WMT(ウォルマート) の配当推移

ダウ30銘柄,必需品,配当





ウォルマート(WMT)配当利回りと業績分析 2026年5月更新

ウォルマート(WMT)配当利回りと業績分析 2026年5月更新

ウォルマート(Walmart Inc.)の配当利回り、配当成長、配当性向、キャッシュフロー、財務体質を確認します。

ウォルマートの年次決算は1月末です。そのため、本記事では「FY2026」は2026年1月期、「FY2027」は2027年1月期を指します。

2026年5月21日にFY2027第1四半期決算が発表されたため、本記事ではFY2026通期決算に加え、FY2027 Q1の売上・eコマース・広告・キャッシュフロー・会社見通しも反映しています。[1]

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等

年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当($)、平均株価、通年EPSの推移を確認します。

年次決算が1月なので、過去年の平均株価はおおむね2月1日〜翌年1月31日の期間で計算する前提です。2027Eは2026年5月22日終値120.27ドルを用いた参考値です。

配当 平均株価 年EPS
平均利回り 成長率 配当性向 年計
2027E 約0.82% 約5% 約35〜36% 0.99 120.27
(5月22日終値)
2.75〜2.85
(調整後EPS見通し)
2026 約0.9% 13% 約34% 0.94 2.73
2025 1.13% 13% 36% 0.83 92.6 2.33
2024 1.13% 9% 43% 0.76 73.5 1.91
2023 1.48% 2% 54% 0.747 51.5 1.42
2022 1.62% 2% 46% 0.733 46.1 1.62
2021 1.56% 2% 46% 0.72 47.1 1.58
2020 1.64% 1% 42% 0.71 44.0 1.73
2019 1.93% 3% 95% 0.69 36.7 0.75
2018 2.25% 1% 63% 0.68 30.6 1.09
2017 2.49% 1% 47% 0.67 27.3 1.46
2016 2.88% 3% 44% 0.65 23.3 1.52
2015 2.77% 2% 39% 0.64 23.5 1.68
2014 2.45% 2% 39% 0.63 26.1 1.63
2013 2.49% 19% 38% 0.53 25.3 1.67
2012 2.35% 8% 35% 0.49 22.6 1.51
2011 2.69% 23% 33% 0.40 18.2 1.49
2010 2.26% 11% 32% 0.36 17.7 1.24
2009 2.13% 13% 32% 0.32 16.9 1.13

配当は2024年2月実施の3対1株式分割後ベース。FY2027Eは2026年2月19日発表の年間配当0.99ドル、FY2027調整後EPS見通し2.75〜2.85ドルを用いた参考値です。[4][5]

※ウォルマートは2026年2月に年間配当を0.99ドルへ引き上げ、53年連続増配となりました。前年度の0.94ドルからの増配率は約5%です。

堅実な配当成長の実績

ウォルマート(WMT)の配当実績は、小売業界のリーダーとして一度も減配することなく着実な成長を続けています。2009年からFY2027Eにかけて、1株配当は0.32ドルから0.99ドルへと約3.1倍に増加しました。リーマンショック後の景気低迷、COVID-19パンデミック、インフレ局面といった複数の経済環境を通過しても、同社は増配を続けてきました。

2025年2月にはFY2026年間配当を0.94ドルへ13%引き上げ、52年連続増配を発表しました。その後、2026年2月にはFY2027年間配当を0.99ドルへ5%引き上げ、53年連続増配となりました。配当政策は、小売業として生活必需品を扱う安定性と、eコマース・広告・会員収入などの成長分野への投資を両立する姿勢を反映しています。[6][7]

配当成長率の推移

ウォルマートの配当成長率は、安定性を重視した着実なパターンを示しています。

  • 2009〜2013年:高成長期(年間8〜23%の力強い増配)
  • 2014〜2022年:成熟・投資優先期(年間1〜3%の控えめな増配)
  • 2023〜2026年:再加速期(9%、13%、13%と高めの増配)
  • 2027E:正常化期(5%増配。大幅増配後の持続可能なペースへ移行)

このパターンは、ウォルマートのデジタル・トランスフォーメーション戦略と密接に関連しています。2014年以降の配当成長鈍化は、Amazonとの競争激化に対応するため、eコマース基盤やテクノロジーへの大規模投資を優先した結果です。その後、eコマース、広告、会員収入の成長が利益に貢献し始めたことで、2025〜2026年には配当成長率が大きく回復しました。

2026年2月の増配発表では、CFOのジョン・デイビッド・レイニー氏が、配当は「多様な資本還元アプローチの一部」であり、53年連続増配は事業の継続的なパフォーマンスと勢いへの自信を示すものだと述べています。[4]

適度な配当利回りと成長性のバランス

ウォルマートの配当利回りは、一般的には1%台前半〜2%台で推移してきました。しかし、2026年5月22日終値では株価が120.27ドルとなっており、FY2027年間配当0.99ドルに対する利回りは約0.82%にとどまります。[2][4]

  • 成長投資との両立:デジタル投資、店舗網の高度化、サプライチェーン自動化へ資本を振り向けながら、安定配当を継続
  • 株価上昇への貢献:連続増配と堅調な利益成長が、長期的な株価上昇を支える要因の一つ
  • インフレ対応力:規模の経済と価格訴求力により、消費者の節約志向を取り込みやすい
  • 総還元の向上:配当に加え、自社株買いも組み合わせて株主還元を実施

ウォルマートの配当戦略は、「高利回り」よりも「安定増配と株主還元の継続性」を重視しています。FY2026には営業キャッシュフロー41.6B$、フリーキャッシュフロー14.9B$を創出しており、配当支払いを十分に上回るキャッシュ創出力を持っています。[1][5]

配当性向の健全性と投資効率

ウォルマートの配当性向は、直近ではおおむね30〜40%台で推移しています。FY2026の年間配当0.94ドルを希薄化後EPS2.73ドルと比較すると、EPSベースの配当性向は約34%です。FY2027の年間配当予定額0.99ドルを、会社の調整後EPS見通し2.75〜2.85ドルと比較すると、配当性向は約35〜36%です。[4][5]

戦略的な配当性向の変動

  • 2008〜2017年:31〜47%の安定した範囲
  • 2018〜2019年:eコマース投資や一時要因で利益が圧迫され、配当性向が上昇
  • 2020年〜2026年:30〜40%台中心の健全な水準へ回復
  • FY2027見通し:増配後も配当性向は30%台半ばにとどまる見込み

健全性の背景:ウォルマートの配当性向が健全である理由は、食品・日用品を中心とした生活必需品の販売、世界最大級の小売ネットワーク、サプライチェーンの効率性にあります。景気が悪化しても消費者の基礎的な買い物需要は残りやすく、低価格戦略はむしろ節約志向の強い局面で集客力を高めます。

財務パフォーマンスと成長見通し

以下の表では、売上高、営業CF、純利益はB$(10億ドル)単位、営業CFマージンは%単位で表示しています。データはいずれもウォルマートの公表資料に基づきます。[5]

主要財務指標の推移

年度 売上高 営業CF 同マージン 純利益
2026 713.2 41.6 5.8% 21.9
2025 681.0 36.4 5.3% 19.4
2024 648.1 35.7 5.5% 15.5
2023 611.3 28.8 4.7% 11.7
2022 572.8 24.2 4.2% 13.7
2021 559.2 36.1 6.5% 13.5
2020 524.0 25.3 4.8% 14.9
2019 514.4 27.8 5.4% 6.7
2018 500.3 28.3 5.7% 9.9
2017 485.9 31.7 6.5% 13.6
2016 482.1 27.6 5.7% 14.7
2015 485.7 28.6 5.9% 16.4
2014 476.3 23.3 4.9% 16.0
2013 468.7 25.6 5.5% 17.0
2012 446.5 24.3 5.4% 15.7
2011 421.8 23.6 5.6% 16.4
2010 408.1 26.2 6.4% 14.4
2009 404.3 23.1 5.7% 13.4

FY2026の業績動向と力強い成長回復

ウォルマートのFY2026(2026年1月期)業績は、デジタル・トランスフォーメーションとオムニチャネル戦略の成果を反映した堅調な内容でした。

  • 売上高成長:FY2026の総収入は713.2B$となり、FY2025の681.0B$から約4.7%増加しました。[5]
  • eコマース成長:FY2026のグローバルeコマースは24%増となり、売上構成比は23%まで上昇しました。[1]
  • 広告事業の拡大:FY2026第4四半期のグローバル広告事業は37%増、米国のWalmart Connectは41%増と高い伸びを示しました。[1]
  • キャッシュ創出力:FY2026の営業CFは41.6B$、フリーCFは14.9B$で、いずれもFY2025から改善しました。[1]
  • 顧客基盤:2026年2月時点で、週あたり約2.8億人の顧客・会員が、19カ国の10,900店超の店舗とeコマースサイトを利用しています。[4]

FY2026第4四半期では、売上高が前年同期比5.6%増、営業利益が10.8%増、グローバルeコマースが24%増となりました。低価格と利便性を組み合わせたオムニチャネル戦略が、売上成長と利益成長の両方に寄与しています。[1]

FY2027 Q1:売上は堅調、ただしFCFは一時的にマイナス

FY2027 Q1(2026年5月21日発表)では、総収入が前年同期比7.3%増、Walmart U.S.の既存店売上は燃料を除き4.1%増、Sam’s Club U.S.の既存店売上は燃料を除き3.9%増でした。グローバル広告は37%増、Walmart U.S. eコマースは26%増、Walmart International eコマースは27%増と、デジタル関連の成長は継続しています。[8]

項目 FY2027 Q1 補足
総収入 前年同期比+7.3% eコマースと堅調な需要が寄与
Walmart U.S.既存店売上 +4.1% 燃料除く
Sam’s Club U.S.既存店売上 +3.9% 燃料除く
Walmart International純売上 +10.1% 恒常為替ベース
Walmart U.S. eコマース +26% 店舗起点の配送・受取が成長を支援
Sam’s Club U.S. eコマース +23% eコマース構成比は燃料除き20%
Walmart International eコマース +27% 各国市場で拡大
グローバル広告 +37% Walmart Connect米国はVIZIO除き+44%
営業CF 4.7B$ 第1四半期単独
フリーCF -1.9B$ 投資・運転資本の影響で一時的にマイナス

FY2027 Q1は、売上・広告・eコマースの勢いを確認できる一方、フリーCFは-1.9B$でした。第1四半期単独の数字であるため、年間の配当安全性を判断するにはFY2027通期の営業CF、設備投資、在庫、買掛金の動きを合わせて見る必要があります。[8]

FY2027見通し:成長は続くが、期待値はやや落ち着く

ウォルマートはFY2027について、売上成長率を3.5〜4.5%、調整後EPSを2.75〜2.85ドルとする見通しを維持しています。FY2026までの高い成長の後、FY2027はやや慎重な見通しです。[1][8]

  • 売上成長は引き続きプラス圏を見込む
  • 広告、会員収入、マーケットプレイスなど高利益率事業が利益を支える
  • 一方で、消費者の節約志向、賃金・物流コスト、燃料費、関税リスクが利益率の圧力になり得る
  • 調整後EPS見通し2.75〜2.85ドルに対して、年間配当0.99ドルの配当性向は約35〜36%で、配当余力は十分

規模拡大と効率性の向上

ウォルマートの財務データからは、小売業界のリーダーとして継続的な規模拡大と段階的な効率性改善が見てとれます。

  • 売上高は2009年の404.3B$からFY2026には713.2B$へ拡大し、長期的に安定した成長を維持
  • 営業CFマージンは概ね4〜6%台で推移し、小売業として安定した効率性を維持
  • 純利益は2019年に6.7B$まで落ち込んだ後、FY2026には21.9B$まで回復
  • COVID-19期には生活必需品企業として需要を取り込み、売上・キャッシュフローとも底堅く推移

とくに2018〜2019年の利益率低下と、その後の2020年以降の回復パターンは、同社が「収益性を一時的に犠牲にしてでも将来の競争力に投資する」というスタンスを貫いてきたことを示しています。FY2026の売上713.2B$、純利益21.9B$、営業CF41.6B$は、デジタル変革への投資が本格的に収益へ結びついていることを示す数字です。

安定したキャッシュフロー創出力

以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFはB$(10億ドル)単位、営業CF成長率は%単位で表示しています。

年度 営業CF 成長率 投資CF 財務CF
2026 41.6 14% -27.0前後 -16.0前後
2025 36.4 2% -17.0 -10.5
2024 35.7 24% -21.3 -13.4
2023 28.8 19% -17.7 -17.0
2022 24.2 -33% -6.0 -22.8
2021 36.1 43% -10.1 -16.1
2020 25.3 -9% -9.1 -14.3
2019 27.8 -2% -24.0 -2.5
2018 28.3 -11% -9.1 -19.9
2017 31.7 15% -13.9 -19.1
2016 27.6 -4% -10.7 -16.3
2015 28.6 23% -11.1 -15.1
2014 23.3 -9% -12.5 -10.8
2013 25.6 6% -12.6 -11.9
2012 24.3 3% -16.6 -8.5
2011 23.6 -10% -12.2 -12.0
2010 26.2 13% -11.6 -14.2
2009 23.1 12% -10.7 -9.9

ウォルマートの強みは、小売業として安定した営業キャッシュフロー創出能力にあります。消費者の日常的な買い物需要に支えられ、景気変動に対する耐性を示しています。

  • 営業CFは過去長期で安定しており、FY2026には41.6B$へ拡大
  • FY2026のフリーCFは14.9B$で、前年から2.3B$増加
  • 投資CFのマイナスは、サプライチェーン自動化、店舗高度化、eコマース、テクノロジー投資を反映
  • 財務CFの継続的なマイナスは、配当と自社株買いによる株主還元の継続を示す

FY2026のフリーCF増加は、営業CFの増加が設備投資増を上回ったためです。会社はオムニチャネル成長戦略を支えるために資本投資を増やしていますが、それでもなお配当を十分に上回るキャッシュフローを確保しています。[1]

キャッシュフロー分析のポイント:ウォルマートのキャッシュフローパターンは、「安定創出→戦略投資→継続還元」のサイクルを示しています。同社は小売業として予測可能な営業CFを基盤に、将来の競争力確保のための戦略的投資と株主還元を両立させています。

健全な財務基盤と効率的な資本活用

以下の表では、総資産、総負債、株主資本はB$(10億ドル)単位、自己資本率は%単位で表示しています。数値は各年度末の連結貸借対照表に基づきます。[5]

年度 総資産 総負債 株主資本 自己資本率 ROE
2026 284.7 178.8 105.9 37.2% 約21%
2025 260.8 163.4 97.4 37.4% 約20%
2024 252.4 161.6 90.8 36.0% 17%
2023 243.2 159.0 84.2 34.6% 14%
2022 244.9 152.9 92.0 37.6% 15%
2021 252.5 164.9 87.5 34.7% 17%
2020 236.5 154.9 81.6 34.5% 20%
2019 219.3 139.7 79.6 36.3% 9%
2018 204.5 124.2 80.3 39.3% 13%
2017 198.8 118.3 80.5 40.5% 18%
2016 199.6 115.9 83.7 41.9% 18%
2015 203.5 117.8 85.7 42.1% 20%
2014 204.8 122.5 82.3 40.2% 21%
2013 203.1 121.0 82.1 40.4% 22%
2012 193.4 117.6 75.8 39.2% 22%
2011 180.7 109.7 71.0 39.3% 24%
2010 170.7 98.1 72.6 42.5% 20%
2009 163.4 95.7 67.7 41.4% 20%

ウォルマートの財務構造は、小売業として適切な健全性と効率性のバランスを維持しています。

  • FY2026末の総資産は284.7B$、総株主資本は105.9B$、自己資本率は約37.2%
  • ROEはFY2026で約21%と、生活必需品小売として良好な水準
  • 総資産は事業拡大・サプライチェーン投資・テクノロジー投資により長期的に増加
  • 株主資本は自社株買いの影響を受けつつも、利益蓄積により長期では増加基調
  • 2026年5月22日終値ベースの時価総額は約9,635億ドルで、世界最大級の小売企業として評価されています。[2]

財務構造の変化には、以下の戦略的要因が影響しています。

  • 2018〜2019年:eコマース投資拡大による収益性の一時低下
  • 2020年〜2021年:パンデミック期に生活必需品需要を取り込み、キャッシュフローが拡大
  • 2022年〜2024年:インフレ・在庫調整・投資負担を吸収しながら収益性を改善
  • FY2026:eコマース、広告、会員収入、サプライチェーン自動化が利益とキャッシュフローに寄与
  • FY2027 Q1:広告、会員収入、マーケットプレイスなどのグローバルプラットフォームが成長し、事業ミックス改善の方向性が継続

ROEの変動は同社の投資サイクルを反映しています。2018〜2019年の低下は戦略的投資期、2020年以降の改善は投資効果の顕在化を示しています。FY2026のROE約21%は、生活必需品を軸とした安定ビジネスと、広告・会員収入・データ活用などの高収益ビジネスが組み合わさっている結果といえます。

まとめ:長期配当投資家にとってのウォルマートとは?

ウォルマートは、小売業界の絶対的リーダーとして、安定性と成長性を両立する配当成長株の一つです。生活必需品を扱う事業特性により景気変動に対する耐性を持ちながら、デジタル・トランスフォーメーションによる新たな成長機会を追求しています。

同社の強みは以下の点にあります。

  • 53年連続配当増額の卓越した実績(2026年2月の発表でFY2027年間配当0.99ドルへ増額)[4]
  • 世界最大級の小売チェーンとしての圧倒的な規模の経済
  • 生活必需品中心の事業による景気耐性と安定した需要基盤
  • 強力なサプライチェーンとコスト管理による競争優位性
  • eコマースとオムニチャネル戦略による将来成長の基盤構築
  • FY2026の営業CF41.6B$、フリーCF14.9B$という豊富なキャッシュ創出力
  • FY2027 Q1のWalmart U.S. eコマース26%増、グローバル広告37%増という高成長領域の拡大
  • パンデミック時に証明された「エッセンシャル・ビジネス」としての価値
  • AI、データ分析、サプライチェーン自動化による運営効率化・在庫最適化の推進

一方で、注意すべき点としては以下があります。

  • 小売業界特有の低い利益率
  • Amazon、Costco、Target、Dollar Generalなどとの競争継続
  • eコマース市場でのシェア争いに伴う継続的な投資負担
  • 労働コスト上昇圧力
  • 消費者行動の変化への対応
  • 国際事業における地政学的リスクと為替変動
  • 関税上昇局面での調達コスト上昇と価格転嫁リスク
  • 燃料費上昇による配送・フルフィルメント費用の増加リスク
  • 株価上昇により、2026年5月22日時点の配当利回りが約0.82%まで低下している点

投資家へのポイント:ウォルマートへの投資は、「高配当」よりも「安定性・連続増配・適度な成長」を重視する長期投資家に向いています。同社は急成長株ではありませんが、生活必需品小売としての安定性、デジタル・広告・会員事業の成長、53年連続増配の実績を持っています。現在の配当利回りは低いため、インカム目的だけでなく、長期のトータルリターンと守りの強さを合わせて評価する銘柄です。

よくある質問

ウォルマートの配当はどれくらい安全ですか?

ウォルマートの配当安全性は、米国大型株の中でも高い部類と評価できます。同社は53年連続で配当を増額しており、リーマンショックやCOVID-19パンデミックなど複数の経済危機を乗り越えてきました。FY2026実績では、EPS2.73ドルに対して年間配当0.94ドルで、配当性向は約34%です。営業CF41.6B$、フリーCF14.9B$に対して配当総額は十分に小さく、キャッシュフロー面から見ても余裕があります。[1][4]

事業面でも、生活必需品を中心に扱う構造から景気後退時でも売上の急減が起こりにくく、世界最大級のスケールを活かした調達力・物流ネットワークにより価格競争力も高い水準を維持しています。現時点では、減配リスクは低く、増配継続の可能性が高い銘柄と見てよいでしょう。

eコマース投資の効果はウォルマートの長期成長にどのような影響を与えますか?

eコマース投資は、ウォルマートの成長戦略の中核であり、すでに目に見える成果を上げています。FY2026のグローバルeコマース売上は24%増となり、売上構成比は23%まで上昇しました。さらにFY2027 Q1でも、Walmart U.S. eコマースは26%増、Sam’s Club U.S. eコマースは23%増、Walmart International eコマースは27%増でした。[1][8]

同社は米国の店舗ネットワークを活用したオムニチャネル戦略により、「オンラインで注文して店舗で受け取る」「店舗から当日配送する」といったサービスを展開し、Amazonとは異なる強みを打ち出しています。

また、マーケットプレイス型ビジネスと広告事業(Walmart Connect)も拡大しています。FY2027 Q1のグローバル広告事業は37%増、米国のWalmart ConnectはVIZIOを除き44%増でした。広告や会員収入は粗利率の高いビジネスであり、売上規模の拡大だけでなく利益率の改善にも寄与します。[8]

関税上昇はウォルマートの収益性にどのような影響を与えますか?

関税上昇は短期的にはコスト圧力要因となります。ウォルマートは多様な地域から商品を調達しており、特定地域への依存度を抑えることでリスク分散を図っていますが、輸入品比率の高いカテゴリーではコスト上昇を完全に避けることは難しい場合があります。

一方で、ウォルマートは価格訴求力の強い小売企業です。中低所得層だけでなく、インフレ局面では高所得層も低価格を求めてウォルマートを利用しやすくなります。プライベートブランドや「お買い得」ラインナップを拡充することで、価格上昇局面でも来店頻度と購買数量を維持できる余地があります。ただし、関税・燃料費・物流費が同時に上昇する局面では、短期的な利益率への圧力には注意が必要です。

53年連続配当増額は今後も継続可能ですか?

連続増配が今後も継続するかどうかは、最終的には業績と経営陣の方針次第です。ただし、現時点の数字を見る限り、継続可能性は高いと考えられます。FY2027年間配当0.99ドルは、会社のFY2027調整後EPS見通し2.75〜2.85ドルに対して約35〜36%の配当性向です。営業CFとフリーCFの水準から見ても、無理のある配当ではありません。

さらに、eコマース、広告、会員収入、データ活用といった高収益ビジネスの比率が高まるほど、売上成長率がそれほど高くなくても利益とキャッシュフローは伸びやすくなります。ウォルマートの配当政策は「持続可能な業績への自信」を背景にしており、今後も株主還元を重視した経営方針が続くと見るのが自然です。

※本記事は投資判断の参考として財務データを分析したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

【出典について】
本文中の数値・コメントは、ウォルマートの年次報告書(Form 10-K)、決算プレスリリース、配当発表、ならびに信頼できる金融データ提供サイト等の一次情報・二次情報に基づき筆者が作成・整理したものです。個別のリンクはページ末尾の「【注】(出典リンク)」を参照してください。

【注】(出典リンク)

  1. FY2026通期決算・FY2027見通し → 一次情報:Walmart「Q4 FY26 Earnings」SEC EDGAR「FY26 Q4 Earnings Release」(確認日:2026-05-23)
  2. 株価・時価総額 → 参考情報:Google Finance「WMT:NASDAQ」Yahoo Finance「WMT」(確認日:2026-05-23)
  3. 配当利回り・配当履歴 → 一次情報:Walmart Dividends → 補助:StockAnalysis「WMT Dividend」(確認日:2026-05-23)
  4. FY2027配当・53年連続増配・年間配当0.99ドル → 一次情報:Walmart「Raises Annual Dividend to $0.99 per Share」(2026年2月19日)Walmart Dividends(確認日:2026-05-23)
  5. 売上・利益・CF・貸借対照表の長期推移 → 一次情報:SEC EDGAR「Walmart FY2026 Form 10-K」Walmart Financial Results(確認日:2026-05-23)
  6. FY2026配当・52年連続増配・年間配当0.94ドル → 一次情報:Walmart「Raises Annual Dividend 13 Percent to $0.94 per Share」(2025年2月20日)Walmart Dividends(確認日:2026-05-23)
  7. 配当方針・過年度配当履歴 → 一次情報:Walmart DividendsWalmart Annual Reports(確認日:2026-05-23)
  8. FY2027 Q1決算・eコマース・広告・営業CF・FCF → 一次情報:Walmart「Q1 FY27 Earnings」Walmart「Earnings Release(FY27 Q1)」(確認日:2026-05-23)


Posted by 南 一矢