WMT(ウォルマート)今後の見通し

ダウ30銘柄,必需品,株価•決算

ウォルマート(Walmart Inc)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。


銘柄比較については関連記事(WMT/COST:ウォルマートとコストコを比較)を参照

直近決算

ウォルマートは5月21日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想0.66$→結果0.66$
・売上高:予想1748.3億$→結果1778億$(前年同期比+7%)
★ガイダンス
《四半期》
・EPS:予想0.75$→結果0.72~0.74$
《通年》
・EPS:予想2.92$→結果2.75~2.85$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。

企業概要

ウォルマート(Walmart Inc.、Nasdaq:WMT)は世界最大級の小売企業です。FY2026(2026年1月期)の総収入は7,132億ドルで、世界約210万人の従業員を抱えています。毎週およそ2億8,000万人の顧客・会員が、世界19カ国の店舗・クラブおよびECサイトを利用しています。なお、同社株は2025年12月9日からNasdaq Global Select Marketで取引されています。[1]

創業者サム・ウォルトンの名を冠した同社は、「エブリデー・ロープライス(Everyday Low Price)」という低価格戦略を掲げ、米国を中心に実店舗とオンライン販売を組み合わせたオムニチャネル(=「店舗+ネット」を一体で提供する仕組み)の戦略を展開しています。食品・日用品などの生活必需品を低価格で提供する一方、EC、広告、会員、マーケットプレイス、フルフィルメントなど、より利益率の高い周辺事業の拡大も進めています。[2]

本社は米国アーカンソー州ベントンビルにあり、FY2026末時点で世界に10,900超の店舗・クラブと多数のECサイトを運営しています。以前の表記「約10,750」「2億7,000万人」は、FY2026の公表値に合わせて、店舗・クラブ数は「10,900超」、週間顧客・会員数は「約2億8,000万人」へ更新しました。[3]

会員制量販店「サムズ・クラブ」は、米国およびプエルトリコを中心に約600クラブを展開しています。2025年4月の投資家向け発表では、今後8〜10年で会員数を2倍、売上と利益を2倍超にする長期目標を示しました。また、既存約600クラブを全面改装し、発表済みの30新規出店に加えて、将来的には年間約15クラブを開設するパイプラインを構築する方針です。[4]

社史をさかのぼると、同社は1962年にサム・ウォルトン氏によって設立されました。当初は米国中西部の小規模ディスカウントストアとして始まり、低価格戦略と自前物流(配送センター・在庫連携)により急速に成長しました。1980〜90年代には米国最大級の小売企業としての地位を確立し、その後はメキシコ、カナダ、チリ、中国、インド(Flipkart)などへ国際展開を広げてきました。[2]

オンライン販売の強化も継続中です。店舗在庫を使った「ピックアップ&デリバリー」、外部出店者が販売するマーケットプレイス、出店者向け物流のWFS(Walmart Fulfillment Services)、会員制サービス「Walmart+」を組み合わせ、実店舗をECの受け取り・配送拠点として活用しています。FY2027第1四半期(2026年4月30日終了四半期)のWalmart U.S.ではEC売上が26%増となり、店舗からの配送、広告、マーケットプレイスが成長を支えました。[5]

広告事業も成長領域です。Walmartは2024年12月にスマートTVメーカーのVIZIO買収を完了しました。買収額は完全希薄化後の株式価値で約23億ドルです。これにより、Walmart Connectのリテールメディアに、VIZIOのSmartCastを通じたコネクテッドTV広告の面が加わりました。FY2027第1四半期には、グローバル広告事業が37%増、Walmart U.S.の広告事業が36%増となりました。なお、VIZIO影響を除くWalmart Connectは44%増です。[6]

なお、医療の対面クリニック事業(Walmart Health)は、2024年に全51施設とバーチャルケア事業の終了を決定しました。一方で、店内の薬局、ビジョンセンター、健康・ウェルネス関連サービスは継続しています。対面クリニック事業の撤退は、医療そのものからの全面撤退ではなく、採算が合いにくかったクリニック運営からの撤退と見るのが自然です。[7]

海外・提携面では、2018年にインドのネット通販Flipkartの筆頭株主となりました。2025年時点でWalmartはFlipkartの80%超を保有していると報じられています。Flipkartは2025年3月にインド準備銀行からNBFC(ノンバンク金融会社)登録証を取得し、2025年6月には顧客・出店者向けに直接融資を行う道が開かれたと報じられました。一方、2016年から保有していたJD.com株は2024年8月に全持分を売却しています。[8]

配送面では、Alphabet傘下のWingなどと連携し、ドローン配送の対象店舗を段階的に拡大しています。すべての地域で利用できるサービスではありませんが、店舗網を起点に、短時間配送・当日配送・ラストワンマイル効率化を組み合わせる取り組みの一部と位置づけられます。[9]

最近の業績トピック

FY2027第1四半期(2026年4月30日終了四半期)の総収入は1,777.51億ドルで、前年同期比7.3%増でした。営業利益は74.93億ドル5.0%増、Walmartに帰属する純利益は53.30億ドル18.8%増です。調整後EPSは0.66ドルでした。[10]

同四半期の成長は、実店舗だけでなくEC・広告・会員・マーケットプレイスといった周辺事業の伸びに支えられています。グローバルEC売上は26%増、グローバル広告事業は37%増、グローバル会員収入は17.4%増でした。一方で、物流・フルフィルメントにおける燃料費上昇が営業利益にマイナス影響を与えた点には注意が必要です。[10]

FY2027第2四半期の会社見通し(2026年5月21日時点)は、為替一定ベースで純売上高が4.0〜5.0%増、営業利益が7.0〜10.0%増、調整後EPSが0.72〜0.74ドルです。FY2027通期見通しは、純売上高3.5〜4.5%増、調整後営業利益6.0〜8.0%増、調整後EPS2.75〜2.85ドルで据え置かれました。[11]

事業の柱と取り組み

その事業は大きく「店舗販売・スーパーマーケット」「オンライン販売・オムニチャネル戦略」「付加価値サービス」に分かれます。要点を整理します。

店舗販売・スーパーマーケット:ディスカウントストア、スーパーマーケット、倉庫型店舗(サムズ・クラブ)など多様な形式で展開。食品・日用品を中心に、衣料、家電、薬局商品など生活必需品を低価格で提供します。FY2026末時点では世界19カ国で10,900超の店舗・クラブとECサイトを運営しています。[3]

オンライン販売・オムニチャネル戦略:Walmart.comやアプリを通じてオンライン販売を展開。店舗在庫を使ってすぐ受け取れる「店舗受け取り(Pickup)」や、店舗からの当日配送など、実店舗とネットを一体化しています。第三者出店のマーケットプレイスや、出店者向け物流のWFSも拡大しています。FY2027第1四半期には、Walmart U.S.の店舗起点配送が過去2年で2倍超となり、同四半期の配送注文の36%超が3時間以内に届けられたと説明されています。[5]

付加価値サービス
広告(Walmart Connect):店舗・アプリ・EC・コネクテッドTV(VIZIO SmartCast)などの面で広告を提供します。FY2027第1四半期も広告事業が高成長を維持しました。
会員(Walmart+/Sam’s Club):配送料無料、ガソリン割引、クラブ特典などでリピート購入を促します。FY2027第1四半期はグローバル会員収入が17.4%増でした。
金融・ヘルスケア:送金・プリペイド等のマネーサービス、店内薬局・ビジョンセンター等を提供します。ただし、Walmart Healthの対面クリニックは2024年に撤退済みです。[10]

WMTの強み

低価格戦略:独自のEDLP(毎日低価格)と効率的なサプライチェーンで、インフレ局面でも価格優位を維持しやすい構造があります。生活必需品の比率が高く、景気変動時にも客数を維持しやすい点が強みです。[2]
広大な店舗ネットワーク:米国と海外19カ国の店舗・クラブ網が、ECの受取・配送拠点としても機能します。単なる店舗網ではなく、ラストワンマイル物流の基盤でもあります。[3]
オムニチャネルと高付加価値領域:EC、広告、会員、マーケットプレイス、WFSなど、従来の小売よりも粗利率の高い収益源が拡大しています。FY2027第1四半期の広告・会員・ECの伸びは、この変化を示す代表例です。[5][6]

【補足】

オムニチャネル:店舗とネットを一体で運営し、どこで買っても同じ体験を提供する考え方。

マーケットプレイス:サードパーティ(外部出店者)がWalmart上で販売する場。

WFS:Walmart Fulfillment Services。出店者がWalmartの倉庫・配送を利用できる仕組み。

Walmart Connect:Walmartの広告事業ブランド。店舗・アプリ・EC・コネクテッドTVを横断して広告枠を提供。

技術活用(AI・物流・決済)

AI・データ活用:在庫・需要予測・顧客分析に加え、店舗従業員向けの生成AIツールや社内業務向けAIの導入を進めています。FY2026の年次報告では、顧客・会員向け体験、従業員の生産性、運営効率の改善にAI活用を広げていると説明されています。FY2027第1四半期の決算資料でも、AIや自動化を通じた顧客体験の改善と業務効率化が強調されました。[12]

物流の革新:高度な配送網、自動化倉庫、店舗起点の即配モデル、ドローン配送の拡張で「早く・安く」を追求しています。Walmartの強みは、店舗網がそのまま在庫拠点・配送拠点としても機能する点にあります。FY2027第1四半期には、Walmart U.S.の店舗起点配送が引き続き拡大しました。[5][9]

デジタル決済:Walmart Payなどのキャッシュレス機能により、店頭・オンライン双方の会計をスムーズにしています。今後は、Walmart+、Sam’s ClubのScan & Go、Flipkartの金融機能などを含め、購買・決済・会員データを一体で活用する方向が強まりそうです。[4][8]

ミニ解説:Walmartは「巨大な店舗網を持つ低価格小売企業」から、「店舗網を物流拠点として使うオムニチャネル企業」へ変化しています。投資家が見るべき点は、既存店売上だけでなく、EC、広告、会員、マーケットプレイス、WFS、VIZIO統合後のコネクテッドTV広告がどれだけ利益率を押し上げるかです。ただし、FY2027第1四半期のように燃料費上昇が利益率を圧迫する局面もあるため、売上成長とコスト増のバランスを見る必要があります。

【注】(出典リンク)

  1. FY2026売上高・顧客数・従業員数・Nasdaq移管 → Walmart Form 10-K FY2026Walmart to Transfer Stock Exchange Listing to Nasdaq(確認日:2026-05-23)
  2. 事業モデル・EDLP・オムニチャネル方針 → Walmart Form 10-K FY2026Walmart About(確認日:2026-05-23)
  3. 店舗数・国数・従業員数 → Walmart 2026 Annual Report / Proxy Statement リリースWalmart Location Facts(確認日:2026-05-23)
  4. Sam’s Club成長戦略 → Sam’s Club 2025 Investment Community Meeting(確認日:2026-05-23)
  5. FY2027第1四半期のWalmart U.S.・EC・店舗起点配送 → Walmart Q1 FY27 Earnings ReleaseWalmart Releases Q1 FY27 Earnings(確認日:2026-05-23)
  6. VIZIO買収・広告事業 → Walmart Completes Acquisition of VIZIOWalmart Q1 FY27 Earnings Release(確認日:2026-05-23)
  7. Walmart Health閉鎖 → Walmart Health Is Closing(確認日:2026-05-23)
  8. Flipkart持分・NBFC承認・JD.com持分売却 → Reuters:Flipkart direct lending approvalReuters:JD.com stake sale(確認日:2026-05-23)
  9. ドローン配送拡大 → WIRED:Walmart / Wing drone delivery expansion(確認日:2026-05-23)
  10. FY2027第1四半期業績・広告・会員収入・燃料費影響 → Walmart Q1 FY27 Earnings ReleaseWalmart Quarterly Results(確認日:2026-05-23)
  11. FY2027第2四半期見通し・FY2027通期見通し → Walmart Q1 FY27 Earnings Release(確認日:2026-05-23)
  12. AI・技術活用 → Walmart Form 10-K FY2026Walmart Q1 FY27 Earnings Release(確認日:2026-05-23)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢