WMT(ウォルマート) の配当推移

ダウ30銘柄,必需品,配当





ウォルマート(WMT)配当利回りと業績分析 2026年9月更新

ウォルマート(WMT)配当利回りと業績分析 2026年9月更新

ウォルマート(Walmart Inc.)の配当利回り、配当成長、配当性向、キャッシュフロー、財務体質を確認します。

ウォルマートの年次決算は1月末です。そのため、本記事では「FY2026」は2026年1月期、「FY2027」は2027年1月期を指します。

2026年8月20日にFY2027第2四半期決算が発表されたため、本記事ではFY2026通期決算に加え、FY2027 Q2の売上、eコマース、広告、会員収入、キャッシュフロー、会社見通しを反映しています。FY2027 Q2の総収入は1879.4億ドルで前年同期比5.9%増、グローバルeコマース売上は23%増でした。会社はFY2027通期の売上・利益見通しも上方修正しています。[1]

年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等

年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当($)、平均株価、通年EPSの推移を確認します。

年次決算が1月なので、過去年の平均株価はおおむね2月1日〜翌年1月31日の期間で計算する前提です。2027Eについては通期の平均値ではなく、2026年9月16日終値107.50ドルを用いた参考値です。[4]

配当 平均株価 年EPS
平均利回り
/参考利回り
成長率 配当性向 年計
2027E 約0.92%
(9月16日終値ベース)
約5% 約34.5〜35.4%
(調整後EPSベース)
0.99 107.50
(9月16日終値)
2.80〜2.87
(調整後EPS見通し)
2026 約0.9% 13% 約34% 0.94 2.73
2025 1.13% 9% 約36% 0.83 92.6 2.33
2024 1.13% 約2% 約40% 0.76 73.5 1.91
2023 1.48% 約2% 約53% 0.747 51.5 1.42
2022 1.62% 約2% 約45% 0.733 46.1 1.62
2021 1.56% 約2% 約46% 0.72 47.1 1.58
2020 1.64% 約1% 約41% 0.71 44.0 1.73
2019 1.93% 約3% 約92% 0.69 36.7 0.75
2018 2.25% 約1% 約62% 0.68 30.6 1.09
2017 2.49% 約1% 約46% 0.67 27.3 1.46
2016 2.88% 約3% 約43% 0.65 23.3 1.52
2015 2.77% 約2% 約38% 0.64 23.5 1.68
2014 2.45% 約2% 約39% 0.63 26.1 1.63
2013 2.49% 約19% 約32% 0.53 25.3 1.67
2012 2.35% 約8% 約33% 0.49 22.6 1.51
2011 2.69% 約23% 約27% 0.40 18.2 1.49
2010 2.26% 約11% 約29% 0.36 17.7 1.24
2009 2.13% 約13% 約28% 0.32 16.9 1.13

配当は2024年2月実施の3対1株式分割後ベース。FY2027Eは2026年2月19日発表の年間配当0.99ドル、2026年8月20日時点のFY2027調整後EPS見通し2.80〜2.87ドル、2026年9月16日終値107.50ドルを用いた参考値です。配当性向は表中の1株配当÷EPSで概算しています。[3][1][4]

※ウォルマートは2026年2月に年間配当を0.99ドルへ引き上げ、53年連続増配となりました。前年度の0.94ドルからの増配率は5%です。2026年9月16日終値107.50ドルに対する予想配当利回りは約0.92%です。

堅実な配当成長の実績

ウォルマート(WMT)の配当実績は、小売業界のリーダーとして長期にわたり増配を続けてきたことが特徴です。2009年からFY2027Eにかけて、1株配当は0.32ドルから0.99ドルへと約3.1倍に増加しました。リーマンショック後の景気低迷、COVID-19パンデミック、インフレ局面など異なる経済環境を通過しても、年間配当の増額を続けています。

2024年2月にはFY2025年間配当を0.83ドルへ約9%引き上げ、2025年2月にはFY2026年間配当を0.94ドルへ13%引き上げました。さらに2026年2月にはFY2027年間配当を0.99ドルへ5%引き上げ、53年連続増配となりました。[5][6][3]

配当成長率の推移

ウォルマートの配当成長率は、長期では安定性を重視しつつ、近年は一時的に増配ペースを高めた後、FY2027に正常化しています。

  • 2009〜2013年:高成長期(年間8〜23%程度の増配が多い時期)
  • 2014〜FY2024:成熟・投資優先期(年間1〜3%程度の増配が中心)
  • FY2025:年間配当0.83ドルへ約9%増配
  • FY2026:年間配当0.94ドルへ13%増配
  • FY2027:年間配当0.99ドルへ5%増配し、大幅増配後の持続可能なペースへ正常化

このパターンは、ウォルマートのデジタル・トランスフォーメーション戦略とも関係しています。2010年代半ば以降は、Amazonなどとの競争に対応するため、eコマース基盤、物流網、サプライチェーン自動化、テクノロジーへの投資を優先しました。その後、eコマース、広告、会員収入などが利益構成の改善に寄与し、FY2025〜FY2026には増配率が上昇しました。

2026年2月の増配発表では、CFOのジョン・デイビッド・レイニー氏が、配当は多様な資本還元の一部であり、53年連続増配は事業の継続的なパフォーマンスと将来への自信を示すものだと説明しています。[3]

適度な配当利回りと成長性のバランス

ウォルマートの配当利回りは、長期では1%台前半〜2%台で推移する時期が多くありました。一方、2026年9月16日終値は107.50ドルで、FY2027年間配当0.99ドルに対する予想配当利回りは約0.92%です。2026年5月22日時点の約0.82%からはやや上昇しましたが、依然として高配当株と呼べる水準ではありません。[4][3]

  • 成長投資との両立:デジタル投資、店舗網の高度化、サプライチェーン自動化へ資本を振り向けながら安定配当を継続
  • 利益源の多様化:eコマース、広告、会員収入、マーケットプレイスなどが利益成長を支える
  • インフレ対応力:規模の経済と価格訴求力により、消費者の節約志向を取り込みやすい
  • 総還元:配当に加え、自社株買いも組み合わせて株主還元を実施

ウォルマートの配当戦略は、「高利回り」よりも「安定増配と株主還元の継続性」を重視しています。FY2026には営業キャッシュフロー416億ドル、フリーキャッシュフロー149億ドルを創出しており、年間配当を支える基礎的なキャッシュ創出力は大きい状態です。[2]

配当性向の健全性と投資効率

ウォルマートの配当性向は、直近ではおおむね30〜40%台で推移しています。FY2026の年間配当0.94ドルを希薄化後EPS2.73ドルと比較すると、EPSベースの配当性向は約34%です。

FY2027の年間配当予定額0.99ドルを、2026年8月20日に引き上げられた会社の調整後EPS見通し2.80〜2.87ドルと比較すると、調整後EPSベースの配当性向は約34.5〜35.4%です。Q1時点のEPS見通し2.75〜2.85ドルより利益見通しが引き上げられたため、増配後も配当性向は30%台半ばに収まる計算です。[1][3]

戦略的な配当性向の変動

  • 2008〜2017年:概ね30〜40%台中心
  • 2018〜2019年:eコマース投資や一時要因による利益減少で配当性向が上昇
  • 2020〜FY2026:30〜40%台中心へ回復
  • FY2027見通し:増配後も調整後EPSベースで約34.5〜35.4%

健全性の背景:ウォルマートは、食品・日用品を中心とした生活必需品の販売、世界最大級の小売ネットワーク、サプライチェーンの効率性を持っています。景気が弱い局面でも基礎的な買い物需要が残りやすく、低価格戦略は節約志向の強い消費者を取り込みやすい構造です。

財務パフォーマンスと成長見通し

以下の表では、売上高、営業CF、純利益はB$(10億ドル)単位、営業CFマージンは%単位で表示しています。年次データはウォルマートの公表資料に基づきます。[2]

主要財務指標の推移

年度 売上高 営業CF 同マージン 純利益
2026 713.2 41.6 5.8% 21.9
2025 681.0 36.4 5.3% 19.4
2024 648.1 35.7 5.5% 15.5
2023 611.3 28.8 4.7% 11.7
2022 572.8 24.2 4.2% 13.7
2021 559.2 36.1 6.5% 13.5
2020 524.0 25.3 4.8% 14.9
2019 514.4 27.8 5.4% 6.7
2018 500.3 28.3 5.7% 9.9
2017 485.9 31.7 6.5% 13.6
2016 482.1 27.6 5.7% 14.7
2015 485.7 28.6 5.9% 16.4
2014 476.3 23.3 4.9% 16.0
2013 468.7 25.6 5.5% 17.0
2012 446.5 24.3 5.4% 15.7
2011 421.8 23.6 5.6% 16.4
2010 408.1 26.2 6.4% 14.4
2009 404.3 23.1 5.7% 13.4

FY2026の業績動向と力強い成長回復

ウォルマートのFY2026(2026年1月期)業績は、デジタル・トランスフォーメーションとオムニチャネル戦略の成果を反映した堅調な内容でした。

  • 総収入:FY2026は713.2B$となり、FY2025の681.0B$から約4.7%増加しました。[2]
  • eコマース:FY2026第4四半期のグローバルeコマースは24%増でした。[2]
  • 広告:FY2026第4四半期のグローバル広告事業は37%増、米国のWalmart Connectは41%増でした。[2]
  • キャッシュ創出力:FY2026の営業CFは41.6B$、フリーCFは14.9B$でした。[2]
  • 顧客基盤:2026年2月時点で、週あたり約2.8億人の顧客・会員が19カ国の10,900店超の店舗とeコマースサイトを利用しています。[3]

FY2026第4四半期では、総収入が前年同期比5.6%増、営業利益が10.8%増、グローバルeコマースが24%増となりました。低価格と利便性を組み合わせたオムニチャネル戦略に加え、広告や会員収入など比較的収益性の高い事業が利益構成の改善に寄与しています。[2]

FY2027 Q2:eコマース・広告・会員収入が成長、通期見通しを上方修正

FY2027 Q2(2026年8月20日発表)では、総収入が187.9B$となり、前年同期比5.9%増でした。Walmart U.S.の既存店売上は燃料を除き2.6%増、Sam’s Club U.S.は燃料を除き4.4%増でした。グローバルeコマースは23%増、グローバル広告事業は38%増、グローバル会員収入は17%増となっています。[1]

項目 FY2027 Q2 補足
総収入 187.9B$ 前年同期比+5.9%、恒常為替ベース+5.1%
Walmart U.S.既存店売上 +2.6% 燃料除く
Sam’s Club U.S.既存店売上 +4.4% 燃料除く
Walmart International純売上 +7.9% 恒常為替ベース。報告ベースでは+12.8%
グローバルeコマース +23% 店舗起点配送・受取、マーケットプレイスが寄与
Walmart U.S. eコマース +24% 店舗配送、広告、マーケットプレイスが成長
Sam’s Club U.S. eコマース +26% クラブ起点の受取・配送が伸長
Walmart International eコマース +19% 各市場でデジタル構成比が上昇
グローバル広告 +38% Walmart Connect米国はVIZIO除き+43%
グローバル会員収入 +17% Walmart+、Sam’s Club、中国などが寄与
GAAP EPS 0.80$ Q2単独
調整後EPS 0.81$ Q2単独
営業CF 19.7B$ FY2027上期累計(6カ月)
フリーCF 5.5B$ FY2027上期累計(6カ月)

FY2027上期累計では、営業CFが19.7B$となり前年同期から1.4B$増加しました。一方、設備投資が14.2B$まで増えたため、フリーCFは5.5B$と前年同期の6.9B$を下回りました。Q1単独ではフリーCFがマイナスでしたが、Q2終了時点の上期累計ではプラスへ戻っています。[7]

FY2027 Q2の営業利益は前年同期比28.8%増と大きく伸びましたが、約29億ドルの関税還付による利益押し上げが含まれています。会社は還付の一部を値下げや顧客体験への投資に振り向けており、Q2の営業利益成長率をそのまま基礎的な利益成長率とみなさない方がよいでしょう。調整後・恒常為替ベースの営業利益成長率は17.4%でした。[1]

FY2027見通し:Q2決算で売上・利益予想を引き上げ

ウォルマートは2026年8月20日のFY2027 Q2決算で、通期見通しを上方修正しました。会社が示す売上成長率はnet sales(純売上高)・恒常為替ベースの指標であり、年次財務表の総収入713.2B$とは定義が異なる点に注意が必要です。[1]

  • FY2027純売上高成長率:4.0〜5.0%(従来3.5〜4.5%)
  • FY2027調整後営業利益成長率:7.0〜8.5%(恒常為替ベース、従来6.0〜8.0%)
  • FY2027調整後EPS:2.80〜2.87ドル(従来2.75〜2.85ドル)
  • FY2027設備投資:純売上高の約4.0%(従来約3.5%)
  • FY2027 Q3純売上高成長率:3.0〜3.75%(恒常為替ベース)
  • FY2027 Q3調整後EPS:0.62〜0.64ドル

Q3では、Flipkartの大型セール時期が前年からずれることで売上成長率に100bp超の逆風を見込んでいます。また、Q2に得た関税還付を下期の値下げや顧客体験改善へ再投資する方針を示しているため、Q2とQ3を合わせて基礎的な業績を見る必要があると会社は説明しています。[1]

規模拡大と効率性の向上

ウォルマートの財務データからは、小売業界のリーダーとして継続的な規模拡大と段階的な効率性改善が見てとれます。

  • 総収入は2009年の404.3B$からFY2026には713.2B$へ拡大
  • 営業CFマージンは長期で概ね4〜6%台を維持
  • 純利益は2019年に6.7B$まで低下した後、FY2026には21.9B$まで回復
  • FY2027 Q2でも、eコマース、広告、会員収入など高成長・高収益領域の拡大が継続

特に2018〜2019年の利益率低下と、その後の回復は、eコマース、物流、テクノロジーへ先行投資してきた影響を反映しています。FY2027 Q2ではWalmart U.S.のeコマース売上が24%増、広告が38%増となり、デジタル投資が売上規模だけでなく事業ミックスの改善にもつながっています。[1]

安定したキャッシュフロー創出力

以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFはB$(10億ドル)単位、営業CF成長率は%単位で表示しています。

年度 営業CF 成長率 投資CF 財務CF
2026 41.6 14% -27.0前後 -16.0前後
2025 36.4 2% -17.0 -10.5
2024 35.7 24% -21.3 -13.4
2023 28.8 19% -17.7 -17.0
2022 24.2 -33% -6.0 -22.8
2021 36.1 43% -10.1 -16.1
2020 25.3 -9% -9.1 -14.3
2019 27.8 -2% -24.0 -2.5
2018 28.3 -11% -9.1 -19.9
2017 31.7 15% -13.9 -19.1
2016 27.6 -4% -10.7 -16.3
2015 28.6 23% -11.1 -15.1
2014 23.3 -9% -12.5 -10.8
2013 25.6 6% -12.6 -11.9
2012 24.3 3% -16.6 -8.5
2011 23.6 -10% -12.2 -12.0
2010 26.2 13% -11.6 -14.2
2009 23.1 12% -10.7 -9.9

ウォルマートの強みは、小売業として安定した営業キャッシュフロー創出能力にあります。消費者の日常的な買い物需要に支えられ、景気変動に対する一定の耐性を持っています。

  • FY2026の営業CFは41.6B$、フリーCFは14.9B$
  • FY2027上期の営業CFは19.7B$で前年同期比1.4B$増
  • FY2027上期の設備投資は14.2B$へ増加し、フリーCFは5.5B$へ減少
  • FY2027上期の投資CFは-14.3B$、財務CFは-4.8B$
  • 設備投資増は、サプライチェーン、店舗、顧客向け施策、テクノロジーへの投資拡大を反映

FY2027上期のフリーCFが前年同期を下回った主因は、営業CFの悪化ではなく、設備投資が前年同期比で約28億ドル増えたことです。会社はFY2027の設備投資見通しを純売上高の約4%へ引き上げており、オムニチャネル、物流、自動化への投資を強めています。[7][1]

キャッシュフロー分析のポイント:ウォルマートのキャッシュフローパターンは、「安定創出→戦略投資→継続還元」という構造を維持しています。一方、FY2027は設備投資が増えているため、配当余力を見る際には営業CFだけでなく、設備投資後のフリーCFの推移も確認する必要があります。

健全な財務基盤と効率的な資本活用

以下の表では、総資産、総負債、株主資本はB$(10億ドル)単位、自己資本率は%単位で表示しています。年次数値は各年度末の連結貸借対照表に基づきます。[2]

年度 総資産 総負債 株主資本 自己資本率 ROE
2026 284.7 178.8 105.9 37.2% 約21%
2025 260.8 163.4 97.4 37.4% 約20%
2024 252.4 161.6 90.8 36.0% 17%
2023 243.2 159.0 84.2 34.6% 14%
2022 244.9 152.9 92.0 37.6% 15%
2021 252.5 164.9 87.5 34.7% 17%
2020 236.5 154.9 81.6 34.5% 20%
2019 219.3 139.7 79.6 36.3% 9%
2018 204.5 124.2 80.3 39.3% 13%
2017 198.8 118.3 80.5 40.5% 18%
2016 199.6 115.9 83.7 41.9% 18%
2015 203.5 117.8 85.7 42.1% 20%
2014 204.8 122.5 82.3 40.2% 21%
2013 203.1 121.0 82.1 40.4% 22%
2012 193.4 117.6 75.8 39.2% 22%
2011 180.7 109.7 71.0 39.3% 24%
2010 170.7 98.1 72.6 42.5% 20%
2009 163.4 95.7 67.7 41.4% 20%

FY2027 Q2末(2026年7月31日)の総資産は293.9B$、総株主資本は104.5B$で、単純計算の自己資本率は約35.6%です。現金・現金同等物は11.5B$、総有利子負債等は決算資料の定義で57.2B$でした。過去12カ月ベースのROAは8.0%、会社が用いるROIは15.4%です。[7][1]

ウォルマートの財務構造は、大規模な店舗・物流資産を持つ小売業として、投資負担と安定したキャッシュ創出力のバランスを取っています。

  • FY2026末の総資産は284.7B$、総株主資本は105.9B$、自己資本率は約37.2%
  • FY2027 Q2末の総資産は293.9B$、総株主資本は104.5B$、自己資本率は約35.6%
  • FY2027 Q2時点の過去12カ月ROAは8.0%、ROIは15.4%
  • 設備投資増により資産規模は拡大している一方、広告・会員収入・eコマースの採算改善が資本効率を支える
  • 2026年9月16日終値ベースの時価総額は約8529億ドルです。[4]

財務構造の変化には、以下の戦略的要因が影響しています。

  • 2018〜2019年:eコマース投資拡大による収益性の一時低下
  • 2020〜2021年:パンデミック期に生活必需品需要を取り込み、キャッシュフローが拡大
  • 2022〜2024年:インフレ・在庫調整・投資負担を吸収しながら収益性を改善
  • FY2026:eコマース、広告、会員収入、サプライチェーン自動化が利益とキャッシュフローに寄与
  • FY2027上期:設備投資をさらに拡大しながら、eコマース、広告、会員収入の成長と採算改善を進める段階

まとめ:長期配当投資家にとってのウォルマートとは?

ウォルマートは、生活必需品を中心とする巨大な小売基盤を持ちながら、eコマース、広告、会員収入、マーケットプレイス、物流サービスへ利益源を広げている企業です。配当利回りそのものは高くありませんが、長期にわたる連続増配とキャッシュ創出力が特徴です。

同社の強みは以下の点にあります。

  • 53年連続増配(2026年2月発表、FY2027年間配当0.99ドル)[3]
  • 世界最大級の小売チェーンとしての規模の経済
  • 生活必需品中心の事業による比較的安定した需要基盤
  • 強力なサプライチェーンと価格競争力
  • FY2027 Q2のグローバルeコマース23%増
  • FY2027 Q2のグローバル広告38%増
  • FY2027 Q2のグローバル会員収入17%増
  • FY2026の営業CF41.6B$、フリーCF14.9B$
  • FY2027上期でも営業CF19.7B$を確保
  • AI、データ分析、サプライチェーン自動化を含む運営効率化への継続投資

一方で、注意すべき点としては以下があります。

  • 小売業界特有の低い利益率
  • Amazon、Costco、Target、Dollar Generalなどとの競争
  • eコマース・物流・自動化投資の増加によるフリーCFへの圧力
  • 労働コスト、医療費、保険・賠償関連コストの上昇
  • 消費者行動の変化
  • 国際事業における為替・地政学リスク
  • 関税・貿易政策の変化による調達コストや価格政策への影響
  • 燃料費上昇による配送・フルフィルメント費用への影響
  • FY2027 Q2の利益には関税還付の押し上げが含まれており、単純な前年同期比較では基礎的利益成長を過大評価する可能性がある点
  • 2026年9月16日時点の予想配当利回りが約0.92%と低い点

投資家へのポイント:ウォルマートを見る際は、「高配当株」というより、安定した需要基盤、連続増配、eコマース・広告・会員事業による利益構成の変化を組み合わせて評価する方が実態に近いでしょう。FY2027 Q2決算では通期見通しが上方修正された一方、設備投資も増加しています。今後は売上成長だけでなく、広告・会員収入の伸び、営業利益率、設備投資後のフリーCFを合わせて確認することが重要です。

よくある質問

ウォルマートの配当はどれくらい安全ですか?

配当の安全性を見る材料としては、53年連続増配、FY2026の配当性向約34%、FY2026の営業CF41.6B$・フリーCF14.9B$があります。また、FY2027の年間配当0.99ドルに対し、2026年8月20日時点の調整後EPS見通しは2.80〜2.87ドルで、調整後EPSベースの配当性向は約34.5〜35.4%です。[2][3][1]

FY2027上期のフリーCFは5.5B$と前年同期を下回っていますが、主因は設備投資の増加です。現時点の配当額は利益・キャッシュフローに対して過度に高い水準ではありません。ただし、将来の増配や配当維持は業績と取締役会の判断に左右されるため、保証されるものではありません。[7]

eコマース投資の効果はウォルマートの長期成長にどのような影響を与えますか?

eコマース投資はウォルマートの成長戦略の中核であり、FY2027 Q2でもグローバルeコマース売上は23%増えました。Walmart U.S.は24%増、Sam’s Club U.S.は26%増、Walmart Internationalは19%増です。[1]

米国では店舗ネットワークを配送拠点として活用し、店舗受取や当日配送を拡大しています。FY2027 Q2にはWalmart U.S.の店舗起点配送が40%増え、マーケットプレイス売上も50%超増加しました。既存店舗をデジタル物流網として利用できる点は、オンライン専業企業とは異なる強みです。[1]

また、広告事業やマーケットプレイス、フルフィルメントサービス、会員収入の成長は、単なる商品販売より利益率を高めやすい事業です。FY2027 Q2のグローバル広告は38%増、グローバル会員収入は17%増となっており、事業ミックス改善の重要性が高まっています。[1]

関税上昇はウォルマートの収益性にどのような影響を与えますか?

関税の上昇は、輸入商品の仕入れコストを通じて利益率を圧迫する可能性があります。一方、FY2027 Q2にはウォルマートが約29億ドルの関税還付を受け、粗利益率と営業利益を押し上げました。会社はその一部を値下げや顧客体験への投資に充てています。[1]

このため、FY2027 Q2の営業利益28.8%増には一時的な要因が含まれます。今後は還付による利益押し上げよりも、商品調達、価格転嫁、プライベートブランド、物流効率、高収益事業の成長がどこまでコスト圧力を吸収できるかを見る必要があります。

53年連続増配は今後も継続可能ですか?

連続増配が将来も続くかどうかは業績と経営方針次第ですが、2026年9月時点の財務指標では、現在の配当額は利益に対して比較的余裕があります。FY2027年間配当0.99ドルは、会社の調整後EPS見通し2.80〜2.87ドルに対して約34.5〜35.4%の配当性向です。[1][3]

一方、FY2027は設備投資を拡大しているため、EPSだけでなくフリーCFも確認する必要があります。eコマース、広告、会員収入などの成長が利益とキャッシュフローへ継続的に結びつくかが、今後の増配余力を考えるうえで重要です。

※本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

【出典について】
本文中の数値・コメントは、ウォルマートの年次報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)、決算プレスリリース、配当発表、ならびに金融データ提供サイト等の一次情報・二次情報に基づき筆者が作成・整理したものです。個別のリンクはページ末尾の「【注】(出典リンク)」を参照してください。

【注】(出典リンク)

  1. FY2027 Q2決算・FY2027通期見通し・Q3見通し・eコマース・広告・会員収入 → 一次情報:Walmart「Q2 FY27 Earnings」SEC EDGAR「FY27 Q2 Earnings Release」(確認日:2026-09-17)
  2. FY2026通期業績・営業CF・FCF・年次財務 → 一次情報:Walmart「Q4 FY26 Earnings」SEC EDGAR「Walmart FY2026 Form 10-K」(確認日:2026-09-17)
  3. FY2027年間配当0.99ドル・53年連続増配 → 一次情報:Walmart「Raises Annual Dividend to $0.99 per Share」Walmart Dividends(確認日:2026-09-17)
  4. 2026年9月16日株価・配当利回り・時価総額 → 参考情報:StockAnalysis「Walmart (WMT)」Yahoo Finance「WMT」(確認日:2026-09-17)
  5. 過年度配当・FY2025年間配当0.83ドル → 一次情報:Walmart「FY2025 Dividend $0.83」Walmart Dividend History(確認日:2026-09-17)
  6. FY2026年間配当0.94ドル・52年連続増配 → 一次情報:Walmart「Raises Annual Dividend 13 Percent to $0.94 per Share」Walmart Dividends(確認日:2026-09-17)
  7. FY2027 Q2 Form 10-Q・上期CF・設備投資・貸借対照表・ROA/ROI → 一次情報:SEC EDGAR「Walmart FY2027 Q2 Form 10-Q」Walmart Investor Relations「FY2027 Q2 Form 10-Q」(確認日:2026-09-17)


Posted by 南 一矢