業を中核とする巨大企業コングロマリット、バークシャー・ハサウェイの経営者兼筆頭株主です。
ジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズとともに世界三大投資家と呼ばれています。
その人生の概要とポートフォリオを紹介してみます。
バフェットの歩み
(*写真出所はWIKI)
バフェットは1930年8月30日にネブラスカ州オマハで生まれました。
1947年にペンシルベニア大ウォートン・スクールに入学、19歳でネブラスカ大に編入・卒業後、コロンビア大ビジネススクールを卒業。
そこで「バリュー投資の父」ベンジャミン・グレアムから投資哲学の礎となる「バリュー投資」を学び、ニューヨーク・インスティテュート・オブ・ファイナンスで経済学を学んだ後、グレアムの会社でキャリアを積みました。
1956年に故郷オマハでバフェット・パートナーシップ社を設立。
同社はやがて経営不振の繊維会社であったバークシャー・ハサウェイを買収。その後、保険事業を傘下に収め、その保険料収入(フロート)を源泉とする投資ビークルへと変貌させ、1970年に同社の会長となりました。
1978年には、彼の生涯のパートナーとなるチャーリー・マンガーが副会長としてバークシャーに加わりました。マンガー氏の「素晴らしい企業を適正な価格で買う」という考え方はバフェット氏に多大な影響を与え、バークシャーの成功に不可欠な存在でしたが、2023年11月に99歳で逝去しました[1]。
【重要ニュース】バフェット氏、2025年末でCEO退任を発表
2025年5月3日の年次株主総会で、94歳のバフェット氏は2025年末でCEOを退任し、グレッグ・アベル副会長(62歳)が2026年1月1日からCEOに就任すると発表。バフェット氏は会長職は継続し、約1,600億ドル相当の保有株式は一株も売却しないと表明。60年間にわたる伝説的なCEO時代の終焉が決定しました。
バークシャーは、世界有数の企業コングロマリットに発展し、バフェットはビジネスと投資の成功によって、世界のメディアから「オマハの賢人」と呼ばれています。なお、バフェット氏の後継者は、非保険事業を統括するグレッグ・アベル副会長が正式に指名され、2026年から新体制がスタートします。
バリュー投資の原則を遵守し、巨額資産を持ちながら質素な暮らしを続けています。
また、偉大な慈善活動家としても知られ、主にビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じて、財産の99%を慈善活動に寄付することを誓約。2010年にはビル・ゲイツとともに、億万長者が財産の半分以上を寄付することを誓約する「ギビング・プレッジ」を創設しました。
資産運用について
バフェット氏の投資手法は「バリュー投資」が根幹ですが、時代と共に進化しています。特に21世紀以降のアップル(AAPL)への巨額投資は、彼のスタイルが「割安な企業」から「適正な価格の素晴らしい企業」へと進化したことを象徴しています。彼はアップルをハイテク企業としてではなく、強力なブランドと顧客を持つ「消費者ビジネス」と捉え、ポートフォリオの重要な柱としました。
近年の最も注目すべき動きは、日本の5大商社への大規模投資です。2025年3月には持ち株比率を8.5%~9.8%まで引き上げ、年間配当収入約8.12億ドルを見込む一方、円建て債務の利息コストは約1.35億ドルに抑える巧妙な為替ヘッジ戦略を展開しています。これは、潤沢なキャッシュフロー、割安な株価指標、そしてインフレヘッジとしての特性を持つ事業への投資であり、彼の哲学と世界経済への洞察を示すものとして市場の注目を集めています[2]。
現在のポートフォリオは、①アメリカン・エキスプレスの大幅比重増加で金融セクターを強化、②Appleは大幅削減しつつも引き続き最大ポジション維持、③コカ・コーラなどの消費財セクターの安定保有、④新たにUnitedHealthなどヘルスケアセクターへの参入、そして⑤成長と分散の核としての日本商社、という極めて戦略的な構成になっていると分析できます。
保有銘柄を一覧(2025年6月30日時点)
以下は、バークシャー・ハサウェイが米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書(Form 13F)に基づく、2025年6月30日時点での米国上場株式の保有ポートフォリオ上位銘柄です[3]。実際の投資判断の際は、最新の情報をご確認ください。
順位 | 銘柄名 (ティッカー) | ポートフォリオ比率 |
---|---|---|
1 | Apple Inc. (AAPL) | 約 22.3% |
2 | American Express Co (AXP) | 約 18.8% |
3 | Bank of America Corp (BAC) | 約 11.1% |
4 | Coca-Cola Co (KO) | 約 11.0% |
5 | Chevron Corp (CVX) | 約 6.8% |
6 | Occidental Petroleum Corp (OXY) | 約 4.2% |
7 | Kraft Heinz Co (KHC) | 約 3.8% |
8 | Moody’s Corp (MCO) | 約 3.4% |
9 | UnitedHealth Group Inc (UNH) | 約 1.9% |
10 | Chubb Ltd (CB) | 約 1.5% |
注記:2025年Q2の主要変動:Apple比率を40.8%→22.3%へ大幅削減、American Expressを11.2%→18.8%へ大幅増で2位に上昇、新規にUnitedHealthを追加。ポートフォリオ総額は約2,575億ドル、41銘柄に分散投資。また現金保有高は約3,470億ドルに達し、過去最高水準を更新。
※注:日本の5大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)など、米国以外で上場している株式は上記リストには含まれませんが、ポートフォリオの重要な構成要素です。2025年3月時点で、これら5社への投資総額は約235億ドルに達しています。
【出典】
- [1] BERKSHIRE HATHAWAY NEWS RELEASE (チャーリー・マンガー氏逝去に関する公式発表)
- [2] 2022 Annual Report & Shareholder Letter (株主への手紙)
- [3] Berkshire Hathaway, Inc. – Latest Portfolio (Dataroma)
- [4] Seeking Alpha – Q2 2025 Portfolio Update